※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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死神の存在

屋根の上でフランに見つかった後、咲夜さんは大急ぎで朝ご飯を作り、その後は詳細な説明を強制された。

 

咲夜「───という訳なのです…」

 

カルゴ「初めてのデートで、つい長引いちゃったんだ…許してくれ…」

 

徹夜なんて、「つい長引いた」というレベルでは無いような気がするが。

 

フラン「ふーん…今度からはこういう事の無いようにしてくれる?」

 

フランはかなりご立腹のようで…。

説明だけで済んでるのが奇跡に思える。

 

カル咲「すみませんでした…」

 

俺も咲夜さんも、平に謝るしかできない。

 

フラン「しょうがないから、2人には罰ゲームを受けてもらうわ」

 

カル咲「罰ゲーム…?」

 

フラン「そ♪私の見てる目の前で、えっtモゴ」

 

カルゴ「待て待て待て待て!それはダメだ!!」

 

何を言わんとしているのかを察した俺は、全力でフランの口を塞ぐ。「わかったから」ということを伝えたいのか、口を塞ぐ手を退かそうとする。

 

咲夜「(“えっ”…って何でしょうか…)」

 

フラン「じゃあ、私と戦ってもらおうかなぁ♪」

 

おっ、比較的楽そうなのキタぜ。

 

咲夜「そ、それは…」

 

フラン「エスカルゴ居るから大丈夫でしょ?」

 

笑顔で咲夜さんを威圧するフラン。これは怖い。

 

咲夜「…はい…」

 

カルゴ「頑張りましょう!」

 

咲夜「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「やっぱり、2人とかずるいっ!!」

 

戦いが終わり、フランは地団駄を踏んで悔しがっている。可愛い。

 

カルゴ「フランが言ったんだろう?」

 

フラン「うー…ナイフばっかりヤダよ!!なんでエスカルゴまでナイフ使ったのよ!」

 

カルゴ「合わせてみたくなった」

 

咲夜「(エスカルゴさん…♪)」

 

フラン「何よそれー!」

 

結果は、俺と咲夜さんのペアの勝利。

俺は、弾幕と我流のナイフ術を。咲夜さんは、体術とナイフ術を組み合わせ、フランを翻弄したのだ。俺が使用したナイフが、雷刀を小さくしたものである事は言うまでもない。

 

カルゴ「それにさ、1対2が嫌なら、分身すればよかったじゃないか」

 

咲夜「いや、それはちょっと…」

 

フラン「室内で使うと、館壊しちゃうもん」

 

ぷっくり頬を膨らませるフラン。可愛い。

 

4人でスペル使わなきゃ大丈夫なんだがなぁ…。

まぁ、やられたら避けられないし、ラッキーだったな。咲夜さんは人間だしな、俺が怪我しない威力でも怪我する恐れがある。

 

カルゴ「なるほどね。…それじゃあ、そろそろ…帰るね」

 

時計を見やりつつ、帰ると発言する。

 

フラン「もう!?まだお昼前よ!?」

 

カルゴ「霊愛が心配だ。霊夢じゃなくて」

 

フラ咲「あっ…(察し)」

 

察した2人は、これ以上何も言わなかった。

申し訳ないとは思うが、まだ赤ん坊なので仕方の無い事である。

 

カルゴ「レミリアにも挨拶したいんだけど…」

 

咲夜「お嬢様はまだお休みになられております。夜の散歩で、お疲れなのでしょう」

 

カルゴ「なるほど、わかりました」

 

なんで時計台に居たんだろ?

まさか、マジで覗いてたんじゃ…?

