※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

275 / 1140
決着の時②

美鈴を紅魔館へ送り返そうとしたその時。

バキィッという鈍い音が、戦場に響いた。

 

るみゃ「グッ……!」

 

カルゴ「ルーミア!?」

 

鈍い音の正体…それは、ルーミアが美鈴の蹴りを喰らった音だった。

 

るみゃ「美鈴、起きてた…!」

 

背筋をバネのように使ってひょいと起き上がり、スタッと華麗に着地する。

 

美鈴「危ないですねぇ…。まさか私を食べようとしていたとは」

 

拳法の構えを取り、こちらに睨みを効かせる。

構えもそうだが、一切の隙がない。

果たしてどう攻めたものか…。

 

るみゃ「チッ、許可なんて取ってないでさっさと食べてれば良かった…。まぁいいわ。もう一度、眠らせてあげ…るっ!!」

 

闇の弾幕を発射するルーミアだが、美鈴はその弾を、気で強化した拳で破壊していく。素早くも無駄が無いその動きには、見惚れてしまいそうだ。

そして美鈴は、ルーミアの発言に対して、訂正を述べる。

 

美鈴「もう一度も何も、気絶してたフリなんですけどね!いつ油断してくれるのかと思ってましたが…ずっと私を見下ろしてるから、冷や冷やモンでしたよ!まさか食べられそうになってたとは!」

 

るみゃ「なっ…起きてたの!?」

 

美鈴「武芸百般!『擬態』です!」

 

るみゃ「くっ…私としたことが…。(まずい、もうスペル1枚分のパワーすら残ってない…。妹紅に無駄遣いし過ぎたわね…)」

 

美鈴「おやおや、密度が薄くなってきましたね!そろそろ終わりにしましょうっ!」

 

ニヤリと笑うと、地を蹴ってルーミアに接近。

急に近くなったルーミアは美鈴に対応しきれず、美鈴の連撃をまともに食らってしまう。

 

美鈴「猛き紅魔の龍の力、思い知れッ!!あたたたたたたたたたたたたたたたた………」

 

吸血鬼の目を以てしても追い切れないほどの拳。

一撃一撃は鬼よりも遥かに劣るものの、連続性でそのパワーを補っている。ルーミアは、闇を出してそれを防備する間もなく、ただ殴られるままになっている。

 

美鈴「たたたたたたたたたた……ほわたァ!!」

 

一瞬の間を置き、強い一撃をルーミアに叩き込む美鈴。メリメリと拳が腹にめり込み、ルーミアは後方に数十m吹っ飛ばされた。

 

るみゃ「ぐはぁ……うっ、く…ぐぅぅ…」

 

腹を押さえ、苦痛に顔を歪める。

そんなルーミアを見下ろしながら美鈴が近づく。

 

美鈴「おや、まだ起きているとは。てっきりもう気絶してしまったかと」

 

と、ボキボキ指を鳴らす。

 

るみゃ「ええ…もう………負けたわ…ふふふ…」

 

最後に笑い、ドシャッと崩れ落ちた。

彼女の口から流れ出る赤い血が、美鈴の拳の強さを物語っていた。もし人間の頃にこれをまともに食らっていたとしたら…間違いなく即死だろう。あの時に上手く避けられて、良かったと思う。

 

カルゴ「…お疲れ様…、ルーミア…」

 

彼女の口元の血を指で拭い、スキマで仕事場へと送り返した。これで、こちらの陣営は俺、妖夢、文、霊夢。向こうは、パチュリー、美鈴、魔理沙の3人だ。

 

美鈴「…次は、エスカルゴさんが相手ですね」

 

カルゴ「ああ。ゼッテー負けねぇ…。ルーミアの仇討ちだぜ!」

 

指についた血をぺろりと舐める。

 

美鈴「私もです!…先程のあなたの“叫び”、心に響きました!全力で行きます!」

 

カルゴ「…ああ!」

 

美鈴「はぁッ!!」

 

後方に土を飛ばしながら、拳を構えて突撃してくる美鈴。やばい、速い。避ける間が無────。

 

美鈴「ほわちゃァっ!!」

 

カルゴ「ぐぉぇっ…」

 

メキメキと嫌な音が、俺の胴体から漏れる。

人間の時に食らったあの拳よりも遥かに速くて、強い。 受け身を取る間もなく飛ばされる。

恐らく、肋骨が数本逝った。

吸血鬼の強靭な肉体ですらこれほどのダメージを受けるのだ、流石と言わざるを得ない。

 

 

 

魔理沙「彗星『ブレイジングスター』!!」

 

妖夢「きゃああああっ!!」

 

 

 

突然の悲鳴。湧き上がる土煙。

声の主は高々と吹き飛ばされて、魔理沙の猛攻に耐え切れず、意識を失ってしまう。

 

カルゴ「妖夢っ───」

 

美鈴「余所見してる場合です、かぁっ!」

 

カルゴ「っ!!」

 

妖夢の元に駆け寄ろうとすると、美鈴はその隙を見逃さなかった。目を外した瞬間に、美鈴の足が俺の顔に伸びた。

 

カルゴ「ぐっ……!!」

 

横を向いていたために、足が鼻に直撃する。その衝撃で、鼻や首の骨がミシッと軋んだ。危うく意識が飛かけるが、舌を噛み切って耐える。

 

クッソ…やっぱ俺、格闘ダメだ…!

俺らしくダーティな手でやるか!

 

カルゴ「『影分身』!!」

 

美鈴は続けざまに向かってくるが、それを知りつつも残りの闇の力を全て込め、影分身を生成。

完成と同時に、影には平面化させ、美鈴の攻撃を避けさせた。その代わりに俺は、美鈴のパンチを受けることになってしまった。

 

カルゴ「ぐふぅっ……」

 

美鈴「おや、あの時の黒い妖怪さんはどこに…」

 

カルゴ「影、『同化』!!」

 

血を吐きながらも影分身に指示を飛ばし、平面化した影分身は美鈴の影に入り込ませ、本人の影と同化させた。対する美鈴は、俺への攻撃を忘れてキョトンとしている。

 

美鈴「影、とは…?」

 

同化させた。ここからが、影分身の本領発揮だ。

影分身をフル活用出来れば、誰にでも勝てる。

…多分。

 

カルゴ「『影縫い』!!」

 

その瞬間、美鈴の表情が強ばる。

自分の身体が操られているからだ。

スクワットしたり、手を合わせてみたり、チャイナドレスを捲ってみたりと好き放題する。

 

美鈴「ちょ、身体が勝手に!?何ですかこれ!」

 

カルゴ「『影縫い』。影分身を美鈴の影と同化、操作している。影は本人から離れられないから、影さえイジれば本人もイジれるってことだ。同化させないと出来ない技術だがね」

 

美鈴「あわわわわ、両手が勝手に…!」

 

影分身に操られた美鈴は、両手を上げる。

構えが取れないせいで、胴体がガラ空きだ。

これでは拳を放ち放題である。

 

カルゴ「安心しな、一撃で終わらせてやるッ!!『雷神拳』!!」

 

美鈴「ひぇぇぇぇ……」

 

カルゴ「ルーミアのぉぉ…カタキだァァァ!!」

 

渾身の力を込めたパンチは、衝撃波で影分身をも破壊しながら、美鈴の肢体を高々と舞い上がらせて、この戦いに終わりを告げた。

残る敵は、魔理沙とパチュリーだけ────。




今回の結果
自陣脱落者:ルーミア
敵陣脱落者:妖夢、美鈴

残り(自陣):エスカルゴ、霊夢、文
残り(敵陣):パチュリー、魔理沙
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。