※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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決着の時①

この戦いが終わったらまず何をしよう?

この戦いが終わったら皆とどうなるんだろう?

この戦いが終わったらどうすればいいんだろう?

そんな事を考えながら、娘の弾幕を避けていた。

 

巫月「えぇぇぇぇい!!」

 

スペルの弾幕では無いが、やはり成長している。

弾幕の濃さなら、鈴仙と遜色ないレベルだ。

しかし、やはり力量が足りないのか、弾速はまだ鈴仙の方が上だ。

それに彼女は、カーブするのでやりにくい。

だが、母に比べて巫月の弾幕は直線的だ。

そこまで俺に似なくてもいいと思うんだがな。

幻と混ぜてくるからやりにくいが、両方避ければ大丈夫なのは母娘変わらない。

 

カルゴ「どうした、そんなものか巫月!」

 

もっと力を出せ、パワーを上げろと急かす。

しかし巫月は、ニヤリと口元を歪める。

 

巫月「…かかった♪」

 

カルゴ「え」

 

その時、腹部に強烈な痛みが走った。

被弾などしていない。毒でも盛られたか?

いやこれは、毒などの内側から来る痛みでは無く外側からの痛みだ。

 

カルゴ「つっ…何、だこれ…」

 

巫月「驚いた?《幻覚を見せる程度の能力》って便利よね、何でも出来るんだから」

 

カルゴ「まさか…?」

 

普通の空間という幻覚を俺に見せて、こっそりと弾幕を忍ばせてた…?

おいおい、能力発現時の目の発光はどうなった?

光ってないじゃん…訓練の成果かよ?

 

巫月「エスカルゴならもう気付いてるだろうし、言わなくてもいいでしょ?」

 

カルゴ「全く…」

 

発射時のモーションも無いし、音も無い、見えもしない…普通に考えて反則だろ…。

フランの超高密度弾幕の方がマシだ。

けどまぁ…たまには、反則技でもいいか。

何せこれは、擬似殺し合いだものな。

 

カルゴ「幻か何か知らねーけど、全部受け止めてやる!だが、俺も反撃するぞ!」

 

巫月「そう来なくっちゃ♪」

 

弾幕を発射する構えを見せ、接近する。

しかし俺が巫月にした行為は…催眠だ。

 

カルゴ「悪夢『魔王の子守唄』!!」

 

巫月「ッ!?」

 

これと組み合わせると絶大な効果を発揮するスペルを、紫さんのスキマの中で開発した。

 

カルゴ「そぉら、勝手に勘違いしろ!復活『蘇るトラウマ』!」

 

催眠をかけて正気を失わせ、見たモノを勝手に、自分の苦手な弾幕と勘違いさせるものだ。

スペルを2枚消費しなくてはならないから、枚数制限のある戦いでは、到底使用出来ないだろう。

幻覚を見せる…と似てはいるが、それとは違う。

これは本人の意思が作り出す幻。

巫月や鈴仙が見せる幻は彼女らが作り出す幻だ。

対象が勘違いしているという面においては同じだが、発生源が違うので、根本的に違う。

 

巫月「やだっ…やだよぉっ…おっきいの…くる…きちゃうよ…!」

 

空を見上げ、足をガクガクと震わせる。

もちろん空には青い空と白い雲くらいしか無い。

 

カルゴ「……」

 

なんだ…何の弾幕を視ている?

傍から聞けば、すごく怪しく聞こえるぞ。

 

すると急に、身体をビクリと震わせ始めた。

 

巫月「きゃああああっ……あぁあ…ぐっ…く…」

 

まるで雷に打たれたかのように痙攣する。

そして、ドサリと膝をつく。

 

幻が現実の身体とリンクしている…?