 

カルゴ「じゃ、また来るよ」

 

フラン「うんっ!」

 

咲夜「はい、また…♪」

 

ペコリと頭を下げて、2人から見送られながら、玄関を出る。

 

フラン「バイバーイ!」

 

咲夜「……///」

 

フランは、大きく手を振っている。

咲夜さんは、フランより1歩後ろで、顔を赤らめながら小さく手を振っている。

俺も笑顔で手を振り返し、門外へと踵を返す。

 

美鈴にも挨拶しておこうかな。

ろくに話せなかったし。

 

カルゴ「やっほ」

 

美鈴「ども!もうお帰りですか?」

 

カルゴ「うん。娘が心配でさ」

 

苦笑混じりに頬を掻く。

 

美鈴「なるほど、霊夢さんはガサツですからね。心配になるのもわかります」

 

うんうん、と繰り返し大きく頷く美鈴。

 

さすが美鈴、言いたいことを言ってくれたな。

 

カルゴ「そうなんだよ…。分身置いてきてるとは言ってもさ、不安で仕方ない。という訳で、もう帰る事にするよ」

 

美鈴「わかりました…。また今度、ゆっくりお話しましょう!」

 

カルゴ「うん、そうだね」

 

美鈴まで俺のこと……って、ンな訳ねぇから。

話し相手が欲しいんだろ、門番って暇だから。

 

美鈴「ハッキリ言って、門番は暇ですからね〜、話し相手が欲しいんですよ〜」

 

言ってくれたし…。

 

一度門番体験してからは、美鈴に対する心持ちが変わった。批判から同情の対象になった。

 

美鈴「あ!今の発言、無しでお願いします!!」

 

手を合わせてペコペコ繰り返し頭を下げる美鈴。

門番が暇なのを理解している俺は勿論、それを快く受け入れる。

 

美鈴「よかったぁ〜……」

 

カルゴ「俺が起こしてた事もずっと秘密にしてんだから、安心しなって」

 

美鈴「はい☆」

 

カルゴ「それじゃ!」

 

美鈴「はーい!さよならー!」

 

翼を広げ、その場から飛び立つ。

急いでいる訳では無いので、ゆったりと飛ぶ。

紅魔館から博麗神社までは、結構な距離がある。

だからその間は、飛ぶことを楽しもうと思う。

いつ何時も、心からゆとりを無くしてはいけないと俺は思うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「んー…イイ風だ…」

 

現在俺は、魔法の森の上空を飛行中。

胞子やら瘴気やらが立ち上っているように見える…いや、実際にかなりの量の胞子等が舞がっているが、上空まで上がればなんの問題も無い。

そんな中、暖かい日差しに包まれ、心地の良い風に吹かれ、ついつい眠りそうになる。もしそうなったら、頭からダイブする事間違いなしだが。

そのように、風を感じていた俺。

だが、その“風”にある変化が現れる。

 

カルゴ「……?」クンクン

 

どこからか、鉄分の臭いが漂ってきた。

具体的に言うなら、“血の匂い”だ。

 

なんだァ…真昼間の幻想郷で血の匂いとは…。

何かロクでもねぇこと起こってんじゃねぇよな?

 

風上へ…血の匂いのする方へ、方向転換する。

事件には首を突っ込みたくないとは思う俺だが、自身の平和を脅かす可能性がある場合は別だ。

では、なぜそう判断したか。

それは、血の匂いが濃いからだ。

人間の殴り合いや殺し合い程度なら、目視できる距離くらいまでしか、血の匂いは届かない。

そもそも、人間同士の殺し合いでも、ここまでの血は出ないだろう。だから俺は、この血の匂いには人間以外の何かが関わっていると判断した。

そうなれば、止めさせるしかないだろう。

殺人事件ほど、気分の悪い事件は無いからだ。

…尤も、間に合わない可能性もあるが。

 

 

 

カルゴ「な、なんだこりゃ!?」

 

天子「…うっ……くっ……」

 

現場に着いた俺は、ただ驚くしか無かった。

匂いの元では、鎌を持ってローブを纏った何者かによって、天子がズタボロにされていて、血塗れだったからだ。

 

??「なんだお前は。邪魔するつもりか?」

 

此方に向き直り、鎌と敵意を向ける。

だが、そんな奴には目もくれず、天子の元へ真っ直ぐに駆け寄り、血がつくのも構わずに抱き起こす。

 

カルゴ「おい天子、どうしたんだ!?」

 

