ここまでお読み下さった皆さんなら、今回もまた受け入れていただけると思います…(汗)
さて、今回の騒動がハッピーエンドで終わるか、バッドエンドで終わるか……。
現在俺は、心拍及び呼吸が停止してしまった霊夢を蘇生するべく、あらゆる手段を思案している。
こんな現実、認めたくない。
…認めたくないのだが、徐々に冷たくなっていく彼女の身体が、何よりも“死”を示していた。
しかしだ。だからこそ、霊夢の事を蘇らそうと、アレコレ考えているのだ。
そして、1つだけ、方法を思いついた。
しかしこれには、鈴仙の協力が不可欠だ。
鈴仙「持ってきたよ、チューブ4本と針8本!」
カルゴ「鈴仙。霊夢の傷口の縫合、出来るか?」
鈴仙「えっ…で、できるけど………」
カルゴ「すぐに頼む。早けりゃ早いほど、蘇生の可能性が高くなる」
鈴仙「…だって、もう手遅れだって…」
カルゴ「俺はそんなこと信じちゃいないんだよ!今すぐ傷口を縫い合わせてくれ!あと、血管もだ!」
ついつい、冷静さを欠いた発言をしてしまう。
後ほど謝る事にしよう。今は、こっちに集中だ。
鈴仙「わかったわよ、もう…」
チューブと針を消毒済みのビニールの上に置き、糸と針を駆使して傷口を塞いでいく。
永琳の助手をしているだけあり、かなり手早い。
数分後、背中と腹部の傷、それと腹部の主な血管は鈴仙の手によって塞がれ、大怪我の後の手術後のような痛々しい傷が、霊夢の身体に刻まれた。
カルゴ「ごめん霊夢…少し痛いよ」
霊夢に強力な麻酔をかける。
効いたかどうか確かめる術はないが、効いていると信じるしかあるまい。それから、自身の手足にも同じく強力な麻酔をかけ、感覚を消す。
カルゴ「鈴仙。3本のチューブの両端に献血用の針をつけて渡してくれ」
鈴仙「はい。…こんな感じ?」
カルゴ「ああ」
俺はそれを受け取るなり、霊夢の横に寝転がり、霊夢の大腿部の、太い血管と自身の太い血管とを繋ぐ。まず、1本目。
動脈と静脈の配置は、人間も仙人も吸血鬼も同じなのでその心配は要らない。位置も確認済みだ。
鈴仙「えっ!?何やってるの!?」
カルゴ「霊夢の全身に血を巡らすんだよ」
鈴仙「血液型が…」
カルゴ「俺も霊夢もA型だ」
霊愛の出産の時に、霊夢の血液型は把握済みだ。
もしもここで血液型が違っていたら、この方法は決して実行出来なかった。
鈴仙「…でも、心臓が動かなきゃ血を流せないんじゃないの…?」
カルゴ「だから俺が霊夢の分の血液も流すんだ。俺が2人分の身体に血を流すんだよ」
鈴仙「なっ…無茶よ!あなたの心臓がもたない!2人分の身体に血を巡らせるなんてそんな…!」
その時、頭がクラッとして、思わず気絶しそうになってしまう。この症状には、よく覚えがある。
そう、貧血だ。
霊夢が大量出血したのに、足りないところに俺の血を流しているのだから、貧血にもなるだろう。
…いいや、貧血とは違うか。貧血とは、血の質の問題だ。今回は、血の量自体が足りていない。
まぁ、貧血でいい。血が足りていないのだから。
カルゴ「鈴仙…俺に輸血頼む…。A 型…Rh+の血液型だ…」
鈴仙「輸血!?わ、わかったわ!」
やべぇ…頭がグワングワンしてきた。
流石に2人分の身体に流すのは無理があった…。
でもここで俺がギブしたら霊夢はこのまま死んでしまう。それだけは俺が死のうとも避けなければいけない事態だ。
あとは、3本のチューブを同じように太い血管に繋いで、胸骨圧迫を開始する。血液循環によって霊夢の体温を上げて、追加で電気毛布を使用して…体温を上げる。
それで霊夢の心臓が動き始めたら、意識の確認。
大体、この流れで蘇生は可能なはずだ。
心臓さえ動けば、傷口も中の血管も塞がっているから、内出血も起こさず、元通りになるはずだ。
そして、2本目を突き刺す。
カルゴ「くっ……」
霊夢の、血が足りていない部分を巡った俺の血が再び俺に流れ込んできた。