いや、視界から得る情報は、肉体に多大な影響を与える事から考えても、幻が強く影響してるのは間違いない。

例えを上げるなら…。

俺が、鈴仙の裸体を見たとする。

当然ながら興奮し、俺の肉体はそれに反応する。

つまり、視界から得る情報は肉体に影響を与えると言う事にほかならない。

この巫月の反応も、雷に打たれたという幻の影響だろう。すると、巫月のトラウマの弾幕は、俺がよく使用するあの弾幕だと予想できる。

 

カルゴ「…大丈夫か?」

 

ピクピクと痙攣する巫月を抱き起こして、無事を確認する。声は聞こえているようで、震える手を俺に伸ばしてくる。俺はその手を取り、スペルを解除する。いや、効果時間はとうに終わっているので、微弱な電流を流して巫月を正気に戻す。

 

巫月「う…身体が痺れ……て、ない…?」

 

カルゴ「治ったんじゃないか?」

 

実際には打たれてないから、痺れてもいないはずだがな。

 

巫月「でも…もう、腰がガクガク…立てない…」

 

カルゴ「じゃあもう…終わりだな」

 

巫月「…うん…」

 

しょんぼりとした様子で頷く巫月。

戦いたくても身体がそれを許してくれないのだ。

かなりもどかしいと思う。

 

カルゴ「父さんと仲直りするか?」

 

巫月「うんっ♪」

 

明るい笑顔を浮かべ、大きく頷く。

先程まで萎びていた耳も、いつものようにピンと張っている。元気が戻ってくれてよかった。

 

カルゴ「それじゃ、永遠亭まで送る。鈴仙の事、しっかり面倒見頼むぜ?」

 

巫月「任せて!」

 

そして、今度はあまり争うことなく和解し、娘を永遠亭へスキマで送り届け、俺は戦場に戻った。

先程の考察をしながら。

 

カルゴ「……」

 

巫月は幻覚を見せる能力があるから、鈴仙の幻覚は巫月に通用しない。それでも俺の催眠や幻覚が通用したのは、巫月が自分自身に、勘違いという形で幻覚を見せているから。

結論から言うと、勘違いって怖いなってことだ。

俺がしたのは、その勘違いを促進させただけ。

勘違いは誰だってする。つまり……きっと誰も、この能力には逆らえない…。通用すると思う。

催眠と勘違いが加わるだけでもここまでの効力を発揮するのだから、能力の組み合わせとは本当に恐ろしいものだ。

 

さて、次は…誰を倒そうか────。

 

???「動かないで」

 

突然、うなじに細い何かが当てられると同時に、女の声が聞こえてきた。当てられたその物体は、針のように尖っていて、チクチクする。

 

カルゴ「誰だ…?」

 

???「私の魔理沙には手を出させないわ…!」

 

アリスですねわかります。

いやー、あまりにも存在感が無くて忘れてた。

ごめんよアリス、それが俺の率直な感想な。

とすると、俺の首に当てられているこの物体は…人形が持ってる槍か…そりゃ痛てぇわな。

 

カルゴ「次はアリスが相手してくれるわけね」

 

アリス「ええそうよ。でも楽しむつもりは微塵も無いわ」

 

カルゴ「なぜ?」

 

アリス「魔理沙を瀕死になんてさせない…あなたは手練だからね、一撃でキメさせてもらうわ」

 

あれをガチだと思い込んでる奴がここにも1人。

あーあ、言葉選びミスったかなぁ…。

脅しだということをまるで理解していない。

魔理沙愛が強すぎるが故か。

 

カルゴ「なら、俺も一撃でキメさせてもらおう。悪く思うなよ、アリス」

 

アリス「させないっ!」

 

次の瞬間、槍が俺の首に突き刺さる感触がした。首の辺りには重要な神経がこれでもかと詰まっているので、そこを保護しようと、勢いよく前傾姿勢になる。

首に異物感を覚えながら、体勢を立て直す。

首の後ろに手を当てると、槍が刺さっている事に気が付いた。それを、事も無げに引っこ抜いて、アリスの人形に投げ返す。

 

アリス「くっ、仕留め損ねた…!」

 

カルゴ「あっぶねー、刺さったら痛てぇだろ!」

 

アリス「ちゃんと刺すつもりだったんだけどね。悪運が強いわね」

 

そこは普通に運でいいだろ…という言葉をグッと飲み込み、戦闘態勢に入る。この戦いを始めてからは、殆ど闇の力だけを使ってきた。

しかしスキマに電力を使ってしまっているので、残りのエネルギー量は、電力が3割、闇が2割…と言ったところだろうか。

永遠亭組を全員倒したので、残りは魔法使い3人プラス美鈴だけだが、余裕があるとは言えない。

 

アリス「さっさと終わらせるわよ!蒼符『博愛の仏蘭西人形』!!」

 

