※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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迷い

やばいやばい、すっかり遅くなっちまった!

早く帰って夕飯作らねぇとぶっ飛ばされる!

 

先程まで永遠亭で娘と戯れていた俺。

しかし、気が付けば外は真っ暗な闇に覆われて、美しい満月が昇っていた。

数日ぶりという事で、遊びも特訓も会話も、普段以上に盛り上がった。娘に責任を求めるつもりはサラサラない。そもそもの話が、娘とのコミュニケーションを怠っていた俺のせいなのだから。

そして、急いで娘と彼女と患者に別れを告げて、先程ようやく永遠亭を飛び出してきたのだった。

紅魔館〜博麗神社より、永遠亭〜博麗神社の方が距離があり、ほんの少し時間がかかってしまう。

 

カルゴ「ヤバいよヤバいよ…早くしないと…!」

 

急いで飛んでいた俺。

その時、もう真っ暗だというのに、誰かが博麗神社の方角からゆったりと飛行してきた。

白黒の服装が目立つ。

普通の魔法使いこと、霧雨魔理沙だ。

何やら、神妙な面持ちだ。

 

カルゴ「よう魔理沙!」

 

軽く挨拶して通り過ぎようとした俺。

だが魔理沙は、そんな俺を呼び止めた。

 

魔理沙「待てよ、エスカルゴ」

 

カルゴ「ん?何か用か?」

 

魔理沙「ちょっと…時間、いいか?」

 

余りに真面目な顔つきでそう言ったものだから、「ごめん、急いでるからまた今度な」…などとは言えなくなってしまった。

 

カルゴ「…おう、なんだ?」

 

魔理沙「ここじゃ場所が悪い、私の家まで来てくれないか?」

 

魔法の森にある魔理沙の家にか?

時間がアレなんだがなぁ…。

でもま、本気で飛べば何とかなるかな?

 

結局俺はその問いに頷き、魔法の森にある魔理沙の家までついてきた。物が捨てられない性格らしい魔理沙の家の中は、とてもでは無いが、お世辞にも綺麗とは言えない。

後ほど、片付けを勧めることにしよう。

 

カルゴ「それで、何の用だ?」

 

魔理沙が俺を家に連れ込むんだ、只事ではない事はバカでもわかる。

 

魔理沙「変なこと聞いていいか?」

 

カルゴ「うん」

 

なんだよ“変なこと”って。

 

魔理沙「もしもだぜ?友達がさ、人間辞めるって言ってたら…どうする?お前が人間だった場合、だぞ。吸血鬼じゃなくて」

 

カルゴ「────…」

 

なるほどね、霊夢からその話を聞いたのか。

あれ?でも霊夢は、生物は辞めないって…。

 

カルゴ「止める…かな。でもそれって、方法とかあるの前提で言ってるのか?」

 

魔理沙「あぁ、そうだ。方法はある」

 

カルゴ「なら、友達の人間卒業を受け入れ、俺も人間を辞め、その友達と永い時間を過ごしたいと考えるだろうな」

 

もちろんこれは本心であって、願いでもある。

仮に霊夢が人間を辞め、不死身になったとする。

しかしそれでは、俺とは永い時を過ごせたとしても、魔理沙などの人間の友人達はどうなるのか?

その考えに至った時……つまり、俺が不老不死となる前からの願いだ。

以前、妹紅にも話した考え。

 

寿命の差が問題となるのなら、周りのみんな全員不老不死になればいいのでは?

 

今回の場合は、寿命の差というよりも、同族が他種族へ切り替わる事への動揺だが、行く末を考えれば結末は同じ。

どちらかが先に死に、どちらかが生き残る。

 

魔理沙「お前でもそう思うのか…」

 

カルゴ「相手がそれだけ、自分の中で大きな存在なら、人間ってことに拘る必要は無い…と思う。一緒に過ごせるのなら、そっちを取りたいかな」

 

魔理沙「…ふむ…」

 

カルゴ「…どうだ、魔理沙。これを機に、本物の魔法使いにならないか?パチュリーみたいなさ」

 

少し冗談めかした調子で言うが、これは本心だ。

不老長寿になれば、共に永い時を過ごす事が出来るし、どちらかが寂しい思いをする事も無い。

 

魔理沙「じょ…冗談だろう?お前までもが霊夢と同じ事を言うなんて…」

 

そう言って苦笑する魔理沙。

対する俺は、霊夢も同じ事を言ったのかと驚きを隠せないでいる。

 

カルゴ「霊夢も、魔理沙と一緒に過ごしたいからそう勧めてきたんだろうな」

 

魔理沙「……なるほどなぁ…。どうやら霊夢は、仙人になるつもりらしいぞ?」

 

カルゴ「え」

 

仙人に…なるほど、不老長寿か。

なら、人間は辞めても生物は辞めない事になる。

前言っていた、「生物辞めるつもりは無い」という言葉には矛盾していない。もしや、あの時から仙人になるつもりだったのだろうか?

