???《起ーきーろー》
ん…誰だ…。
???《起きろー!》
っさいなぁ…俺は眠いんだよ…寝かせてくれ…。
???《起きろーーーー!!》
カルゴ「ふぁっ!?」
目が覚めるとそこは、見慣れない和室だった。
紅魔館で寝泊まるはずが、なぜか布団だ。
そして同じ部屋には、フランとレミリアと、咲夜さん、弦月姫の4人がいる。
一瞬何が何だか分からなくなるが、昨夜の出来事を思い出して、やっと冷静を取り戻した。
その間、およそ10秒。
諏訪子《やっと起きた?おはよ》
カルゴ《おはようございます》
今朝のモーニングコールは諏訪子様だったか。
いやー、叫び声じゃなきゃ最高の目覚めだった。
可愛いから大満足だけどね。
諏訪子《それはいいんだけどさ、暇だから遊びに来てよー。お菓子も沢山あるけど、たまには弾幕ごっこもしよー?》
カルゴ《いや、その…》
諏訪子《ん?》
カルゴ《今俺、別世界に飛ばされてまして…》
諏訪子《ええええええええええ!?なんで!?》
カルゴ《昨晩、散歩中に、空間の裂け目に入ったら別世界に…はい…》
諏訪子《空間の裂け目………紫ぃぃぃ…!》
おぉう…怖い怖い。
諏訪子様の、憎々しげな声が聞こえてくる。ギリギリと歯を食いしばる音さえ聞こえてきそうだ。
諏訪子《待ってて、すぐ紫に連れ戻させるから!帰ってきたらまた遊ぼ!》
カルゴ《はい!》
紫さんじゃないとは思うけど…その話はまた後でしようかな。向こう側から繋げてくれるんなら、すぐに片付くだろうな。何たって紫さんだもん。
改めて周りを見渡すと、超早起きの咲夜さんでもまだ眠っている事に違和感を覚えた。
床に着いたのが朝方だったから、眠いのも確かに仕方ないだろう。
カルゴ「って…何すればいいの?」
時計を見ると、午前9時半を指していた。
中学生の良守、高校生の時音はとっくの昔に学校に行っているだろう。これは、話をするチャンスかもしれない。
カルゴ「『分身』」
俺が起きて、学校へ行った事を皆に伝え、皆が外に出ないよう見張ってもらうために分身を作成。
分身「なんで別世界で俺を…って、聞かなくてもわかるけどな。けど、念の為に見つからねぇ様にしとけよ?」
カルゴ「ああ。光学迷彩スーツを使うから大丈夫だ。弦月姫が作った空間の中に、常時忍ばせてあるからな」
分身「だな、それがいい」
結界師の世界では、霊感のある者は妖が見える。
良守の父、時音の母には霊感が無いため、彼らと話すには誰かを仲介人に置かないといけない。
良守のクラスメイトの
この子はかなり強い霊感の持ち主で、妖や神様、良守と時音たちの使う結界すらも見えてしまう。
良守に接触を図る中で、百合奈に見つかると色々めんどくさい。いや、妖などを見かけると良守に報告するので、逆に利用出来るかもしれない。
それでも、余計な接触は避けるべきだろう。
部屋を分身に任せ、昨晩咲夜さんと説明した時子の部屋へと向かう。
時子「どうぞ、お入りください」
さすが時子、気配で察知したようだ。
カルゴ「失礼する」
部屋に入ると、作中にあるように、盆栽を眺めていた。枝の
時子「どうかなさいましたか?」
カルゴ「神と交信してきた。恐らくは、今日中に元の世界に帰れるだろう」
神と交信してきた…とだけ聞くと、「こいつ、頭大丈夫か?」と言いたくなるが仕方ない。
時子「そうなのですか。しかしそれならば、なぜあの場で交信しなかったのですか?」
さすが時子(2回目)、鋭い。
カルゴ「あの時間帯では、神は眠りについておられる。眠りを妨げることになってしまうのだ」
時子「おや?神とは数百年毎に目覚めるものでは無いのですか?」
あっ、しまった。
幻想郷の神と結界師の世界での神のズレが…。
カルゴ「住む世界が異なれば、神の質にも違いがあろう。こちらの世界の神は、時子が言うほど、荘厳なものでは無い。結構のほほんとしていて、案外話しやすいものだ」
時子「は、はぁ…」
カルゴ「そこで、だ。俺は退屈している、学校へ行ってもいいか?」
時子「(神様にも影響を与えるとはいえ、それは、守るべき土地を失った土地神へのみ…。ウロ様のような、守るべき土地がある土地神は烏森の力の影響はほとんど受けない…。しかし、今回は祟り神の眷属……どうするべきか……)」
長い沈黙の末、ようやく口を開いた。
時子「…わかりました。しかし、魔性に変化した場合は、選任の結界師に滅せられますので、そのおつもりで」
カルゴ「もちろんだ」
土地神殺しは重罪。神殺しも重罪。
ならば、その眷属殺しは?
