※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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突然の第2章。何もかもが突然です。
とは言っても、多少アレが変わるだけです。

思いつきとかじゃなくて、一応先のことも考えていますよ。多分…きっと。読みにくいかな…?

かなりの内容を詰め込みました。
15話分くらい…あるかな?




第2章:愛する者に囲まれて
時が流れて


この俺…元人間の吸血鬼、エスカルゴが幻想入りして、丸々9年が経った。もう10年目だ。

思えばこの9年は、濃い出来事が沢山あった。

 

 

 

幻想入りして1年目。

紅魔館の主、レミリアに拾われて、楽しい日々を過ごし、フラン、レミリアと付き合い始める。

紅霧異変を起こし、霊夢に退治された。

俺が体調を崩したのをキッカケに永遠亭と関わりを持ち、鈴仙と出会い、付き合い始める。

その後、別な幻想郷に飛ばされ、人間の焔 炎火と出会い、友好関係を築く。

ホワイトデーにて霊夢とも付き合い始め、しばらくしてパチュリーの使い魔の小悪魔とも。

 

 

 

2年目。

天狗達に目をつけられてしまった俺は、天狗達と全面的に対立して衝突するも、天魔と戦って己の力を山中に誇示し、山へ自由に出入り出来るようになった。

恋人を横取りしようとした、彼女らの従兄弟を、死闘の末に殺害。

人形達との散歩中に神様たちと知り合う。

また、合意の上でついに鈴仙と交わり、ハーフの娘を授かった。

 

 

 

3年目。

地底でのお空の暴走に伴って、博麗神社の近くに間欠泉が噴出。

それの解決後、霊夢と交わり、しばらくした後に第2子(霊夢から見たら第1子)を授かる。

ひょんな事から不老不死に興味を持ち、実験の末に不老不死となった。

紫さんと因縁のある不知火 麗葉と、幻想郷を賭けての死闘を繰り広げて、紫さんや霊夢の助けもあってなんとか殲滅に成功した。

それからまたしばらくしてついに、最愛の人・フランと交わる。だがその後、紅魔館のメイド長・咲夜さんから告白され、OKした。

霊夢が仙人になることを決意。それに触発された魔理沙もまた、人間を辞めて種族として魔法使いになることを決意して、その為の勉強を開始。

咲夜さんや早苗に説得を続けるも、2人共迷った反応を見せる。

 

霊夢と魔理沙はそれぞれ、修行と勉強に没頭。

真面目に勉強した魔理沙は、わずか一週間で人の体を捨て、魔法使いへと生まれ変わった。

 

 

 

 

 

4年目。

修行の面でも天才的な才能を見せた霊夢は、僅か1年で仙人として帰ってきた。

1年というのは、異常なまでに短い期間だそう。

魔法使いとなった魔理沙と、さらに仲を深め合う様子を見た早苗は、守矢神社の二柱に懇願して、三日三晩続いた謎の儀式を受け、現人神から神へと変貌を遂げた。だがこれを知っているのは一部の者で、変わらず布教活動を続けている。

結局咲夜さんは、この年も悩み抜いた。

 

プリンを巡っての姉妹喧嘩に巻き込まれた俺は、怒り狂ったフランを止めようと咲夜さんとタッグを組んで鎮圧しようとした。

だが、中途半端に殺されかけた自分の中の狂気も覚醒して、紅魔館はまたもや全壊。2人の狂気が収まるまで、紫さんによってそれぞれ別のスキマ空間に隔離され、解放された後は、延々と説教を受けた。

2人共正気に戻るまで、1週間かかったそうだ。

その際に狂気をコントロールする術を会得した。

 

我慢出来なくなったらしい文に、彼女の仕事場で襲われ、その際に妊娠、約半年後に出産。

またもや母親似の娘で、牙しか似ていない。

 

 

 

 

 

幻想入りして5年目。

能力の特訓中に力が制御不能に陥り、ブラックホールが消えないという事件が起こったものの、《目》を潰したことによって爆散し、事なきを得た。

 

