※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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最近、この小説が「日常系」では無いような気がしてならない。ほのぼのしてなくね…?
そもそも、ほのぼのとは…(哲学)

ということで、久しぶりの日常編です。





紅魔館での日常

騒がしかったお月見の翌日。

深夜まで起きていたこともあって、俺たちは普段よりも遅めに起きてしまった。

今朝は、娘の可愛らしい声で起こされた。

俺がフラン達と寝た場合、起こすのは咲夜さんと弦月姫で交互に行っている。つまり、次回フラン達と寝た場合、次の日に俺達を起こすのは咲夜さんだ。

 

カルゴ「このハンバーグは…咲夜さんと弦月姫のどちらが作ったんです?」

 

今日は、朝からハンバーグという、とてもボリュームのあるメニューとなっている。少し前までは咲夜さんと弦月姫では少し違いがあったものの、弦月姫が段々と成長してきているために、区別がつかなくなってきているのだ。

 

弦月姫「今回のハンバーグは、私が作りました。美味しく出来ていますでしょうか…?」

 

カルゴ「うん、美味しい!」

 

レミィ「正直、咲夜の方が美味しいけど…弦月姫のも美味しいわ」

 

フラン「美味しい美味しい♪」

 

皆、口々に感想を述べる。

レミリアはあくまでも咲夜さんが上だと言うが、正直俺にはあまり違いがわからない。

味音痴だったのかなと不安になってしまう。

 

弦月姫「っ…精進します!」

 

レミィ「頑張ってね」

 

弦月姫「はい!」

 

十分美味いけどなぁ…。

 

フラン「食べたらまた遊びましょっ!」

 

カルゴ「そうだな、予定も無いし。今日は確か…紅魔館②の日だから、今晩は一緒に寝ような、弦月姫!」

 

朝なのに夜の事考えてるとかどうなんだろ。

まぁいっか、それを目標に1日を頑張って過ごすっていう意味もあるし。

 

弦月姫「はい!(やった、お父様と同じベッドで!お父様と一緒に眠る時は、何故だかとっても安心します…♪)」

 

咲夜「あら、私の事はお忘れですか?」

 

カルゴ「いえいえ、忘れてませんよ♪」

 

咲夜「それなら良いのですが…///」

 

子供達は皆、一貫して甘えん坊だ。

それゆえ、夜寝る際は俺を真ん中にして、両側に母と娘が来て、眠りにつく。

今では毎日そのようにして眠っている。

鈴仙と巫月、霊夢と霊愛…さらに、文と穹、咲夜さんと弦月姫……の様に。

無論、フラン達の際も同様。10年間変わらずだ。

 

咲夜「それと、本日は予定がありますよ」

 

カルフラ「え?」

 

咲夜「本日は人里でお披露目の日ですので、昼食を食べ終えた辺りの時間帯に迎えに来るかと思われます」

 

カルゴ「あ…そうだ、今日でしたね…」

 

今日はなんの魚を取ろうか?

 

フラン「ぶー…早く帰ってきてよね?」

 

カルゴ「大丈夫、出来るだけ早く帰ってくるよ」

 

フラン「うん…」

 

しょぼくれるフランの頭を撫でる。

ちなみに、フランとレミリアは人里へ行かない。

人間が多いのは、居心地が悪く感じるそう。

何せ、巨大生物を見にほぼ全ての人間が集結するので、デートで訪れるのとは訳が違うのだ。

咲夜さんも人が多いのは苦手であるものの、買い物などでたまに訪れるので、比較的慣れたそう。

 

 

 

紫「はぁ〜い、来たわよ〜♪」

 

咲夜さんの予想通り、昼ごはんを食べ終えた頃に紫さんが現れた。いつも通り、スキマで。

全く、見れば見るほど便利な能力である。

 

カルゴ「こんにちは紫さん。今日も宜しくお願いします」

 

母娘「よろしくお願い致します」

 

紫「ええ、よろしくね。じゃあ、まずは里の近くへ行きましょうか」

 

3人「はい」

 

紫さんは再びスキマを開き、中に入る。

俺達3人もあとに続く。

紅魔館から人里へ巨大生物を運ぶのは骨が折れるので、出来るだけ里の近くに行ってから巨大生物を用意し、人々が集まっている広場へと運ぶのだ。その際、持参してきた巨大ブルーシートを敷くのを忘れてはならない。

