カルゴ「……っ…ふわぁ……」
博麗神社で迎える朝。
今日もまた、しっかり自分で起きれた。
障子越しに入ってくる日光は、柔らかい光を放ちつつ、徐々に俺の目と頭を覚ましてくれる。
いつも通りの気持ちいい朝だ…と思っていたが、今日に限っては、いつも通りではなかった。
カルゴ「霊夢…?」
自分の隣に、共に寝たはずの霊夢の姿が無い。
おかしいな、と俺は訝しむ。
何故なら、霊夢はいつも俺が起こすからだ。俺がどれほど眠りこけていようと、霊夢が俺より早く起きる事はほとんど無い。
それほど俺の生活リズムは整っているのだ。正確には、俺の体内時計が。
もしや、霊愛が霊夢を起こしたのか、と思って娘を見るが、霊愛はまだ気持ち良さそうに…いや、日光に当たって、若干寝苦しそうに寝ていた。
ダラダラと汗をかいているわけでは無いが、頬がしっとりと湿っている。障子越しとはいえ、日光に当たっているのだ。そりゃ暑いだろうな。
自分はどうなんだ、と己の身体に触れるが、俺の身体も汗で湿っていた。後ほど、風呂に入ろう。
その考えに至った時、霊夢が風呂にいるのでは、という可能性を思いついた。
なるほど、それなら納得だ。
なら、霊夢を来るまでに朝食でも作っておこう。
カルゴ「あんれまぁ…こりゃ驚いた」
台所で、俺は朝から声を出して驚いた。
そこには、作りかけの朝ご飯があったのだ。
なんと霊夢は、寝るのが遅かったのにも関わらず早起きし、朝食を作っていたらしい。
普段ボーッとしている霊夢だが…なにか、心境の変化があったのだろうか。
これは…続き作ってていいのか?
それとも霊夢が来るまで待つのがいいのか?
しかし…火が付けっぱなしだぞ。危ないなぁ…。
霊夢「おはよ。もう起きたの?早起きね」
カルゴ「っ…!?」
どうしたものかなと悩んでいると、本人が台所に戻ってきた。やはり、風呂に入っていたようで、いつもの巫女服を着ているが、石鹸のいい匂いが漂ってくる。
カルゴ「おはよ。霊夢こそ、随分と早起きだな。どうした?」
そう尋ねると、ドキッとしたように身体を震わせる。更に、みるみるうちに顔が赤くなっていく。
霊夢「…たっ…たまには…私が朝ご飯を作ってあげようかなって思って…その…うぅ…///」
なんと言えばいいのか…。
今の霊夢の様子を一言で表すなら、凄く可愛い。
俺の語彙力だと、そうとしか言えない。
カルゴ「なるほど。でも、どうして急に?」
朝ご飯を作ろうと急に思い立った訳を尋ねると、より一層顔を赤くした。それこそ、熱があるのではないかと疑いたくなるほど。
霊夢「ほら…今日って新婚1日目だし…///」
カルゴ「まだ式挙げてないだろう…」
苦笑混じりに頬をポリポリ掻く。
霊夢「式挙げてなくても、指輪とあの言葉だけで結婚は成立するのっ!式なんて、他の人に見せるためのものじゃない」
カルゴ「あー…言われてみれば確かに。そうかもしれない…かな?」
霊夢「だから、私たちはもう新婚の夫婦なのっ!わかった?」
カルゴ「わかったよ、霊夢♪」
霊夢「んもう…素直に頷いていればいいのに…。頭硬いと嫌われちゃうわよ、あ・な・た♪」
カルゴ「てへへ…」
厳密に言うと、結婚式とは「神様や参列者の前で2人が結婚を誓う儀式」の事だ。
指輪交換や誓いのキスなど、2人がお互いに夫婦として生きていくことを誓う儀式が行われる。
一方、披露宴とは「結婚したことを知人にお披露目するためのパーティー」のこと。
結婚式と披露宴は、中身は全然違うのだ。
霊夢が言っている「他の人に見せるためのもの」は披露宴を指しているのだと思う。
参加してくれたゲストと料理を食べたり、お酒を飲んだりして、お祝いの宴を楽しむ。
ウェディングケーキへの入刀や、友人による余興など、場を盛り上げるための演出を取り入れる人も多いらしい。
つまり、「結婚式は儀式、披露宴はパーティー」ということだ。
だから、式だけは行いたいと思ったのだが…。
カルゴ「…式は無しか…」
残念に思った俺は、ガクリと肩を落とす。
結婚式に特別こだわっている訳では無いのだが、やはり式は行いたかったというのが本音だ。
霊夢「そんなに残念なの?…しょうがないわね、今ここで簡単な式を行いましょ。それならあなたも満足でしょ?」
カルゴ「ふぁっ!?そ、そんな急に!?」
すると霊夢は、俺の前に立ち、恥じらいながらも俺の手を取り、口を開く。
霊夢「わ…私に…永遠の愛を誓いますか?」
神父さんの代わりを新婦が務めるなんて、聞いた事がないぞオイ…さすが霊夢だなぁ…。
カルゴ「誓います」
霊夢「……ほら、あんたも言いなさいよ///」
カルゴ「!?」
何を?と聞きたいが、それだとこの空気を壊してしまいそうで怖い。それに、何となく察した。
カルゴ「俺に、永遠の愛を誓いますか?」
霊夢「誓うわ♪」
…で、この後は?
確か指輪交換してキスするんだよな。
神父の代わり?のセリフも全然違うが、この方が幻想郷らしいというか…堅苦しくなくていいや。
神父(牧師)のあのセリフ、凄く長いもん。
霊夢「…誓いのキスを…///」
そう言って、ゆっくり目を閉じる霊夢。最後は、キスで締めるつもりらしい。
ベールを上げる代わりに、顔にかかっている髪をそっとどかし、霊夢に優しく口付けする。
誓いのキスは3秒〜5秒がいいらしいが、そんなことはお構い無しに、10秒近く唇を重ねていた。
もう少ししていたかったのだが、娘が歩いてくる音が聞こえてきたので、慌てて口を離す。
霊愛「…?2人とも、何してるの?」
目を擦りながら、霊愛が台所に来た。
霊愛が起きたのに気付いた俺たちは、調理に取り掛かったので、朝からキスしていたのは、霊愛にバレていないはずだ。
カルゴ「おはよう」
霊夢「おはよう、霊愛。ご飯作ってるからそっち行って待ってなさい」
霊愛「はぁ〜い…」
再度欠伸を漏らしながら、居間へと向かった。
それを見送り、俺たちは安堵の溜め息をつく。
カルゴ「危なかったな…」
霊夢「バレても構わないけど…出来ればあんまり見られたくないものね」
カルゴ「ああ…」
霊夢「でもこれで、もう式とか騒がないでよね?簡単なやつとは言え、今やったんだから」
カルゴ「はぁ〜い…」
初めてのちゃんとした結婚式は…誰とやることになるんだろうなぁ…。でもま、強制するものでも無いし、これでもいいかな。
霊夢「皆の前でキスとか…恥ずかしいもん…///」
珍しく「もん」という語尾で呟く霊夢が可愛く、ついつい頬が緩んでしまった。
霊夢「何笑ってんのよ…ばぁか…///」
カルゴ「何でもないよ。さ、朝ご飯持って行こ。霊愛が待ってる」
霊夢「そうね」
結局2人で仕上げた朝食を、霊愛の待つ居間へと運び、親子3人揃ってご飯を食べ始めた。
いつもの事なのに、何故だか新鮮に感じた。
なんか、レイカルのイチャイチャをめっちゃ書きたい気分ですわ…。