そして俺は、一大ビジネスを発案した。

月に一度、外の世界から連れてきた生き物(クジラやマグロなど)を人間の里で披露し、そのあとは調理して振る舞い、大儲けするというものだ。

儲けたあとは、皆で豪遊(ただの食べ歩きを)し、金銭を里に還元。

当然これには、紫さんが深く関わっているので、彼女への謝礼も忘れてはいない。

紫さん曰く、「里での生活に少しでも潤いを」…という事で、紫さんも快諾してくれた。

彼らには「外の世界」の事は秘密であって、あくまでも「食せる巨大魚」として紹介している。

 

そしてこの年、ついに咲夜さんが決断。

主人であるレミリアに永遠の忠誠を誓い、彼女の眷属となり、美しい吸血鬼へと変貌を遂げた。

得意の体術に、さらに磨きがかかった。

能力も健在であるが、変わったところといえば、瞳の色が深い蒼から燃えるような紅に変わって、蝙蝠を彷彿とさせる翼、牙が生えた所だ。

あと、使用する武器を銀のナイフから普通のナイフに変えた。銀は吸血鬼にとって弱点だからだ。

 

咲夜さんと付き合い始めて3年目のこの年、ついに彼女と交わり、娘を1人授かった。

もちろんこの娘も吸血鬼であり、弱点が多い為、再び紫さんにお願いして炎火の元へ赴き、咲夜さんの分と娘の分のペンダントを作ってもらった。

これまたさんざん驚かれたが、なんとか納得した様子であった。女子からの視線が痛かった。

この時わかったことだが、前回会った時は既に、炎火は蓬莱人となっていたようだ。彼の身の回りでゴタゴタがあり、死にかけた彼に蓬莱の薬を服用させたそう。 前回会った時に感じた、「雰囲気の変化」は、蓬莱人になっていたからだと合点がいった。

 

 

 

 

 

7年目。

弟・ヒビキがとうとう、椛と交わったらしい。

程なくして、母親似の可愛い男児が誕生。

犬走 寿(ことぶき)と名付けたそう。

ヒビキも、子供が生まれるに当たって、更に強くなろうと修行を重ねて、オリジナルスペルを多数制作するも、どれもこれもスペルカードルールに違反してるということでボツになったとか。

即ち、不可能弾幕だ。

絶対に避けられない弾幕は、スペルカードルールにおいては禁止されている。

だが、殺し合いになれば力を発揮するので、こっそり修行を続けているらしい。

手加減さえすれば密度も薄くなって、避ける隙間が出来るので、それさえすれば良いものを、力を思い切り振るいたいと考えるヒビキは、そのスペルを実戦では封印している。

 

 

 

 

 

8年目。

俺やヒビキが繰り返しデートをしていることで、幻想郷…人里に、「カップルでデートをする」という風習が広まった。

里に行けば、あちらこちらで食べ歩きデートをしているカップルが目に入るようになった。

正確には、どのカップルもデート自体はしていたらしい。だが、今まではどのカップルも「家で会う」というお家デートだけだった。それというのも、恋人と共に外へ行くというのを「みんなやってないから」らしい。

何年もの間、楽しそうに食べ歩いている俺たちを見てきて、人々の意識も変わったようだ。

 

 

 

 

 

9年目。

霊愛が5歳を迎えた頃、ある秘密が発覚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、幻想入りして10年目の現在。

毎日様々な場所を転々として過ごすという、今まで以上に忙しい生活にも慣れてきた。

それぞれに家庭があるというのは、とても異様な事ではあるが、俺はそんな生活を楽しんでいた。

因みに、娘達の年齢や種族は以下のようになる。

 

長女:巫月・優曇華院・スカーレット…7歳

種族:吸血鬼と玉兎のハーフ

 

次女:博麗 霊愛(れいあ)…6歳

種族:吸血鬼と人間のハーフ

 

三女:射命丸 穹(そら)…5歳

種族:吸血鬼と鴉天狗のハーフ

 

四女:十六夜 弦月姫(ゆづき)…4歳

種族:吸血鬼と吸血鬼の純血

 

どの子も皆、かなり長命だろう。

皆一貫して、幼女の姿をしている。

そして、その子達の父親である俺は26歳だ。

不老不死なので、姿は高校生のままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、俺達はピクニックに来ていた。

雲がまばらにしか無く、心地よい風が吹く初夏。

ピクニックにはもってこいの気候だ。

俺、フラン、レミリア、咲夜さん、鈴仙、霊夢、文、巫月、霊愛、穹、弦月姫の11人で来ているのだが、大所帯ゆえに、料理の準備は大変だった。

 