 

一度外の世界と繋げると、2分で閉じてしまう。

しかも一度閉じてしまうと、幻想郷時間で2日、外の世界の時間で8日のサバイバル生活を強いられる。

 

紫「さて、今日はどんな生き物にするつもりなのかしら?」

 

人気の無い、人里のはずれで在庫の仕入れを開始する俺達。傍らには咲夜さんと弦月姫がいる。

 

カルゴ「先月はなんの魚でしたっけ」

 

紫「確か…イッカクだったかしらね」

 

イッカク…か。

なら今日は、クジラにしようかな。

食べれるクジラって…なんだろう?

クジラはどれも食えるはずだが…不安だなぁ。

 

カルゴ「マッコウクジラでお願いします」

 

紫「それじゃ、特大のスキマ開かなきゃね」

 

やれやれ、と言いたげな紫さんに手を合わせて、再度お願いする。

そして、空中に巨大なスキマを開く。

 

紫「いってらっしゃい」

 

カルゴ「はい!」

 

軽く礼をしてスキマに飛び込む。

 

さーて…今日は何メートルくらいかな?

大きすぎても捕まえるのが大変なんだよなぁ…。

 

2分でクジラを捕まえ、運ぶなど、普通に考えて不可能な芸当だ。しかし俺は吸血鬼だ、人間には不可能でも、俺なら可能になる。

 

カルゴ「海、キターーーーーーー!!!」

 

スキマを出るとそこは、青々と煌びやかに広がる大海原の真上。360°、どこを見ても陸、船などが見えない事を考えると、この近辺は無人であることが窺える。紫さんが連れてきた時点で、無人であるのは確定事項だが。

 

紫「ほらほら、叫んでないで早くしなさい」

 

スキマの向こうから声が聞こえてきた。

クジラを探し始めると同時に、真下に居たらしいクジラがブシューッと潮を吹いた。

 

カルゴ「うあっ、流水っ!」

 

流水が苦手な俺は慌てて回避し、目でクジラの姿を追う。ゆったりと泳いでいるだけらしい。

 

自ら位置を教えるなんて、マヌケなヤツめ。

お前の未来は、今確定した。

 

カルゴ「さぁ、俺達に食われろ!禁弾『降り注ぐ厄雷』!!」

 

出来るだけ頭蓋骨を傷付けたくない俺は、胴体を集中的に攻撃し、速攻で死に至らしめる。

断末魔を上げることすら許されなかったクジラはブクブクと沈みそうになるが────。

 

カルゴ「美味しく調理してくれるから安心しな。拷問『Thorny Restriction of Thunder』!!」

 

余計な傷をつけないように棘を無くし、事切れたクジラをがんじがらめにし、持ち上げる。

 

カルゴ「重ってぇ…!クソっ、やっぱりクジラはきちぃ!」

 

これまで何匹もの魚を捕まえてきたが、クジラはやはり重い。成体で3.5〜5.7tだと言われているが、今回の獲物は、5tはありそうだ。

 

紫「あと1分よ、急ぎなさい」

 

カルゴ「は、はい!」

 

咲夜さんと弦月姫は、この時はまだ手伝わない。

何故なら、俺と比べると非力だからだ。

そして、クジラを捕まえる度に、「フラン連れてくれば良かった」と思う。フランは、何故だかとてつもない怪力を持っているからだ。

そう後悔したとしても、本人が嫌がっているので無理強いはしないが。

 

紫「30秒」

 

カルゴ「紅眼『吸血鬼の本質』」

 

素の俺では無理と判断し、全ステータスを底上げして再び持ち上げる。比較的楽に持ち上がった。

 

紫「10、9、8、7……」

 

カルゴ「うぉぉおおおぉお!!!」

 

ラスト5秒の時点で、ようやくスキマに入る事が出来た。マンガではないので、残り1秒でギリギリだったなどという演出はしない。

 

咲夜「お、大きい…!」

 

紫「お疲れ様。さて、移動しましょう」

 

カルゴ「うぎぎ……!」

 

