カルゴ「そろそろ、新しい力をお目にかけよう。俺の思いの強さ、思い知れ!!!」
と威勢よく言い放ったものの、どの“新しい力”にすればいいのか、正直迷っていた。
狂気?闇?スキマ?どれも俺にとっちゃ新しい。いや、狂気は昔ながらの力かもしれないが。
…と色々迷ったこの間、およそ0.6秒。
レミィ「私が本気を出すんだから、勿論あなたも本気を出すのよね?」
レミリアにそう言われ、1枚目のスペルを決定。
新しい力を、“闇”に決めた。
カルゴ「…堕心『暗がりへ身を落とす吸血鬼』」
負の気持ちが高まった時の気待ちを込めている。
これで闇の力を克服し、操れるようになった。
レミィ「め、目が…!」
俺の目を見たレミリアは顔を引き攣らせる。
だが、俺にはその理由がわからない。
フラン「目が黒い…」
このスペルを使っている時に目が黒くなるなんて事は知らなかった。なんせ、スキマから出てこのスペルを使うのは初めてだからだ。
ルーミアと藍さんは知っていそうだが。
目が黒になったのは、闇の力が作用しているものと仮定できる。狂気を出した時に目が紅く光るのと同じことだ。
カルゴ「驚くのはまだ早い。スペルカード発動。悲心『エンドレス・メランコリー』」
直訳で、終わりのない悲しみ。
英語は苦手なのであってるか分からないが、語感がいいなと思う。…小学生並みの感想だが。
闇の力で作ったスペルの殆どは、俺の心情が鮮明に現れているものだ。火力メインではなく、混乱させ、気持ちを伝えるものだ。
スペルの黒い弾幕が、俺から直線的に、では無く真上から2人目掛けて降り注ぐ。雨を降らせる様な…そう、涙を零すようなイメージだ。
2人は、真上から降ってくるという、あまり身近では無い弾幕に苦戦する。当たりはしないが、避けるのに精一杯で、余裕は無さそうである。
レミィ「紅符『不夜城レッド』!!」
十字のオーラを出し、弾幕を相殺する。
それを見たフランも、無理に避けることを諦めてレーヴァテインを振るう。赤い弾幕が発射され、俺も弾幕を発射しながら回避行動を取る。
そして、あまり2人の距離が離れていないことを確認した後、次のスペルを発動させた。
カルゴ「閉鎖『閉じた心の世界』」
次の瞬間には、黒いドームのようなものが姉妹を包んだ。名前の通り、閉鎖された心模様を表している。もちろん、閉じ込めただけでは無い。
ドームの内部は夜のような暗さだが、夜目が効く吸血鬼達にはあまり効果が無い。ただし、視界を奪うことも目的では無い。
ドームの中では、内側の2人に向けて闇の弾幕が発射されている。
レミィ「くっ…狭くて避けにくい…!」
フラン「いろんな所から来るよ〜…」
ドーム状…つまり、足下以外は前後左右+頭上の様々な方向から弾幕が発射されているのだ。
このスペルは耐久スペル、耐えればドームに使用された闇を放出し切って、ドームも解除される。
時間にして、およそ2分と言ったところだろう。
さらにこのスペルの嫌な所は、避けられる場所が限定されているために、複数人で閉じ込められると動ける範囲が狭くなり、互いに足を引っ張り合う事になるというところだ。
レミィ「キャッ!ちょっとフラン、よく見て避けなさいよ、いちいちぶつからないで!」
フラン「好きでぶつかってるんじゃないもん!」
2人のそんな声を聞いて、ニヤリとほくそ笑む。まさかここまで思い通りに行くとは思わなかったからだ。
弦月姫「お父様!」
腕組みしてドームを見守る俺の背後に、弦月姫が現れた。先程の衝突以来だ。
カルゴ「どうした、逃げるんじゃなかったのか」
弦月姫「私も、お父様が大好きです!今回の事を許して欲しいんです!」
カルゴ「…それで?」
弦月姫「私も、自分の思いや全力を、お父様にぶつけます!絶対に許して欲しいから…!」
カルゴ「来い。その思い、全部受け止めてやる」
弦月姫「幻幽『ジャック・ザ・ルドビレ』!」
大きな弾幕を発射し、時を止め、ナイフを配置。今まで、急に現れて急に出てくると思っていたが実際にナイフを配置している現場を見てみると、案外地味なものだった。
それでも、ナイフの速さが脅威であることには、変わりない。時を止めるのを解除すると、数々のナイフ達が向かってくる。
これも鎧に当たり弾かれるが、あまりの連撃に、次第にヒビが入ってきた。
