※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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Q.色んな女性と交わってますが、性病とかは大丈夫なんですか?
A.エスカルゴは健康優良児です。また、幻想郷の女子達は性病なんて持ってません。だって、性病とかが幻想入りするワケないでしょう?

引き続き、どんな質問でも受け付けてます。


幻想郷防衛作戦・説明

─────俺たち兄弟は今、幻想郷の外にいる。

雲を見下ろし、薄い空気で何とか呼吸している。

そんな中で、俺たちは……。

 

ヒビキ「今ー、私のー♪」

 

カルゴ「願い事がー♪」

 

ヒビキ「叶ーうーなーらばー♪」

 

カルゴ「つばーさーがー、欲しーいー♪」

 

超有名曲、「翼をください」を歌っている。何故だか、2人して無性に歌いたくなったのだ。外が懐かしいという思いがこみ上げてきたからだろう。

 

ヒビキ「兄貴は翼あるけどな」

 

カルゴ「鳥のように白くねぇけどな」

 

歌詞に則ってツッコミを入れてみる。

 

ヒビキ「白狼天狗はどうやって空飛んでるんだ?翼ねぇだろ?どーやって飛んでるのか、自分でも分からん。俺も翼欲しいなぁ…」

 

羨ましむような視線を、俺の背中に向ける。

蝙蝠の様な翼だが鳥の翼よりカッコイイだろう。

 

カルゴ「まぁな。……この大空にー、翼を広げ、飛んでー行きた〜い〜よ〜」

 

ヒビキ「悲しみのない、自由な空へ」

 

カルゴ「翼〜はためかせ〜」

 

兄弟「行きたい〜〜…」

 

一番を歌いきり、ホゥと大きな息をつく。

 

カルゴ「悲しみのない自由な空へ…か。悲しみが無いのは幻想郷だけだろ」

 

ヒビキ「それな。…さーて、そろそろ行くか!」

 

カルゴ「だな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高度を落とした俺たちは、中国の上空に居る。

ここは中国……それしかわからないが、日本とは違ってグレーのコンクリートより緑、茶の自然が目立っている。都市部の方にはチラホラとグレーが見えるが、本当に一部だけだ。都市部と農村部の貧富の差は、俺らが外にいた頃より開いていると見える。

 

ヒビキ「ゲホッ…空気汚ぇ…」

 

大気汚染も健在…いや、悪化している。

薄くモヤがかかっているというレベルではない。茶色い霧が立ち込めている。黄砂の季節では無いので、黄砂ではなく大気汚染だと考えるのが妥当だろう。

 

カルゴ「マスク着けよ」

 

弦月姫特製の四次元ポケットから、過去に魔理沙から貰ったマスクを取り出して着用する。

これは対胞子用のマスクだが、キノコの胞子は1000分の5mmに対し、微小粒子状物質(PM2.5)とは粒径2.5μm(マイクロメートル)以下の粒子状物質だ。

つまり、対胞子用マスクなど意味が無い訳だが、マスクの匂いによって嗅覚だけは保護できた。

2.5μmは髪の毛の太さの30分の1程度、花粉より小さい大きさという事になる。本当に微細だ。

 

ヒビキ「チッ、俺にもマスクくれよ」

 

カルゴ「すまん、これしか無い」

 

ヒビキ「薄汚れた空気を吸うなんてごめんだぜ。クソ、早く終わらせるか!」

 

カルゴ「どこに軍用品あるかわかるよな?説明、聞いてたもんな?」

 

説明…作戦の事ではない。

スキマを開く前に、各国が軍用品を貯蔵、保管、制作している土地を尋ねたところ、『荒野の中に立派な建物があれば、そこね』と答えた。やはり自然の中にある事が多いらしい。実験を行う際に人払いをしなくて済むからだろう。

荒野の中に建物…。茶色い荒野にポツンと要塞があるのなら、上空から見たらさぞかし目立つことだろう。ここはまだ高度が高過ぎて見えないが、もう少し高度を下げれば見えるはずだ。

 

ヒビキ「おう!じゃあ、また幻想郷で会おうぜ、兄貴!」

 

カルゴ「ああ」

 

勢い込んで言い放ち、単身滑空を始めたヒビキ。

俺はそれをしばしのあいだ眺めていた。

 

今の…死亡フラグ…じゃ無いよな?

