早苗「はぁ……」
神奈子「どうした?溜め息なんてついて」
早苗「あ、いえ…何でもないです…」
神奈子「?ならいいんだが」
無意識のうちに溜め息ついちゃうのよね…はぁ。何でだろ…暇なのかな? 暇な時は…そう、誰かと喋ったり買い物行ったり…。
でも買い物なら昨日行ったしなー…。
早苗「そうだ、エスカルゴさん呼んじゃお♪」
早苗《エスカルゴさーん!》
暇潰し相手と交信を繋ぐと、彼の焦るような思考が流れてきた。
カルゴ《うぎゃっ!?び、びっくりした…》
早苗《大袈裟ですねぇ…。もう何年もこんな感じで交信してるじゃないですかー》
カルゴ《…うん、そうなんだけど…今、ちょっとさ…ね?察してくれ…あ、やべ、怒らせた!?ちょっ、体もたない……》
意識をこちらではなく現実世界へと戻したのか、ピンクい思考がドッと流れ込んできた。
早苗《昼間から何してるんですか!?///》
カルゴ《絶賛、フランと殺人エッチ中でーす…。スッゲー気持ちイイんだけどさ…フランの底なし性欲に殺されそうだ…つーか言わすな…》
早苗《考えてる事は分かっても何やってるかまでは分かりませんよぉっ!》
そう言い放ち、ブツッと交信を絶った。
早苗「全くもう…」
外に出て、霧の湖近くに大きく構える紅魔館を見下ろす。
今、あそこで…エスカルゴさんとフランさんが…シテるんだ…。普段は純粋にイチャイチャしてるだけに見えるのに、昼間からそんなことを…。
なんだろ……なーんか、モヤモヤするなぁ…。
今に始まったことじゃないけどさ。
諏訪子「どしたの早苗ー?ぼーっと紅魔館見ちゃってさー」
背後から急に諏訪子様の声が聞こえてきて、心臓がドクンと飛び跳ねる。
早苗「きゃっ!…はぁ〜…諏訪子様ですか〜…。ビックリさせないで下さいよ〜…」
諏訪子「させてないんだけど…」
早苗「急に話しかけられたら誰だってそう感じますよぉ!」
諏訪子「ふーん。で、どーしたの?エスカルゴと何かあった?」
早苗「えぇ!?なななんでエスカルゴさんが出て来るんですか!?」
──────────────────────
カルゴ「ぶぇっくしょい!」
フラン「どしたの?風邪?」
カルゴ「ずっと裸になってりゃ風邪も引くぜ…」
フラン「頑張れ、頑張れ♡今日もまた、私を満足させてね♡禁忌『フォーオブアカインド』!!」
カルゴ「ぎゃあああああああああ!?!?」
──────────────────────
諏訪子「紅魔館を見てるからねー」
早苗「はは…流石ですね、諏訪子様…。でも、何かあったという訳じゃなくって…」
諏訪子「フランちゃんとエッチしてるの知って、ガッカリした?」
何をケロッと言ってるんですかこの神様は…!
その前に、なんでフランさんとエッチしてるのを知って…あぁ、諏訪子様もエスカルゴさんに話しかけたんですかね。
早苗「ガッカリ…とは少し違いますね…。なんかモヤモヤするんですよ、最近…」
諏訪子「ふーん…エスカルゴ絡みの悩みかー…」
早苗「なんでそうやってエスカルゴさんと結びつけたがるんですかぁ〜…」
諏訪子「そうなんでしょ?」
早苗「……ッ!」
今に始まった事じゃないけど、あの人のこと考えるとモヤモヤする…。いや、あの人が誰かとイチャイチャしてるのを見ただけでも…。
早苗「そう、ですね…」
諏訪子「いい加減にさー、素直になったらどう?いっつもエスカルゴがそうしてるみたいに、さ♪
素直になるってのも悪くないよ〜♪」
早苗「わ、私はいつも素直ですよ?」
諏訪子「はぁ〜ぁ…いつからそんな嘘つきな子になったのかなぁ……。私にそんな嘘が通用するとでも?い〜っつも私とエスカルゴのやり取りチラ見してるくせに〜。ん〜〜〜?」
諏訪子様の帽子も諏訪子様自身も、とてもニヤニヤした顔で私の顔を覗き込んでくる。
早苗「素直に…ですか。……そうですね。私も、少しはあの人を見習った方が良いですね」ニヤッ
諏訪子「(目が変わった────!)」
とはいえ、あの人がOKしてくれるとは思いませんがねぇ……。
その晩
早苗《もしもーし、エスカルゴさーん?》
カルゴ《………》
早苗「あれ?反応がありませんねぇ」
諏訪子「そうなの?《おーい》」
カルゴ《………》
諏訪子「ホントだー」
おかしいですね、いつもはすぐに反応してくれるのに。私はともかく、諏訪子様ですら反応を示さないなんて…何かあったんですかね?