カルゴ「んー…気持ちの良い風だなー…」

 

シートも敷かず、青々とした原っぱに寝転がる。

サクサクと気持ちの良い感触がする。

娘がいようと、俺は変わらない。

いつまでも子供のように在りたいと思っている。

 

霊夢「そうね。あんたが浴びるには勿体無いわ」

 

俺の隣に腰を下ろし、霊夢が空を見上げる。

 

カルゴ「ん?なんて言った?(威圧)」

 

霊夢「さて、シート敷きましょ。汚れちゃうわ」

 

無視すんなっ!

 

咲夜「もうやってあるわ」

 

霊夢「あら流石」

 

咲夜「伊達にお嬢様に仕えてないわ」

 

相変わらず、時を止めて準備をする咲夜さんには頭が上がらない。

 

弦月姫「お父様も早く来てくださいっ!お父様の大好きなガトーショコラもありますよっ!」

 

吸血鬼の娘が呼ぶ。

弦月姫も、咲夜さんと同じくレミリアに仕えていて、紅魔館でメイドとして働いている。メイドのイロハは、母親でありメイド長である咲夜さんに叩き込まれている。

 

カルゴ「ガトーショコラ!?」

 

それを聞いた俺は、大喜びでシート上へ移動。

そこでは既に、彼女や娘達がケーキを食べていた。

 

弦月姫「最初の一口は私が食べさせてあげます!はい、あーん♪」

 

カルゴ「あー……」

 

あぁぁぁ、幸せですわ〜…。

ダメ人げ…ダメ吸血鬼になりそう…♪

 

咲夜「私の仕事を取るなんて12000年早いわよ」

 

咲夜さんがジト目でこちらを見る。

いや、「こちら」では無い。

娘の弦月姫を、見ているのだ。

 

酷く中途半端だな。

1万年と2千年前から愛してる〜…じゃねぇよ!

何言ってんだ俺!

 

弦月姫「イイじゃないですか、ピクニックのときくらいは♪」

 

咲夜「はぁ…。(娘に先を越されるとは…私もまだまだね…)」

 

文「いい光景ですねぇ!母娘でありながら師弟関係でもあるとは、これまた面白そうです!」

 

様々な角度から母娘の写真を撮る文。

ピクニック先でも、文はいつも通りだ。

 

穹「母上!私の写真も、母上の新聞に掲載させて下さいっ!」

 

カメラを構えた穹は、母親の文にお願いする。

穹もまた、母に憧れて新聞記者を志望しているのだが、まずは母の新聞に自分の写真を使ってもらうのを目標としている。

 

文「良いでしょう!私が認めるような、ナイスな写真を撮って下さいっ!」

 

穹「はいっ!」

 

写真撮影を許可された穹は、ピクニックに来た皆を写真に収め始める。咲夜さんと弦月姫、文と穹はそれぞれ、親子でありながら既にライバル関係でもある様な気がするのは俺だけだろうか。

 

穹「撮れました!」

 

鴉天狗の速さを生かして、あっという間に写真を撮り終えた穹は、文にカメラを渡して写真の判定をしてもらう。

 

文「あやや〜…ダメですねぇ、ブレッブレです。それに、エスカルゴさん達が写ってませんよ?ちゃんと機能を使い分けてください」

 

ダメ出しをし、カメラを娘に突き返す。

カメラを覗き込むと、確かに咲夜さん、弦月姫、フラン、レミリア、俺が写っていなかった。

 

穹「うぅ……すみません…」

 

吸血鬼は、鏡にも映らないが写真にも写らない。

文のカメラは特別製で、モードを切り替える事で吸血鬼も写真に収められるのだ。穹のカメラも、同様の機能を備えている。

どちらも、にとり特製のカメラだ。

俺が巫月に戦闘訓練を課していたり、咲夜さんが弦月姫に厳しくメイド指導をするのと同様、文は穹に、厳しい撮影訓練を課している。

吸血鬼が写っていて、尚且つブレていなくても、また別の壁が立ちはだかる事だろう。

 

カルゴ「大丈夫だ穹、今にナイスな写真が撮れるようになるさ」

 

しょげる娘の頭をポンポンと撫で、励ます。

 

