天子との行為を終えた俺は、文の仕事場へと再び戻り、2人の帰りを待っていた。
カルゴ「遅いなぁ……」
待てど暮らせど、文と娘は帰って来ない。
まだ午後6時で外も明るく、腕時計をしていない文たちは時間を把握する術が無い事を考えると、まだ大丈夫だと勘違いしているのかもしれない。
それでも、お腹は空いているはずなのだが。
カルゴ「仕方ないな、夕飯作っちまうか。文句は言わせねぇぜ」
と呟いて夕飯の支度を開始する。
ま、メニューに文句を言ったのは霊夢だけだが。
さて、今晩はビーフシチューにでもしようかな。
材料は…うん、あるね。ビーフシチューだな。
幸い、咲夜さんから調理法は教わっている。
材料もあると分かって、ビーフシチューの調理に取り掛かる。
文Side
今日私は、これからの仕事を出来るだけ楽にしようと、ネタを集めまくっていた。
妖精がイタズラをする様子、イタズラ兎が落とし穴で自滅する瞬間、薬売りの兎がすっ転び、薬をぶちまけて娘に怒られている様子、などなど…。
そして今は、謎の爆発があったという守矢神社に来ている。原因は、エスカルゴさんの
金属片を、音速の何倍もの速さで飛ばし、前方を攻撃するものらしい。爆発跡は見れなかったが、エスカルゴさん本人が綺麗に工事したとか。
相変わらず規格外な人ですね。
文「ほうほう…つまりその超電磁砲というのは、小銭1枚程でも爆発的な威力を発揮する、と…。うーん、爆発跡を見れなかったのが残念です…」
早苗「すごい音でしたよ〜。それはもう、鼓膜が破れるかと思うくらい」
文「ふむ…発射時にはとんでもない音が…」
早苗「ええ。…アレについてはこんな所ですね。とにかく、元に戻って良かったです」
文「そうですねぇ〜……」
軽く相槌を打ちながら、ササッと下書きをする。
守矢神社の風祝は「神社が元に戻って良かった」と安堵の溜息を漏らしており、如何にこの神社が酷い状態になったのかが彼女の言動でなんとなく察せた。八坂神奈子様は「奴の力は多大な危険を孕んでいる。暴走しても己を制御出来るようにはなったは良いが、新技の修行は自然も人も妖怪も近くに無い、広々とした所で行ってもらいたい」と話している…。
守矢神社で祀られているもう一柱、土着神の頂点こと洩矢諏訪子様は、「さすが私のエスカルゴだよね〜」とにこやかに話しており、「“私の”とはどういう意味か」と尋ねたところ、「私の一番の信者だから」と言っていた。その時に、帽子が少しばかり赤く染まったように見えたのは、きっと夕日の影響だろう。
また、エスカルゴさんは過去に「俺には諏訪子様の加護がある」と言っていた事があるが、ようやく話が繋がった様な気がする。
ただ、祟り神からの加護というのは、聞いている者を酷く不安にさせる。もしかしたら、彼に女難をもたらしているのは、他ならぬ諏訪子様という可能性も否めない。更には、事ある毎に鬼に絡まれたり、四季のフラワーマスターこと風見幽香に絡まれるのも、もしかしたらもしかするかもしれない………。
ふぅ、とりあえず下書きはこんなものですかね。
あとは帰って纏めるだけなので、昼間集めたネタなどと合わせれば、1週間は楽ができそうです♪
早苗「あの…」
文「はい、何でしょうっ!」
早苗「そろそろお夕飯の支度をしたいんですが…イイですか…?」
夕飯と聞いて、バッと外を見る。
取材に来た時は明るかったのにも関わらず、外はもう闇に包まれていた。
文「あやや、これは失礼しました。つい、取材に夢中になってしまいました…。穹、そろそろお
穹「スゥ……スゥ……」
返事が無いと思ったら、なんと正座のままで眠りこけていたようだ。
ね、寝てる!?
何故寝てるのですか穹は!
