※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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今回も後書きにまとめが。


厄日厄年、不吉な数字

紫「しまったわね…。とうとう始まりそうよ」

 

外の世界の緊迫した状況を覗き見て、顔に焦りの表情を浮かべる、妖怪の賢者…八雲紫。

 

藍「もう一度遷都するというのは…」

 

焦る主を落ち着かせようと、静かな物言いで遷都の提案をする、すきま妖怪の式、八雲藍。

 

紫「他に適した土地が無い以上、それは無理ね。また、彼にお願いしましょうか」

 

“彼”を呼ぶため、スキマを展開しようとする紫。

だがそんな紫を、藍は止めた。

 

藍「奴は危険です!前回外に飛ばした際も、暴走してしまった為にあのような惨状となったというのに…何故また奴を外に行かせるのですか!あの時の二の舞になります!」

 

紫「あの時の彼は、思考が暴走してしまっていただけ。今の彼は、意図せず暴走するなんてことは無いわ。最近、暴走すらもコントロール出来るようになったらしいじゃない」

 

藍「コントロールとは言っても、使用頻度が少ないために確実とは言えないかもしれないではないですか!どうされたのですか、紫様ともあろうお方が…。もう少し冷静に……」

 

紫「じゃあ、他に誰がいるの?」

 

藍「───ッ!!」

 

あくまでも“彼”を信用しようとしない藍に、冷静な一言と威圧するような高圧的な妖力を向けて、一瞬で黙らせる。

 

紫「いい?こうやって、議論している時間すらも惜しいの。事態は刻一刻と悪化してきている…。早く手を打たなきゃならないの」

 

藍「しかし、前回は奴のせいで遷都せざるを得なくなったのですよ?紫様に多大な負担をかけて…もう一度、そうなるかもしれないのですよ?」

 

紫「その時は彼を幻想郷から追放します。これで文句は無いわね?」

 

藍「…………わかりました」

 

紫「じゃ、手っ取り早くスキマで呼ぼうかしら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒビキ「でやぁぁぁっ!!」

 

カルゴ「うぉっ、くっ……」

 

縦横無尽に繰り出される木刀を、ギリギリで見切って受け流していく。受け流された後の立ち直りは素早く、こちらに反撃の隙を与えまいと、息をつく間すらも無いほどの連続攻撃を仕掛ける。

 

カルゴ「っ…ぐぬぬっ……あっ」

 

ジリジリと押され、背中が壁につく。

 

ヒビキ「もらったッ!!」

 

真上からの振り下ろしを警戒した俺は、頭の上で木刀を横に構えていたが、そんな俺の防御を嘲笑うかのように、俺の腕ごと、右こめかみを強打した。

ゴスッ、と鈍い音が部屋中に響いた。

 

カルゴ「痛ァ!?うわ、クソ痛てぇ!!」

 

床に倒れて木刀を手放し、こめかみを押さえる。

気絶しなかったのが奇跡のように感じられる程の衝撃だった。

 

ヒビキ「っしゃあああっ!兄貴に勝ったぜ!!」

 

椛「おめでとうっ!!」

 

呻く俺をよそに、飛び上がって喜ぶヒビキ。

もし俺が起き上がったら、握手に見せかけて手を握り潰してやろうかと思ってしまう。

 

カルゴ「あ゙ーっ!あ゙ーっ!痛てぇぇぇ!!」

 

天魔「やかましい」

 

床でジタバタ動き回る俺の頭をコツンと蹴る。

しかも、強打された右こめかみを、だ。

 

カルゴ「あ゙てっ!!何するんスか!?」

 

天魔「男子がいつまでも喚くな、見苦しい。初勝利なのだろう?多少は褒めてやったらどうだ?」

 

俺がヒビキを褒めるだと!?

弟を褒めるって一体どうやるの!?

 

などと内心でショックを受けるも、それをおくびにも出さずに、寝転がったままで、賞賛の言葉をかける。

 

カルゴ「オメデトウ、ヨクヤッタナ。コレカラモ精進セヨ。…こんな感じですかね」

 

天魔「なぜ棒読み口調になったのじゃ?ま、良しとするか」

 

現在俺は、ヒビキと椛の剣術指導を行っていた。俺が来ない日…つまり殆どの日は、暇潰しも兼ねて天魔が自ら指導をしているらしく、皆の成長には目を見張るものがあった。

中でも、ヒビキと椛の2人の成長が目覚しい。

天魔曰く、「子が産まれ、子の為に強くなろうと努力した結果じゃろう」との事。

 

カルゴ「俺がお前に負ける日が来るとはなぁ…」

 