ジワジワと高度を落としながらも、しっかり移動していく。このまま落ちては、土まみれになってしまうので、しっかり集中しなければいけない。

広場まであと100mほどの地点で、前方から娘が飛んできた。手に持っていたブルーシートが無いところを見ると、準備が整ったようだ。

 

弦月姫「皆さんの誘導、シートの設置、どちらも完了しました!」

 

カルゴ「サン、キュ…!」

 

咲夜「ありがとう、弦月姫。あとは調理だけね」

 

弦月姫「はいっ!頑張ります!」

 

 

 

里人「来たぞぉ!」

 

里人「なんだありゃ!?」

 

里人「あんなのが本当に魚なのか!?」

 

里人「あれをどう調理するんだ!?」

 

 

 

里の人々が口々に驚きを口にする。

クジラが住めるサイズの水場は、紅魔館前にある霧の湖だけだろう。勿論、こんな大物はいない。

そして、巨大クジラをブルーシートに降ろす。

人々は遠巻きにその様子を見ている。

 

クジラは哺乳類だったような…。

ま、それでいいや。

 

カルゴ「ふぅ……」

 

やべ、すげー疲れたァ…。

 

獲物を降ろした俺は、大きく息をついて、背伸びをする。やはり、かなりの重労働だ。

 

 

 

里人「おぉー…相変わらず力持ちだな…!」

 

里人「そりゃ、あの兄ちゃんは吸血鬼だろう?」

 

里人「それでもあんな巨大なの運べるのか…?」

 

 

 

そろそろ始めましょうかね。

 

カルゴ「さーて、さてさてお立会い!本日ご紹介するのは、こちらの、謎の巨大生物だ!!焼いて食べるもよし、刺身にして食べるもよし!半分ずつに切り分けるから、食べたい方に分かれてくんな!!気になるお値段はなんと!お1人様300円だ!安価だが、安全性は保証するぜ!!」

 

里人達「おおおおおおおおおお!!!」

 

刺身と焼く方にはそれぞれ立て札があり、咲夜さんと弦月姫は簡易性の屋台を使って調理する。

ミスティアの屋台より一回り…二回り大きい。

 

カルゴ「そんじゃあ、切り分けるぜい!!しかと見届けてくれよ!雷武器『雷刀』!!」

 

クジラの直径よりも長い刀を作りだして飛び上がり、縦に回転しながら真っ二つに切り分ける。

 

カルゴ「斬ッッ!!!」

 

切り分けた瞬間は血が出るが、大した事はない。

生臭い血を浴びるが、人間の血より落ちやすい。

 

里人「うお、中身は真っ赤なのか…!」

 

里人「生臭いが、なんか新鮮だな!」

 

老人「月イチのこれが生きる上での楽しみじゃ、フォッフォッフォッ」

 

カルゴ「コイツを食べやすく調理してくれるのはァ、幻想郷が誇る美人メイド母娘だ!!残さずに食べていってくれよな!!」

 

里人達(男)「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

野太い声が人里に響き渡る。

やはり、美人メイドというのはヤバいらしい。

 

咲夜「さて…頑張るわよ、弦月姫!」

 

弦月姫「はいっ!」

 

咲夜さんは刺身を、弦月姫は焼く方を担当する。

どちらにせよ、可愛いし美味い。

里人達は、綺麗に2つにわかれた。

人妻派かロリ派でわかれた…とは思いたくない。

 

弦月姫「お父様、大変です!ライタを置いてきてしまいました!」

 

簡易屋台にコンロがあるが、バーベキューに使うようなものなので、火種が必要だ。燃やすものがあれど、火種が無ければ話にならない。

後でお説教が必要だろう。

 

カルゴ「俺がつけてやるから安心しな!さぁ皆、もっと離れてくれぇい!ド派手に火ィ着けてやるぜ!!」

 

里人達「お?お?どーやるんだ!?」

 

カルゴ「触れると消し飛ぶゾぉ!?流星符『ファイアシューティングスター』!!」

 

手を合わせて高温の火球を作り出し、それをコンロに投げ入れる。ボンッと爆発し、コンロは焦げてしまったが何とかなるだろう。

 

カルゴ「さぁさ、完成まで、いつものアレだ!」

 