穹「頑張ります!母上だけでなく、父上や幻想郷に住まう皆さんにも認めて頂けるような新聞記者になります!!」

 

カルゴ「うんうん、待ってるからな♪」

 

穹「はいっ!」

 

文「甘いっ!砂糖が溶け残っている紅茶より甘いです!大体、新聞記者というのはですねぇ…」

 

カルゴ「わーっ、わーっ、せっかくのピクニックなんだから、その話はまた後で!帰ってから!」

 

文の話は相変わらず長い。

雑談なら歓迎だが、説教じみた話は困る。

だから、空気を壊すまいと発言を中断させる。

 

文「むぅ…仕方ないですね…」

 

少しむくれて説教を中断する。

文は1000年以上生きてる事もあって、話題が豊富だ。だがそれ故に、話が長くなってしまうのだ。

何年生きてるのか知った時は、「そりゃー話題が尽きないわけだわ」と深く納得した。

ブレについては以前、聞いたことがある。

手ブレ補正は付いてないのか、と訊ねたところ、「ついてませんよ。それに、手ブレ補正なんか無くとも、綺麗な写真は取れます。慣れれば…ですけどね」と言っていた。

さすが、伊達に新聞記者をやっていない。

 

巫月「エスカルゴ!あとでまた弾幕勝負しよ!」

 

ガトーショコラを食べる背後から、長女が抱きついてくる。相変わらずファザコンな娘で嬉しい。

 

カルゴ「おう、やろうやろう!」

 

巫月「やったぁ♪」

 

巫月の能力は恐らく、《雷を操る程度の能力》と《幻覚を見せる程度の能力》だと思われる。

前者は…そう、俺の能力だ。

だが残念な事に、俺ほど多彩には扱えない様だ。

雷を操る力には既に限界が訪れている様であり、成長はしていない。巫月は、雷については力量が少ない。言うなれば、最大MPが少ないのだ。

俺が10000だとした場合、巫月は1000程だろう。

 

霊愛「ちょっとお父さん!!私とやるってさっき言ったでしょ!!」

 

カルゴ「そ、そうだな。巫月、霊愛が先だから、その次にな!」

 

2人の頭を撫でて誤魔化す。

このまま放っておいては、また喧嘩に発展する。

 

巫月「そこ、お姉ちゃんに譲らない!?」

 

霊愛「お姉ちゃんこそ、妹に譲らないの!?」

 

巫月「なにをー!?」

 

霊愛「なんなの!?」

 

あー、これもう喧嘩になりますわ。

 

カルゴ「黙らっしゃい!」

 

姉妹「…!」ビクッ

 

両脇で喚く2人へ、一言掛けると、水をかけた様に静かになる。

 

カルゴ「順番の事を忘れていた俺が悪いんだから2人は喧嘩するな。いいな?」

 

巫月「…じゃあ、エスカルゴのこと倒そ。今」

 

カルゴ「なっ…!?」

 

何故そうなる!?

いや、気持ちはわかるけどさ!!

 

霊愛「私もやる!」

 

巫月「2人でやろ!」

 

霊夢「うん!」

 

霊夢「あーらら、こりゃ大変ねぇ」

 

霊夢の言う通り、こりゃ大変だ。

娘には、余り強く手を出せない。出したくない。

 

穹「それ、私も参加してイイですか!?」

 

2人「いーよ、穹もやろ!弦月姫は!?」

 

弦月姫「…お母様」

 

参加したいのか、四女の弦月姫は咲夜さんに戦闘許可を得ようとする。

 

咲夜「仕方ないわね…。気を付けてよ?」

 

弦月姫「はい!」

 

咲夜「エスカルゴさんなら、娘を傷つけない様にして下さるでしょうけどね♪」

 

ニヤリと口角を上げながら、俺をチラ見する咲夜さん。実に可愛い。

 

カルゴ「勿論、傷付けませんよ。娘ですから」

 

それを聞くと、満足げに頷いた。

厳しく接しつつ、やはり娘は心配なのだ。

 

レミィ「父親と娘4人の対決…か。面白そうね」

 

フラン「うんうん!」

 

やるしかないかー…。

 

こうして、変に団結した四姉妹と俺は十分な距離を取って、戦闘態勢に入る。

結界は、霊夢が張ってくれた。

 