顔と腕…いや、足にも切り傷が…。

下手に動かして傷が開いたんじゃダメだな。

 

天子「…し…に、がみ……」

 

震える手で、鎌を持つ奴を指さす天子。

 

カルゴ「死神?死神っつーと……」

 

小町か。でもアイツは三途の川の船頭で…。

魂の回収はしないって確か…。

いや…こいつは、小町とは別なのか。

 

天子「…たす…け……て……」

 

ボロボロと涙を流しながらお願いする天子。

 

カルゴ「チッ…しゃーねーな。黙って待ってろ」

 

天子「う……ん…」

 

頷いた天子をその場に倒し、立ち上がる。

 

以前は、「死んで欲しい」「消えてくれ」などと思っていた。だが、いざその場面に出くわすと、そうも言っていられなくなる。

ましてや、泣いてお願いされたのでは…断るなどということは出来なくなってしまう。

相変わらず、女子の涙には弱い。

 

カルゴ「俺が相手だ、死神」

 

死神「邪魔をするなァァッ!!」

 

カルゴ「雷装備『死神の纏い』」

 

ローブをはためかせ、鎌を振り上げながら襲いかかってくる死神。しかし俺は、あせることもなくスペルを発動させ、装備を整えて敵を迎え撃つ。

間合いに入ったと確信した死神は、ヒュッと空気を切る音を発しながら鎌を振り下ろしてくる。

 

カルゴ「ッだりゃぁぁっ!!」

 

カァンッ!

 

死神「っ!」

 

勢いよく鎌を振り上げて死神の鎌と衝突させて、弾き飛ばす。飛ばされた方は体勢を崩し、それを見逃さなかった俺は、硬度を落とした鎌で死神の首を真一文字に斬った。

 

死神「つっ……」

 

ドシャアァッ

 

気絶した死神は、膝をついて前のめりに倒れる。

 

カルゴ「っし、こんなもんか。…大丈夫か?」

 

装備を解いた俺は、天子の元に戻って意識の有無を確かめる。だが、天子からの返事は無い。

 

カルゴ「…おい?」

 

首の血管に指を当てる。

ほんの僅かしか、脈拍を感じ取れない。

よくよく顔を見れば、いつものような血色の良い顔ではなくて、血の気が引いたような、薄い顔をしていた。

 

やべぇ!これ死にかけてる!!

 

カルゴ「死ぬんじゃねぇぞバカヤロウ!」

 

天子の帽子や緋想の剣を拾って、気絶した死神もそのままに永遠亭へと向かった。

 

 

 

カルゴ「永琳先生!急患です!!」

 

診療所に駆け込んだ俺は、開口一番そう叫んだ。

中に居た患者たちは、血塗れの天子に驚き、それを抱えている俺にも奇異の視線を向ける。

 

 

鈴仙「あっ、エスカ…きゃああっ!どうしたのよその血は!?」

 

あまりの出血に驚いた鈴仙は悲鳴を上げ、患者達は若干ビクッと体を震わせる。

 

カルゴ「鈴仙か!永琳先生は!?」

 

鈴仙「今丁度トイレに行ったのよ!」

 

マジかよこんな時に!

 

カルゴ「とりあえず治療室に入れるぞ!」

 

鈴仙「うん!」

 

バタバタと足音も荒く治療室へと向かい、天子をそっと下ろす。息はしているし、心臓も動いてはいる。現在、出血自体は止まっているが、先程大量に出血したため、貧血状態に近いだろう。

とその時、永琳がやってきた。

 

永琳「あら、酷いケガね」

 

カルゴ「あぁ、永琳先生!早くこいつを治療してやって下さい!このままじゃ出血多量で死んじゃいます!」

 

永琳「血液検査しなきゃ輸血は出来ないわ。さ、あなたは外行ってて大丈夫よ」

 

カルゴ「お手伝い出来ることは…」

 

永琳「無いわね」

 

無いのか…。

でもそうはっきり言われると少し悔しいな。

 

カルゴ「わかりました…」

 

天子を永琳と鈴仙に預け、俺は待合室に戻った。

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