 

霊夢ならあんな死神には負けないから、ほとんど不老不死と変わらないだろうな。

 

魔理沙「やべ、まだ言っちゃダメなんだったぜ。今のナシで頼む」

 

大して焦ってもいない様子で手を合わせる。

 

カルゴ「わかったよ。霊夢が俺に言ってくれるまで知らないフリしとく」

 

魔理沙「サンキュ。…ところでさ」

 

カルゴ「?」

 

魔理沙「…エスカルゴは…さ。私に、どうなって欲しいと思っているんだ?冗談じゃなく、本音を聞かせてくれ」

 

答えによっては、とんでもない事態に陥りそうな質問を投げかけてくる魔理沙。

言葉選びには、普段より気を付けねばいけない。

 

カルゴ「…やっぱり俺も…魔理沙には魔法使いになってほしいなって思ってるよ。マジで」

 

魔理沙「理由聞いてもいいか?」

 

返事には肯定も否定もせずに、理由を求めてくる魔理沙。だが、俺の答えは決まっている。

 

カルゴ「さっきも言った通りだ。一緒に過ごせるのなら、それでいい。魔理沙居ねぇと…幻想郷での生活が成り立たないっつーか…」

 

魔理沙「?なんでだよ、フラン達が居るだろ」

 

カルゴ「そうじゃない。恋人だとか、そういうんじゃ無いんだよ」

 

魔理沙「んじゃ、どういう…」

 

カルゴ「恋人とか家族だけじゃなくてさ、友達も環境も全て含めての“生活”だろう?」

 

魔理沙「だな」

 

カルゴ「特に魔理沙はさ、俺が初めてまともに戦ったり、一緒に異変解決に行ったりして…特に思い入れがあるっつーかさ…。居なくなったら…寂しいな…と……思ってる」

 

魔理沙「ふむ…」

 

2人の間の空気を、謎の沈黙が支配する。

カチカチと、時計の針の音だけが部屋に響く。

ふと時計を見ると、魔理沙宅に着いてから15分程が経過していた。そろそろ帰らねばなるまい。

 

カルゴ「そろそろ帰るよ。片付けしとけよ?」

 

魔理沙「気が向いたらな」

 

やらないパターンですねわかります。

 

カルゴ「またな」

 

魔理沙「おう。なんか悪かったな、帰宅中に引き止めたりして」

 

カルゴ「気にすんな」

 

手をヒラヒラさせ、家の前から直接夜空へ舞い上がる。

 

魔理沙「茶を出すの、すっかり忘れてたぜ☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「ただいまー!」

 

魔理沙宅を出て、およそ10分弱で博麗神社へ到着した俺は、勢いよく襖を開けて屋内に飛び込む。

 

霊夢「スゥ……スゥ……」

 

ね…寝てるだと!?

ま、まぁいいや…夕飯作ろうか……って、あれ?

 

分身がいない。

つまり、力を使い果たして自然消滅したのだ。

霊夢がこき使ったに違いない。

本来なら夕飯を食べているこの時間帯に、霊夢は寝ている。本当に、全て俺に丸投げのようだ。

いや、この2日霊夢に育児を押し付けてしまった俺が言うべきではないのだが。

 

カルゴ「霊愛〜、父さん帰ってきたぞ〜♪」

 

霊愛「たぁ〜♪」

 

ベビーベッドに居た娘を抱き上げると、嬉しそうにキャッキャと声を上げる。

 

カルゴ「今日はなー、父さん、かなり頑張ったんだぞ〜?色々とな〜」

 

霊愛「うぅ〜?」

 

指をチュパチュパしながら首を傾げる。

可愛い(確信)。異論は認めない。

 

カルゴ「指ちゅぱしてるが…ミルク飲んだか?」

 

霊愛「あぁ〜うぅ〜……」

 

カルゴ「…飲んで無さそうだな。待ってな、すぐに母さん起こすからな」

 

頭を撫で、頬をプニり、ベッドに下ろす。

 

霊愛「たぁ〜♪」

 

言ってること通じてる…よな?