作中では明らかになっていないので、詳しい事は俺にはわからない。だが、この口振りから察するに、重罪ではなさそうだ。
神が侵入しても、結界師達はそれを感知しない。
しかし昨晩、繁守と時子は烏森に駆けつけてきたので、侵入を感知したということだ。つまり俺は神ではなく神の眷属…
俺から神の力を感じるというのもあながち間違いではなく、俺を加護して下さっている諏訪子様の力なのだろう。
神の眷属が最高神級(らしい)の力を持つ理由は昨晩散々聞かれたが、「修行の成果」の一点張りで時子を黙らせた。
カルゴ「では、行って参る」
時子「お気を付けて」
雪村家の門を、時子から見送られながらくぐる。
カルゴ「光学迷彩、オン」
時子「(消えた…!?)」
ここから学校までは、そう遠くない。
それは、烏森の地に異変があった時にすぐ駆けつけられるようにする為なのは、言うまでもない。
全力では無いが、かなりのスピードで飛行する。
よく見慣れた烏森学園が、すぐに目の前に来た。
良守「…むにゃ……妖……?ふあぁ、眠い……」
時音「先生。お腹痛いので保健室行ってきます。(全く、なんで昼間から妖なんて来るのよ…しかもかなりヤバいレベルの…!)」
光学迷彩をオフにし、良守を探し始める。
彼は案外、簡単に見つかった。
カルゴ「あ、いた」
良守は、授業をまともに受けていない。
授業中は寝てるか、ケーキ作りの構想を練るか、消しゴム判子を作るか、屋上でサボるの4択だ。
今回は、都合よく屋上にいた。
良守曰く「お昼寝用結界」を張っており、その中で寝ている。
カルゴ「よう」
良守「ぐー……ぐー……」
そうだった、防音機能もあるんだったな。
カルゴ「『雷神拳』」
良守の結界は、比較的強力だ。
なので、普通に殴ってもダメだろうと思い、拳を強化した。
カルゴ「セイッ!!」
力を入れて結界をぶん殴ると、事も無げに粉砕され、結界を破られた良守は目を覚まし、身構える。
良守「お前かよ。なんだ、やる気か?」
カルゴ「そう警戒するな。あまりに暇だからお前と話しに来たんだ」
良守「は…?つか、何でここにいるって…」
カルゴ「ここでサボるのがお前の常套だろう?」
良守「なんで知ってんだよ!」
あ、こりゃまた失言を…えーっと…。
カルゴ「ここで寝ている姿がヤケに様になってたから、慣れているんだろうなと判断したまでだ。確信には至らなかったが、お前のその反応で確信したよ」
良守「ケッ…いつまでこっちに居んだよ」
カルゴ「先程、神と交信してきた。恐らく今日中には、元の世界に帰れるだろう。もっと楽しみたかった気持ちもあるがな」
いや、明日は七夕だから、一刻も早く帰りたい。
みんなでパーティの予定なんだ。
良守「交信ねぇ…ケータイでも使ってんのか?」
カルゴ「神のおられる地に電波が入らないのは、お前も知っているだろう?」
良守「試してねぇからわかんねぇ。てか俺はケータイ持ってねぇ。(ま、ウロ様がいたあそこに電波が入るとは思えねぇな)」
カルゴ「そうか。…ところで、修行の方は──」
まて、この気配は────。
良守「どうした」
カルゴ「誰か来る」
良守「え」
その時、黄緑色の結界が俺たちの前に現れ、飛び移ってきた時音も現れた。
良守「時音!?」
時音「何であんたがエスカルゴ様といるのよ!?(あの気配はエスカルゴ様のだったのか…)」
良守「こいつが勝手に俺んとこに来たんだよ!」
相変わらずうるさ…元気だなぁ。
カルゴ「様なんて付けなくていいよ。俺は神じゃないからな」
時音「でも、おばあちゃんが…」
カルゴ「向こうがそばに居るときはそうすりゃあいいさ。様なんてついてると話しにくい」
時音「は、はぁ…。それで、何故ここに…?」
カルゴ「暇だから良守んとこ来た。それだけだ。
時音「(
カルゴ「ここに居ても、力なんて感じないんだ。俺が鈍感なだけかもしれんがな。でも、彼女らの前の方が力が出せる。それは間違いない」
良守「ふーん…」
あー、バトルしてぇ。
でも昼間だからなー…いや、昼間だからこそか。
カルゴ「良守。今日の授業、全部サボるか?」
良守「おう」
時音「おうって、あんたね…」
良守のドヤ顔に呆れる時音。そういう時音も、現在進行形で授業をサボっているわけだが。
カルゴ「どこかで俺とバトルしねぇか?」
良守「いいぜ」
