※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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突然の別世界 〜出会いはいつでも突然に〜

真夜中のとある学校では、2人の少年と少女と、連れの幼犬2匹が、見回りを行っていた。

 

??「うーん…今日は居ないね、妖(あやかし)…」

 

あまりにも呆気なく捗る仕事に、素直な感想を漏らす高校1年生の女子、雪村(ゆきむら)時音(ときね)。

 

??「居る方がいいのかい、ハニー?」

 

彼女の連れの幼犬、白眉(はくび)。

齢(よわい)400歳の、雄の化け犬であり、事情があって雪村家に仕えている。結構チャラい。

 

時音「別にそーゆー訳じゃないけど…」

 

??「でも、確かに張り合いねーよな」

 

先端に刃物がついている天穴(てんけつ)という道具を振り回しながら、不満を漏らす中学2年生の少年、墨村(すみむら)良守(よしもり)。

 

??「またあんたはそんな事言って…。いざ大物が来たら全然対処出来ないくせに」

 

良守の傍らに居るのは、白眉と同じ事情により、墨村家に仕えている斑尾(まだらお)。

齢500歳の化け犬で、若干オネエ口調?の雄だ。

この2人+2匹で、私立(しりつ)烏森学園(からすもりがくえん)を守護している。

それがこの2人、結界師(けっかいし)の仕事だ。

 

良守「うっせー!俺だってそれなりに場数踏んでるんだ、どんな奴でもドンと来い!」

 

斑尾「なーんて言って、前に龍みたいな土地神が来た時にロクな対応してなかったじゃないか」

 

良守「あっ、あの時はしょーがなかったんだよ!母さんが悪い!」

 

斑尾「はいは───来たよ!」

 

言葉途中で妖の侵入を察知した斑尾は、皆に知らせる。

斑尾・白眉は、妖の侵入を感知でき、数も把握が可能で、妖の匂いを辿って位置を教える。結界師は、妖の侵入を感知でき、おおよその数が分かる。

 

白眉「相当強ぇ奴が5体も現れやがった」

 

良守「どこら辺だ!?」

 

斑尾「校庭の真ん中辺りだねぇ。でも、5体とも土地神級(クラス)…それも、その中の1体は最高神レベルに強いよ」

 

良守「んなっ…!?」

 

白眉「どうするんだよヨッシー、本当にヤベェ奴来ちまったぜ?」

 

良守「た、退治だ!それしかないだろ!」

 

白眉「土地神殺しは重罪だ」

 

良守「ぐっ……」

 

時音「とにかく行くよ良守!」

 

良守「待てよ時音!」

 

土地神級の妖が突如現れた烏森学園。

妖や霊、神などの人ならざる者に力を与えてしまう、謎に包まれたこの土地を守る為、2人は校庭へ颯爽と向かっていった────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「ん〜、夜ってのァ良いなぁ〜♪」

 

フラン「そうね〜♪」

 

レミィ「今夜は満月だし、それもあるでしょう」

 

カルゴ「おっ、そうだな♪」

 

とある満月の夜、俺達吸血鬼は夜の散歩を楽しんでいた。咲夜さんと弦月姫も居る。

紅くは無いが、とても綺麗な満月だ。

 

咲夜「吸血鬼に成ってから、満月になるとなにかワクワクするようになりました」

 

その言葉に、弦月姫も頷く。

咲夜さんは後天的な吸血鬼で、俺と同じく元人間なので、人間の感性を持ち合わせている。しかし幼い頃から悪魔(レミリア)に仕えているせいか、たまにズレているところがあるが、それはご愛嬌だ。

 

カルゴ「夜ならではのこの空気、イイよな〜」

 

フラン「ホントね〜♪」

 

ムワッと蒸し暑いが、それ以上に風が心地よく、そこまで嫌な気持ちにはならなかった。暑いのが苦手でも、風さえあればなんて事はない。草木の濃い匂いも、自然に包まれている感じがするので大好きだ。

そうやって楽しんで夜の幻想郷を遊覧していた俺たちだったが、突然目の前の空間がパックリと開いた。向こう側は見えない。

 

フラン「何あれ」

 

レミィ「紫のスキマ…かしらね?」

 

