※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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遅れた連絡

妖夢と初めて繋がった次の日。

今日は博麗神社に行く日なのだが、俺は守矢神社に来ていた。話は昨晩、文の仕事場に到着した所まで遡る。

 

 

 

カルゴ「ただいまあやや〜…」

 

妖夢との性行為でそこそこ疲労した俺は、スキマを使用せずに歩いて帰った。おかげで、帰宅は夜になってしまった。俺が帰った時には、文が夕飯の準備を済ませ、今まさに食べ始めようとしていたところだった。

 

穹「おかえりなさい、父上!」

 

文「あややっ、おかえりなさい!夕飯、ちゃんと作っておきましたよ!」

 

カルゴ「ごめん、俺が作らなきゃいけないのに」

 

文「そんな決まりは無いですよ?気にせず、席について下さいな♪」

 

カルゴ「…うん、ありがとう」

 

穹に手を引かれて席につき、食べ始める。

文は、何かを察していたかの様に、俺の出かけた先を聞いてこなかったものの、穹はごく自然な流れで、父親の出かけた先を尋ねた。

 

穹「こんな夜まで、何処に行っていたんですか?昨晩、冥界に行くとは言ってましたが、ここまで遅くなるとは言っていませんでしたよね?」

 

そっか、荷物持ちするって言う話は聞いてたな。

なんて言えばいいんだ…?

 

カルゴ「色々あって……な」

 

穹「色々…?」

 

文「穹。誰にでも言いにくいことはあるのです、そういった事はあまり詮索しないように」

 

穹「はぁ〜い…」

 

文のフォローには本当に感謝だ。

深く詮索されても言葉を失うだけで、ボロが出てしまうかもしれないからだ。しかし何も言わないのも、秘密を作るようで、いい気持ちはしない。

せめて一言や二言、何と言おうかと迷った挙句、言ってはいけない事を言ってしまった。

 

カルゴ「…穹。近々、妹か弟ができるかもな」

 

穹「へ?」

 

文「ブフォッ!!!」

 

何も知らない穹は首を傾げ、意味がわかっている文は、見事に味噌汁を吹き出してしまう。

 

穹「母上っ!?」

 

文「だ、大丈夫…ちょっとビックリしただけ…。エスカルゴさん、今度は誰と…?」

 

ニヤリと笑い、文花帖を取り出してペンを構える文。それから俺は全てを話し、文はそれを新聞にして、次の日の朝、幻想郷中にそれを配った。

もちろん、性行為をした事は除いてある。

 

それが守矢神社の神々の目に留まって、俺が博麗神社へ出掛けようとした際、俺を見つけた神々に連行されたのだ。

現在は、三柱の目の前で正座をさせられている。

人間に戻り、能力を失ったが今は大丈夫な事も、全てを順序立てて、しっかりと話したのだが…。

 

神奈子「それは大変だったなぁ…」

 

諏訪子「でもねぇ…」

 

早苗「……」

 

神奈子様はうんうんと頷いてくれるが、諏訪子と早苗は、疑うような厳しい目を向けてくる。

 

カルゴ「…もしかして、疑っていますか?」

 

諏訪子「疑うっていうか…ねぇ…」

 

早苗と顔を合わせ、何か言いたげな様子だ。

すると、早苗がキッと俺を見、口を開く。

 

早苗「どうして、人間になった時に私達を頼って下さらなかったんですか?」

 

カルゴ「その…連絡が遅れたというか…」

 

早苗「私達があなたを見つけた時、博麗神社に行こうとしてましたよね?なぜここに来ようとしなかったんですか?」

 

カルゴ「それは…」

 

言い難いから避けてたなんて言えない。

そう、魔理沙達のように信じてもらえないという可能性も十分にあった。…いや、頭の中を覗いてもらえば、その心配は無かったのかもしれない。

そうは思っていても、脳内で会話が出来なかった以上は、覗けないという可能性だってあった。

信じてもらえなければ加護してもらえない。

加護して貰えなければ覗けない。

やはり最終的には、「信用してるか否か」という結論に至るのだ。

これは愚痴になってしまうが、守矢神社の立地が悪い。妖怪の山は、非常に危険だ。そんな所に、ただの人間が行けるわけが無い。

だからこそ、なぜ再び吸血鬼になってからも来なかったのか、という問題なのだが…。

 