意外なことに、俺の提案に即答する良守。
もう少し、なにか反応があるかと思っていた。
時音「バカ!もしも殺されたら…」
カルゴ「加減するに決まってるだろ。安心しろ」
時音「っ…」
良守「なら俺の修行場でいいか?」
カルゴ「もちろん。…どこかの山かどこかか?」
事情を知ってる和尚さんが管理してる山で、烏を捕まえる修行をしていたはずだ。烏はすばしこいから、素早い相手を攻撃するための修行にはもってこいなのだ。
良守「なんでそれを…」
全てを見透かしたような俺の発言に、驚きを隠せない様子の良守。その反応を見た時音も、目を見開いて俺を見る。
カルゴ「修行するなら人気の無い所を選ぶだろ。本来は、他人に知られちゃいけないんだからな。それ位は普通に察せる。先に行っていろ、すぐに追いつくから」
良守「…つーことで、俺は帰るよ。また後でな、時音!」
貯水タンクの上から屋上に飛び降り、どこかへ向かった良守。荷物を取りに行くのか、それとも、荷物を置いて帰るのか…それは、後で聞くことにしよう。なんとなく察せるが。
時音「あっ、ちょっと…はぁ、全く…。手加減、して下さいね?」
カルゴ「わかっている。せいぜい、山を消さないように気をつけるさ」
時音「山をって…」
カルゴ「良守が全開、俺が0.2割でようやく互角に戦えるって感じか。ま、あいつの動きはまだまだノロマだ、退屈凌ぎに稽古つけてやる」
時音「はぁ…」
カルゴ「そう溜め息をつくな。あと授業中だろ?早く戻るといい」
時音「…その前にいくつか、お聞きしたいことがございます」
カルゴ「ん?なんだ」
時音から質問…嫌な予感しかしないな。
時音「貴方様が人である事をやめた理由は、一体何ですか?」
カルゴ「不審者から“吸血鬼になれる薬”を買って飲んだ。確か、10年前位の話かな」
時音「?????」
カルゴ「首を傾げるのは仕方ない。……で、次の質問は?」
時音「では…御家族は一体何人…」
カルゴ「娘が4人、妻が9人だ。あと弟が1人」
時音「!!?」
それを聞くと、顔を引き攣らせて後ずさった。
この程度の反応は予想の範囲内だ。実際は、まだ妻では無いが、ほぼ確定なので大丈夫だろう。
カルゴ「では、良守の所に行くぞ」
時音「は、はい…ありがとうございました…」
カルゴ「うむ。光学迷彩、オン」
時音「消えた!?」
バサッと翼を広げて、道路を猛ダッシュしている良守の頭上に陣取る。しかしこの先は家だ。山と方向が違う。道着に着替えるのだろう。
カルゴ「良守ー。家帰るのかー?」
良守「どわぁっ!?ど、どこだ!?」
カルゴ「お前の頭上にいるぞ。安心しろ、透明化してるから周りの奴らには俺の姿は見えん」
良守「そもそも妖は普通の奴には見えねーよ」
カルゴ「元の世界では普通の人間も妖怪が見えていたからな、念の為だ。……さぁ、超スピードで飛ぶぜ?靴はちゃんと履いてるな?」
良守「え?どういう…」
ピタリと足を止める良守の腕を掴んで、フワリと持ち上げる。
良守「えええええええ!?何だこりゃ!?足が!足がつかねえ!!」
カルゴ「飛ぶからなー」
良守「待て待て待て待て!俺の姿は普通に見えるから!人間が空飛んでたらおかしいだろ!?」
カルゴ「俺が透明化中だから、俺が掴んでいるものも透明だ、安心しなよ。あと、腕がチギレないように繋いでおく。雷鎧『サンダーアーマー』。雷装備『翼竜の舞』」
良守「お?なんかビリビリするぞ…」
カルゴ「Are you OK?」
良守「(なぜに英語…。)お、オーケー…」
カルゴ「行くぜ!」
空中浮遊からのゼロスタート。
一瞬だけガクンと体勢を崩した良守だが、すぐに等加速度直線運動にのった。
良守「おおおおおお!?速すぎィィィィ!!!」
分身Side
あー退屈退屈。
咲夜ちゃんもまだ寝てるし、レミリアちゃんも、弦月姫ちゃん、フランちゃんも寝てる。
極めて暇だ。これなら霊夢ちゃんにこき使われた方がまだマシだぜ。つーか、もう11時だし、咲夜ちゃんならもう起きてもいいはずなんだが。
婆ちゃんに言って、飯の準備もしてもらったが…朝飯が昼飯になりそうだな。
良守「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
分身「ん?」
あぁ、隣か…。あれ?学校行ったんじゃねぇの?