カルゴ「いや、紫さんのスキマなら、目玉とか標識とか変なのも混ざってるだろ」

 

レミィ「それもそうね」

 

しかし、目の前の裂け目は真っ暗だ。

夜目が効く吸血鬼の目でも見えないという事は、シンプルに「黒いから」の言葉で片付く。

暗いならば見える。しかし黒いなら見えない。

何故だろう、これは何なんだろう、と腕を組み、夜空を見上げて考え込むが、答えは出ない。

 

咲夜「避けて通りましょう、お嬢様」

 

レミィ「それもそうね……って、フラン!」

 

レミリアの叫ぶ様な声を聞き、フランを見る。

しかし、居ると思っていた所におらず、まさかと思い裂け目に目をやると、フランの特徴的な翼が丁度見えなくなった所だった。

 

フラン「あっ、なんかあるよー!行こ行こー!」

 

スキマ(?)からフランの声が聞こえてきた。

これは、追わざるを得ないだろう。

 

カルゴ「コラ、フランッ!!」

 

俺はフランの後を追ってスキマに入り、レミリアに続いて咲夜さん、弦月姫も入る。

穴から出ると、地に足が着き、もっと蒸し暑い空気に包まれた。地面は土、だが周囲はグレーの壁…いや、建物に囲まれている。時計があり、屋上には貯水槽があり、犬走りや体育館がある。

窓が多数ある所を見ると、ここは学校だろうか。

 

咲夜「ここは…?」

 

レミィ「どうやら、幻想郷では無いところに来てしまったようね」

 

カルゴ「外の…世界か?」

 

学校…なのか?

 

フラン「えっ!?」

 

弦月姫「なんか嫌な空気ですね…蒸し暑い…」

 

ふと背後を見ると、スキマ(?)が閉じていた。それの意味するところ、もう帰れないという事だ。

 

カルゴ「えー…これ、どーしろって……ん?」

 

ちょうどその時、誰かが駆けてくる音が耳に入ってきた。そちらに目をやると、青地に白いひし形の紋が入った着物を着て、黄色を基調とした紺色の線があるスニーカーを履いた少年と、白地に黒いひし形の紋が入っている着物、腰にクナイを数本装備し、草履を履いた極めてロングヘヤーの少女がこちらに向かって走ってきていた。

それぞれの傍らには、白い犬のようなナニカと、灰色を基調として白い眉毛をした犬のようなナニカを連れていた。

 

 

 

時音「白眉、あれが土地神様?どう見ても、子供4人と大人1人って感じだけど」

 

白眉「土地神とは言ってねぇ、土地神級(クラス)の妖って言ったんだ。どっちとも知れねぇが、とんでもない強さなのは間違いないぜ」

 

良守「どっちなんだ、はっきりしてくれよ!退治出来ないじゃないかっ!」

 

斑尾「真ん中のあの男からは、微弱だけど神の力を感じるねぇ。下手に退治して、面倒な事にならないと良いけど」

 

 

 

カルゴ「…なんて言ってるぜ?」

 

吸血鬼は地獄耳。

向こうの会話なんて、1から10まで丸聞こえだ。

 

レミィ「下らないわ。土地神?どっかの土着神と同じにされたくないわね」

 

それって諏訪子様の事か?

 

カルゴ「とりあえずコンタクト取るか」

 

レミィ「そうね。咲夜と弦月姫は待ってなさい」

 

フラン「私はやめとくわ…なんか怖い…」

 

カルゴ「オッケ」

 

 

 

斑尾「おや、向こうの5人のうち2人が来るよ」

 

良守&時音「!!」

 

妖が近付いて来るので、2人は戦闘態勢に入る。

それを見ながらも、俺たちは歩みを止めない。

4者の間がおよそ10m程になり、歩みを止めて、向き合う形をとる。学校の校庭を、緊迫した空気が支配する。そんな沈黙を破ったのは、俺だった。

 

カルゴ「こんばんは」

 

良守「えっ?」

 

時音「こ、こんばんは…?(挨拶してきた…?)」

 

斑尾「(おかしな奴だねぇ…)」

 

カルゴ「ここは何だ?そんでお前達は何者だ?」

 

どっかで見たことあるんだが…なんだっけ…。

んー…外の世界?かどこかで見たことあるんだがなぁ…思い出せないや。

 