 

 

文「おぉ、おぉ!父娘対決、これはぜひとも写真に収めておかなくては!!」

 

記者魂が燃える文は、結界の外からではあるが、様々な角度から写真を撮り始める。

 

霊夢「霊愛ー、頑張るのよー」

 

鈴仙「巫月ー!もし勝ったら、デザートのお団子1つあげるからね!」

 

咲夜「お嬢様に仕えるメイドに恥じぬ戦いを期待しているわ」

 

文「あまり戦闘向きではありませんが…せいぜい頑張って下さい!」

 

結界の外の母親4人は、それぞれ自分の娘に声をかける。

 

 

 

巫月「エスカルゴ!お団子のために負けて!」

 

巫月は鉄砲の形にした手を此方に向け、

 

霊愛「お父さん!修行の成果、見せてあげる!」

 

霊愛はお祓い棒と御札を構え、

 

穹「父上!お手合わせ、お願いします!」

 

穹は天狗の団扇を構え、

 

弦月姫「覚悟して下さい、お父様♪」

 

弦月姫は笑顔でナイフを構える。

 

あぁ…可愛い…。

鈴仙、霊夢、文、咲夜さんが幼かった頃もこんな容姿だったのかな?

よくもまぁ、悪い男に捕まらなかったな。

 

カルゴ「ハーッハッハッハ!父に楯突こうなど、1億年早いわ!!」

 

 

 

霊夢「うわー、悪役っぽい」

 

咲夜「霊夢も似たようなものだけれど」

 

霊夢「はぁ〜?」

 

鈴仙「まぁまぁ…今は子供達を見守りましょ?」

 

2人「それもそうね」

 

文「(こっちもこっちで面白そうです…♪)」

 

 

 

カルゴ「さぁ、何処からでも来い!」

 

穹「ではっ!」

 

そう啖呵を切ると、不意に穹の姿が消えた。

 

カルゴ「ん?」

 

やばい見失った!

穹は、俺でも見失うほど速いんだ…!

 

吸血鬼と鴉天狗のハーフ。

見た目は鴉天狗、筋力は吸血鬼。

翼だけでも十分な速度を出せるのに加え、穹には《風を操る程度の能力》がある。

そう、文の能力だ。

ゆえに、羽ばたきと風の相乗効果によって、母親より速く飛べるようになったそうだ。

何故俺がそれについて確信が持てないのかというと、俺が文にすら追いつけないからである。

文に勝てないのに、それより速いとなると、知覚する事すらも困難になるのだ。

現に、実質上の幻想郷最速の天魔と戦った時は、瞬間移動にしか見えなかった。

 

穹「ここです、よっ!」

 

カルゴ「っ!!」

 

いつの間にか上空に居たようで、上空5mほどの至近距離から弾幕を発射してくる。また、発射と同時に風を起こして、弾速を速めるという能力の使い方もしてくる。文よりも、応用力がある。

 

カルゴ「雷鎧『サンダーアーマー』!!」

 

ジュワッと音を立てて弾幕が消える。

発動がもう少し遅ければ、タンコブが出来ていたことだろう。

 

穹「流石は父上…!」

 

奇襲を防がれた穹は苦い顔をする。

普段撮影練習をしている穹は、四姉妹の中で1番非力な子であるが、奇襲を仕掛けて相手を倒す等の戦闘法で戦っている。

 

巫月「次は私よっ!狂砲『愛嬌有砲(ラブリーキャノン)』!!」

 

手をハートの形にして、ピンクのハート型レーザーを発射してくる巫月。

俺はそのレーザーをパンチで打ち砕───くのは何となく嫌な気持ちがするので、盾を出して正面から受け止める。

 

カルゴ「雷武器『雷盾』!!」

 

巫月「ぐぬぬぬ…!撃ち抜けないしぃ…!」

 

カルゴ「負けるかよぉぉぉっ!!」

 

こちらはこちらで拮抗していた時、1人の能力者が動き出した。

 

弦月姫「幻象『ルナクロック』」

 

弦月姫は、母親譲りのその能力で時を止めた。

世界は動きが止まり、音すらも無くなる。

《時を操る程度の能力》…この能力は、同じ力を持つ咲夜さんには通用せず、弦月姫が使った場合は咲夜さんも解除可能なのだとか。

尚、咲夜さんが使った場合は、同じく弦月姫には効かないが解除は不能らしい。母は強し。

 