溜め息をつきながら、よっこらせと立ち上がる。

 

ヒビキ「兄貴、女にかまけて修行サボってんじゃねぇの〜?俺に負けるとかー、有り得なーいw」

 

カルゴ「あ゙ァ゙?」

 

天魔「これこれ、あまり調子に乗るな。今は地に足が着いていて、尚且つ室内だったが、エスカルゴの真骨頂は空中戦じゃ。わしですら手を焼くというのに、お主如きでは相手にもならんて」

 

そう言って高らかに笑う天魔と、天魔ですら手を焼くと聞いて硬直するヒビキ。

 

そりゃー、得意もあれば不得意もあるっての。

地上戦…特に室内での武器戦はキツい。

慣れるしかないってのは分かってんだけどな。

俺の戦い方って、空間をフルに使うからね。

 

カルゴ「ま、剣術の修行が足りてなかったってのは事実だな。スペルの修行ばっかやってっから」

 

ヒビキ「あ…そっちはほとんどやってねぇや…」

 

カルゴ「バランス良くやらねぇとな、お互い」

 

ポン、とにこやかに肩を叩く。

強さは…平手で床が数ミリ凹むくらいの強さだ。

 

ヒビキ「あダァッ!?何すんだよ!?」

 

カルゴ「あぁすまん、力加減が」

 

ヒビキ「ぜってー嘘だろクソ兄貴!」

 

カルゴ「それでは天魔様、私はこれでー♪」

 

天魔「うむ」

 

ペコッと頭を下げ、天魔の屋敷を出ようと玄関へ向けて走り出し、ヒビキはそんな俺を捕まえようと追いかける。

 

ヒビキ「逃げんなー!」

 

カルゴ「こっこま〜でおいで〜♪」

 

その時、俺の足元に大穴が空き、ガクンと視界が揺れた。

 

カルゴ「……ほえ?」

 

穴…スキマじゃんか!紫さん!?足元じゃなくて目の前に出してくれませんかねぇ!?

 

瞬時にスキマだと見抜いた俺は、紫さんが自分を呼んでいるのだと判断し、飛んで脱出しようともせず、重力に身を任せた。

 

ヒビキ「うお…っとっと……うわあああああ!」

 

しかし、スキマが閉じきる前に、止まれなかったヒビキもスキマへと落ちてしまった。

 

椛「ヒビキ!?…な、無い…今空いてた穴が…」

 

2人が落ちた穴へ駆け寄る椛であったが、すでにスキマは閉じたあとで、そこには木目の床があるばかりだった。

 

天魔「今のは…八雲様のか。エスカルゴめ、何かやりおったのか?(いや、お願い…か?相変わらずじゃなぁ、ゆかりんは…)」

 

椛「や、八雲様と言いますと…大妖怪の…」

 

天魔「さよう。何かしら面倒な事に巻き込まれるじゃろうな。彼奴なら、大丈夫だとは思うが」

 

椛「帰って…来ますよね?」

 

天魔「言ったであろう。大丈夫だと思う、と」

 

椛「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長いようにも短いようにも感じられた、スキマ空間での落下にも終わりが来て、穴から抜けた俺は和造りの応接室の様な部屋に、背中から落ちた。

 

カルゴ「イテテ…。何だこk」

 

ヒビキ「うわああああああっ!?」

 

カルゴ「!?」

 

ムクリと身体を起こしたタイミングで、ヒビキが落下してきた。ちょうど頭の上に落ちたからか、首の骨がパキンと小気味よい音を立てた。

 

カルゴ「痛ァッ!?」

 

ヒビキ「お、助かった」

 

助かったじゃねぇよクソが…兄貴のことを尻下にしやがってクソガキぃ…!

 

カルゴ「って……え?」

 

ヒビキ「ん?…あっ」

 

再度体を起こした俺と、俺から降りたヒビキは、同じ部屋にいた2人の女性に、ようやく気が付いた。

 

紫「ようこそ、私の屋敷へ」

 

木製の机の向こうに座る、紫さんと藍さん。

紫さんは相変わらずの胡散臭い…じゃなくって、優雅な笑みを浮かべているが、藍さんは何やら、険しい顔つきだ。

 

カルゴ「紫さんの…屋敷…?」

 

この和風な建物は紫さんの屋敷だったのか。

ほへー…簡素な造りに見えるけど、ただじゃ壊れそうにないな…って、何考えてんだ俺。

 

ヒビキ「…!?お、俺、は…あ…え、嘘…」

 

ヒビキは、腰を抜かしてガクガク震えている。

八雲紫と言えば、大妖怪としてかなり有名なのでこうなっても仕方ない。

 

