※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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友と書いて「彼女、娘」と読む(適当)


第3章:ココロのキズ
昨日の友は今日の敵①


七夕の宴会の片付けを終えた咲夜さん、弦月姫、俺の親子3人は、草木も眠る丑三つ時と言われるこの時間帯に、眠ろうとしていた。

時間帯は、就寝に特に関係無いと思いがちだが、案外そうでもない。何の音もしない、まるで時が止まっているかのようにシンと静まり返っている空間では、余程疲れている時で無ければかえって目が覚めてしまい、その静寂、または少しの物音にすら恐怖してしまいそうになる。

 

静かすぎてこえー…早く来いよ2人共ぉ…。

 

片付けが終わった後、当然だが風呂に入る。

寝る直前に風呂に入るのは、今となっては習慣とも呼べるほど日常化していた。それでも、これ程遅くなった事がなく、待たされている俺としては心細くてたまらない。

脱衣場の前をウロウロしながら、2人の帰りを、今か今かと待ち受ける。すると突然、目の前に2人が現れた。また時を止めたのだ。

 

2人「お待たせしました♪」

 

カルゴ「おおっ、2人とも!やっと来た〜!」

 

あまりの嬉しさにガッツポーズをとる。

それを見た咲夜さんはやんわり微笑み、弦月姫は俺の隣に来て腕を組む。

 

弦月姫「一緒に寝ましょ、お父様♪」

 

カルゴ「おうよ!咲夜さんも!」

 

左側に娘が居るので、右側にいる咲夜さんに、腕を組んでくれと肘を突き出す。

 

咲夜「では…失礼します♪」

 

うひょ〜、両手に花だぁ〜!!

 

咲夜「(お嬢様方は普段通りご就寝になられた…。という事は、私達もその時間に起きなくてはね。睡眠時間は…良くて4時間、悪くて3時間って所かしらね…)」

 

弦月姫「っ…ふわぁぁ……」

 

カルゴ「ふふっ、流石に疲れたか」

 

弦月姫「結構…はい…」

 

咲夜「(この分なら、4時間睡眠になりそうね)」

 

そんなルンルン気分で部屋に向かって、ベッドに入った俺達。こんな気分の時は早く眠れないのが常であったものの、今回ばかりは流石の俺と弦月姫も、すぐにその目を閉じて、疲労の色が濃い己の身体に、束の間の休息を与えた────…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「…んっ………」

 

目が覚めた。誰かに起こされた訳では無く、ごく自然な目覚め方だった。しかし身体は動かなく、未だに昨晩の疲れを感じさせられた。

寝ぼけているからか、視界は白くボヤけている。

 

カルゴ「ふわぁぁ…」

 

天井を見上げたまま、両脇の2人が起きないよう小さなあくびをする。しかしそのタイミングで、身体に異変を感じた。

 

カルゴ「痛っ!!」

 

激痛を感じて、思わず大きな声が出てしまった。その声を聞いた弦月姫と咲夜さんは当然のように目覚める。痛みの元は、弦月姫と組んでいた左腕から来ていた。

 

弦月姫「どうかしましたか!?」

 

組んでいた左腕を離し、心配そうに俺の顔を覗き込む弦月姫であったが、次の瞬間、その端正な顔が恐怖で引き攣る。

 

弦月姫「キャアアアアアッ!!」

 

パチパチと大きめの目をこれでもかと見開いて、甲高い悲鳴を上げながらベッドから転げ落ちてしまった弦月姫。ただ事ではない様子に、俺も咲夜さんもギョッとする。

 

咲夜「弦月姫!?どうしたの!?」

 

弦月姫「おとっ、お父様じゃ、ない…!」

 

ベッドの上で惚けている俺を指さし、ガタガタと震えながら言葉を発する弦月姫。

 

カルゴ「は?」

 

これにはさすがの俺も、痛みを忘れ首を傾げる。

 

咲夜「はぁ…。何を寝ぼけているの?シャキッとしなさいな。さ、朝ご飯作ってお嬢様達を起こすわよ」

 

弦月姫「お母様!お父様を見て下さい!私のお父様はこんな人間の男ではありません!!」

 

咲夜「だから何を言って…………」

 

