この季節ならではの話も何話か出したいです…。
それから、後書きにお知らせがあります。
霊夢が吸血鬼化して、およそ30分が経った。
臓器の変遷が終わったのか、「ん…」と呻き声をあげ始めた。もう少しで目覚めるかもしれない。
鈴仙「エスカルゴ!もう少しで起きるよ!」
隣の彼を揺さぶるが反応は無い。顔色は未だ悪いままで、少しばかり顔をしかめた程度だった。
やはり、血が足りていないらしい。
霊夢「…れ……」
鈴仙「起きた!!」
目を開け、言葉を発する霊夢を見て、思わず大きめの声が出てしまった。しかし、そんな私の声にも彼は全く反応しない。
霊夢「鈴仙…?なんで…私がここに…」
鈴仙「エスカルゴが霊夢を運んできたのよ!少し待ってね、まずメディカルチェック済ませちゃうから!」
まずは簡単な診察をする。
心音を聞き、血圧を測定して、いずれも正常値である事を確かめる。血液検査もしたいが、それは後ほど行う事にしよう。
急に仙人から吸血鬼になったことで、戸惑うことだって多くある…と思ったが、流石そこは霊夢。
少し事情を話しただけで、あまり驚きもせずに、吸血鬼の身体を受け入れた。
霊夢「背中が少し重いわ。慣れるまでには時間がかかりそう。こんなの背中に背負ってたんだ…」
鈴仙「目とか牙とか、何か異常は無い?」
霊夢「大丈夫よ。牙って結構大きいから、邪魔なんじゃないかと思ったけど、そうでもないのね。この目なんて、かなり遠くまで見えるじゃない。ま、ここからじゃ竹しか見えないけどね」
鈴仙「…お腹の傷はどう?」
霊夢「あ、そうだわ。私、お腹を鎌で刺されたんだっけ?でもあの時、あの場で何があったのか、よくわからないのよねー…」
思い出したように話す霊夢は、傷を確かめようと病衣を捲り腹部を露出させるが、そこには傷一つついてはいなかった。
傷口の縫合跡すらも、消えて無くなっていた。
霊夢「…これって、再生したってこと?」
鈴仙「そうなるわね。塞いだ跡すら消えてるし」
霊夢「すごいわね。…でも、まずはエスカルゴを起こさなきゃいけないわね。それで、なんでエスカルゴはここで寝てるの?顔色も悪いし…」
鈴仙「大量出血した霊夢に、血を分けたからよ。ここには、霊夢とエスカルゴ以外にはA型の人が居なくて…輸血出来る人が、エスカルゴ1人しか居なかったの」
霊夢「そう…悪い事したわね…。ねぇ、少しの間だけ2人にしてくれる?」
鈴仙「別にいいわよ。私も、霊夢が目覚めたことお師匠様に報告しなきゃだし」
霊夢「ありがと」
診察の結果を書き留めたカルテを胸に抱え、私は2人のいる部屋を後にした。
霊夢「起きなさい」
鈴仙の足音が遠ざかったのを確認した霊夢は、隣の彼に、優しく口付けした。
エスカルゴSide
なんだろ…唇が温かい。目を開けたいけど、瞼が重くて開けられない…。瞼ってこんなに重いものだったっけ…?
霊夢「…起きないの?」
温かく柔らかい感触が離れ、誰かが呟いた。
目覚めるのを待ち焦がれていた、あの人の声だ。
カルゴ「霊夢ッ!?」
霊夢「きゃっ!」
声の主を特定した瞬間、俺の目は一瞬で覚めて、背筋をバネのように使って身体を起こした。
俺の隣には、明るい紅色の瞳で、背中に大きめの翼を持ち、見慣れぬ牙を生やし、白い病衣に身を包む最愛の人、博麗霊夢が居た。
カルゴ「霊夢……霊夢、目覚めたのか…?」
温かい手を取って、グッと顔を寄せて確かめる。対する霊夢は、キョトンとした表情から一転し、ニコッと優しく微笑んだ。
霊夢「この通り、吸血鬼として目覚めたわ♪」
カルゴ「霊夢…ッ!」
涙が溢れそうになった俺は、霊夢を思い切り抱き締める。戸惑った様子だったが、霊夢も俺の背に手を回して、同じように抱き締めてくれた。
カルゴ「よく戻ってきてくれた…!ありがとう…ありがとう霊夢…うぅっ…」
涙は我慢したかったが、あまりの嬉しさに、ついつい涙が溢れ出てきてしまう。
霊夢「戻ってきてくれた…って、大袈裟ねぇ…。まるで私が死んでたみたいじゃないの」
カルゴ「心臓も呼吸も止まってたんだぞ、霊夢…上手く蘇生できたからいいけど…」
霊夢「えっ………そう、だったんだ…」
カルゴ「でも、もう大丈夫だよな!!」
霊夢の両頬に手を置き、早速ムニムニといじくりまわして、温かい柔らかさを感じる。
やはり霊夢の頬は最高だ。
霊夢「あなたが血をくれたからね。ありがとね」
霊夢から感謝の言葉を言われた俺だったが、素直には喜べなかった。それはやはり、霊夢の努力を踏みにじった罪悪感からくる感情だった。