里人「今日こそは俺が買うぜ!」

 

里人「いーや、俺だ!」

 

里人「私よ!」

 

いつものアレとはすなわち、オークションだ。

巨大生物の頭蓋骨を売るのだ。

人々は、珍しいものに興味津々だからだ。

肉や脳、皮などは全て焼却処分したので、化石のような骨しか残っていない。

 

カルゴ「スタートは500円から!!」

 

里人「700円!」

 

里人「1000円!」

 

里人「1600円!」

 

里人「2800円!」

 

里人「6000円!!」

 

うわ、急激なインフレ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「お刺身、完成です♪」

 

弦月姫「美味しく焼けました〜!」

 

料理が粗方完成した頃、オークションも終わりを迎えた。終値は25000円だ。

 

子供「やった!おっきな骨だ!」

 

購入者は、まだ12歳の子供。

かなり前から買う気満々だったらしく、ここ数年ひたすら小遣いを貯めていたそう。

あまりに子供だったので、全額返したのは2人の秘密だが。

 

カルゴ「はぁ〜……ひと仕事終えた気分だぜ…」

 

屋台の裏側で、地面に座り込んで息をつく。

こういう、声を張り上げる事は、好きではあるが得意ではない。

 

弦月姫「お疲れ様でした♪」

 

焼き魚を配り終えた弦月姫。

貯金箱(の様な箱にお金を入れてある)いっぱいに入ったお金を抱えている。物価の安い幻想郷では何日も食べ歩きが出来そうだ。

 

咲夜「まだ終わっていませんよ、もうひと頑張りです!」

 

頑張りましょう、とガッツポーズをする。

お披露目会はまだ終わっていない。

 

カルゴ「もちろんですよ」

 

最後の仕上げだ…!

 

そろそろ時間なので、終わらせようと再び里人達の前に立つ。

 

カルゴ「皆ぁ、今日の魚はどうだったかな!?」

 

みんなの前に立って大きな声を出す。

気分は、ライブ中の歌手だ。

 

里人「美味かったぞぉぉぉ!!」

 

里人「あんなデケェの初めて見たぁぁぁ!!」

 

里人「新鮮だったぞぉぉぉ!!」

 

里人達も負けじと声を張り上げる。

こちらがハイテンションでいけばハイテンションで返してくれるあたり、ここの人達は素直だなと思う。外の人間とは大違いだ。

 

カルゴ「またデケェ魚食いたいかーー!?」

 

里人達「食いてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

運動会中の子供のように、拳を振り上げて答える里人達。このようなイイ反応をされると、大変だとわかっていてもまたやりたくなる。

 

カルゴ「よぉーし!じゃあまた次もデケェの持ってくるからな!!でも、今回はこれにてお終い!また来月なー!」

 

里人達「最後にいつもの見せてくれーーー!!」

 

いつもの…とは、余った骨の破壊だ。

そんなのを見て何が楽しいのか、以前聞いたことがある。なんでも、巨大な骨が一瞬にして粉微塵になるのが、見ていて気持ちいいのだとか。

 

カルゴ「じゃあもっと離れるんだーーーー!!」

 

里人達「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

この頃になると、手持ち無沙汰となった咲夜さんと弦月姫は屋台やブルーシートの片付けを終えており、広場には巨大生物…クジラの骨などが残っているだけだ。

そして、十分に離れたところで、スペルの詠唱をする。

 

カルゴ「雷牢『雷神の牢獄』!!」

 

巨大な牢を出し、頭蓋骨以外の骨を囲む。

これを破壊した時、粉になった骨が散らばるので離れさせた。そうでなくとも、人間にはこの電磁波などが危ないかもしれない。

 

カルゴ「カウントダウン、ヨロシク頼むぜェ!」

 

いつもの如くカウントダウンの合図をする俺の声は既にガラガラだ。だが、やりがいはある。

 

里人達「さーん!にぃー!!いーーーち!!!」

 

カルゴ「ゼロッ!!!」

 

ボシュンッ

 