巫月のレーザーを盾で受け止める俺の周囲に、大量のナイフの弾幕を配置する。

 

 

咲夜「弾幕の密度はまだまだね…。もっと厳しく指導するべきかしら?」

 

 

 

弦月姫「…解除っ!」

 

止めていた時の流れを再生する。

途端に全てが動き出し、世界に“生”が戻る。

 

カルゴ「このまま耐え…うわぁぁナイフがっ!」

 

鎧を纏っている状態とはいえ、ナイフは刺さるし痛いし、何より衝撃までは吸収しきれない。

なので、わざと喰らうなんて事はしない。

 

カルゴ「雷爆符『ギガサンダー』!!」

 

俺の持つエネルギーを1割ほど爆散させ、間近に迫っていたナイフを吹き飛ばす。

 

弦月姫「くっ…!」

 

しかし、そちらに意識が向いてしまったために、正面が疎かになり、レーザーの発射が止まっていることに気付かなかった。

 

巫月「幻視『幻覚落雷(イリュージョンサンダー)』!!」

 

2枚目のスペルを発動する巫月。

 

最初に本物が来ることはないから…そこまで警戒しなくてもいいな。

 

巫月「えいっ!」

 

カルゴ「うぐっ…!?」

 

そう判断した俺を嘲笑うかのように、1発目で本物の雷を落として来た巫月。

雷なので俺には効かないが、衝撃は受ける。

 

カルゴ「マジか、最初から…!」

 

巫月「お団子のためよっ!霊愛、キメなさい!」

 

霊愛「わかってる!霊符『夢想封印』!!」

 

霊愛の十八番、夢想封印をド派手に放つ。

 

カルゴ「当たるかよっ!!」

 

霊愛のスペルによる弾幕を軽々と回避していく。

レーザーを受け止めている訳でも無く、時も動いていて、見えぬ娘は見える状態にある。

被弾する要素がどこにあろうか。

 

穹「えぇぇいっ!!」

 

と思ったその時、背後から、風に乗って娘の声が飛んできた。

 

カルゴ「んなっ───」

 

後ろだと!?

だって穹は俺の目の前に………居るじゃないか!

 

チラッと前方を確認するが、そこにはまだ穹の姿があった。

 

穹「あぁ、あれですか?分身のような物ですよ。瞬間的に、行ったり来たりしています♪」

 

弾幕を発射しながら俺の疑問を解決してくれた。

今の俺は即ち、霊愛と穹に挟まれている訳で…。

 

巫月「弦月姫、私達もやるよっ!」

 

弦月姫「はい、お姉様っ!」

 

そんなチャンスを逃すはずもない2人の娘達は、左右から俺を囲む。四方から囲まれてしまった。

 

 

 

咲夜「巫月ちゃん、長女なだけあって、みんなの中で司令塔のような役割をこなしてるわね」

 

鈴仙「そうみたいね!今じゃ寺子屋内でも巫月は負け無し、自慢の娘よ!」

 

胸を張って娘の自慢をする鈴仙。

寺子屋内…つまり、生徒だけではなく先生である慧音も入っているのだが。

 

霊夢「あんな力持ってちゃあ、勝てるやつなんてそうそう居ないでしょ。ましてや、寺子屋に行くような子供じゃ」

 

鈴仙「慧音先生も入ってるのよ?」

 

霊夢「えぇ…子供なのに凄いわね…」

 

鈴仙「まぁね♪(2歳の頃から無双してたけど)」

 

先程よりも胸を反らし、ドヤる。

これが俗に言う「ドヤンゲ」というものだ。

 

霊夢「それはそうと、穹は文にそっくりね。口調とか、その他諸々も」

 

ウド咲「それは思ったわ」

 

文「そうですかね?そこまで言うほど似てないと思いますが」

 

霊夢「文みたいな新聞記者にはなって欲しくないわね。何でもかんでも記事にしちゃうんだから」

 

文「酷い言われようですねぇ……」

 

 

 

巫月「狂砲『愛嬌有砲(ラブリーキャノン)』!!」

 

カルゴ「ヤバいヤバい…!」

 

なんだこれヤバい、囲まれちゃったよ…!