寝ぼけ発言を繰り返す弦月姫に呆れつつも、一応振り返って俺を見た咲夜さんの表情は、弦月姫と同じく恐怖で引き攣った。

 

咲夜「何者だ貴様…!」

 

ナイフを構え、憎々しげな目を向ける。

メイドとしての醜態を晒したと思っているのか、今までに感じたことのないほどの凄まじい殺気を感じる。

 

カルゴ「えっ…あ、あの、俺…一応、エスカルゴなんですけど…」

 

咲夜「嘘をつくな!エスカルゴさんの瞳は、お嬢様方と同じ紅だ!貴様の様な黒い瞳では無い!」

 

カルゴ「はぁ!?」

 

黒…って……ブラックのことか?

 

弦月姫「お父様を返して!!」

 

咲夜「そうか…貴様、不知火 麗葉か!?」

 

カルゴ「えぇ!?」

 

冗談じゃねぇ!なんで黒目だからって…いや待てなんで黒目なんだよおかしいだろ!!

 

咲夜「ならば、今この場で貴様を殺す!」

 

ナイフを投げようと腕を振りかぶる。

生命の危機を本能的に感じた俺は、掛け布団を2人の方へ蹴飛ばして目くらましに使い、その隙にポケットの中に手を突っ込み、薄地で漆黒のローブを取り出し、それを頭から被るなりスイッチを押した。

 

咲夜「はぁっ!!……消えた…!?」

 

掛け布団を貫いた2人のナイフは、透明化した俺を貫くことなく、剣山のように大量に、壁に突き刺さった。

 

待て待て待て待て、本気で殺す気だよね!?

どうしたのさ2人とも!いや、俺の身体!!

 

扉はしまっている。これだと抜け出せない。

抜け出すためには扉を開けなければいけないが、開けると2人が反応するのは間違い無い。

そこで俺は、一計を案じた。

 

キィィ…

 

咲夜「くっ、行かれた!弦月姫、見つけ次第殺すのよ!!」

 

弦月姫「はい!!」

 

室内からこっそり扉を開け、さも抜け出したかのように見せかけた。俺はまだ、部屋の中にいる。

2人の足音が遠くに去り、小鳥のさえずり以外、また昨晩のような静寂に包まれる。

ふぅ、と大きな溜め息をついた俺は、光学迷彩をオフにし、パジャマから私服に着替える。

ポケットの中の弦月姫による拡張空間は、全ての服とズボンが繋がっていて、さながら四次元ポケットのようになっている。

服を着終えた時、更なる違和感に襲われた。

背中の穴に翼を通そうとするが、その翼が無い。

怖くなった俺は、上着を着ることを忘れ、映りもしない鏡を見ようと廊下を駆けた。しかし、ここでも更なる異変を感じた。

早く走れないのだ。まるで宇宙服を纏っているかのように体が重い。おかしい事だらけで頭が混乱しかけるが、疲れが取れていないせいだ、とその考えを振り払い、とにかく走った。

 

 

 

カルゴ「…なん、でだよ……」

 

重い体に鞭打って、ようやく鏡の前まで来た俺は愕然とした。目の前の鏡には、しっかりと映っているのだ。とうの昔に捨てたはずの肉体、人間・エスカルゴが。

紅蓮の炎のように紅かった瞳は、一般的な日本人のそれのように真っ黒だった。背中にあるはずの蝙蝠の翼は、忽然と消え失せていた。

口を開けるが、突き出しているはずの吸血用の牙が見当たらない。突き出しているのはただの犬歯だった。

視界が白くボヤけているのは、寝ぼけているからだと思っていたが、そうでは無い。

ド近眼のあの頃に戻っていたからだ。

 

カルゴ「雷武器『雷刀』!」

 

いつもの構えを取り、スペルの詠唱をする。

しかし、剣は出現しない。

 

カルゴ「雷符『Midnight☆Thunder』!!」

 

闇は広がらない。

 

カルゴ「一閃『Mishap of Thunder』!!」

 

魔法陣は現れない。

 

カルゴ「『雷神拳』!!」

 

四肢は雷を纏わず、ただの手足のままだ。

スペルも使えない。つまり、本当にただの人間になってしまったのだ。

 