パチパチン、と指を2連続で鳴らし、爆発させた骨は、文字通り粉微塵となって空へ舞い上がる。

陽の光を浴びてキラキラと光る粉塵は、さながらダイヤモンドダストの様である。

何故粉となるかは、このスペルの仕組みによってであり、爆発の力で粉にしている訳では無い。

このスペルは、一度指を鳴らすと収縮する。

もう一度指を鳴らすと急激に縮まり、爆発する。

縮まる時の過程で、骨はミシミシと押し潰されて粉となるのだ。

爆発は、粉の飛散を促しているに過ぎない。

 

里人「うおおおおおおおお!!」

 

里人「相変わらずすっげぇええええ!」

 

カルゴ「さぁ、今日は本当にもうお終いだぜ!!じゃあな、また来月!!」

 

2人の手を取って、その場から飛び立つ。

下からは、里人達の見送りの声が聞こえてきた。

 

 

 

しばらく飛んで、紅魔館へ到着した。

これから成すべき事は、紫さんへの謝礼だ。

紫さんを呼ぶと、すぐに出てきた。

 

紫「相変わらず、物凄く盛り上がっていたわね。まるでお祭りみたい」

 

カルゴ「ええ、とても盛り上がってくれました」

 

その言葉に、咲夜さんと弦月姫も頷く。

あまりの熱気に、2人も俺も汗をかいていた。

ライブ後の歌手はこのような感じなのだろうか。

 

紫「毎月っていう、結構な間があるからいいのかしらねぇ…。毎週だとマンネリ化しそうだし」

 

カルゴ「かも、しれないですね。あ、そうそう。これが今日の儲けです」

 

紫「…あら、凄いあるじゃない。底が抜けないか心配ねぇ」

 

20×30×40(cm)ほどの箱いっぱいに詰まっている小銭を見て、紫さんは目を見開く。

実際、ここまで儲けたのは初めてかもしれない。

 

カルゴ「獲物がそれだけ大きかったですからね。値段は安くしても、売れれば儲けは出るんです」

 

紫「そうねぇ…」

 

契約では、儲けの3割を紫さんに譲渡する話なので、大体それくらいの小銭を渡す。

契約を結んだ際、お金には困っていないので1割で良いと言われたが、それだと少ない様な気がするし、何より紫さんは大妖怪なので、敬愛の意味も込めて、半ば無理矢理3割にさせてもらった。

残りの7割の内、5割を里に還元するので、俺達の儲けは実質2割だ。いや、還元する5割の内4割は食べ歩きや買い物なので、それも儲けに入るかもしれない。

更に俺は、里の自警団に寄付もしている。

つまり、収入と支出はおおよそこうなる。

 

謝礼:3割

還元:5割(食べ歩き:4割、寄付:1割)

儲け:2割

 

自分で言うのは余り良くないと思うが、外の世界の成金共より、幻想郷(地元)に貢献してると思う。

 

 

 

紫さんも帰り、還元する分と儲けを分配し、一応やる事を終わらせた。還元するのは、なにも今すぐじゃなくていい。明日、フラン達と遊びに行けばいいだろう。

 

カルゴ「さーて、フランと遊ぶかねぇ…」

 

弦月姫「お、お疲れ様でした!」

 

カルゴ「おうよ。…そうだ。これからは、忘れ物には気をつけてくれよな」

 

先程、注意しようと思っていたことを注意する。

危うく、言い忘れるところだった。

 

弦月姫「申し訳ございませんでした!」

 

ハッと気付いたような顔をし、頭を下げる娘。

俺が忘れかけていたのと同様、弦月姫も忘れていたのだろう。

 

カルゴ「大丈夫、あれでまた盛り上がったから」

 

咲夜「弦月姫の失態をカバー出来たのはお父様の手腕あってこそなのだから、許してもらって安心するんじゃありませんよ?」

 

ちょっと厳しすぎやしないか…?

一度許されたあとにそう言われると泣きたくなるのは俺のメンタルが弱いからか…?