話せないだけで言葉の意味理解してるよな?

 

カルゴ「ほれ霊夢、起きろ」

 

力が抜けていて、とんでもなく柔らかい頬をツンツンしながら声をかける。

 

霊夢「スゥ……スゥ……」

 

反応無し…だと?

ならば仕方ない、本気を出そう。

 

よっこらせ、とジジくさい声を出しながら霊夢の隣に横たわり、ギュッと強く抱き締める。

 

カルゴ「ほれ〜、起きろぉ〜」

 

霊夢「う…く……」

 

苦しそうな呻き声を上げる霊夢。それを見て腕の力を少しだけ緩め、その代わりに、丸出しになっている霊夢の腋に息を吹きかける。

 

霊夢「ひぅっ…くすぐったい…」

 

カルゴ「ほーら。起きてんだろー?」

 

霊夢「スゥ……スゥ……」

 

カルゴ「なんってわざとらしいんだ…。そんな事するやつには、こうするしかないな」

 

狸寝入りを決め込む霊夢の唇に、強めの口付けをする。そのまま強制的に舌を挿入、口内を優しく掻き回す。すると、ようやく霊夢は目を開き、俺を軽く突き放す。

 

霊夢「苦しい…」

 

カルゴ「おはよう、霊夢ちゃん?霊愛にミルク、飲ませてくれたかな?」

 

霊夢「あっ!!今何時!?」

 

カルゴ「卍」

 

霊夢「8時!?何でもっと早く教えてくれなかったのよ、もう!!」

 

時計を見た霊夢は焦り、急いでミルクを飲ませ始める。

 

カルゴ「いつ起きたんだよ?」

 

霊夢「抱き締められたときよ」

 

カルゴ「ならその時に、素直に起きりゃ良かったじゃないか」

 

霊夢「寝たフリ続けたらあんたがどこまでやるのか気になったからね」

 

カルゴ「なら文句言うな。…さて、夕飯作るか。何がいいとか希望ある?」

 

霊夢「特に無いわ。文句言わないから早くして。お腹空いたから」

 

相変わらずだなぁ、霊夢は…。

これでこそ霊夢って感じがするけどね。

 

 

 

カルゴ「よし、完成っと。ほれ霊夢、夕飯だぞ」

 

霊夢「早く食べましょ!」

 

今夜はバリバリの洋食。

俺の好みをとことんブチ込んだ。

カルボナーラ大盛りに野菜サラダ。

和風な風景には、とことん似合わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「大事な話あるんだけど、良いかしら」

 

カルゴ「うん、良いよ」

 

寝る直前、唐突に話を切り出してきた霊夢。

大事な話とは、先程魔理沙が言ってた話だろう。

 

霊夢「私ね……。人間、辞めるわ」

 

予想通りの言葉。

恐らく、博麗の巫女が人間を辞めるなんて、前代未聞な出来事だろう。紫さんの反応が気になる。

 

カルゴ「そっか」

 

霊夢「驚かないの?」

 

カルゴ「そこまで驚かないかな。でも…どうして人間辞めるんだ?」

 

霊夢「どっかの誰かさんなんかは、私が居なきゃダメダメだろうし、霊愛が気掛かりだからね」

 

どっかの誰かさんとは…俺の事か?

おいおい…酷い扱いだなぁ…。

 

カルゴ「ありがとうな、霊夢。俺のために…わざわざ人間辞めるなんて」

 

霊夢「誰もあんたの為なんて言ってないんだけど…良いわ、それで。…で、何になると思う?」

 

絶対わからないだろう、とでも言いたげに、ニヤニヤと俺の顔を覗き込んでくる。可愛い(確信)

 

カルゴ「勘だが…仙人かな?」

 

霊夢「…紫から聞いたの?」

 

カルゴ「え、紫さんに話してたのか」

 

霊夢「え?えぇ、話したわ。こういう大事な事は真っ先にアイツに言わなきゃダメだからね。何で仙人だと思う?」

 

言いたいことを言えたからか、ヤケに饒舌だ。

 

全く、愛いヤツめ。

でも…本当にわからないな。

 

カルゴ「天人っていう選択肢は無いのか?」

 