カルゴ「やるじゃんか、鎧にヒビ入れるなんて。さぁ次は俺の番だ!闇爪『シャドークロウ』!」
両手に、真っ黒な爪を装備する。形は、ゲームで出てくるような鉤爪をイメージしている。
接近戦専用の武器だ。
地を蹴って娘に肉薄し、足が竦んでいる弦月姫へ爪を振るう。時を止めても俺には効かないことを分かっているから、時を止めてから避けることもしない。無駄に能力を使用する事は自身の消耗を早めるだけだからだ。
カルゴ「どーした弦月姫ィ!避けてばっかじゃあ勝てねぇぞぉ!」
ヒュッ、ヒュッ、と空を切る音を出しながら爪を振るうが、弦月姫はそれを避け、ナイフで捌き、綺麗に避けていく。
カルゴ「足元が疎かだ、ぜっ!!」
弦月姫「あうっ」
足を払うと、呆気なく転倒する。
そんな隙を見逃すはずも無く、俺は弦月姫に覆い被さり、爪を首に当てる。
カルゴ「チェックメイト…だな」
弦月姫「くっ……」
すると、悔しそうにギリギリと歯を食いしばり、手に持ったナイフを振るうが、俺はそれを器用に避けていく。所詮子供の手の長さなどは、たかが知れている。
カルゴ「…良く出来ました。ここらで、終わりにしようか」
弦月姫「へ?」
次の瞬間、爪から電気を流し、娘を気絶させた。
カルゴ「ふぅ、一丁あがり。とりあえず送るか」
地面で気絶している弦月姫の下にスキマを開き、紅魔館の自室、もといベッドへ送る。
するとそこに、ルーミアが現れた。
るみゃ「あらまぁ、瀕死にしないの?」
カルゴ「ヒデェ奴だなぁ…娘を瀕死にするかよ」
るみゃ「手紙に書いてたじゃない」
カルゴ「瀕死までなら良し…ってな。実際にするとは言ってないさ」
るみゃ「優しいわねぇ…」
カルゴ「…弦月姫は多分、全力でぶつかってきてくれた。だから、もう終わらせてやったんだぜ。あんな素早い動き、今まで見た事が無かった…」
先程の、ナイフを振る素早い動きを思い出す。
るみゃ「…そう。あと、妖夢が輝夜を倒したわ。送ってあげたら?」
カルゴ「だな」
輝夜は助太刀だ、居たら大変だろう。その輝夜を倒すなんて、流石は妖夢だな。
輝夜を彼女の部屋へ送り、周りを見渡す。
すると、スカーレット姉妹にかけたドーム状の闇が薄くなってきているのに気が付いた。
もうそろそろで、ドームは解除される。
レミィ「はぁ…はぁ…やっと、出れた…」
フラン「疲れたぁ…」
かなり飛び回ったのか、2人とも、汗びっしょりである。だが俺はこの程度では許さない。
さらなる苦痛を与えるべく、2人に話しかける。
カルゴ「お疲れ様、2人とも。疲れたか?」
レミィ「当たり前でしょ…」
カルゴ「なら次のスペルだ。これも耐久型だぞ、頑張ってくれ。閉鎖『カオスワールド』」
先程よりも小さなドームが2人を包む。
避けようと思えば避けられたが、疲弊した足では避ける事は叶わず、またもや全方位からの攻撃に苦しめられる事になった。
符名でわかる通り、今回のこれは先程のスペルの上位互換であり、より強化されている。
時間は先程と変わらず、今度は弾幕だけではなくレーザー攻撃も混ざってくるのだ。
狭い空間で、全方位からの弾幕、レーザー。
まさにカオス。
レミィ「きゃああああっ!」
フラン「レーザーやめてぇ!」
みんな誰かと戦っているが、俺は誰の助太刀にも行かず、この2人の事を見守る事にした。
妹紅「くっ…何って力だ…!お前本当にルーミアなのか!?」
妹紅は闇の弾幕を避けながら話しかけてくる。
中々に素早く、案外その姿を捉えられない。
るみゃ「もちろん。私は私よ」
妹紅「私の知ってるお前は、こんなに強力な力は持っていなかったはずだ!それが何故…」
そこまで深い付き合いでも無かったのに、なにを言っているのかしら…と、内心溜め息をつく。
極限までお腹が空き、エスカルゴが見つからない時は妹紅に頼っていたが、そこまで深い付き合いでは無かった。蓬莱人だからか、エスカルゴの肉と比べると、極上の肉には程遠い。けどあの時は頼らざるを得なかった。
また、たまには弾幕ごっこもしたりした。
るみゃ「封印してる間だとね、闇の力は溜め込むばかりなのよねぇ。わかる?今の私はそれを解放しているだけ。この力の源は、エスカルゴの心」
妹紅「なん、だと…?こんな強い闇が…アイツの心に巣くってるだと…」