文「穹!起きなさい!」
穹「ひゃいっ!…ふぁ……あ、母上…」
眠そうに目をこする穹。
手に持っているメモ帳には、ミミズが干からびたような線が何本も引かれている。
文「私が取材している間、一緒にメモを取るよう言いましたがねぇ…何をやっているのですか?」
穹「そ、そうでした!ごめんなさい!」
文「全くあなたは…どうしてこうすぐにn」
神奈子「ゲフンゲフン!」
文「!」
神奈子様のわざとらしい咳払いで、自分がまだ守矢神社に居たことを思い出した。
文「…失礼しました。取材をお受け下さり、誠にありがとうございました。それでは!」
深々と頭を下げ、娘共々神社を出る。
文「穹。何故寝ていたのですか?そういえばあなた、昨晩はやけに寝付きが悪かったですよね。それの影響ですね?」
穹「ごめんなさい…今日は父上が来る日なので、嬉しくてどうにも寝付けなくて…」
文「あのですねぇ…いくら父上が来るとはいえ、最低限のメリハリは……………」
……ん?父上?……はっ、そうだ!!
文「あやややややや!すっかり忘れてましたっ!今日はエスカルゴさんが来る日ですねっ!急いで帰りましょう、穹!!」
穹「は、はい!」
仕事場へと急行する私と穹。
ゼェゼェと肩で息をしながらドアの前に降り立つと、仕事場の中からは、調理中と思われる料理の匂いがぷぅんと香ってきている。
なんとも食欲をそそられる、いい匂いです。
更には、エスカルゴさんの声も聞こえてきます。
何を言っているのか良く聞こえないけれども、歌を歌っているのだけは確信を持って言えます。
文&穹「ただいま帰りました〜」
カルゴ「
氷ノ心ハ 硝子ノ檻ニ
何やら台所で、しゃもじをマイクのように持って歌っている様です。
穹「父上、ノッてますね…」ボソッ
文「ですね…放っておきましょうか」ボソッ
カルゴ「U have no face No it’s not true
Knew that you come along here and there
Name your lover O my sister
Who told you No one lives
U have no eyes No it’s not true
Knew that you come along now and them
Name your lover O poor sister
Who told you No one knows」
そこまで歌うと、今度は鼻歌を歌い始める。
なかなかテンポの速い歌ですねぇ。
よくもまぁ、そんなに舌が回りますよ…。
カルゴ「……ん?」
こちらの気配に気付いたのか、鼻歌を中断して、後ろを振り向くエスカルゴさん。そこには、写真を撮影している私と穹が居るわけで……。
カルゴ「うわぁ!文!?穹!?いつの間に!!」
振り返りきる前に、目を向いて驚きを露わにするエスカルゴさん。
文「えっと…結構前からここに。随分とノリノリでしたね♪」
カルゴ「うあああああ……」
エスカルゴSide
聞かれただと…!?
うわ、クソ恥ずいやつだぁぁぁ…!
いやいや、とりあえず話題を変えねば!
カルゴ「お、おかえり!あ、夕飯は出来てるぜ!手ぇ洗って席ついて、食べようぜ!な!」
文「はいっ!(露骨に誤魔化しに来ましたね…)」
穹「はーいっ!楽しみです!」
2人が手を洗ってうがいをしている間、俺はというと、ビーフシチューを盛ったり付け合わせのサラダを盛ったりなどをしていた。
ちょうど3人分の準備を整えた時、2人が帰ってきた。
カルゴ「準備完了だぜー。2人とも、席ついて」
文「あやや、ありがとうございます!」
穹「ビーフシチューですね!美味しそうです!」
カルゴ「ふははは!俺が作ったんだ、咲夜さんの次くらいに美味いぞ!」
3人「いただきまーす!!」
その晩
カルゴ「よっ。進捗どうだい」
やる事を全て終えて、穹を早々に寝かし付けた俺は、「これから楽する為」と言って、夜だと言うのに仕事にかかりきりである文に尋ねる。
文「上手く纏まりませんん〜…」
背伸びしながら苦笑いする文。
なんというか…すごく可愛い。
カルゴ「俺でよければ手伝うぜ?」
文「いえいえ、エスカルゴさんの手を借りるわけにはいきません。……その代わりに、終わったら褒めて下さいね♪」