諏訪子《おーい!おーいってばー!》
カルゴ《はいっ!?》
諏訪子「早苗ー、反応来たよー?」
早苗「ありがとうございます!」
おかしいですねぇ…聞いてみましょうか。
早苗《もしもし、早苗でーす》
カルゴ《あれ、諏訪子様は?》
なんだ、普通に元気そうじゃないですか。
もしかして無視したんですか?
いや、それでも少しは反応するはずですが…。
早苗《…伝言伝えてもらおうとしたんですけど、私の用事が済んだので代わりましたー(棒)》
カルゴ《なるほど。それで、一体何の用?出来るだけ手早くお願いね、アレ終わってないから…》
早苗《え゙、何時間ヤッてんですか!?》
カルゴ《いいから早くしてくれ…また死ぬ…》
またって何ですかまたって!
さっきまで死んでたんですか!?
諏訪子「(なるほど、死んでたから反応なかったのね…。腹上死ってやつか…)」
早苗《明日、もし宜しければ神社に来てくれませんか?諏訪子様も神奈子様も外出するらしくて、暇で…》
カルゴ《(うーん…明日は紅魔館②だから…うん、夜以外は殆ど暇だな。)了解。午後1時ごろとかで大丈夫かな?》
早苗《ええ、いつでもどうぞ!》
カルゴ《わかった、行けるようになったらすぐ行くよ》
早苗《はーい!》
………ん?
早苗「あれ…どうしてエスカルゴさんを呼ぼうとしたんでしたっけ?」
諏訪子「いい加減に、素直な気持ち伝える為でしょ?」
早苗「あー、そうでしたそうでし……えええ!?あ、明日ですかぁぁぁ!?」
諏訪子「頑張ってね〜♪」
早苗「ええええ……」
神奈子「(全くあいつらは…何やってんだか)」
翌日
カルゴ「(まずはお参りお参り…。みんなを幸せに出来ますように…っと)」
神社に来た参拝客の願いは、そこで祀られている神様に直に届く。だから、気配を察知出来なくても参拝客が来たっていうのがわかる。
しかもこの願いは、エスカルゴさん特有のもの。
ホントに来ちゃった…この時が…!
諏訪子様の後押し…というか、色々と強引だったけれど、素直に言って、このモヤモヤが無くなるなら良いなって思う。
だから…ちゃんと言わなきゃ。
せっかくお膳立てしたのに言えなかったら、余計モヤモヤするような気がするし。
諏訪子「…!エスカルゴ、来たよ!」
早苗「来ましたね…」
諏訪子「神奈子、私達は一旦奥に行くよ!」
神奈子「はいはい…」
エスカルゴさんの返事が来るまで、お2人には、奥に行ってて貰います。蚊帳の外に、と言う訳ではなく、物理的に距離を置いて、彼が諏訪子様達の気配を察知するのを防ぐためです。
カルゴ「おはよー、来たぜー」
外からエスカルゴさんの声が聞こえてきた。
一応、勝手に入って良いって前もって言ってあるのに、律儀な人ですね。迎えに行くべきでしょうか。
勝手に入るのは嫌だと思っているらしいので、私もそんなエスカルゴさんに応えようと、縁側まで迎えに行きます。
早苗「おはようございます。朝からすみません、諏訪子様達が居ないと暇で…」
カルゴ「わかるわかる。誰も居なかったら暇だもんな」
早苗「ええ、そうなんです」
ホントは2人共居ますけどね…。
早苗「さ、来て下さい♪」
カルゴ「お邪魔しまーす…」
どういうタイミングで言えば良いんでしょうか…緊張しますね…。緊張以外に言葉がないです…。
エスカルゴさんを自分の部屋に通して、向かい合って座り、お茶を出します。今日のお茶は玄米茶です。好みのお茶が分からないので、これを選びました。まずは温かいお茶を飲んで、心を落ち着けたいです…。
カルゴ「……これは…何のお茶だろ。玄米茶?」
早苗「凄いですね、その通りです!」
素直に褒めると、安堵したように顔をほころばせるエスカルゴさん。
カルゴ「紅茶以外なら、割と自身あるんだよね。日本茶?だからかな?」
早苗「えー…私そんなにわからないですよ…」
カルゴ「いずれ分かるようになるよ」
早苗「だと良いんですけど…」
軽く談笑しながら、ただただお茶を飲む。
でも、いつもこの部屋で遊んできたエスカルゴさんには、ある疑問が芽生え始めて────。