霊夢「アイツと同族になるのは嫌」

 

カルゴ「なるほど。それが答えか」

 

霊夢「あ」

 

カルゴ「見たか、俺の誘導尋問(?)!」ドヤァァァ

 

頬をペチペチと叩きながら、俺史上最高にイラつくドヤ顔をする。

 

霊夢「やるじゃない、エスカルゴのくせに……!でも、もう1つの理由はわからないでしょうね」

 

まだ理由があるのか。

 

負けず嫌いな俺は、その理由を考えながら布団の中でモゾモゾ動き回る。霊夢は、そんな俺を見てニヤニヤと笑っている。

そんなこんなで、20分が経過。

全く思いつかない俺は、唇を噛み締めながら白旗をあげる。

 

霊夢「どうやら降参のようね!」

 

今度は霊夢がドヤ顔をする。

なんと言うか…どんな表情をしても可愛い。

 

カルゴ「わかんねぇ。教えてくれ」

 

霊夢「天人と仙人には、決定的な違いがあるの。刃物で傷付くか否か。それと、住む場所」

 

カルゴ「ほう?」

 

霊夢「天人には、何故か刃物が通じないみたいだけど、仙人には普通に通じるの」

 

カルゴ「ほへー」

 

それは知らなかったな。

でもそれじゃ、普通の人間と同じじゃないか?

 

霊夢「天人になったら天界行かなきゃだしね…。毎日毎日こっちに来るのは面倒臭いから、仙人にしたの」

 

カルゴ「ほー………」

 

霊夢「…聞いてる?」

 

カルゴ「聞いてる。ただ、驚いてるだけ」

 

霊夢「何に?」

 

カルゴ「なんでそんなに知ってるんだ?」

 

霊夢「今日の昼間、紫を呼んで色々教えてもらったの。修行には何年もかかるから、その間は皆とお別れだけど」

 

カルゴ「え…」

 

霊夢「だから、霊愛がもっと成長してからになるわね。寂しくなるけど、生き物辞めないで人の体を捨てるにはこれしか無いの」

 

何年も…か。

そりゃ、楽に不老長寿が得られるわけない。

そんなのは分かってたけど…いざそう聞くと動揺しちまうな…。ダメだ、俺がしっかりしねぇと。

 

霊夢「でも…仙人に成るにあたって、1つだけ不安なことがあって……」

 

カルゴ「魔理沙、か」

 

霊夢「……………」

 

ズバリと当てられた霊夢は、視線を外して黙る。

それはつまり、正解を意味していた。

 

カルゴ「さっき魔理沙から聞いたぞ。霊夢、魔法使いに成らないか勧めたんだってな」

 

霊夢「……だって…私だけが不老長寿になったら…魔理沙と一緒に居れなくなるじゃない…」

 

徐々に涙目になる霊夢。

どうやら言葉選びを間違えたようだ。

 

カルゴ「あわわ、えっとな、咎めるとかそういう意味じゃねぇよ!?ただの事実確認だぞ!?」

 

霊夢「わか…て……る…グスッ」

 

うわぁぁぁ泣かせちまったぁぁぁぁ!!

とりあえずアレ伝えないと!

 

カルゴ「お、俺もな、霊夢と全く同じ考えでよ!さっき会った時、魔法使いにならねぇかって俺も勧めといたんだ!」

 

霊夢「なんて……言ってた…?」

 

カルゴ「お前までも霊夢と同じ考えなのか、て」

 

霊夢「そう…」

 

カルゴ「でも、結構前向きに考えてると思うよ。悪い反応では無かったし。押せば落ちると思う」

 

霊夢「…よかったぁ……」

 

安心したのか、目元に残る涙を指で拭い、笑顔を見せてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、寝る準備は整っているのに、霊夢の気持ちは昂ったままらしく、色々話してくれた。

 

霊夢「…娘を取るか親友を取るかで…ココ最近、ずっと悩んでたの。結果私は、娘を取った。でもそれによって、魔理沙と一緒に居れなくなる事に後から気付いて……怖くなったの…」

 

なるほどね…そりゃ悩むよな…。

そんな重要な悩み、なんで今まで話してくれなかったんだろう…ちょっと寂しいな…。

 

霊夢「それも紫に相談したら、“なら魔法使いに成ってもらえば良いんじゃない?”…って言うから…丁度遊びに来た魔理沙に勧めてみたの。でも反応がいまいちで…もしも断られたら、私は……どうすれば良いんだろうなって……思って…」