 

弦月姫「わかっています!」

 

…杞憂だったか。

 

咲夜「それならいいけどね。…エスカルゴさん、お気を付けて」

 

カルゴ「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その晩

 

カルゴ「うおー、疲れたァァァー!!」

 

夕食後もフランと遊び続け、もう10時を回った。

いつの間にか3時間も遊んでいたようだ。

 

フラン「楽しかった〜!」

 

カルゴ「そりゃ良かった。そんじゃあ、そろそろ寝ますかね」

 

フラン「今日は弦月姫ちゃんと寝るんだっけ?」

 

カルゴ「そうだよ」

 

フラン「ぶー……」

 

ぷくっと頬を膨らませる。

そんな顔を見ては、触らずには居られない。

抱き上げ、モフり、触り続ける。

 

弦月姫「お父様…そろそろ就寝の時間です」

 

いつの間に現れたのか、俺の隣には娘がいた。

咲夜さんと同じく、時を止めてきたのか…それは不明だ。

 

カルゴ「はいよ。んじゃあ、行きますかね〜」

 

抱き上げていたフランを降ろし、娘と手を繋ごうとするが…。

 

フラン「ねぇ…ベッドまで連れてって?」

 

カルゴ「え」

 

チラッと娘を見ると、少し寂しげな顔をしているのが目に入った。さて、恋人をとるか娘をとるか…究極の2択だ。

 

弦月姫「大丈夫ですよ、先に妹様をお送りになって下さい」

 

俺が迷っていると、ニコッと微笑みながらそう言葉をかけてきた。俺はそれに頷き、フランを送り届ける事にした。

 

娘に甘えるなんて、情けねぇなぁ…はぁ…。

 

 

 

フランを無事に送り届けて、咲夜さんの部屋へと向かう。少し時間を食ってしまったが、こればかりは仕方ない…様な気がする。

 

カルゴ「おまたせ」

 

ガチャリ、と少し重めの扉を開けて部屋に入る。

咲夜さんも弦月姫も、寝る準備は整っている様である。

 

着替える様子を見られなくて少し残ねn…いや、黙っておこっと。いやー、やっぱ、パジャマ姿の咲夜さんも可愛いなぁ♪

 

弦月姫「お父様ぁ♪」

 

カルゴ「うおっ」

 

部屋に入るなり、ひしと抱きついてくる。

いつもはここまで甘えてこないが、実は巫月ばりに甘えん坊なのが弦月姫だ。

霊愛と穹は、ここまで甘えては来ない。

そして、このように親子だけの空間になると、咲夜さんも甘える弦月姫を止めはしない。

ここからは、完全な“私”の時間だからだ。

公私ハッキリわかれている咲夜さんも“私”になるが、ギャップが凄いのでタジタジになる事が多々ある。

 

弦月姫「数日ぶりですね、一緒に寝るの…♪」

 

カルゴ「ふふっ、そうだな」

 

それは皆同じだぞ…と言いたくなるが、せっかく甘えて来てくれるので、その言葉を飲み込む。

 

弦月姫「抱っこして下さいっ!一緒にベッドに入りましょう!」

 

カルゴ「はいはい♪」

 

手を伸ばしてせがむ娘を抱っこし、ベッドに寝かせて、俺はその隣に寝転がる。俺はベッドの中央で寝て、右側に弦月姫、左側に咲夜さんが寝る。

コレがいつもの流れだ。

 

咲夜「では私も、失礼しますね…♪」

 

弦月姫とベッドでイチャついていると、しばらくそれを眺めていた咲夜さんもモゾモゾとベッドに入る。美人メイドに挟まれ、心拍数が上昇する。

 

いや、それよりも。

 

カルゴ「…あ…暑い、ですね…」

 

暑い。気温…だけではなく、挟まれているから、なのだとは思う。照れているからか、顔が熱い。

気温というよりそちらがメインだろうが…。

 

咲夜「そうですね、掛け布団変えましょうか」

 

次の瞬間には、モコモコした羽毛の掛け布団から毛布に変わっていた。肌触りがとてもいい。

 

カルゴ「ありがとうございます」

 

咲夜「眠れそう…ですか?」

 

グイグイっと顔を寄せながら訊ねる。

天然なのかわざとなのかは、俺には知る由もないが、咲夜さんに顔を寄せられてそう簡単に眠れる訳がないが…そうは言えないので、眠れると答えるしかない。

 

カルゴ「そ…そぉですね…眠れそうです…///」

 

咲夜「それは良かったです…♪」

 

弦月姫「お父様、耳が真っ赤ですよ?お熱でもあるのでは…」

 

夜目が効く吸血鬼は、僅かな変色も見逃さない。

どうやら、顔だけではなく耳まで真っ赤にしているようだ。

 

カルゴ「大丈夫だよ、安心しな」

 

心配する娘の頭をわしゃわしゃと撫でる。

俺が顔を赤くしている理由がわかっている咲夜さんは、クスッと笑っている。

 

やっぱわざとやってんだろ咲夜さん!

