3章とは違いクオリティはかなり低いです。
なぜ3章は(自分の中で)あんなに上手く書けたのか、本当に不思議です。
ここから先の話のクオリティは保証しませんし、保証できません(号泣)
妖夢と…(前編)
フランや鈴仙達と火花を散らした次の日。
今日は文の仕事場で過ごす予定だが、いつも通り2人は幻想郷中を飛び回っている。一方の俺は、夜まで自宅警備員…もとい、仕事場警備員だ。
しかしそんな俺にも、今日は予定がある。
昨日妖夢に、「買い物するから荷物持ちお願い」と言われたので、一度冥界へ彼女の迎えに行った後、人里に降りてきた。
この暑さに慣れているのか、人々は相も変わらず元気に歩き回っている。
体感温度で、35℃はイッているのだが…。
もはや体温と相違ないこの気温の中で、一体妖夢は何を買うのだろうか。生鮮食品だったらすぐに帰らないと鮮度が保てない。
カルゴ「…で、何を買うんだ?」
妖夢「んーとねー…んー…」
さっきから、何を聞いてもこう。
フワッとした答えばかりで明確な答えが来ない。
色々な店を回ってはいるのだが、ただ商品を見るだけで、それを買いはしないのだ。幽々子さんの事だから、旬の野菜でも食べたいと思っているのだろうか。
カルゴ「夏野菜といえばナスとかピーマンだぞ。ゴーヤとかオクラとか。それは買わないのか?」
妖夢「今日は野菜を買いに来たワケじゃないの」
カルゴ「そうなのか…ふーん…。スイカ、ナシ、サクランボ…あとモモも旬だぞ?」
野菜では無いのならと果物を話題に出す俺だが、対する妖夢は、少しムッとした表情で俺を見る。
妖夢「いい加減、食べ物から離れよ?」
カルゴ「えっ、違うのか?」
妖夢「そうだよ?…いくら幽々子様が食いしん坊だからって…。まぁ、食いしん坊っていう点では間違ってはいないけど…」
そこの否定はしないのね…。
カルゴ「じゃあ何しに里まで来たんだ?夜までは暇だから別にいいけどさ」
妖夢「え…と……」
目を逸らし、モジモジと指を絡ませる妖夢。何か言いたいようだが、言い難いことらしい。
妖夢「昨日さ…。私、結構頑張ったじゃない?」
カルゴ「ああ。昨日は本当に助かったよ」
妖夢「だから、エスカルゴからご褒美貰おうかなって思ったの」
こちらを振り向き、してやったりな顔をする。
そこで俺は初めて、まんまとハメられたらことに気が付いた。
カルゴ「ご褒美、か。了解、何が欲しいの?」
妖夢「ううん、何かが欲しいとかじゃなくて…。色々奢って!アイスとかアイスとかアイスとか!たまにはいいでしょ?」
アイスだけかい。
カルゴ「食べ歩き?」
妖夢「そーゆー事!あー…でも今日はすごく暑いから、そう長くは里に居たくないなぁ…。アイスだけ何個か買って、白玉楼で食べてもいい?」
カルゴ「なら、買ったらさっさと帰らなきゃな。この暑さじゃすぐ溶けちまうだろう」
妖夢「そこもエスカルゴに頼っちゃおうかな♪」
カルゴ「…はいはい…」
俺に頼るというのは、猛スピードで飛ぶという事では無く、スキマの事だろう。以前よりかは遥かに慣れたが疲れることに変わりは無い。しかし、女子の頼みとあってはそれも仕方あるまい。
甘い?ヌルい?チョロい?
