永遠亭を飛び立った俺たちは、まず最初に、娘の待つ博麗神社へ帰ることにした。その後の事は、今現在、飛びながら話し合っている。
候補は、「家族でゆっくり過ごす」、「幻想郷中挨拶巡り」、「親しい者だけ挨拶巡り」の3つがあって、1つ目か3つ目の案に決まりそうだ。
1つ目としての理由は、ただ単に、ゆっくり過ごしたいからである。3つ目としての理由は、こうした重要な話は、できるだけ引き伸ばすべきではないとも考えるからだ。
霊夢「迷うわねぇ…。早く言わなきゃ、『なんで早く言ってくれなかったんだ!』とか何とかって文句言われそうだし…。かと言っても、わざわざ言いに行くのも面倒臭いしダルいし…はぁ…」
カルゴ「そうだね。でもまずは、神社に帰って、ゆっくり過ごしたいな。行くにしても今すぐじゃなくていいんじゃないかなー…とか思ったり?」
霊夢「じゃ、ゆっくり過ごすで決定ね。誰かから文句言われたら全部あんたのせいにするから」
カルゴ「うっ…仕方ないなぁ…」
霊夢「ありがと♪」
隣の霊夢は、仕方ないと受け入れた俺に、ニコリと微笑む。とてつもなく可愛いのだが、俺の目はどうしても別な方へと向いてしまう。
霊夢「…どこ見てんのよ」
カルゴ「横乳?」
霊夢「モロに言うな変態ッ!」
カルゴ「ッ!?」
瞬間的に物凄い力を入れて、繋いでいる手の骨にヒビを入れる霊夢。吸血鬼の握力はヤバい。
カルゴ「いってぇなぁ…パキッつったぞ」
霊夢「変態なあんたが悪いんじゃない」
カルゴ「サラシ巻いてないから、どーしても目がそっちいくんだよ…。風ではためいて見えそうで見えない感じが凄くそそるというかさ…」
霊夢「言うなってのっ!」
カルゴ「イデデデッ!」
霊夢がサラシを巻いていない理由は、ただ1つ。背中から生える翼が、サラシを巻くのにちょうど邪魔なのだ。
霊夢「それにしてもこの翼、結構重いのね」
カルゴ「そか?俺は全く気にならないが」
霊夢「私にとっては初めての吸血鬼化だからね、慣れない事の方が多いのよ」
カルゴ「とか言いつつ、もう飛べてるじゃんか。慣れるの早いってイイねぇ…俺なんて最初は全く飛べやしなかったのに」
フランの弾幕だって、外で鍛えたフットワークで避けてたんだから。あぁ懐かしい…10年も前か。
霊夢「これは翼で飛んでるんじゃなくて、《空を飛ぶ程度の能力》で飛んでるの。さっき飛び立とうとした時、上手く飛べなかったから」
カルゴ「じゃあ、翼で飛ぶ練習でもするか。また後でな。いちいち能力使うのも面倒だろう」
霊夢「別に面倒じゃないわよ。ま、出来ることは増やしておきたいし、吸血鬼の身体のこと、色々教えなさいよね」
カルゴ「はいはい♪」
これでまた、霊夢と2人きりになる時間が作れるんだな♪ ふふふ、今から楽しみだなぁ♪
霊夢(これでまた、エスカルゴと2人きりになる時間が作れるのね♪ 今から楽しみだわ♪)
2人して内心で喜んでいて、そんなフワフワした気持ちのまま、誰とも会うことなく神社に到着。そこには、霊夢の唯一無二の親友、霧雨魔理沙がいた。霊愛と2人で、アイスを食べている。
分身がいない…また扱き使われたのだろうか。
レイカル「ただいま」
霊愛「おかえ……え?お母さん…?」
魔理沙「霊夢、お前…!?」
霊愛も魔理沙も、霊夢の紅い目、それから、背中から生える大きな翼を見て、目を丸くする。
霊夢「私、仙人辞めて吸血鬼になったわ」
2人「えええええええええええッッ!?!?」
2人の大声が、ビリビリと鼓膜を震わせる。
貧血の俺の頭には、その声がガンガンと響く。
魔理沙「どういう事だよ霊夢!?お前、吸血鬼になる薬でも飲んじまったのか!?それとも、エスカルゴに無理矢理飲まされたか!?」
霊夢「そんな訳ないでしょ。…魔理沙、私よりも紅魔館との繋がり深かったのに知らなかったの?『吸血鬼は吸血によって眷属を増やせる』って」
魔理沙「はぁ?なんだそりゃ。私は知らないぞ。それより、どーゆー事か説明してもらうぞ!」
霊夢「ほら、わかりやすく説明したげて」