 

カルゴ「…アイツなら大丈夫だよな。例え中国が相手だったとしても。俺も…そろそろ戦(ヤ)るか!」

 

ペロリと唇の周りを舐めまわし、北朝鮮目指して急降下を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

藍Side

 

やれやれ…天魔の相手は本当に疲れる。すんなり納得してくれたのはいいが、その後の長話が…。面倒だったのはアイツだな…犬走椛。

彼が急に消えた挙句大騒動に巻き込まれたのだ、怒り狂うのは当然とも言える。

太刀を振り回してきたときはどう対応しようかと迷ったが、天魔が間に入ってくれて助かった。

しかしこんな事では、エスカルゴ(アイツ)の女共からは何と言われることやら………。

 

藍「さて…着いたぞ、永遠亭…」

 

紫様とここで働く医師、八意永琳には、月関連の確執があるとか。第三次月面戦争の頃になると、以前までよりかはそうでも無くなったらしいが、その溝が完全に埋まった訳では無いと考えて良いだろう。用心に越したことはない。

 

藍「ごめん下さい」

 

診療所側ではなく住居側から堂々と訪問する。

すぐに扉が開いたが、出てきたのは名もわからぬ兎だった。

 

兎「?オバサン誰?」

 

藍「オバっ……」

 

初対面の者にこの発言だと!?キチンとした躾がされていない様だな…!いやいや、こんな事で腹を立てている場合では無い。

一刻も早く、あの月の兎に伝えねば。

 

藍「八雲紫様の式、八雲藍だ。エスカルゴの女のあの兎に、『エスカルゴの件で話がある』とでも伝えてくれ」

 

兎「やくっ……!?わ、わかりましたぁ!」

 

顔を引き攣らせ、慌てた様子で引っ込む兎。

 

ほぅ…こんな妖怪兎でも紫様の名は知っているのだな。流石と言わざるを得ないな、紫様の知名度には。

 

鈴仙「はぁっ、はぁっ、はぁっ……エスカルゴに何かあったの!?」

 

それから約30秒後、凄い勢いで廊下を走ってきた兎は、開口一番そう言った。やはり思った通り、彼の名を出せば仕事中でも飛び出してくる様だ。

 

藍「落ち着いて聞いてほしい。奴は今、幻想郷の外の世界にいる。来たるべき災厄を除く為にだ。故にしばらくお前らと会えなくなるので、それを伝えに来た。急な事で本当に申し訳ない。しかし急を要する案件なのだ。どうかそこだけは許されたい。……なにか、聞きたいことはあるか?」

 

鈴仙「来たるべき災厄…って何?」

 

藍「外の世界で、現在進行形で起こっている戦…それが幻想郷を滅ぼす可能性があるのだ」

 

鈴仙「はぁ…外の人間達はまた戦しているのね。依姫様の言う通り、進歩しないのね…」

 

また(・・)?なぜ、過去にも起こったことを知っているのか………と思ったが成程、コイツの元上司は月の使者…地上を見張っているのだったな。

知っていてもおかしくはないか。

 

藍「そうだな、まるで進歩していないな。だが、技術の面ではかなりの進歩を遂げている。たった一度の爆撃だけでこの幻想郷全土が焼き払われるレベルにまで達している」

 

鈴仙「そんな…っ」

 

藍「だから、それを防ぐためにお前の彼を借りているのだ。しばらく会えないが、必ず帰ってくるから大人しく待っていて欲しい」

 

鈴仙「…わかったわ。ちょっと寂しくなるけど…娘と待ってるわね」

 

藍「ああ、そうしてくれると助かる。それでは、私はこれで失礼する。他の者にも伝えねば」

 

鈴仙「フランちゃん達には気を付けて…」

 

藍「もちろんさ」

 

私も紅魔館が一番ネックだと思っているからな、本当に気をつけて行かねばなるまいな…。

次は、鴉天狗の仕事場か紅魔館の二択…。

仕事場に行ったところでどうせ不在だろうから、先に厄介な紅魔館を片付けておくべきだろうか。

 

そう判断した私は、紅魔館へ向けて移動を開始。紫様から分け与えられた能力は使わない。出来るだけ消費を抑える為だ。

 

美鈴「おや?あなたは…」

 

藍「エスカルゴの件で話がある。ここの主と妹…それと、メイド長に会いたいのだが、中に入ってもいいか?」

 

美鈴「少々お待ち下さい、許可を取ってきます」

 

藍「出来るだけ早く頼む。かなり急を要する用件なのだ」

 

美鈴「わかりました!」

 

それから約2分後、突然メイド長と主、その妹が現れた。時を止めて運んだのだろうか。

それから遅れて、門番が欠伸をしながら玄関から出てきて、定位置についた。

 