早苗「まさか、私達のこと忘れてたんじゃ…」

 

カルゴ「そんな事はない!…ない…んだけど…」

 

諏訪子「けど、なんなのよ?」

 

ギロッと睨みを効かせる諏訪子様。

帽子の目も、怒っているように細かった。

 

カルゴ「…ずっと音信不通だったのに、急に俺が来たらどう思います?『今さら何の用?』『連絡無かったくせにノコノコ現れやがって』…とか、そう思いませんか?だから……お2人を意図的に避けてました。申し訳ございません」

 

畳に額を擦りつけ、平に謝る。

すると、そんな俺の頭に、小さくて、温かい手がチョコンと乗せられた。

 

諏訪子「おバカさんだねぇ…。私が、そんな心の狭い神様に見える?」

 

早苗「そうですよ?…音信不通の彼に会えたら、逆に安心しますよ。怒る訳がないです。だって、永遠の愛を誓った仲じゃないですか♪」

 

諏訪子「うんうん♪」

 

カルゴ「……」

 

やっぱり、いいなぁ…こういう温かい会話。

慈愛の神様じゃねぇのに慈愛たっぷり…。

 

カルゴ「…ありがとうございます、2人とも」

 

ノソノソと頭を上げ、礼を伝える。

やはり、神様は信じてよかったらしい。

 

こんな事なら、あの戦いにこの2人呼べば、早く決着ついたんじゃないか…?

 

早苗「てことは、あの日に聞こえてきた雷の音はエスカルゴさんのだったんですね」

 

諏訪子「にしては弱かったけどね」

 

カルゴ「いえ。俺は、あの戦いで雷の力は使ってないので、その音は巫月のです」

 

諏訪子「なるほどー」

 

腕を組み、うんうんと頷く。

色々と納得してくれたようで何よりだ。

 

早苗「じゃっ、早速通信繋げますね〜」

 

諏訪子「あっ、コラ!私より先に繋げるなぁー!1人しか出来ない可能性だってあるじゃない!」

 

神奈子「(諏訪子が先に繋げたら、早苗が出来なくなるではないか…。今回ばかりは譲ってやれ…)」

 

霊力の技は使ってないからわからないが、霊力に移行できない事から、今の俺は霊力を失っているんだと思う。もしそうなったら、3人のうち1人としか話せない。静かにはなるが、寂しくなる。

 

早苗《聞こえてますかー?》

 

カルゴ《聞こえてるよー》

 

早苗「よっし、一番乗りぃ!」

 

返事を聞くなり、大きなガッツポーズをとる。

それを見た諏訪子様は早苗に掴みかかる。

 

諏訪子「早苗ぇぇぇっ!!」

 

早苗「わっ!なんですか!?」

 

諏訪子「なんで私より先に繋ぐのさ!エスカルゴは私の、前から言ってるじゃん!」

 

早苗「それでも先に告白したのは私ですっ!先にエッチしたのも!」

 

諏訪子「私が背中を押してあげたんじゃん!この恩知らず早苗っ!」

 

早苗「そこまで言うこと無いじゃないですか!」

 

カルゴ「ちょ、2人とも…」

 

2人「エスカルゴ(さん)は黙ってて(下さい)!!」

 

カルゴ「ひえっ」

 

神奈子「あーあ…。(どーしてこうなるんだか…。それが彼を困らせてることに、なぜ気付かん…)」

 

殴り合いにはならないが、掴みあったり引っ張りあったり…取っ組み合いの喧嘩に発展し始めた。止めたいが止められない。無理に止めようとすると、こちらの方に怒りの矛先が向いてしまうかもしれない。

 