カルゴ「わかってるさ♪」
こういう時はいつも、仕事が終わったら頭を撫でたり何だりして、彼女を褒めるようにしている。
子供扱いしてるという訳ではなく、褒められると嬉しくなるという心理を利用しているだけだ。
カルゴ「ほんと、何かあったらすぐ言えよなー。出来ることなら何でもやるからさ」
文「大丈夫で…………あー!」
突然大きな声を出し、イスから飛び上がる文。
カルゴ「うお、びっくりした…。どした?」
文「超電磁砲っていうのを、ぜひ生で見せてもらえませんか!?」
カルゴ「うーん………うん、わかった。行こう」
文「はい!」
文の手を取り、深夜の幻想郷の空に舞う。
この時間ともなると、大体の種族が眠りについているので、外には真っ暗な闇しかない。
吸血鬼は本来夜行性だが、それだと誰にも会わぬ寂しい生活となってしまうので、幻想郷の吸血鬼だけは、ほかの種族と同じように昼に行動する。
しばらく飛び、何も無い平原に到着した。
ポケットから、前もって切り取っておいた金属片のうち、大きな金属片(昼間のと同サイズ)を取り出し、指に乗せる。
文「金属片…本当に小銭と変わらないサイズなんですね…。面白そうです!」
カルゴ「いくよ。耳塞いでなよ」
文「わかりました!」
文がしっかり耳を塞いだのを確認して、金属片をピンと指で弾く。それは高々と舞い上がり、星々の光をキラキラと反射する。
そして、クルクルと落ちてきた金属片を、電気を纏った指で、弾く。
ズガァァァァァァァァァァァァッ!!
文「!?」
地を抉り、スパークを発しながら突き進んだ金属片は、60mほど進んだところで、空気との摩擦で消えて無くなった。
カルゴ「…どう?これが超電磁砲だよ」
文「あやややややややや……あんなの喰らったら消し飛んじゃいますよ!?」
カルゴ「大丈夫だよ、加減は出来るかもしれないから。さ、夜も遅いし、そろそろ帰ろう」
文「ですね!本物の見れた事ですし!(なるほど、これほどの威力ならば境内の石畳が抉れても納得ですね。恐るべし、超電磁砲……)」
カルゴ「書き終えられて何よりだ」
文「いえ、エスカルゴさんのおかげですよ♪」
カルゴ「ふふっ、ありがとう」
超電磁砲を披露してから急いで仕事場へと戻り、再度筆をとって新聞を書き始めた文。そこからの作業はとても素早く、瞬く間に書き終えて印刷まで済ませてしまったのだそう。
という訳で仕事は終わり、今はベッドの中だ。
文「そういえば、守矢神社の洩矢諏訪子様とは、どのような関係なんですか?」
カルゴ「神と、神を信仰する信者の関係だけど?どうして?」
文「いえ、先程取材した時、“私のエスカルゴ”…と言っていまして。その後、本人にもその真意を問いましたが、今のは確認といいますか……。そう、確認ですね、ハイ」
カルゴ「なるほど、諏訪子様がそんなことを…」
私の、かぁ…嬉しいこと言って下さるぜ。
比較的好かれてるのかな、俺は。嬉しいことだ。
文「祟り神からの加護というのは、本当に大丈夫なんでしょうかね?ずっと前から、気にはなっていたのですが」
今まで何人もの人妖が口にしてきた疑問を口にする文。もちろんそんなことは、俺とて考えた事はある。
カルゴ「まぁ、大丈夫じゃないか?可愛いし」
諏訪子《!?》
文「!?…ま、まぁ、確かに可愛らしいとは思いますが…だからって大丈夫とはこれっぽっちも思えないのですが…」
カルゴ「祟りがあれば跳ね除けるさ。大丈夫だ」
文「ふふっ…エスカルゴさんらしいですね♪」
カルゴ「はは、そうかな?…とりあえず寝よう、今日は(色々あって)疲れちった…」
文「私もです…ネタ集めに奔走してましたからね…」
カルゴ「そうなんだ。お疲れ様、あやや♪」
文「あやっ……あ、ありがと、ございます…///」
ベッドの中で軽くキスを交わし、その日は眠りについた。
PRESERVED VAMPIRE、Grip&Break down!!
のどちらにしようと迷った結果、どちらでもないまた別な曲にしました。曲名当ててみてねw
(英語のとこ見ればわかるw)
コピペなんてことはして無いので、スペルミスとかあるかもしれないです。もちろん、何回も確認してますが、不安は拭えないですね(汗)
好きな歌の歌詞ならば完璧に暗記したいですな。