カルゴ「ほれほれ、早くしたまえ」
良守「うっせ、急かすな!待ってろ、着替えてくるから!」
何やってんだアイツら…。
┌(┌ ^o^)┐ホモォ…にでもなっちまったか?
良守「着替えたぞオルァ!」
カルゴ「Excellent!素晴らしい早さだ!さぁ掴まれ!」
良守「引っ張りすぎんなよ!」
カルゴ「もちろんさぁ!」
そこで言葉が途切れ、バシュッという風の音が聞こえてきたと思うと、障子がガタガタと揺れた。
猛スピードで飛び立ったようだ。
咲夜「…んっ………はっ、ここは…」
あーあ、起こしちゃった。ばーかばーか。
分身「おはよう、咲夜ちゃん」
咲夜「おはようございます、エスカルゴさん…。(ちゃん…ってことは、分身さんか…)」
分身「いや、俺は分身だぜ」
咲夜「言ったあとに気付きました…。エスカルゴさんはどこに…?」
分身「光が…じゃなくて、目にも止まらぬスピードでどこかに行ったよ。恐らく、学校に行ったんだと思うぜ?あ、お昼ご飯あるから、3人起こして食べちまおう。これ以上時間ズレると良くない」
咲夜「…ですね」
エスカルゴSide
良守「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……」
あれから、数秒で墨村家に到着し、窓から入ってさっさと道着に着替えさせ、また窓から出、良守の案内で、とあるお寺の裏山にやってきた。
アニメで見た通りの山で、密かに感動した。
カルゴ「ははっ、この程度では死なんよ。じゃ、そろそろ始めようか!稽古つけてやる!」
良守「フンッ、眷属様だかなんだか知らないが、修行の相手してくれるってんなら乗ってやる!」
どっち目線だそれは!
カルゴ「…こい!」
良守「方囲、定礎……」
俺の足元を、ジジジッと結界の線が囲む。
良守「けぇぇぇつ!!」
逃げられないようにするためか、とんでもなく大きな結界を作った良守。馬鹿みたいに巨大な結界は彼の十八番だ。
カルゴ「雷武器『雷鎌』」
2mほどの鎌を2本作り、両手に持つ。
カルゴ「『クロスインパクト』」
2本の鎌からエネルギー波を出し、結界を切り裂こうとする。しかし、なぜか切り裂けず、エネルギー波は弾かれてしまった。
カルゴ「くっ…中々に強力n…」
その時、良守の雰囲気の変化に気がついた。
血気盛んないつもの雰囲気…では無く、冷静で、口を閉ざしていれば冷たさすら感じさせるような雰囲気。
カルゴ「ほう…」
こりゃあ、中途半端な世界線に来たなぁ。
この方が楽しめていいけどな。
カルゴ「これならどうかな?」
良守「っ…スゲー邪気が…」
剣を抜くと、禍々しい気に顔をしかめる。
彼の感覚は、間違ってはいない。
剣の禍々しさも、この数年ずっと変わってない。
カルゴ「『妖力遷移』」
妖力を引き出し、紅いオーラを纏わせる。
剣の攻撃力を上げ、結界を切り裂く算段だ。
良守「(来る…!)」
カルゴ「斬ッ!!」
ズバァッと結界を切り裂き、破壊して脱出した。
結界を壊されると、構えている手に衝撃がいくらしい結界師は手を押さえる。
カルゴ「ふむ、実に楽だった。結界の強度はまだまだだな。もっとしっかり気を持て」
良守「言われなくても…!結!」
背後からブワッと風圧を感じ、後ろから頭をド突かれるなと直感で感じた。いつも、時音が良守に喝を入れる時にやっているからだ。
カルゴ「雷鎧『サンダーアーマー』攻撃ver.!」
全身に刃を突き出した鎧を纏い、結界に穴を開けて結界を破壊する。
カルゴ「形成が遅い。深淵『ブラックホール』」