レミィ「お待たせしたわね。それで、八雲の式がこの私になんの用?あなたとエスカルゴは、殆ど面識が無かったはずだけれど」

 

藍「そうだな。だが今回のこれは、私個人の用件ではなく、紫様からの伝言の様な物だ。真面目に聞いてもらいたい」

 

レミィ「へぇ…?話して」

 

やれやれ…何でこんな小娘に、下に見られなくてはならないんだ、腹立たしい。

 

内心でムッとしながらも、先程永遠亭で兎に話した事と一字一句違わぬ説明を述べる。話していくにつれ、3人の表情は段々険しいものとなっていった。

 

藍「…して、なにか聞きたいことはあるか?」

 

フラン「聞きたいことが多すぎて、何から聞けばいいのかわかんないや」

 

咲夜「私もです…」

 

そんなに聞きたいことがあるのか。

しかしまぁ、怒ったりして面倒な事になると思っていたから、いくらか安心したぞ。

 

レミィ「じゃあ、遠慮無く聞くわ」

 

そう前置きをして、主が重々しく口を開いた。

何を尋ねるのかと、メイド長と妹は主を見る。

 

レミィ「なんであの女はエスカルゴを頼るの?」

 

藍「…それは、私にはわからない。尋ねた所で、いつも軽く受け流されて終わりなんだ」

 

レミィ「ふぅ〜ん…肝心な所は隠すのねぇ…」

 

藍「答えたくても答えられないのだ」

 

どこか挑発的な言動に、眉がピクリと動く。私の表情の変化を目ざとく見つけた主は、クスクスと笑う。

 

藍「…何がおかしい」

 

レミィ「あの女がエスカルゴに頼む理由が、なんとなく分かってね。そうかもしれないと思ったらおかしくなっちゃって」

 

藍「お前如きに紫様のお考えがわかるものか」

 

レミィ「あくまでも“なんとなく”何だから、真に受けないでちょうだい?」

 

何なんだ、こいつの思わせぶりな態度は。

しかし、どうにも気になってしまうな…。

 

藍「因みに、どういう考えなんだ?」

 

レミィ「確実じゃないし、誰かに話せる様な内容でも無いから、言わないでおくわ」

 

藍「………」

 

誰かに話せる様な内容じゃないだと?

一体どういう考えだというのだ…。

 

もう少し踏み込もうと口を開きかけるが、それを察したかのようなタイミングで、主が口を開く。

 

レミィ「話はわかったわ。私も暇じゃないから、これから予定があるの。お引き取り願うわ」

 

手をヒラヒラとさせ、話はもう終わりだと促す。黙ってそんな様子を見ていると、くるりと背を向けて玄関へ向かい始めた。妹は黙ってそれを追い、メイド長はペコリと頭を下げて主を追った。

あとには私と門番のみが残った。

 

藍「何なんだアイツは…!」

 

美鈴「!」ビクッ

 

まぁいい…あとは新聞記者だけだ。

色々動き回るからな、アイツは。スキマ使うか。

 

新聞記者をスキマで探して、その背中を見つけた時、妙な違和感を覚えた。新聞記者は、紅魔館の門前を写真に収めているようだ。

今私がいる、紅魔館門前を。

 

藍「この私を写真に撮ろうなど…!」

 

バッと振り返るとそこには、新聞記者とその娘がカメラを構えてこちらを見ていた。

 

文「あやややや、見つかってしまいましたか!」

 

藍「貴様…いつからそこに居た!」

 

この私が、奴らの気配に気付けないだと?

気配を隠す術は向こうの方が一枚上手なのか?

 

文「エスカルゴさんに関する話が、私にもあるのでしょう?」

 

藍「…あぁ、そうだ」

 

最初から居た…のか?

 

文「(これは特ダネですねぇ!まさか、八雲の者が白昼堂々紅魔館を訪ねるとは!)」

 

藍「真面目な話なのでな、メモなどは抜きで聞いてもらいたい」

 

文「仕方ないですねぇ…。わかりました」

 

渋々といった様子で、胸ポケットにペンと手帳を仕舞った。娘も同様だ。

私とて早く用事を終えたかったので、場所を変えずにそのまま話を始めた。

 

美鈴「(眠い……)」

 

藍「で、何か質問は?」

 

文「この話を記事にしてもよろしいでしょうか?と言いたい所ですが、ダメですよねぇ…」

 