体温が低下しているからか、血も少々冷たく、俺の身体が内側から冷やされていくように感じる。
カルゴ「3本目…っ」
鈴仙「エスカルゴ…」
ちょうど残りの3本を突き刺し、文字通り一体となった時、鈴仙が部屋に戻ってきた。手には何も持っておらず、表情は暗い。
カルゴ「なん、だ?」
鈴仙「お師匠様が…『根拠の無い医療行為の為にストックを使用するわけにはいかない』って…」
クソッ…ごもっともな正論ぶつけてきやがった。
こうなったら、最終手段だ…。
カルゴ「鈴仙の血をくれ…」
鈴仙「無理よ、私はA型じゃない」
カルゴ「違う、飲ませてくれって言ってるんだ」
鈴仙「…!腕からでいい?」
カルゴ「ああ、腕からがいい」
消毒液を染み込ませたガーゼで腕を拭いて、横になっている俺の口元に腕を差し出す鈴仙。
一言「ありがとう」と礼を言い、噛み付く。
吸血鬼は、取り込んだ血を己の血に変換出来る。だから貧血の時は、普段以上に血を欲する。
その前に、貧血になることすら稀だし、普段は、食事としてしか血を飲まないのだが。
カルゴ「…サンキュ、鈴仙。助かった」
腕から口を離し、再度礼を言う。
零れてきた血もぺろりと舐めとる。
鈴仙「もういいの?」
カルゴ「600mlはもらった。献血の1.5倍だ。これ以上は鈴仙の健康に影響を及ぼすかもしれない。それに、そろそろ次のステップに進むぞ」
鈴仙「次は何をするの?」
カルゴ「霊夢の胸骨圧迫。これは出来るか?」
鈴仙「任せて!」
チューブを繋いでいない俺の右手でやってもいいが、首のチューブの保護のためには第三者に頼るのが良策だろう。
カルゴ「俺の
鈴仙「わかってるわ!」
俺の胸に手を置き、一定のリズムを感じ取った鈴仙は霊夢の胸骨圧迫を開始する。
本当なら、電気ショックを与えてからやるべきだとは思うが、あいにくそんな時間は無い。
俺の能力をAEDとして使う方法も考えた。
けどそれだと、復活しても血が足りなくて失血死するのは目に見えている。だから、俺と霊夢が、繋がる必要があったんだ。
チューブは、このように繋いでいる。
首の動脈に太いチューブを1本。
俺が血を脳に流そうとする所に針を差し込んで、霊夢の動脈側と繋いでいる。針の向きに注意だ。こうすれば俺の血が霊夢の脳に流れる仕組みだ。
2本目は俺の太ももの動脈と霊夢の太ももの静脈を繋いでいる。こちらは、針の向きは流れに任せるだけで大丈夫だ。
3本目は脇だ。
脇にはなかなか太い血管が走っている。
こちらは、俺の動脈と霊夢の静脈を繋いでいる。
4本目は、献血に使用する肘の血管だ。
俺は変わらず動脈を使用し、霊夢の動脈に繋ぐ。
首:動脈→動脈
大腿:動脈→静脈
脇:動脈→静脈
肘:動脈→動脈
そう、俺は4ヶ所もの太い動脈を使用している。
つまり、現在の俺の脳には血液が足りていない。
少しでも気を抜けば気絶しそうだ。
なぜ自分の脳を疎かにしてでも霊夢への供給を優先したのかは言わずもがな。脳は大事だからだ。
鈴仙「…大丈夫?顔が青白いよ…?」
グッ、グッ、と胸骨圧迫を継続しながらも、俺の心配をする鈴仙。顔には玉のような汗が浮かんでいるが、汗を拭う間もない。
カルゴ「俺は…大丈夫…。霊夢を頼む…」
目が霞んできた。
脳に酸素が足りなくなってきているのか。
カルゴ「『分身』」
残り少ない電力をかき集め、分身を生成。
あまりにも働かせすぎると消えてしまうが、今はそんなこと言っていられない。
分身「お前、霊夢ちゃんの為に死ぬ気か?」
カルゴ「…霊夢に電気毛布を…。体温を上げる。場所はわかるな…?」
分身「チッ…」
分身に電気毛布を持ってこさせ、霊夢に使用。
これで、少しは体温が上がるはずだ。
分身「お前、頭大丈夫か?視界も悪いだろ?」
カルゴ「うっせ…鈴仙と交代しやがれ…。酸素を頼む…鈴仙…。なんか、酸素が足りてないような気がする」
鈴仙「わかった、酸素マスク持ってくるね!」