あぁぁぁもぉぉぉ!寝かせないつもりか!?

 

咲夜「なぜ…赤くなっているんですか?」

 

分かっているくせに、更に顔を寄せる。

デレ咲夜さんは、ほんの少し小悪魔的になる。

わかっていて攻めてくるんだから、少しはSっ気があるのだろう。

どう言葉を返そうか迷うが、何も言葉で返す必要も無いので、即興で考えついた作戦を実行する。

このままでは眠れなくなるからだ。

 

カルゴ「どうしてでしょうか……ねっ♪」

 

油断しきっている咲夜さんに、不意打ちのキス。

あまりに急なことで、目を見開いている。

 

咲夜「そっ…そんな急に…///」

 

予想通り、真っ赤になって顔を隠す咲夜さん。

そんな様子を見て、内心ほくそ笑む。

 

カルゴ「“なぜ…赤くなっているんですか?”」

 

一字一句、先程の言葉をなぞるように返す。

これで、咲夜さんも何も言えなくなるはずだ。

 

咲夜「あうぅ…わ、わかってるくせに…///」

 

カルゴ「ふっ…可愛いですねぇ♪」

 

いつもフランにやるように、咲夜さんの頬へ手を伸ばす。柔らかいし、端正な顔立ちが俺の手によって歪むのが堪らない。

 

咲夜「本当に、頬を触るのがお好きなんですね」

 

カルゴ「そりゃあもう大好きですね!」

 

弦月姫「お母様ばかりズルいですよ!私にもちゃんと構って下さい!」

 

自分の思いを真っ直ぐにぶつける弦月姫。

最初の方は、正直過ぎて少々困惑したが、今ではもう慣れた。

 

カルゴ「はいはい♪」

 

両手ではなく、左手で咲夜さん、右手で弦月姫の頬を触り始める。一度触り始めたら、中々やめられない。だが、俺がやめる前に、娘に限界が来た。

 

弦月姫「スゥ………スゥ………」

 

しばらく触っていると、娘から寝息が聞こえてきた。顔を覗き込むと、眠っているのがわかった。

 

カルゴ「ありゃ、寝ちゃった」

 

咲夜「エスカルゴさんに触られると…安心、しますから…ね……」

 

カルゴ「なるほど…?」

 

安心したらしく、咲夜さんもウトウトしている。

お披露目会で疲れているのもあって、今夜はあまりイチャつけない様だ。

 

カルゴ「咲夜さんも、ゆっくりおやすみ下さい。俺もすぐに寝ますから」

 

咲夜「はい…。でも、その前に…もう一度……」

 

甘えん坊なのは、咲夜さんも同様だ。

そして、その言葉の先を察した俺は、再び咲夜さんと唇を重ねる。

 

咲夜「ありがと…ござ……ま……………」

 

言葉途中で眠りに落ちてしまった。

その寝顔は、とても幸せそうだ。

ふんわりと、優しい笑顔で眠っている。

 

カルゴ「ふふふっ……おやすみなさい♪」

 

2人が完全に眠っているのを確認し、俺も眠りについた。今夜は、良い夢が見れそうだ。




久々の日常編。
やっぱ、デレ咲夜さんの表現がムズい。
何故だァァァァ…。


220話目、一応設定に矛盾は出てないはず。
確認は何度もしたけど、どこか不安だなぁ…。

エスカルゴが霊夢達に「人間を辞めて欲しい」と願ったのは、人間だった頃に、所謂「寿命ネタ」を見てきたからですね。
あれってかなり泣けるじゃないですか(号泣)

ちなみに、219話〜220話間で約7年もの間があるのは、「子供をある程度成長させたかった」という理由以外にもありますので、是非考えてみて下さい。
伏線というほど大層なものでもありませんが(汗)
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