…それが俺の取り柄だ、そう開き直る事にした。
妖夢「…あっ、『氷』って書いてある!」
カルゴ「ほんとだ、行ってみるか」
妖夢「うんっ!」
夏の間は、氷屋が繁盛する。
ここで言う氷屋とは、簡単に言えばアイス屋だ。「アイスクリーム」という言葉が人里に浸透していないからか、俺や早苗といった外から来た者はかき氷屋とアイス屋でゴチャゴチャになり易い。人々の中では「かき氷or氷」だ。
アイスまで氷扱いでは、非常にまどろっこしい。
呼び方が全く同じなら、表記だけは区別をつけてほしいものだ。何せ、売り物が違うのだから。
どちらも「氷」ではかき氷とアイスで混乱する。
よって、店の看板を見つけても、店の前まで行かなければ、かき氷屋かアイス屋かわからない。
妖夢「んー、見えないな…」
店の前には、里人たちがわんさと群がっていて、店の様子が全く見えない状況だ。前まで行けば、キチンと並んでいるものと思っていたが…。
しかし俺は、目のやりどころを変えた。
店を見るのではなく、店から離れる人へ。
カルゴ「…ここはかき氷だ、他んとこ行こう」
妖夢「えっ…あ、ホントだ。そだね」
無理に見えないものを見ようとしなくてもいい。
着眼点を変えるだけでも、答えは得られる。
人々はかき氷を持って店から離れて行っていた。つまりこの店はかき氷屋だ。残念ながら俺たちが探している
妖夢「あれ〜…アイス屋ってどこだっけ…」
キョロキョロと見回す妖夢の頬には一筋の汗が。
暑さに弱い俺は、吹き出すように汗が流れる。
カルゴ「うーん…アイスは買いに来たことがないから分からないな…」
妖夢「私も、ふと見かけたら買い込む程度だったからなぁ…。店の場所ちゃんと覚えとかなきゃ」
俺も妖夢も、アイスのためだけに里には来ない。
その事が、今回は痛手となってしまった。
妖夢「あ゙〜づ〜い゙〜……」
しばらく歩くと、妖夢の足取りは重くなり、半霊すらも動きが鈍くなってきた。いつも涼しい場所に居るだけあり、彼女も暑さには弱いと見える。次第に足元がおぼつかなくなってきて、フラフラし始めてきた。これは危ない。
どうすれば良いのか対策を考えるより先に、身体が勝手に動いた。即ち、妖夢の手を取ったのだ。
倒れないように、手首を掴んだというだけだが。
妖夢「ふぇ…?」
ボーッとしている妖夢は、今自分がどういう状態なのかがわかっていない様子だ。
熱中症になり掛けているのだろうか。
何にせよ、今すぐ休憩が必要だろう。
カルゴ「少し、風通しのいい日陰で休もう。体調崩しちゃ、元も子も無い。…歩ける?」
妖夢「うん…大丈夫」
カルゴ「ダメそうなら言えよ?」
妖夢「わかってる…」
彼女の歩幅、歩く速さに合わせて、建物と建物の間にある涼しい路地に誘導した。風通しもいい。
カルゴ「ここはイイな…絶好の避暑地だぜ。里にこんな涼しいところがあったなんてな」
あまり長時間いると、太陽がこっち側にくるが、もう少しなら大丈夫だろう。
妖夢「そうだね……って、手が…」
自分の手を見て、俺の手に掴まれている事に今更ながらに気がついた妖夢は、目を丸くする。
カルゴ「ああ、ごめん。もし倒れたら、すぐ支えられるように手を掴んでたんだ」
気付いたのと同時に手を離し、下心が無いことをアピールする。実際、下心なんて微塵も無い。
妖夢「離さなくていいのに…」
カルゴ「え?」
妖夢「ううん、何でもない。もう少し休んだら、アイス屋探しに行こ?」
カルゴ「そうだな」
妖夢「(びっくりした〜…まさか、手が繋がれてたなんて…。ボーッとしてて気付かなかった…。勿体無いことしたなぁ…)」
離さなくていいのに…あぁ、倒れるかもしれないっていう意味か。それなら、やっぱ掴んでた方がいいのかな?でも…過度なボディタッチは避けた方がいいよな。いや待て、カレカノでも無いのに手を繋ぐとかやっぱまずかったかな?