カルゴ「(今日は何して遊ぶんだろ?トランプか?ボードゲームか?いや、それならいつも、すぐに道具出すよな。ま、暇だから何でも良いけどね)」
暇だからという理由でエスカルゴさんを呼んだというのに、何もしないのでは呼んだ意味が無い。
長い緊張は心臓に悪いし…早く言った方が良い…ですよね。何より私が、こんな長い緊張を味わいたくない…。言ってしまえば楽になるって、諏訪子様も言っていましたし…もう、素直になって……。
早苗「あのっ……」
カルゴ「ん?」
諏訪子「大丈夫かな、早苗…」
神奈子「大丈夫だろう、あの子なら。それより、良いのか?」
諏訪子「何が?」
神奈子「エスカルゴはお前のお気に入りだろう?みすみす早苗に渡してもいいのか?」
諏訪子「ハンッ……。神奈子にしちゃあ、えらく下らない質問だね」
神奈子「何をっ?」
諏訪子「私が、
神奈子「…さぁ、どうだかな。お前の考えてることは、長い付き合いの私にも良く分からん」
諏訪子「神奈子はね、見てるだけで良いんだよ。私が、エスカルゴを徹底的に追い詰める所を」
神奈子「(そう簡単にいくかねぇ…?エスカルゴは変なところで頑固だぞ…)」
早苗「えーと……その………」
カルゴ「?」
どうしよう…言葉が出てこない…!こ、告白ってこんなに緊張するの!?緊張しすぎて…胸が締め付けられる…!でも…エスカルゴさんの彼女達は、みんなこの苦難を乗り越えたんですよね…!吸血鬼や妖怪、人間にだって出来たんですから、私が出来ないワケがないです!
そう、人間だって─────。
約14年前
男子「さ、早苗さんっ!ボク、早苗さんの事が、ずっと前から好きでした!付き合って下さい!」
早苗「……ごめんなさい……」
男子「うぅぅっ……」
小学校、中学校は勿論、高校に入ってからも、かなりの頻度で告白されてきた私───。
特に高校が多かった…。中々言い出せない人や、スパッと言える人…目を合わせない人、合わせてくれる人…下心丸出しな人、色んな人がいた。
あの頃の私は、誰かを好きになったことなんか無くて、告白する時の相手の気持ちも、『緊張してるんだな』ってくらいしかわからなかった。
…なんで、あんな昔のこと思い出してるんだろ、私…。まさかあの頃は、私が言う側になるなんて夢にも思ってなかったわね…。
でもここは女の人ばっかりで、男の人なんてほぼ居なくて…。やっと出会った
でも何だかんだ言いつつ、私や神奈子様にも凄く優しく接してくれて…。己に真っ直ぐで、思った事は何でも言ってくれるその人柄に、だんだん心惹かれていって…。
イチャついてるのを見たり聞いたりしていると、その相手に嫉妬している自分が居て…。嫉妬心に気付いたその時から、エスカルゴさんに対する想いの正体に気付いた…。
だからエスカルゴさんから、「人間の身体を捨てて神様になって、皆で永い時を過ごさないか?」って言ってくれた時は凄く嬉しかった。それなら私も、エスカルゴさんと付き合えるチャンスが、いつか巡ってくるんじゃないかって……。
霊夢さんが仙人、魔理沙さんが魔法使いになり、このままじゃ魔理沙さんにまでエスカルゴさんを取られるって思って決心して…。神様になったは良いけれど、アプローチの仕方がわからないから自分の部屋に呼ぶくらいしか出来なくて……。
結局の所、魔理沙さんはエスカルゴさんに手出しはしてないけれど、とにかく自分がどうすればいいのかわからなくて、モヤモヤし始めた。
でもこのモヤモヤを晴らす方法がわかった…。
早苗「隣、良いですか?」
カルゴ「え?あ、あぁ、うん…。(なんか、様子が変じゃないか…?)」
私に告白してくれた人も、こんな感じでモヤモヤしてたのかなぁ…。こんなに色々迷うんだから、緊張するのも仕方ないよね…。
ごめんね、告白してくれた皆。
私にもやっと、皆の気持ちがわかったよ…。
早苗「エスカルゴさん。ずっと前からあなたは…私にとって、特別な存在でした。…私と…つつ、付き合って…下、さい…///」
カルゴ「(えええええええええええええ!?)」
エスカルゴと脳内交信してる間、神はどのような会話をしているのかを出せたので、その面では満足です。でも、回想シーンがイマイチかなぁ…。