諏訪子「ちょっとくらい乳が大っきいからって、調子に乗らないで!」

 

早苗「乗ってませんよ!自分が貧乳だからって、私にそれを愚痴らないで下さい!」

 

諏訪子「言ったなぁ〜!?大きいと将来垂れるんだぞ!それなら小さい方がいいよ!!」

 

早苗「私は永遠にこの若さを保ちます!幻想郷の皆さんの信仰心のおかげでね!だから、絶対に、この胸は垂れません!」

 

頼むからヨソでやってくれその喧嘩。

俺も神奈子様も、居心地が悪い…。

 

諏訪子「信仰心んんん!!私にも少しは寄越しなさぁぁい!!」

 

早苗「嫌ですよ、このペタンコ神!」

 

諏訪子「っ!」

 

早苗の一言で、ピタリと動きが止まる諏訪子様。

何か、やばい気配が漏れ出ている。

 

早苗「豊満な胸はイイものです!エスカルゴさんの大きいモノだって、ほとんど見えなくなるほど挟み込めますから!しかし諏訪子様のその胸では挟み込むなんて不可能ですね!不・可・能!!」

 

神奈子「おい。そろそろやめておけ。見苦しいぞお前たち。これ以上やるなら他所でやれ」

 

早苗「私はただ、諏訪子様に売られた喧嘩を買っただけです!」

 

当の諏訪子様は俯いてしまっている。

声をかけたいが、どうにもかけにくい。

しかし次の瞬間────。

 

諏訪子「うわああぁぁん!早苗がイジめるー!」

 

カルゴ「ッ!?」

 

目の前でオロオロしていた俺の胸に、バッと飛び付いてきた。急なことで反応出来ず、後ろに倒れて、頭をぶつけてしまう。

 

諏訪子「うぅぅ…早苗がぁぁ…早苗が…。うっ…うぅ…胸のことでイジめるよぉぉ…」

 

それで泣きついた所で、俺にどうしろと…?

 

早苗《突き飛ばしてやればいいんですよ!自分の愚痴を他人にぶつけるなんてサイテーです!》

 

カルゴ《えぇ…》

 

早苗《そうすれば諏訪子様も元に戻りますよ!》

 

カルゴ《……》

 

泣きついてきた幼女…神様を突き飛ばすなんて、俺には出来ないな。

 

カルゴ「大丈夫ですよ。諏訪子様は諏訪子様で、早苗は早苗で…。諏訪子様は早苗に無い魅力を、早苗は諏訪子様に無い魅力を持ってる…。それでいいじゃないですか」

 

そう言って身体を起こしながら、泣きつく諏訪子様を抱きしめる。当の諏訪子様も、俺の背中に手を回して強く抱きついてくれる。

 

諏訪子「でもぉ…エスカルゴとお話出来ないの、ヤダよぉ……」

 

早苗「私だって嫌です!」

 

神奈子「はあ〜…。まずは試してみたらどうだ?あの時、試したら2人目……私とも出来たろう。霊力を失ったと決め付けず、まずは試せ」

 

諏訪子「うん゙…わがった……グスッ」

 

袖でゴシゴシと目元を拭い、そのまま目を瞑って何か念じる諏訪子様。話しかけてきてくれているのだろうが、俺はその声を受け取れない。

 

諏訪子「ダメみたい…」

 

神奈子「諦めるな!あの時の私のように、何度も何度も試せ!泣くのはあとからにしろ!」

 

諏訪子「グスッ……神奈子のクセに、生意気…」

 

神奈子「なっ…私はお前を元気付けようと…」

 

諏訪子「わかってる…ありがと、神奈子…」

 

 

 

それからおよそ数十分後、奮闘の末に通信が可能になった。再び抱きつかれたので、諏訪子様の頭をこれでもかと撫で回した。物凄く可愛く、ついつい強く抱き締めてしまった。

早苗とも無事和解し、ことは丸く収まった。

それから数回、早苗と諏訪子様と身体を重ねて、お昼になる頃、博麗神社へと飛び立った。

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