でも妖夢は大丈夫そうだが…うーむ…わからん。
妖夢「そろそろ行こ」
数分後、妖夢は俺の手を引いて路地から出た。
やはり倒れないか不安なのだろうか。妖夢のその気持ちを汲み、俺はされるがままになっている。
手首では無く手を掴まれていることに、少し緊張してしまう。これではまるで、親子やカップルに思われてしまいそうだ。俺と妖夢だから、どこをどう見ても親子には見えないが。
そして、繋がれる手の中には、より一層暑い空気が溜まり、汗が止まらない。
カルゴ「暑い…。ごめん、手汗が…」
妖夢「夏だもん汗かくのはしょうがないでしょ。私も汗かいてるし」
カルゴ「う、うん…」
離す気はサラサラ無いらしい。
手の中はもう、サウナ状態だ。中に虫でも入ろうものなら、蒸し焼きにされて死ぬだろう。
…虫だけに。
それにしても緊張するな。
もしかして緊張してるのは俺だけか?
こんな事言ったら、俺だけが意識してるみたいで恥ずかしい…言えるわけが無いな。
妖夢「どーしたの?キョロキョロしちゃって」
カルゴ「えっ…あ、氷の看板探してたんだ。早く見つけたいからさ」
妖夢「にしては、私の事もチラチラ見てたけど。かなり挙動不審だったよ?」
えぇぇ…それは心外だなぁ。
妖夢「なにか変な事でも企んでるの?」
カルゴ「へ…変な事ってなんだよ」
妖夢「彼女たちにしてるようなコト」
カルゴ「…何のことかわからないな。とりあえず早く見つけよ……あっ、氷屋発見」
妖夢「逃げた」
カルゴ「逃げてねぇよ」
疑いの目を向ける妖夢を受け流して、手を引いて店の方へ向かう。今度の店は、かき氷屋では無くアイス屋だったので、自然と足も速まった。
味は2種類。ソーダとバニラだ。
しかし、そんな味がするだけで厳密には違う様な気がするが…スルーする事にしよう。ついでに、ここにはレアな飲み物も売ってるらしく、それも買う事にした。
妖夢「エスカルゴ、どれにする?」
カルゴ「2種類だし、何個かずつ買っていこう。すみませーん、氷棒5本ずつ下さーい」
老婆「はいよ、ちょいとお待ち」
よっこらせ、と腰を上げる店主の老婆。妖夢は、待ちきれないという風にニコニコしている。
アイスクリームという言葉が浸透していないなら棒付きアイスは何と呼ぶか?氷棒だ。
あまり見かけないが、紙カップのアイスもあり、それは普通に氷と呼ばれているらしい。
俺も早苗もヒビキも、しばらくは混乱した。
それぞれの氷菓の呼び方は、
かき氷→かき氷
カップアイス→氷
棒付きアイス→氷棒
の様な感じだ。
外の世界風に呼んでいるのは、俺や早苗の周りの者だけで、里に来たら彼らに合わせる。
郷に入っては郷に従え、だ。
初めて「アイス下さい」と言って赤っ恥をかいたあの時のことは、多分一生忘れないだろう。
老婆「はいよ、氷棒10本、1100円ね」
ガ○ガ○君よりかは高いのね…。
買いすぎには注意だな。腹と財布に良くない。
カルゴ「はいっす。…あと、ラムネ10本」
無造作に袋に入れられたアイスを受け取り、次に飲み物の注文をする。俺の注文に、老婆と妖夢は目を丸くした。
老婆「やっと売れる時が来たかい、やれやれ…。全部やるよ、遠慮せんで持ってっとくれ」
カルゴ「全部…えっ、20本はありますが」
老婆「こんな薬みたいなモン、誰も好き好んでは買わないよ。わたしゃ一生飲まんね。みんなも、最初は面白がって買ってくれたが、すぐ売れ残るようになった。ビンで密封にされてるし、鮮度は多分大丈夫だよ、持っておいき」
カルゴ「…あざます」
こうして俺は、ラムネ26本を購入した。
「どうせ売れ残りだし、古いから無料でいい」と言ってくれたが、数が数だけに、タダにするのはなんとなく気が引けたので、半ば無理矢理お金を払ってきた。定価が不明なので、3000円ほど。
妖夢「エスカルゴってラムネ飲めるの…?」
カルゴ「うん」
妖夢「美味しい?」
カルゴ「美味しい」
妖夢「えぇ…私はあんまり好きじゃないなぁ」
カルゴ「美味しいのに…」
