※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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現状打破の策②

永琳「え?昨日の朝からエスカルゴが行方不明?それ、本当?」

 

咲夜「はい…」

 

紅魔館に到着した輝夜たちは、玄関でメイド長の咲夜さんと話していた。…結果は、輝夜が言った通りだった。

 

咲夜「そのせいで、紅魔館は昨日の朝からずっとパニックに陥っておりまして…。お嬢様、妹様、弦月姫はエスカルゴさんの捜索に乗り出しています。美鈴は警備、私は来客の対応の為に、こうして残っておりますが…」

 

永琳「そう…お嬢様自ら動いたのね…」

 

異常事態の紅魔館を憂い、永琳は頬に手を当て、輝夜はその背後でドヤるが、咲夜さんに冷たい目で睨まれて縮こまる。

 

咲夜「しかし、それと同時に、エスカルゴさんに酷似した男が現れまして。過去に幻想郷で暴れた不知火 麗葉だとその場で断定し、私と娘、美鈴が殺害を試みたのですが、逃げられてしまい……」

 

鈴仙「待って、エスカルゴと酷似した男?」

 

咲夜「ええ。鈴仙は何か知ってる?」

 

永琳「その人なら昨日、ウチの診療所に尋ねてきたわよ?右手を怪我したからってね。傷は塞がってたけど、消毒して包帯巻いて帰したわ」

 

咲夜「右手……そういえば、お嬢様方も同じ事を仰っていました。美鈴によれば、鏡を割り、それで手を怪我したらしいですが」

 

鈴仙「鏡…?」

 

鏡を割った理由を考えてみるが、頭の中のクエスチョンマークが増えただけであった。

 

永琳「それは本当に不知火 麗葉だったのかしら?エスカルゴが滅したんでしょ?」

 

咲夜「本当かどうかは…わかりません。しかし、美鈴によればその男は、エスカルゴさんを名乗ったらしいのです。そのせいで余計に怪しまれたんですけどね」

 

永琳「こっちに来たその男もエスカルゴを名乗っていたわ。なんでも、朝起きたら人間になっちゃってたから、吸血鬼になる薬を作って欲しいって」

 

咲夜「朝起きたら…私と弦月姫と寝ていた時の事ですね。しかしエスカルゴさんの姿は無くて…、代わりにあの男が私と弦月姫の間に…」

 

永琳「…もしかして、輝夜の読みは…」

 

咲夜「後ろのお姫様が、何か仰ったのですか?」

 

永琳「永遠を司る誰かの存在が消えた…ってね。妹紅も私も輝夜もこうして存在している。だからそれを確かめに来たんだけど…そのエスカルゴが消えたってことは…恐らくその男は、エスカルゴ本人でしょうね…」

 

咲夜「そんなまさか…!」

 

鈴仙「待って下さいよ……。昨日の夜…竹林から聞こえてきた叫び声って……」

 

永琳「エスカルゴの声に似ていたあの叫びね」

 

鈴仙「まさか、妖怪に襲われたんじゃ…」

 

一同「────ッ!!」

 

鈴仙のその呟きに、咲夜さん、永琳、輝夜の表情が強ばる。門の外で聞き耳を立てていた美鈴も。

 

永琳「夜は妖怪の活動が盛んになる…有り得ない話では無いわね」

 

輝夜「力を持たないただの人間は、妖怪に襲われたら食されるのみ。……終わったわね」

 

鈴仙「そんな…嘘、よね…?」

 

咲夜「そ、そもそも、エスカルゴさんかどうかもわからないでしょう…」

 

永琳「エスカルゴが行方不明、それと同時にあの男が出現…偶然が重なりすぎてるわ。仮にエスカルゴが監禁されていたとしても、すぐに抜け出すでしょうね。殺せないし倒せない。まさに、最強という言葉を具現化したような奴だから…」

 

鈴仙「…私、竹林を探してきます!」

 

来た道を戻ろうと駆け出した鈴仙。

 

永琳「私達も探してみるわ、情報ありがとうね。…あの男がエスカルゴだという可能性が出た今、紅魔館としてはどう動くのかしら?」

 

咲夜「…あの男を探します。もちろん、本人を探すのと並行になりますが。そういうあなたは?」

 

永琳「吸血鬼になる薬、を作ってみるわ。材料も不明、製造法も不明で…手探り状態だけどね…。それに、彼の能力が薬によるものなのか、潜在的なものなのかが分からないから、ただの吸血鬼に成り下がる可能性だって、大いにある…。課題は山積みよ。……ともかく、もう戻るわ、お互いに頑張りましょう」

 

咲夜「はい」

 

輝夜「(本人が消えた…じゃなくて、能力の存在が消えたって事か…。)私は、独自のルートで探ってみるわ。永琳は先に行ってて」

 

永琳「えっ?…わかったわ、気をつけて!」

 

輝夜「ええ、もちろん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃俺は、文と穹に手を引かれ、地底へ続く穴を飛んでいた。

 

カルゴ「あちぃ…」

 

文「ですね…!早く終わらせましょう!」

 

カルゴ「けどさ、さとりに心を呼んでもらって、その後はどうするんだ?さとりの口から聞かなきゃみんなも信用しないだろう…」

 

文「勿論、彼女を連れ出すんですよ!その時は、私がエスカルゴさんを、穹がさとりさんを引く事になりますがね!…あ、さとりさんは自分で飛べましたね」

 

カルゴ「そーか、連れ出すのか…。すぐに出てきてくれるといいな…」

 

文「そうですね…早くここから出たいですし!」

 

長い穴もようやく終わりを告げ、ムワッと蒸し暑い地底の街並みが見えてきた。文と穹の速度は、とんでもないレベルに達しており、景色が線となって後方へ吹っ飛んでいった。

穴を抜けると、秒で地霊殿が見えてきた。

 

文「穹、能力を解除して下さい!」

 

穹「はい!」

 

穹が《加速させる程度の能力》を解除する。

速度が落ち、2人に釣られている俺は、ガクンと体勢を崩すが、何とか支えられた。

速度を徐々に落としながら、地霊殿の玄関前に、フワリと降り立った。

それから文は、なんの躊躇いもなく扉を開けた。

 

文「すみませー…」

 

さとり「なんですか?」

 

文「わっ!」

 

扉を開けると、さとりは目の前にいた。

リードをつけた犬?を連れている所を見ると、散歩に行くところだったらしい。

 

文「さとりさん、丁度いいところに!実は…」

 

さとり「エスカルゴさんが人間になって、誰も信用してくれないから私にお願いして真実を広めてもらおう、ですか。確かにエスカルゴさんにはそっくりですが……………そんな、まさか…」

 

サードアイを俺に向けたさとりは目を見開く。

 

さとり「本当に…エスカルゴさん、ですか…?」

 

カルゴ「読んでの通りだよ、さとり。なにも出来ない、ただの人間になっちまった」

 

さとり「(心の闇がより一層深くなっている……。これは、大変な事になったわ…)」

 

暑さに慣れているはずのさとりの頬に、一筋の冷たい汗が流れた。

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