藍「分かっているじゃないか。そうだ、ダメだ。幻想郷がパニックに陥るかもしれないからな」

 

文「ですねぇ…。話はわかりました。それでは、私はこれで失礼します。行きますよ、穹」

 

穹「は、はい!」

 

藍「待て」

 

やけに素っ気ないその態度に違和感を覚え、つい呼び止めてしまう。

 

文「はい?記事にはしませんよ?」

 

藍「そうではない。やけに、エスカルゴに対して淡白では無いか?」

 

文「あやや…そう見えます?」

 

藍「ああ」

 

素直に答えると、両手を肩の位置まで持ち上げ、ヤレヤレと首を横に振った。

 

文「わかっていませんねぇ、恋愛というものを」

 

知らんわそんなの。

 

藍「知らんな」

 

文「会えない時間が長ければ長いほど、会えた時の喜びが増すのですよ♪ それでは!」

 

それだけ言い残し、猛スピードで飛び去った。

 

藍「???」

 

わからんなぁ…。想い人とは常に共に在りたいと願うのが恋愛だと教本で読んだ記憶があるが。

 

藍「…」

 

恋愛だの何だのは己とは無縁と結論付け、自分の考えを振り払い、スキマで主の元へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

咲夜Side

 

咲夜「お嬢様。八雲の狐がスキマでどこかへ消えました」

 

レミィ「大方、永遠亭か博麗神社へ向かうのでしょうね。或いは主のところかも…」

 

この事はきっと、エスカルゴさんの彼女達全員に伝えるべき事なので…エスカルゴさんの代わりにあの狐が伝えているのだと思う。かなり大変だと思うけれど、本人不在の今、代わりにあの狐が動くしかない。

 

それにしても…さっきの“考え”が気になるわね。

お嬢様は一体、何をどう考えたのかしら…。

 

そんな私の心を読んだかのように、妹様がお嬢様にそれをズバリ尋ねる。

 

フラン「ねーお姉様ー。さっき言ってた考えってどんな考えなの?」

 

レミィ「そうねぇ…単なる彼氏自慢…かしらね?うふふっ♪」

 

フラン「それじゃわからないよー…」

 

レミィ「私達のエスカルゴが…あの八雲紫が頼るほどの実力者なんだなぁ…って…。そう思ったらなんか、嬉しくてね♪」

 

フラン「そーゆー事かー♪」

 

確かにそう考えたのなら納得です。

しかしあの時の笑い方…嬉しかった時の笑い方ではなく、馬鹿にしたような笑いだった…。

もう1つ理由があるのでは?

 

疑問に思った私は、ストレートに尋ねてみる。

 

咲夜「しかし先程、『そうかもしれないと思ったらおかしくなっちゃって』…とも…。何か、もう1つお考えがあるのではないですか?」

 

レミィ「そうねぇ…。八雲紫を馬鹿にするような考えだったから、あの場では言わなかっただけ。聞きたい?別にあなた達になら話してもいいわ」

 

フラン「聞きたーい!」

 

咲夜「私もです。お聞かせ下さい」

 

私たちのお願いを聞いたお嬢様は、満足そうに大きく頷き、重々しく口を開いた。

 

レミィ「八雲紫には幻想郷を救う力なんか無く、他者から力を借りて幻想郷をこれまで存続させてきたんじゃないか……って思ったの。自分は最低限のサポートしかせず、直接手は下さないでね。でもそんな事を言ったら、八雲紫が権威を振るうこの幻想郷では暮らしていけないでしょうから、ああやって誤魔化したの」

 

咲夜「あぁ…怒られますねそれは…」

 

でも確かに…そうなのかも…?

第三次月面戦争の時も、エスカルゴさんに任せっきりだった…。とはいえ、大昔の第一次月面戦争の時は自分で動いたらしいけど…。

 

レミィ「殺されるか追い出されるかの二択ね」

 

フラン「嫌ねー、物騒すぎ〜」

 

大袈裟に頭を振る妹様。

お嬢様が出したその二択は、究極的なものだけれど、プライドの高いあの妖怪なら有り得そうだから恐ろしい。

 

レミィ「そうね。自分で考えても、吐き気がする考えよ。…さぁて、こちらはこちらで、準備を進めるわよ。咲夜!!今すぐ、アリスと魔理沙を連れてきなさい!大急ぎで!!」

 

何故?…その疑問を口にする前に、普段のクセで返事を返して、紅魔館を飛び出してしまった。

理由を聞くのを忘れていた事を思い出したのは、実に任務を終えてからのことだった。

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