カルゴ「はぁ……はぁ……」
鈴仙「はい、マスク付けるね!少し暑くなるかもしれないけどそれは我慢してね!」
鈴仙の言葉に、チューブを繋いでいない右手で、OKのサインを出す。
暑くはなったが、酸素が来るだけあって、少しは頭がスッキリしてきた。視界は未だ薄らぼんやりしているが、じきに治る事だろう。
さて、ここからが問題だ。
ここで心臓が動けば大丈夫と踏んでいたが、その気配がまるで無い。もしや、手遅れなのか…。
分身「電気ショック、か」
カルゴ「頼む」
マスク越しで、くぐもった声で言葉を返す。胸骨圧迫をしているだけあって、俺の心臓の負担が少しは減った。
分身「だったらチューブ外すぞ。血流が止まってなきゃ、AEDの意味が無いだろう」
心臓が止まっているというのに、微妙に血が流れていたら、いざ心臓が動いた時にどうなるか分からない。まず、良いことは無さそうだ。
先に俺に刺さるチューブを抜き、霊夢に十分な血液を与え、それから電気ショックを与える。
弱すぎず、強すぎず…絶妙な力加減で。
分身「…ん?」
何度かショックを与えた後、分身が反応する。
そして、そっと手を当ててみる。
分身「おい、地味に心臓動いてんぞ!」
カルゴ「マジか!!」
鈴仙「本当に!?」
分身にそう知らされ、そっと手を当ててみる。
トクン………トクン………
確かに、止まる直前のような、微弱な動きが感じられた。意識は戻っていないらしいが、心臓さえ動けば、あとはこっちのものだ。
カルゴ「よかった…霊夢……」
俺が永遠亭に駆け込んでから、およそ16分後の事であった。
あとは意識を取り戻すまで、待つしかあるまい。血はまだまだ足りていないだろうから、今度は、霊夢に輸血するべきだろうか。
カルゴ「鈴仙…俺の血を抜いてくれ…」
鈴仙「ダメよ、あなたの血が足りなくなる」
カルゴ「俺は後でてゐとか霊愛とかからもらう。そんな事より霊夢だ……頼む、抜いてくれ」
鈴仙「…しょうが無いわね。じっとしててね」
カルゴ「ああ。これでも献血の常連だぞ」
再び俺から400mlほどの血を抜き、それを輸血のパックに移し、今度は霊夢に輸血を開始。
俺は重度の貧血に陥り、危うく意識を失うところだったが、分身の往復ビンタにより難を逃れた。
夜になった。
今晩は再び文の仕事場に戻る日だが、そんな状況じゃなくなったので、充電させた分身に、伝言を任せた。「この埋め合わせは必ず」と。
それからは、俺も横になりながら充電をする。
一定まで溜まった所で、もう一体の分身を生成。
こちらには霊愛の世話をするように言いつけた。
娘に心配をさせないよう、「俺と霊夢はお泊まりしてくる」と伝えさせた。これで娘は大丈夫だ。
霊夢の心臓が再度動き始めた事については、あの永琳すらも驚いていた。
方法を尋ねられたので、2人で正直に答えたら、「そんな無茶な方法で…」と再び驚かれた。
そして、こうも言われた。「心臓の強い吸血鬼と霊夢の強運のおかげかしら」と。
これは、本当にそうだと思う。
ただ、鼓動が夜になっても弱いままで、目を覚まさないことだけが、とんでもなく不安だった。
永琳曰く、「今夜中に目を覚まさなければ、一生植物状態の可能性が高い」らしい。
それは、脳に血液が行き渡るまでの時間で、少々間があった事や、心臓が再起するまでに10分以上費やしてしまった事から導き出した答えだそう。
確かに、少々蘇生に時間をかけすぎた。
それは俺自身よく分かっていたから、もう永琳に突っかかったりはしなかった。
今夜が山だ。
霊夢とエスカルゴがチューブによって一体になった所のシーンは、「少し想像しにくいかな?」と思いますので、後ほど東方アカにて、簡単な絵にしてうpしておきます。小説アカの方だと見れる人が少ないので…。
え?非現実的だって?
紅葉が独歩を蘇生した時の方が非現実的でしょ。
素手心臓マッサージって…(汗)