少し引き気味の妖夢を見て、俺はちょっぴり頬を膨らませる。これ程美味しいのに、外から来た者以外にはあまり理解してもらえない。
なんとも、寂しいものだ。
炭酸系は、幻想郷の皆の口には合わないらしく、どれもロクに流通せず、こうしてゲットするのは本当に稀である。
幻想郷には、意外にも2種類の炭酸飲料がある。
ラムネ(サイダー、ソーダ)、コーラだ。
コーラに至っては、香霖堂でしか飲めない。
炭酸飲料の歴史的には、レモネード→サイダー→コーラの順なので、コーラがあるならレモネードもあると思うのだが…そこはいつか、紫さんにでも聞いてみることにしよう。
霖之助も、あまり飲まないクセして、なぜコーラなんか拾ってくるのやら…。
さっき老婆も言ってた通り、ビンで密封されてるので、ビンの汚れさえ落とせば飲める事は飲めるから、納得のいく理論ではある。
しかしここで、ある疑問が浮かんでくる。
「アイスはどうやって作っているの?」
「夏祭りの屋台や、こういった店で並ぶかき氷のシロップは、一体どこから来ているの?」
という疑問だ。
俺の推理では、幻想郷の氷菓及び冷菓事情には、紫さんが深く関わっている。
アイスの製造法等は、藍さんが里人に伝えているのだと思う。何故なら藍さんは、買い物で人間の里へ通っているからだ。製造法やシロップの譲渡など、彼女ならば朝飯前だろう。
紫さんは、幻想郷の平穏を願うと共に、里人達の生活も豊かにしようと奮闘している。
味の無いかき氷より味があった方が、より生活も楽しく、豊かなものになる。
恐らく、そんな事を考えているのだろう。
妖夢「何考え込んでるの?」
そんなに考え込んでたか?
なんて答えようか…そーだなぁ…。
カルゴ「今年の夏祭りは、今まで以上に大所帯になりそうだなぁって」
妖夢「なんで?弦月姫ちゃんが生まれてからは、ずっとあのメンバーじゃん」
カルゴ「えっ…あ、あぁ、そうだな、うん」
危ない危ない…早苗と諏訪子様の事も数に入れて考えたけど、それはみんなには秘密だったな。
いや、公表してもいいんだけど…なんと言われる事やら…。娘4人いるのになぁ…。
妖夢「もしかして……」
歩みを止め、俺の顔をじっと見つめる妖夢。更に彼女が増えた事に気付いたのか、と内心で焦る。しかし妖夢が発した言葉は、俺の予想の斜め上を行くものだった。
妖夢「私の事も数に入れてたり…?」
いや、入れてない。
妖夢は幽々子さんと2人で行動するし。
というか、幽々子さんは里の祭りに来るのか?
今のところは一度も見たことが無い。
カルゴ「…入れるか」
妖夢「入ってなかったかー…」
残念だなー、と苦笑いする。
カルゴ「妖夢は幽々子さんと2人で行動するってイメージが強くて。妖夢が良いんなら…今年は、妖夢も俺たちと来るか?」
妖夢「…わかってないなぁ…」
カルゴ「何が?」
妖夢「知ーらない。早く帰ろ」
やばい、妖夢の思考が全くわからない…。
不機嫌になったかと思ったら素っ気なくなるとかどういう事?女心と秋の空ってか?まだ夏だぞ。
カルゴ「そだな、行こう」
近くの狭い路地に入って、人が近くにいない事をよく確認し、白玉楼の門前にスキマを繋いだ。
幻想郷にコーラがあるというのは、東方香霖堂の中で記されているので、一応原作設定ですね。
ソーダが幻想郷にあるというのは拡大解釈です。
コーラがあるのなら、それ以前の飲み物ならば、幻想郷にあってもおかしくないと思うのですよ。
バニラ(もどき)味の一種類では…少し寂しい。
かき氷も、無味では寂しい。
そこまで昔な感じの設定にしなくても…。
なので紫さんに頼りました、すみません┏○┓
棒付きアイスを氷棒、アイスを氷と呼ばせたのは完全に独断ですね。
どこか抜けてて、大雑把な方が幻想郷らしいなと思ったんです。なんでもカッチリ決まってると、外となんら変わらないような気がします。
それに、アイスなどと呼ばれると、里の「和」のイメージが崩れるというか…。
アイスって英語だし…。