紫「はぁ…弟くんまで呼ぶつもりは無かったのだけれど…まぁいいわ。良い機会だし、お兄さんと一緒に話を聞いてもらいましょうか」

 

ヒビキ「ひィッ!?」

 

ズザッと後ずさるヒビキ。普段はお調子者の弟がここまで怖がるとは、妖怪の山でどのような教育をされて来たのかがよくわかる。

 

紫「そんなに怖がらなくても…。別に取って喰ったりはしないわよ?」

 

ヒビキ「あ…う……や、八雲、様…ですか…?」

 

紫「そうよ。ほら、エスカルゴもヒビキくんも、座りなさい?」

 

ヒビキにはくん付けなの?何だこの扱いの差は。

俺も幽々子様からはくん付けで呼ばれてるから、別にイイか。

 

カルゴ「はい」

 

俺は大人しく紫さんに従い、机を挟んで向き合うようにして正座する。

 

ヒビキ「あああ兄貴、なんでそう普通に居れるんだよ?こ、怖くないのか?」

 

後ろに手をついたまま、震えた声で声をかけてくるが、俺がそれに対する返事をする前に、藍さんが口を開いた。

 

藍「貴様、座れと言っているのが分からんのk」

 

藍さんがキレ気味に口を開くが、言い終える前に紫さんが手に持った扇子で頭をバチコン☆する。

 

藍「っ…何をするのですか紫様…」

 

紫「そんな事言うから座れなくなるのよ?見なさい、泣きそうになっちゃって」

 

ヒビキ「((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタカタカタ」

 

藍「私はただ、あの者が無礼を働いたから…」

 

紫「もういいわ、時間が無いから。パパッと説明しちゃうわ」

 

藍「……」

 

不貞腐れたように俯く藍さん。紫さんはこちらに向き直り、優雅な雰囲気から一変、真剣な顔つきになる。

 

紫「今も言ったけれど、時間があまり無いから、手短に説明するわ。あなたを呼んだ理由、そしてお願いを…ね」

 

カルゴ「俺で宜しければ、何でも聞きます」

 

立ち居住まいを正し、聞いてもいない依頼を受けると言い切ってみせる。もっとも、それがどんな依頼であろうとも受けるつもりだが。

そして、俺のその言葉を聞くと、ニンマリと頬を緩めた紫さん。

 

紫「率直に言うとね、幻想郷を救って欲しいの」

 

依頼を聞いた俺は、頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになる。幻想郷には、異変も事件も起こっていない。幻想郷の何を救えばいいのか。その、使命がはっきりしていない。

 

カルゴ「幻想郷を…救う…ですか?も、もう少し具体的に説明をお願いします…」

 

苦笑混じりに言葉を返すと、紫さんは大きな溜め息をついた。

 

紫「仕方ないわね。ちゃんと説明すると少し長くなるけど、一度しか言わないからよく聞いて」

 

カルゴ「はい」

 

長くなる、か。

長話には慣れてるぜ、どっかの文屋のおかげで。

 

紫「…外の世界の時間で言うと…今から約36年前位になるかしら。その年、あなた達兄弟の故郷、日本が終焉を迎えた」

 

兄弟「!?」

 

終焉…日本が?全く以て理解不能なんだが。

 

紫「とある破壊生物がね、あなた達の地元に突如として出現したの。その破壊生物は元人間でね、己が通っていた学び舎を破壊し、一度は自衛隊によって拘束されて監獄に入れられたのだけれど、それを破壊して脱出した」

 

カルゴ「ちょっと待って下さいよ!?破壊生物?地元に出現?どういう事ですか!?」

 

机を叩き、声を荒らげる。

日本が終わった事より、破壊生物、元人間という言葉に反応を示す。意識しての行動ではなくて、無意識のうちに行った反応だ。反射に近い。

 

紫「黙って聞いてなさい。…それでね、その破壊生物は監獄を脱出した後に、自衛隊やら何やらを相手に暴れたのね。その様をテレビ局のカメラが写していてね、それをリアルタイムで世界に発信していたの。当然、破壊生物はそのカメラを破壊した。けれど途中までは確かに映像として残っていて、確実に世界に広まったの。そうしたら、世界はどんな反応をしたと思う?」

 

唐突な質問に、俺もヒビキも首を傾げる。

 

破壊生物が何かと戦う様子を世界に発信したところで、合成と思われて終わりじゃないかな?