アリスが展開した人形達から発射された数個の弾幕が、二度も大量に分裂しバラバラと動き出す。

規則性がないために少々手強い。

しかしこのスペルに、相殺するために力を使う事は無く、敢え無く効果時間が終わってしまう。

 

カルゴ「はぁ…はぁ…その程度で、俺を倒せると思ったか?」

 

アリス「その割には、息切れてるじゃないのよ。強がりはみっともないわ。魔操『リターンイナニメトネス』!」

 

カルゴ「っ!」

 

初見スペルなので、どういうスペルなのかと観察していると、数体の人形が向かってきた。

 

カルゴ「お?」

 

弾幕を発射する訳でもなく接近してくる人形に、何となく不審感を覚えるが────。

 

アリス「今よ」

 

ドガアアァァァァァァッッ!!

 

カルゴ「!?」

 

突然の爆発には対応しきれずに、はるか後方へと吹き飛ばされた。

 

カルゴ「ガハッ…はぁっ、はぁっ…何だ今の…」

 

アリス「ふふっ…驚いた?爆弾を使ったのよ」

 

カルゴ「んなっ…」

 

人形の中に爆弾を埋め込み、アリスの合図で爆裂させるって寸法か…弾幕発射にも使えるし、自爆攻撃にも使える…か。やっぱアリス、すげぇ。

 

カルゴ「ちょっと油断してたぜ…へへっ」

 

アリス「そうでしょうね。ほら、人形はまだまだ居るわ、油断しちゃダメよ?」

 

そう言って、また大量の人形を展開するアリス。

これ全部が爆発するとなったらとんでもない事になりそうだ。少なくともクレーター1つは…。

 

カルゴ「…なーんて、そのまんまやらせるわけがねぇっつーの!一閃『Mishap of Thunder』!」

 

アリスの頭上に魔法陣を展開する。だがアリスも黙ってはいない。人形達を猛スピードでこちらに向かわせてくる。

 

カルゴ「光より速いものは存在しない。召喚!」

 

アリス「────ッ!!」

 

腕を下ろし、雷を召喚した。

これで電力もかなり使ってしまったが、爆発する際の被害を受ける範囲に入る前に、何とかアリスの鎮圧に成功したので、良しとしよう。

アリスは、とりあえず魔理沙の家に送っておく。

アリスも満足してくれることだろう。

そして、戦場を見渡す。

現在、ルーミアが美鈴を格闘で打ち負かし、霊夢は霊力の回復のために小休止。

さとりは未だに地に伏せたまま。

ようやく戦いも一段落したので、さとりのこともスキマで仕事場の布団に送っておいた。

そして、最後は…魔法使い2人だ。

 

魔理沙「くっ、アリスがやられたか…!!」

 

マスパを乱射する魔理沙だが、文はそれを避けまくって煽るように弾幕を発射し、妖夢はそれの援護をしながら、魔理沙のレーザーを両断しているらしい。一方パチュリーはと言うと、動きを見切るためか、戦闘は魔理沙に任せきりだ。

 

パチェ「…奴は我ら四天王の中でも最弱…案ずることはなにもnゲホッ、ゲホゲホッ」

 

魔理沙「おい!?…くそっ、喘息が…てか四天王って誰だよ!」

 

パチェ「こんなの、レミィの痛みに比べれば…。何とも無いんゼヒューコヒュー」

 

魔理沙「悪化してるじゃんか、お前もう帰れ!」

 

文「ほらほらぁ、余所見はいけませんよぉ!!」

 

魔理沙「うわわっ!!」

 

あまりに圧倒している戦い。

これは俺が参加してもいいのかどうか…。

そう迷っていると、気絶した美鈴を引きずって、ルーミアが現れた。

 

るみゃ「ねぇエスカルゴ」

 

カルゴ「ん?」

 

るみゃ「この人食べてもいいのかしら?」

 

食べても…え、流石にそれはまずいんじゃ…。

 

カルゴ「やめておけ。食うのは俺だけにしとけ。美鈴は再生するかわからないからな」

 

るみゃ「筋肉質だから美味しいかなって思ったんだけど…残念ねぇ…」

 

スキマで紅魔館へ帰そうとしたその時。

バキィッという鈍い音が、戦場に響いた。




今回の結果
自陣脱落者:無し
敵陣脱落者:巫月、アリス、美鈴(?)
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