 

巫月のレーザーを再び盾で受け、弦月姫のナイフを能力で反射させ、鎧で霊愛、穹の弾幕を受けながら、包囲を突破しようと思考を巡らせる。

だが、どれも大きな衝撃を与えてしまう上、娘相手には気軽に出来ないものだ。

そして、俺は決断した。

 

カルゴ「雷爆符『ペタサンダー』!!」

 

地上で使えるギリギリの威力で、5割ほどのエネルギーを全方位に爆散させる。これによって弾幕は掻き消されて娘達は後方に吹き飛ぶ。

 

巫月「きゃっ!痛いよエスカルゴ!…うー…もう怒ったもん!やぁぁっ!!」

 

いち早く体勢を立て直した巫月は、地面が抉れるほど地を強く蹴って殴りかかってくる。

俺はその拳を避けて、捌いて、受け流す。

 

 

 

霊夢「…?エスカルゴって、あんなに格闘出来たんだっけ?」

 

余った各種ケーキを貪るように食べながら、霊夢が疑問を口にする。

 

鈴仙「いや…格闘は苦手だったはず」

 

咲夜「エスカルゴさんが紅魔館に泊まる日、暇があれば美鈴に格闘を教えてもらってる様なのよ。それのおかげね」

 

2人の疑問を、紅魔館住まいの咲夜さんが簡潔に答える。その言葉に、吸血鬼姉妹も頷く。

 

霊夢「全く…どこまで貪欲なのよアイツは…」

 

鈴仙「『苦手は1つでも潰すんだ』って、いつも言ってるもんね〜」

 

文「(なるほど、今度撮影に行きますかね)」

 

咲夜「あ、そうそう。撮影は禁止よ」

 

文「あやややや…流石咲夜さん、読まれてしまいましたか…。(遠くから撮りますかね)」

 

咲夜「遠くから撮ろうとしてるのかしら?もしもやってみようとしても、吸血鬼の目を持った私達母娘から逃れられるかしら?」

 

文「もうっ、私の考えてることを全て当てないで下さいよぉっ!」

 

咲夜「読み易いんですもの」

 

文「全く〜……」

 

 

 

カルゴ「まだまだだぞ、巫月!!」

 

巫月「きゃうっ……」

 

しばらく連撃を受け流していた俺は、巫月が疲れてきた頃を見計らって拳を受け止め、頭に手を置いて電流を流し、気絶させた。

 

カルゴ「さぁ、あと3人だ!」

 

霊愛「お姉ちゃんのカタキよっ!大結界『博麗弾幕結界』!!」

 

霊愛は、自分の持てる全ての力を込め、超高密度な弾幕結界を張り巡らす。今のところは、これをラストスペルとしているらしい。

 

カルゴ「これ苦手なんだよぉぉぉっ!!雷爆符『ギガサンダー』!!」

 

霊愛「──ッ!」

 

1割ほどの力を爆散させて、弾幕結界を無理矢理に掻き消してみせる。自分の奥義が破られた霊愛は、悔しそうな顔をする。

 

 

 

霊夢「霊愛もまだまだね…」

 

娘のそんな様子を見ながら、紅茶を啜る。

 

レミィ「まだそこまでの力量は無さそうね」

 

霊夢「力量はあるのよ。あるけど、今のに全ての霊力を使っちゃったのね。あの子、配分が苦手だから」

 

レミィ「なるほどねぇ…」

 

 

 

カルゴ「霊愛はもう終わりかな?」

 

霊愛「使い切っちゃった…」

 

カルゴ「そうか。さぁ、あとは2人だぞ!」

 

その時、地面に娘の影が写った。

背後に誰か居るようだ。

 

カルゴ「そこだっ!!」

 

穹「あうぅっ…」

 

振り返ると同時に弾幕を発射し、背後にいた穹へ命中させる。

 

穹「(しまった…父上が太陽に背を向けていた事、すっかり忘れていました…!)」

 

太陽に背を向けると、背後に回られた時には目の前の地面に影が映る。これを利用した。

穹は回り込みを多用する子なので、読み易い。

 

カルゴ「さぁ、これで終わりだ!」

 

穹「うぅぅぅっ…!」

 