 

次第に嗚咽を漏らし始める。

俺はそんな彼女の背中を優しくさする。

 

霊夢「…霊愛の事は大事だけど…魔理沙の事も、同じくらい大事…。どちらか選ぶなんてことは、軽々しくは出来ない……」

 

俺は入ってないのね…(汗)

 

霊夢「でも───…」

 

突然に言葉を切る霊夢。

つい気になって、次の言葉を急かしてしまう。

 

カルゴ「でも?…」

 

霊夢「あなたが勧めてくれたなら…大丈夫ね♪」

 

ニコッと笑って、布団の中の俺の手をキュッと掴む。柔らかい霊夢の手から、普段よりも少し暖かい温もりが伝わってくる。

 

カルゴ「なんで?」

 

霊夢「だって、あなたが願うことって全部叶っちゃうんだもの♪」

 

カルゴ「え…?」

 

やべぇ、思考が追いつかない。

霊夢の思考に追いつかないなんて初めてだ。

いや、バカにしてるわけじゃなくて。

 

カルゴ「俺、なにか願ったっけ…」

 

霊夢「『強くなりたい』って願えばホントに強くなるでしょ?『霊力使いこなせる様になりたい』って願えばホントに使いこなしちゃうでしょ?」

 

カルゴ「彼女らを幸せにしたいって願いは叶ってないぞ。これ1番重要なやつな」

 

霊夢「?何言ってるのよ。もう私たちは幸せよ?あなたの理想とは少し違うかもしれないけどね、フランもレミリアも鈴仙も、みんな幸せを感じてるわ。じゃなかったら、あいつらの性格からして、文句言いそうなものじゃない?」

 

カルゴ「…まぁ…そうかも?…そうだと…イイんだけどな…。そう、都合よくいくかねぇ…」

 

霊夢「大丈夫大丈夫♪私は、あなたの起こす奇跡を信じてるからね♪」

 

俺の起こす奇跡…。

願えば叶う…か。ただの偶然だよ、そんなの…。

 

カルゴ「…ありがとな、霊夢。話してくれて」

 

霊夢の頭をポンポンしながら笑顔で礼を言う。

怒るかと思ったが、そんな事は無いようだ。

 

カルゴ「でも、そういう大事なことは1番に相談して欲しかったかな」

 

霊夢「そうよね…。本当は、あなたに1番に言うべきなんだろうけど…それでも、あなたの悩みを増やしたくなかった…」

 

俺のことを想っての事か…。

そっちの方が、「信用されてないのかな」っていう心配に繋がるんだよなぁ…。

 

カルゴ「そんな心配はしなくていい、大丈夫だ。何かあったらすぐに言ってくれ。信用…してくれてるんだろう?」

 

霊夢「当たり前でしょう?」

 

カルゴ「なら話してくれよ。心配するし」

 

霊夢「うん…わかったわ」

 

深々と頷くその様子を見て、心から安心した俺。

 

カルゴ「っ…ふわぁぁ…」

 

中々濃い1日で、しかも徹夜だったせいで、ついコックリコックリとしてしまう。

 

霊夢「クスッ…もう寝ましょ?霊愛も寝てるし」

 

カルゴ「そうだな。ごめんな、2人きりにしちゃって」

 

霊夢「そうね。分身もすぐに消えちゃったし」

 

カルゴ「充電させなかったのかよ」

 

霊夢「忘れてたわ」

 

わ す れ て た !?

 

霊夢「でも、たまには羽を伸ばしてきなさいね。疲れが溜まって、倒れたりしたら大変だもの」

 

カルゴ「…うん」

 

羽を伸ばす…か。

でもそれは、霊夢もやるべきだよな。

 

カルゴ「……今度…里へ降りて飯食い行くか」

 

霊夢「!?じゃあ餡蜜!餡蜜が食べたいわ!!」

 

途端に目を輝かせる霊夢。まるで子供の様だ。

 

カルゴ「はいはい、また今度ね」

 

霊夢「楽しみね〜♪」

 

カルゴ「だな♪」

 

ムギュッと腕に絡みついてくる。

デレたらトコトンデレる、それが霊夢だ。

 

カルゴ「それじゃ、おやすみ」

 

霊夢「おやすみなさい♪…んっ♪」

 

優しくキスをして、その日は眠りについた。

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