 

紫「日本に軍隊を送ってきたの。その破壊生物を殺す為にね」

 

カルゴ「日本政府がそんなの認めますかね?」

 

紫「認めないわ。だから、勝手に投入したの。…それで、世界中の軍隊と破壊生物は三日三晩の死闘を繰り広げたの。でもね、何を思ったのか、その破壊生物は思い切った行動に出たの。どうしたと思う?」

 

二度目の問いに、また俺達は首を傾げる。

 

紫「戦闘機を誘導して、まずは北海道へと向かったの。この国に復讐するために…ね」

 

カルゴ「誘導する事が復讐に繋がるのですか?」

 

紫「軍隊も蹴散らされ、街も荒らされ…他の国々は、“日本の次はこの国に来る”…と思ったのでしょう、日本政府の抗議も聞かず、ミサイルや核兵器まで使用してきたのよ。あなた達も良く知ってる、あの核兵器をね」

 

カルゴ「ま、まさか……」

 

ヒビキ「原爆……?」

 

紫「そう。それに加え、それ以上の威力を持つ、水素爆弾…水爆も使用してきたの。どうしても、自国に破壊生物を入れたくなかったのね。でも、それすらも、破壊生物は跳ね除けて、戦闘機を誘導し続けた。爆弾を落とさせて(・・・・・)、日本を破壊する為に」

 

カルゴ「何ってやつだ……」

 

藍「(貴様の事なのだが)」

 

紫「もし、日本を破壊していいって言われたら、破壊する?するなら、どうやって破壊する?」

 

今回の問いにはすんなり答えられる。

 

カルゴ「そりゃあもう、自分の力をぶつけまくりますよ。そんな兵器の力になんて、頼りません」

 

紫「なるほどね…。(力を持って、考え方が変わったのかしらね…)」

 

カルゴ「北海道に向かってどうしたんです?」

 

紫「爆弾をいくつもいくつも落とさせて、北海道一帯を更地にしたの。その後は東北へ、関東へ…といった感じで、沖縄を除く日本全土を破壊し尽くしたわ」

 

カルゴ「ヒデェ…」

 

ヒビキ「待てよ!人間はどうなったんだ!?」

 

住民の存在を思い出したヒビキは、敬語すらも忘れて紫さんに詰め寄る。

 

紫「…一番先に狙われた北海道は住民の海外への避難が間に合わず…殆どの住民が死に絶えたわ。でもそれ以外は、ギリギリで間に合った。これは世界中の軍隊や政府、一部の良心的な富裕層のおかげね」

 

ヒビキ「と、東北は……?」

 

紫「大丈夫よ」

 

この言葉を聞いて、俺とヒビキが安堵の溜め息を漏らしたのは言うまでもない。

 

紫「あなた達の母親も父親も、元気に暮らしているわ。復興した日本でね」

 

兄弟「チッ、父さん死んでねぇのか」

 

紫「!?!?…ど、どういう事かしら?」

 

カルゴ「いえ、それは後で話します。それより、沖縄を除く日本全土を破壊した後、破壊生物は…どうなったんですか?」

 

紫「私が滅したわ」

 

カルゴ「なるほど」

 

俺の知らねぇ所でそんな事が起こってたとはな。

 

紫「除染作業もしっかりなされて、住民も戻ってきて、ちゃんと復興したわ」

 

カルゴ「なら大丈夫じゃないですか」

 

紫「…この話を聞いて、違和感覚えたりした?」

 

カルゴ「そうですね…。なぜ沖縄だけを残した?くらいしか」

 

紫「簡単な話ね、疲れたのよ。その破壊生物が。それ以外には何かある?」

 

カルゴ「いえ」

 

俺は口で答え、ヒビキは首を横に振る。

 

紫「幻想郷は、一体何処にあるでしょう?」

 

カルゴ「日本の何処かですかね。…あれ?でも、破壊されたのなら存在してるのはおかしいのか?いや、博麗大結界なら原爆も防げる?うーん…」

 

紫「そう、日本の何処かにあった(・・・)の。それを私は、沖縄の大自然の中に移したの。丸ごとね。博麗大結界でも原爆は防げたりしないわ。そもそも、攻撃を防御するための結界じゃないからね」

 

カルゴ「つまり…今、幻想郷は沖縄にある、と。ほぇ〜…」

 

紫「…とまぁ、前置きは長くなったけれど、ここからが本題」

 

カルゴ「は、はぁ…」

 

前置き長っ!!