良守「そいつはこっちのセリフだ、この妖!」

 

時音「良守、口に気を付けな。最高位の妖だし、気位が高いのよ。そんな態度じゃあんた、殺されかねないよ」

 

良守「うっせー!なら時音が話せばいいだろ!」

 

時音「全く…」

 

大きめの溜め息をついた後、ロングヘヤーの女は一歩進み出て、話を始めた。

 

時音「この烏森の地を守る結界師の任についております、雪村時音と申します。話のわかる相手とお見受けして、お願いがございます」

 

レミカル「?」

 

結界師……あーーーーー!!!!

人間の頃にアニメとして見てたヤツやん!!!

落ち着けー、落ち着くんだ、俺!

 

時音「失礼ながら、この土地に侵入した現世の理から離れた生き物は、排除するか抹殺するのが私達の務めです。こちらとしても穏便に済ませたいので、出来れば即刻ここから立ち去っていただきたいのですが…」

 

カルゴ「…と言われてもな…」

 

あれ、すぐ退治しないの?

俺のこと神様的なやつだと思ってるから?

 

時音「あの……烏森に来たのは何か目的が?」

 

カルゴ「いいや。だが、帰る方法が無くて途方に暮れていたところだ」

 

時音「帰る方法が無い…?」

 

カルゴ「空間の裂け目に入ったら、ここに来た。元々は別の世界に居たんだ」

 

時音「空間……。白眉、私達の術も…」

 

白眉「ああ。結界術は、本質的には空間を統べる能力だ。上位の術者なら、ワームホールを作り出す事なんて造作もないだろう」

 

時音「(なら、これには私たちと同じ系統の術者が関わってる可能性が多分にある…か。やだなぁ、もう…土地神クラスとか有り得ない…。)でしたら、元の世界に戻る方法が見つかるまで、私共の家で過ごすというのは如何でしょう?」

 

5人「!?」

 

良守「時音ぇ!?」

 

時音「仕方ないでしょ?妖でも霊でも神様でも、ここに居ちゃ変化するし、監視するっていう意味でも、あんたんとこか私のとこに居てもらった方が良いでしょ?ウロ様の時のこと思い出してみな」

 

良守「うぐ…!なら、男の方は俺んとこだ!」

 

カルゴ「待て2人共。こちらはまだその話を承認してないんだが」

 

良守「俺んとこにも雪村んとこにも行かねーなら今すぐ滅してやる!!」

 

警戒心を露わにし、戦闘態勢に入る。

 

カルゴ「やれやれ、仕方ない…。そっちがその気なら、こちらもそれ相応の対応をさせてもらう」

 

斑尾「あー…バカだねぇ良守(この子)は…。最強クラスの妖をその気にさせちまったよ…」

 

白眉「ハニー、俺たちは遠くから見てよーぜ?」

 

時音「バカ言ってんじゃない白眉!援護するよ!どうにかしてアイツ抑えて、また話出来るようにしなきゃ!」

 

フラン「エスカルゴ、私も…」

 

カルゴ「俺1人でいい」

 

フラン「でもっ…」

 

カルゴ「俺が人間2人にやられると思うか?」

 

フラン「ううん!…わかった、頑張って!」

 

白眉「(どーにも、自信たっぷりだな、アイツ…。けど、その自身に見合う実力は持ってそうだ…)」

 

良守「ヘンッ、その女たちには手伝ってもらわないのかよ!」

 

カルゴ「俺1人で十分、お前達を制圧できるからそんな必要は無い。ほら、いつでも来い」

 

良守「上等だぜ!すぐに滅してやる!」

 

 

 

謎の人物によって、一時的ではあるが、別な世界同士が繋がり…本来出会うことの無い者達が出会い、結界師と吸血鬼の戦いが、幕を開けた。




クロスオーバー先に、「結界師」というマンガ
(アニメ)を選びました。幼い頃から読んでるの
で、彼らが使う術などは熟知してます(*`ω´*)ドヤ

龍みたいな土地神:コミックス第16巻収録


さて、この世界を繋げたのは紫さんか?
それともまた別な誰かさんなのか?
(結界師の漫画読んだことある人は、なんとなく察せると思うよ!)
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