カルゴ「なん、で……なんでだよぉぉぉぉぉ!!クソォォォォ!!」

 

ヤケになった俺は、目の前の鏡を殴る。

殴られた鏡はバリンと割れて、欠片が手に深々と突き刺さった。

 

カルゴ「ぐっ…痛てぇ…」

 

鮮血が滴る右拳を抑えるが、流血は止まらない。

手当をしようと欠片を流し、包帯を取ろうと部屋を出るが、目の前に華人風の少女が立ちはだかった。

 

美鈴「朝っぱらからうるさいなと思えば、侵入者ですか?全く、命知らずな人ですね。悪魔の棲む館に侵入した挙句、叫び声を上げるとは」

 

何故美鈴が屋内に…と思ったが、そうか。

昨日は七夕で、俺の分身を立たせておいたから、今日は遅めに仕事開始するんだった…。

 

カルゴ「ちょっと怪我しちまったんだ、包帯ってどこにあったっけ!?」

 

美鈴「侵入者に渡す包帯はありません。今すぐに出て行ってください」

 

カルゴ「俺だよ、エスカルゴだよ!!」

 

美鈴「顔や体型が酷似しているというだけでしょう。エスカルゴさんは紅い目ですし、あなたの様な黒目ではありま……せ…………………あなたはまさか、何年か前に幻想郷で暴れた、何とか麗葉ですか…?」

 

カルゴ「ちっがーう!!」

 

美鈴「黒目で、幻想郷の誰かに化ける…。うん、間違い無い。お前は偽物だ!覚悟!!」

 

拳法の構えを取り、足に力を溜めている美鈴。

あと数秒の後に、殴りかかってくる気だろう。

 

カルゴ「待て!話せばわかる!!」

 

美鈴「悪人に貸す耳はありません。では───」

 

???「待ちなさい」

 

まさに美鈴が殴りかかってきそうになった瞬間、何故か懐かしく思える少女の声がとんできた。その声を聞いた美鈴はピタリと止まり、かしこまる。

 

美鈴「おはようございます、お嬢様!」

 

そこに現れたのは、紅魔館の主…レミリアだ。

その隣には、その妹のフランもいる。

 

カルゴ「れ、レミリア…おはよう」

 

レミィ「貴様の様な人間に、呼び捨てにされる筋合いは無い。さっさとこの館から出ていけ。全く、朝から鬱陶しい…。私の眠りを妨げたんだ、殺されないだけ感謝しろ」

 

幼い容姿に似合わぬ膨大な妖気を放出し、不機嫌さを顕にするレミリア。彼女の妖気には慣れてるはずだが、それだけで足が震え、動けなくなる。

 

フラン「ヘー、あなたってエスカルゴにそっくりなのね!でも、すぐに壊れそーね、あははっ♪」

 

レミィ「そんな奴と話すのはやめなさいフラン。エスカルゴが聞いたら怒るわよ?」

 

フラン「それもそうね、うふふっ♪」

 

姉に止められたフランは、俺の顔を覗き込むのを止め、姉の隣に戻る。

 

カルゴ「本人なんだが…」

 

レミィ「黙れ。彼と似ている人間がここに侵入しただけでも虫唾が走るというのに…お前、エスカルゴの服を盗んでそれを着ているな?」

 

美鈴「あっ、言われてみれば」

 

フラン「どーりで見たことあると思ったー」

 

レミィ「殺さない代わりに、その服とズボン等、盗んだものを全て置いて今すぐ立ち去れ。そうすれば里の自警団にも黙っていてやる」

 

カルゴ「嫌、だ…。これは俺の服だ!咲夜さんに作ってもらった、俺専用の服だ!」

 

レミィ「はぁ…馬鹿なヤツめ。美鈴」

 

美鈴「はい」

 

レミリアに呼ばれた美鈴は、指示を仰ぐわけでもなく俺の前に再び立ちはだかる。名を呼ばれただけで、何を言わんとするか察したようだ。

 

カルゴ「な、なんだよ」

 

レミィ「出来る限りの譲歩はしたぞ。でもそれを拒否したお前が悪い。……殺れ」

 

美鈴「はい」

 

その瞬間、美鈴の拳が俺の腹部に飛んできた。




うーん…上手く書けん。
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