 

紫「アメリカが中国と北朝鮮と対立しているの。それで、もう戦争が始まってしまったから、それを仲裁してきて欲しいのよ。日本を守るためにね」

 

カルゴ「仲裁ですか?なぜです?日本は関係無いでしょう」

 

紫「…あなたは、世界地図が頭に入ってないの?日本がどこにあるかくらい分かるでしょ?」

 

カルゴ「……………あ」

 

日本は中国・北朝鮮とアメリカの間にある。

つまり、戦争なんてされたら日本にも少なからず飛び火が来る訳だ。

 

カルゴ「なるほど、分かりました」

 

紫「中国・北朝鮮はアメリカを、アメリカはその2国を攻撃する。でも、沖縄にはあるわよね?アメリカのあるモノが」

 

カルゴ「…基地ですか」

 

紫「そう。2国だって、敵の基地をみすみす見逃すはずが無いわ。そうなったら、沖縄にある幻想郷も危ない。だから、この戦争を終わらせてほしいの」

 

カルゴ「どうやってです?」

 

紫「月に行った時のこと、覚えているかしら?」

 

カルゴ「ええ。…あの時のように、上層部を殺害せよ、と。そういう事ですね」

 

紫「そういう事よ。ただしこれは、北朝鮮と中国の2国だけね。アメリカの上層部が居なくなれば世界の均衡が崩れるわ。そもそも、喧嘩を売ったのはその2国だしね」

 

カルゴ「わかりました」

 

ヒビキ「しかし、日本が終わった話とは関係無いのでは…?」

 

これまで殆ど黙っていたヒビキが口を開いた。

それは、次に俺が言おうとしていた疑問だった。

 

紫「ええ、無いわね。でも、あなた達が外に居た頃とは見違えるほど文明が発達しているからね。その理由を先に伝えておきたかったの」

 

カルゴ「時が流れれば文明は発達するものでしょう。俺が幻想入りして、外では約40年経っているんです、それくらい分かっていますよ」

 

紫「わかってないわねぇ…。大きな破壊のあとには、大きな成長が付き物なのよ。歴史で習わなかったかしら?」

 

ヒビキ「あー……高度なんとか…」

 

カルゴ「高度経済成長、ですか」

 

紫「そう。普通80年くらいかかる成長をたったの36年で済ませたわ。復旧、復興含めてね」

 

カルゴ「すっご…」

 

紫「あなた達が外にいた頃、近未来と言えば車が空を飛んでいたり……そんなことを思い浮かべていたんじゃない?」

 

カルゴ「ですね」

 

紫「技術の目覚しい進歩によって、今ではそれが普通になっているわ。もし破壊されていなかったら、ダラダラとした成長しか続けていなかったでしょうね。

…話が逸れたけど、私が言いたいのは主に3つ。

1、過去に日本が終焉を迎えたものの、目覚しい発展を遂げたという事。

2、その際に幻想郷を本州から沖縄へ移した事。

3、アメリカと中国・北朝鮮の関係が悪化してきているから、間にある日本…特に、2国からかなり近い基地がある沖縄が危ないという事。

引き受けてくれるかしら?」

 

カルゴ「もちろんです。しかし、何故アメリカとそれらが不仲になったのやら…」

 

紫「アメリカは、中国に超高額な関税をかけて、金を毟り取ろうとしたの。北朝鮮とは、核を巡って何らかのトラブルがあったようよ。詳しくはわからないけれどおおよそはこんな感じね」

 

カルゴ「なるほど…」

 

紫「エスカルゴが幻想入りしてから、9年9ヶ月。日本が終焉を迎えて、36年。……9がつくわね。不吉だわ…」

 

カルゴ「そうですね。36…3+6=9、ですか…」

 

紫「それでなくとも、エスカルゴは今年、後厄だと言うのにね。戦争といい、不吉な事ばかり続いちゃって嫌になりそうだわ」

 

え、俺って去年が厄年だったのか。

 

カルゴ「そうですね」

 

紫「それじゃあ、これから大まかな作戦、準備などを話すわね」

 

 

 

紫さんの話はまだまだ続きそうだ────。




まとめ

およそ36年前、破壊生物(エスカルゴ)が日本を破壊した。その際に、幻想郷を本州から沖縄へと遷都した。
⬇
日本は36年で復旧・復興、急成長を遂げた。
⬇
その結果、文明は見違えるほど成長した。
⬇
そんな中、アメリカが超高額な関税をかけて中国との関係が悪化。核を巡り、北朝鮮とも。
⬇
だんだん険悪になっていく。
⬇
戦争開始。
⬇
アメリカの基地がある沖縄の破壊を危惧した紫はエスカルゴに戦争の強制終了を依頼。

ぶっちゃけ、ヒビキの言う通り、日本が終わった話の下りは要らないんだけど…伝えておくべきなことって…あるでしょう?
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