カルゴ「…ごめん。霊夢の1年の努力が、無駄になっちまった…。俺1人のわがままのせいで…。なんて謝ったらいいのかわからないが、それでも謝らせてくれ…申し訳ない…」
手を離し、頭を垂れて謝る。霊夢が眠っているとはいえ、やはり無断でやるべきではなかった。
霊夢「1年の…?あぁ、仙人になるための修行のことを気にしてるの?」
カルゴ「うん…」
霊夢「気にしないでちょうだい。あなたは、私の為に色々頑張ってくれた。それだけで十分よ」
カルゴ「ごめんな…。俺が不甲斐ないばかりに…死にかけるなんて…」
霊夢「あなたは悪くないわ。…それで、あの時、あそこで何があったの?目の前の死神を倒そうとした時からの記憶が無いのよね」
ひまわり畑から記憶が無いという霊夢に、あの時起こったことを簡潔に説明する。霊夢が相対していた死神とはまた別の死神がひまわり畑から出てきて霊夢を攻撃し、そいつらのことは俺が倒したということも。
霊夢「そうだったのね…。はぁ、せっかくの初夜を寝て過ごすなんてね…」
カルゴ「霊夢を吸血鬼にする方法さ、さっき思いついたんだよな。怪我した直後にやっておけば、初夜は無事過ごせたのに…」
霊夢「ホントよ。ま、焦っていたんでしょうし、そこは許してあげる。じゃ、帰りましょ。霊愛が待ってるわ」
カルゴ「へへっ…そうだな♪」
霊夢の手を取って立ち上がるが、その時部屋の襖が開いた。そこには、永琳と鈴仙の2人がいた。どうやら、診察をしに来たらしかった。
永琳「おはよう、霊夢。ホントに吸血鬼になったのね。似合ってるわ」
霊夢「弱点は増えたけど、これはこれで楽しそうだし…似合ってるなら何よりだわ」
永琳「…そう。じゃ、軽く診察するわね」
霊夢「心臓の音と血圧はやったわよ?」
永琳「ちょっとだけ血をもらうから、血液検査をさせてちょうだい」
霊夢「はいはい。はやく帰りたいから、さっさと済ませてちょうだいね」
そして永琳は、小さい注射器で霊夢の血を抜き、検査する。その間、俺達はそれを見守っていた。
結果、成分としては俺の血の成分の方が強いそうだが、近いうちに霊夢の血と置き換わるだろう、とのことだった。
永琳「…で、さっきウドンゲから霊夢が吸血鬼になった話を聞いて、弱点を無効化する薬を作ったワケだけど…どうする?使っちゃう?」
霊夢「うーん…使うわ」
カルゴ「えっ、俺もそれ使いt」
永琳「あなたはダメ」
カルゴ「( ´・ω・`)」
霊夢「何の弱点を克服する薬なの?」
永琳「日光と流水ね。そのほかの弱点は…今の私じゃ、克服する薬は作れそうにないわ」
残念ねぇ、と大して残念がっていない様子で手を肩の位置まで持ち上げて首を横に振る。
霊夢「流水の方、エスカルゴにもお願いできる?あれ、意外と不便らしいし」
カルゴ「霊夢…!」
永琳「えぇ…。じゃ、エスカルゴの方からはお金取るわよ?霊夢の方はおまけみたいなものだし」
霊夢「え〜…しょうがないわね…。ほら、お金を払って、あんたも薬飲んじゃいなさいよ。余計な弱点は消すわよ」
カルゴ「ああ!」
一晩経って回復した電力でスキマを作り、永琳が指定した額の分だけお金を取り出し、支払う。
それから、水持ってきます、と言って立ち上がった俺は、永琳に制止された。
永琳「これは飲み薬じゃなくて、注射よ」
そう言って、3本の注射器を取り出した永琳。
輝く朝日に照らされ、針がキラリと光る。筒には水と見紛うような透明の液体が入っている。
永琳「ウドンゲ、エスカルゴに水防止の注射を」
鈴仙「はいっ!ちょっと痛いよ、我慢してね」
カルゴ「おう」
永琳「ほら霊夢、腕出して」
霊夢「はいはい」
こうして俺たちは、吸血鬼の弱点である流水を、注射1本で克服してしまった。
それから永遠亭で朝食(病院食)を済ませた後、霊愛の待つ博麗神社へと飛び立った。
誰かと出会った際の反応が、今から楽しみだ。
エロが苦手な人の為にその前の話では次回予告を始めた訳ですが、エロ回の方が読者さんが圧倒的に多いんですよね。みんなエロ大丈夫なのかー。
という事で、予告は必要か?というアンケートを取りたいと思います。Twitterを見てない人は感想欄で書いて下さると助かります。
Twitterでもアンケ取ります。
永琳って打とうとすると、たまに( ゚∀゚)o彡゜えーりん!えーりん!ってなるから笑っちゃうw
あ、次はエロじゃないですよ。
恐らく、ほのぼのとした日常です。