体勢を崩した穹を抱き上げ、電気を流して気絶させた。

 

カルゴ「さぁて、あとは弦月姫だけだな!」

 

弦月姫「でもこれで…能力を振るえます!」

 

カルゴ「おう、ドンと来い!」

 

弦月姫「はいっ!」

 

弦月姫は普段、能力をセーブしている。

特に、このように集団で誰かを襲う時には。

何故なら、時を止めてナイフを配置することによって、他のみんなの攻撃も邪魔してしまう恐れがあるからだ。

 

カルゴ「…はっ!」

 

次の瞬間には娘の姿は消えていて、地面に大量のナイフの影が写っていた。

 

カルゴ「穹といい弦月姫といい、やりにくいなぁ…!」

 

振り向いた瞬間にナイフが発射されたが、能力を使ってそれらの弾道を逸らす。

妖力弾や霊力弾なら、弾道を逸らすなどという芸当は出来ないが、雷の弾幕と金属ならば逸らす事が出来る。

 

弦月姫「私のナイフを逸らすなど、巫月お姉様とお父様だけですよ…!」

 

カルゴ「もう少し速ければ逸らせなくなるから、もっと訓練するんだな!!」

 

弦月姫「はいっ!」

 

 

 

長引いた戦いの末、硬度を落とした鎌で切られた弦月姫は気絶し、四姉妹vs父親の勝負は、父親の勝利に終わった。

 

カルゴ「ハーッハッハッハ!まだまだだぞ皆!」

 

目覚めた4人を前にして、腰に手を当てて高笑いをすると…

 

霊愛「くーやーしーいー!!!」

 

霊愛は地団駄を踏んで悔しがり、

 

弦月姫「流石はお父様です……」

 

穹「ですね…流石父上と言ったところです…」

 

弦月姫と穹はしょんぼりし、

 

巫月「お団子ぉ…」ウルウル

 

鈴仙から団子をもらえなくなった巫月は涙目に。

 

カルゴ「俺の団子やるから泣くな」

 

涙に弱い俺は簡単に折れ、1つと言わず2つも、巫月にあげてしまう。

 

巫月「ありがとっ!」

 

と、巫月は顔を輝かせて喜ぶが、

 

霊愛「私も私も!!」

 

穹「私もお1つ!」

 

弦月姫「わ、私も…」

 

と、妹達まで団子を取って行ってしまったので、俺の団子は1つも無くなってしまった。

 

カルゴ「( ´・ω・`)」

 

くそー、俺の団子がぁ…。

 

霊夢「それにしても、相変わらず大人気ないわね…もっと手加減とかしたらどうなのよ?」

 

咲夜「かなり手加減してた方だと思うけど?」

 

霊夢「そりゃ、手加減はしてたけどさぁ、子供を相手にあそこまでやる!?」

 

シートをバシバシ叩いて反論する。

 

咲夜「その方がエスカルゴさんらしいと思うわ」

 

鈴仙「そうそう♪」

 

文「そうですよ!」

 

霊夢「…そういうもんかしらねぇ…」

 

 

 

戦ったり食べたり喋ったりしている内に、空は綺麗なオレンジ色に染まり、夕暮れ時となった。

 

カルゴ「さーて、夕飯の用意があるし、そろそろ帰ろうか」

 

穹「今日はどこにお泊まりする日でしたっけ?」

 

カルゴ「今日は確か、紅魔館①の日だ」

 

フラン「やったぁ!今日は一緒に寝れるのね!」

 

カルゴ「だな!」

 

四姉妹「(・ε・` )」

 

俺は、紅魔館と永遠亭と博麗神社と文の仕事場を順番にまわっている。

ただし、紅魔館は二日連続だ。

それは、1日目はフラン達と寝て、2日目に娘と寝れるようにする為だ。

紅魔館①→紅魔館②→永遠亭→博麗神社→仕事場の周期を書いたカレンダーをそれぞれの場所に設置してあり、「どうしても会いたくなったら、その日俺が居るところにおいで」と言ってあるので、特に寂しい思いをさせることもない。

夜寝る時は帰らせているので、その時には寂しい思いをさせてしまうかもしれないが…。

 

 

 

その後、レミリアの発案によってある約束をし、それぞれの家路についた。




地味にアクエリオン入れてみたw
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