剣を掲げ、ミニブラックホールを作り出す。
良守「なんじゃこりゃああああ!?結!」
ジリジリと吸い込まれかける自分の身を守ろうと結界で自分を囲む良守。良い判断だと思う。
カルゴ「結界があっては吸い込めない、か。それならこれだ。手加減はするが、絶界使うといい。流星符『ファイアシューティングスター』」
小型の火球を複数作り、結界にぶつける。
溶けてはいないが、歪みは生じているらしく、枠がフニャフニャと歪んできている。
カルゴ「からの……雷武器『雷槍』!!」
2本の鎌を2本の槍に変換し、両手に持つ。
もちろん、良守を狙う気は無い。
良守「まさかそれで、俺を貫く気じゃ…」
カルゴ「結界を貫くつもりだ。動くなよ?もしも動いたら、土手っ腹に大穴が開くぜ?」
良守「っ…!そもそも、俺の結界を貫けるか?」
カルゴ「喰らえ。『エスカルゴ・グングニル』!フンヌァッ!!」
良守「ちょっ……大きく…!?」
グングニル大になった槍は、俺の予想通りのラインを描き、良守の脇腹を掠めた。
良守「っぶねぇ〜…。おいこらァ!危ねーだろ!っと…おっとっとっと…」
結界を壊された良守は、徐々にブラックホールに吸い込まれそうになる。
カルゴ「当たらないと確信はしていたさ。ほら、新しく結界張らなきゃ吸い込まれるぞ?」
良守「それやってもまた同じことだ…!結!」
カルゴ「む」
ブラックホールを破壊しようと、ブラックホールを囲む。なるほど、これなら吸い込まれない。
良守「滅!!」
良守の思惑通り、ブラックホールは消滅した。
カルゴ「やるねぇ…」
良守「さーて、そろそろ終わらせるか!せっかく早退したんだ、今日こそ繁爺に見つからないでお菓子の城作ってやるぜ!」
そういえば朝飯食ってないや。
分身に、フラン達の分のご飯は作って貰うように伝えといたけど大丈夫かな…心配だ…。
というかもう昼じゃん、戻らなきゃ。
カルゴ「よし、最後にまともな勝負をしようか。俺のことを滅せられたら良守の勝ち、良守を動けなくさせたら俺の勝ち。どうだ?」
良守「上等だぜ!空中戦なら足から痺れることも無いしな!!」
カルゴ「そうだな。なら少しばかり力上げよう」
良守「!!」
空中に結界を作り、それに飛び乗り絶界を纏い、守備を固める良守。様子見のつもりらしい。
カルゴ「混合武器『雷刀&雷銃』」
空中にいる良守を、全方位から囲む。
良守「え」
パチンと指を鳴らすと、シュシュッと空を切る音を出しながらナイフが進んでいく。結界のことは貫き、良守に当たったナイフは弾かれ、霧散して消えてしまった。空中から放り出された良守は、再度足場の結界を作り、体勢を整える。
カルゴ「殲滅『Breath of Thunderstorm』!!」
右腕に雷を纏い、体重を乗せて腕を振るう。
放たれたエネルギー波は再度結界を壊して、木々をへし折って突き進んでいった。
良守「うおっ…とぉ…」
カルゴ「おっ…」
刃の形をしたエネルギー波をジャンプで躱して、事なきを得たらしい。さすが火黒を倒しただけあり、守備力、回避力は並ではない。
カルゴ「なら…一閃『Mishap of Thunder』!」
裏山の上空に、巨大な魔法陣を形成。
良守「な、なんだ!?まじないか!?」
結界師の世界にはまじないというものがある。
平たく言えば、魔法に近いものだが。
カルゴ「いや違う。これは、雷を召喚するんだ。…1割は出せたぜ、良守。…召喚────!!」
かなり太く、攻撃力を高めた雷を召喚し、雷を落として大地を揺るがし、気絶させ、墨村家に彼を連れ帰った。