るみゃ「ホント、笑っちゃうわよね。こ〜んなに心に闇を溜め込んでいたのに、その元凶たる彼女達を許そうとしてるのよ?甘ちゃんにも程があるわよね〜」
妹紅「……」
るみゃ「さて、そろそろ決着をつけましょうか。瀕死までなら…だっけ。蓬莱人って復活早いし、遠慮なく瀕死にさせちゃいましょうか」
妹紅「させるか!不死『徐福時空』!」
御札のような四角の弾幕を、何重にも卍のような形に並べ、発射してくる。それに混ぜて、細かい弾幕も発射してくる。
るみゃ「結構避けづらいわね、それ…。私もそろそろ、覚醒スペル使いましょうかね」
妹紅「覚醒スペル!?」
るみゃ「この姿でしか使えないからそう呼んでるだけ。深い意味は無いわ」
そう言って、自身の身の回りに闇を漏らす。
闇の翼を生やして、頭上には赤黒い輪が浮かぶ。
これで、完全に戦闘態勢に入った。
妹紅「なんだその姿は…っ!?」
るみゃ「うふふっ、カッコイイでしょう?…深淵『プロミネンスアスガルド』!!」
超高密度で、不可能弾幕とも思える密度の弾幕が妹紅を襲う。それは、妹紅のスペルの弾幕を尽く打ち破り、呆気に取られている妹紅へ向かう。
妹紅「チィッ…何て密度だ…」
相殺と後退を繰り返す妹紅。
パワーは殆ど無尽蔵とも言える彼女ではあるが、体力は無限ではない。次第に、避けるのも苦痛になってきた。
るみゃ「ちょこまかとよく動くわね…私のパワーも無限じゃないから、早くキメたいんだけど…」
妹紅「お前のパワーを削りに削って、最後は私がキメてやるさ!」
るみゃ「出来るものならね。破天『フォールオブカイン』!」
妹紅「ッ!?」
闇の弾幕が連なってロープの形を取り、前後左右4方向から妹紅へ伸びる。避けきれずにがんじがらめに縛られた妹紅は、地面に倒れる。
妹紅「くっ…身動きが取れない…っ」
るみゃ「ふふっ…うふふふっ……。さぁ、選択のお時間よ…」
妹紅「選択…?」
するとルーミアは、いつもやっているように両手を広げる。足元にはジンワリと闇を広げている。
るみゃ「私と私の闇、どちらに食べられたい?」
妹紅「なっ…」
るみゃ「3秒間待ってあげる」
妹紅「もちろん答えは、ノーだ!どちらにも私は食わせん!」
るみゃ「そう、残念。ならこれを喰らって貰おうかしら。漆黒『ファントムオブシェイド』」
足元に広げた闇が妹紅に伸びる。
それから、その闇は妹紅の身体を包み込む。
妹紅「ぐっ、なんだこれ…纏わり付く…!」
るみゃ「悪く思わないでね。元はと言えばあなたがエスカルゴを苦しめたことが原因なんだから。そのまま私の闇に食べられてちょうだい」
妹紅「ぐっ…腕、が…!足がっ……」
るみゃ「エスカルゴは……あら、まだあの姉妹を見てるの?…はぁ、追撃しないのかしら?私は…美鈴でも食べてようかしらね」
レミィ「はぁ…やっと終わった…!」
やはり、狭い中でレーザーや弾幕がごちゃ混ぜになって発射されるのは避けづらいのか、服の端々がボロボロになっている。
カルゴ「お疲れさん。なら次だ」
レミィ「させない!神術『吸血鬼幻想』!!」
大きな青い弾幕を発射する。
するとその軌跡に紅い小さな弾幕が列を作って出現し、時間経過と共にそれが左右に動き出す。
大きな弾幕は動きが速く、モタモタしていたなら真正面から食らってしまいそうになる。
フラン「禁忌『フォーオブアカインド』!!」
カルゴ「ゲッ…」
今度はフランがスペルを発動させた。
もちろん、妹だって黙って見ている訳では無い。
フラン1「禁忌『カゴメカゴメ』! 」
1人のフランが、俺を弾幕の壁で囲む。
そして、その壁を壊しながら大きな弾幕もいくつか降ってきて、壁に使用された弾幕はバラバラと動き出す。こういうランダム系のスペルは、割と苦手だ。
フラン2「禁忌『恋の迷路』!」
カルゴ「ウグッ…!?」
円の一部が切れたような中途半端な円を描きながら発射される。避けたいのだが、カゴメカゴメの弾幕が邪魔で思うように動けず、堪らず被弾してしまう。
フラン3「禁忌『フォービドゥンフルーツ』!」
カゴメカゴメと恋の迷路に続く3枚目のスペル。
言葉では言い表せないほどの超高密度で、確か、これは禁じ手だったはずだ。禁じ手を使ってでも勝ちを狙いにきているという思いの表れだろう。
フラン4「禁弾『カタディオプトリック』!!」
大きな青い弾幕に続き、中ぐらい、小さい弾幕をバラバラと勢いよく発射してくる。
室内でこれを使われると壁に反射するという意味がわからん動きになり、より一層避けにくくなるという特性を持つのだが、今回は屋外のために、弾幕はただ突き進むだけだ。それに、大きな弾のために、他の弾幕が相殺されてしまっている。自分で、自分や姉の攻撃の邪魔をしてしまっているのだ。しかしそれでも、密度が禁じ手レベルなのに変わりは無い。
おかげで、鎧を張り直す手間を取らされた。
カルゴ「くっそ…まだこれは、使うつもりじゃあ無かったんだけどな……」
先程までとは反対に、一方的にやられている俺。しかし、俺だってやられっ放しという訳がない。俺にだって、まだまだ手立てあるのだ。
レミィ「?」
カルゴ「本日一番の大技、見せてやるぜッ!そのカラダに刻みつけやがれ!」
レミィ「そこ『目に焼き付けろ』じゃない!?」
レミリアのツッコミを華麗にスルーし、前後左右頭上からの弾幕の雨が降る中で、足元にスキマを開き、その中に落ちる。
スキマを出た先は、その場の上空。
レミィ「ど、どこ行ったの!?」
フラン達「上よ、上!」
フランの声を聞き、レミリアが空を見る。
だがそこには、巨大な正円のスキマがあった。
カルゴ「召喚『武器庫の解放、出血大サービス』だぜェェッ!!!」
レミィ「ちょっ、あれは…!」
名前の通りだ。
武器庫と称して、自ら作り出したスキマ空間に、雷武器シリーズをこれでもかと詰め込んであり、それを降らせるスペルだ。
武器庫の貯蔵が切れたら、スキマは勝手に閉じ、スペルは終了する。
ちなみに、俺の作り出すスキマ空間は、俺が1度眠ると自然消滅する。なぜかと言うと、俺が起きていて常に空間にエネルギーを送っていないと、スキマ空間すら維持出来ないからだ。
その際、中身はどこかに転送される訳ではなく、この世から存在が消える。そりゃ、空間が消えるのだから、存在だって消えてしまうだろう。
もっとも、分身にエネルギー補給を頼んでいれば空間の維持も可能なのだが。どこかのスキマ妖怪さんとは、スキマ空間を生み出す過程が違うのだから、このような代償も仕方あるまい。
フラン「ヤバいわね…!」
カルゴ「そおら、降り注げッ!!」
刀、斧、槍、杖、鎌、針などの、当たるだけでもダメージを与えられる武器が、武器庫には勢揃いしている。盾や銃、大砲、弓などは入れてない。
またこの中には、「混合武器『雷銃&雷砲』」で生み出される魔法陣も入っている。それは地面に触れて地面と同化し、踏み込めばレーザーを発射するという、地雷の役割を持っている。
レミィ「痛っ、切れた!」
フラン「あーんもう!分身消えちゃったじゃん!あいたっ!」
予想通り、武器を降らせた後の2人はパニックに陥り、相殺というものを考えていない。
武器に触れ、常にエネルギーを送っている訳では無いのだから、普通の弾幕でも楽に破壊が可能な強度しかないのだ。
避けて、避けて、避けて…避ける事しか頭に無いと見える。焦ったら負ける…それは、勝負事なら何においても同じだ。
避け損なった時に、2人の身体に切り傷を作り、鮮血を流す。スペル名にもある「出血」とはここからきている。
レミィ「あぐっ…腕が…」
フラン「足痺れたっ……」
降ってくる槍に腕を貫かれ、避けた先に隠れてる地雷を踏んでレーザーをまともに受けた2人は、武器庫が空になる頃には、既にボロボロになっていた。
カルゴ「さぁ、キメようか」
レミィ「くっ……!」
フラン「うぅぅ…!」
カルゴ「凶砲『
服のポケットから出した金属片を2人に発射し、轟音と共に姉妹を一網打尽にした。気絶した2人をスキマで紅魔館のベッドに送って、新たな対戦相手を探すべく、戦場を見渡した。
カルゴ「次はお前だ…!」
この長編書いたあとの流れ全く思いつかなかったけどこれ書いてる途中にブワーッて溢れてきたからメモ欄がやばい事になってるしついでに言うと俺の語彙力も脳内もアブナイ事になってきてる
自陣脱落者:無し?(さとりは戦闘不能か不明)
敵陣脱落者:弦月姫、吸血鬼姉妹、妹紅、輝夜
さとりが戦闘不能じゃなかった場合は、ようやく人数が8vs8になりますね。
さとりが戦闘不能だった場合は7vs8ですが。