カルゴ「えぇ…なんで俺が。…吸血するときに、エキスを注入することで、同族を増やせるんだ。俺はそれで、霊夢を吸血鬼に変えた」
魔理沙「だーかーらー!!なんで霊夢が吸血鬼になったのかって聞いてんだよ!」
テーブルをバンバンと叩きながら声を荒らげる。
そりゃあ、出かけていた親友が、吸血鬼になって帰ってきたら、こんな反応もするだろう。
カルゴ「霊夢…あの事話してもイイよな?アレを言わなきゃ説明は不可能だ」
霊夢「チッ…自分が負けた話なんてしたくないんだけど…致し方ないわね」
カルゴ「…俺は昨日、霊夢と散歩していたんだ」
そう前置きして、ひまわり畑での出来事を簡潔に話した。一旦は死に、なんとか蘇生できたこと。
しかし、一向に目が覚めないので、吸血鬼として甦らそうとしたこと。その考えに至ったワケは、永琳が「朝までに目覚めなければ(ry」と言って、その朝を迎えてしまって、一生目覚めない心配があったからだということ。
魔理沙「死神のせいか」
話を聞き終わった魔理沙、霊愛はそう納得した。
厳密には霊夢を守れなかった俺のせいなのだが、話の中では、死神に悪役になってもらった。
魔理沙「チッ…それで霊夢が仙人を辞めるハメになったってのかよ…。おい霊夢、修行サボりすぎだぜ?死神に殺されるなんて」
霊夢「っ…魔理沙に言われる側になるなんて…。でも、その通りね。まだ怠け癖が抜けてなかったみたい。それは認めるけどね、エスカルゴは私を生き返らせるために、自分が死にそうになるまで血をくれてたのよ。コイツは悪くないわ。さっきみたいな言い方はしないでもらえるかしら?心底腹が立つわ」
自分が死にそうになるまでってのは大袈裟な気がするけど…。鈴仙からの話を拡大解釈したんか?
魔理沙「う、うむ…。すまん」
霊夢「私じゃなくてエスカルゴに謝って」
カルゴ「いや、俺は別に…」
魔理沙「すまん。…これでいいだろ」
霊夢「最後の一言が余計だけど…まぁ、いいわ。霊愛も納得してくれたかしら?」
霊愛「まぁね。だって、これまでの生活と大して変わんないんでしょ?」
さすがは霊夢との娘。
理解が早い上に、どこか大雑把である。
霊夢「そう、ほとんど変わらないわ。変わった所といえば、死神からの襲撃が未来永劫無くなる事くらいかしらね。身体能力も優れてるし、吸血鬼って便利で良いわね」
魔理沙「ここ数年で吸血鬼増えたなぁ」
頭の後ろで手を組み、俺と霊夢を交互に見ながら苦笑する魔理沙。もともとスカーレット姉妹しか居なかったのに、俺が来てから、紅魔館で唯一の人間である咲夜さんも吸血鬼になった上、今度は霊夢ときた。
吸血鬼だけにかかわらず、血が流れていると考えれば、俺の娘は全員吸血鬼の血を引いている。
吸血鬼の血は、この幻想郷にかなり増えた。
きっと、これからも増え続けるのだろう。
レミリア、フラン、俺、咲夜さん、霊夢、巫月、霊愛、穹、弦月姫。とうとう9人になった。
弱点さえどうにかすれば、吸血鬼は実にいい。
霊夢「そうね。久しぶりに弾幕ごっこでもする?慣れる為にも、少しはこの身体動かしたいし」
魔理沙「おう、いいぜ!修行不足を思い知らせてやるぜ!」
カルゴ「お、頑張れー。霊愛、俺もアイス食っていいよな?」
霊愛「いーよー」
霊夢対魔理沙の戦いを見ながら、霊愛とアイスを食べよう。そう思ってアイスを食べようとするのだが、俺の予想は、見事に裏切られた。
霊夢「何言ってんの?あんたらもやるのよ」
父娘「え?」
予想外な霊夢の発言に、素っ頓狂な声を上げる。
魔理沙「この前みたいに複数で戦うのもいいな!てことで、霊愛とエスカルゴも参加だ!」
父娘「え〜……」
カルゴ「なら俺と霊夢でいいよな?」
霊夢と組みたい、という俺のこの発言に、霊夢はニンマリと口角を釣り上げて笑う。
魔理沙「いや、私とお前だ。霊夢とお前組ませると勝ち確だろ」
霊夢「あら?私に修行不足を思い知らせてやるんじゃなかったの?」
魔理沙「エスカルゴが活躍するだろっての!」
霊夢「それじゃ複数でやる意味無いのよねぇ…。あっ、そっかぁ……魔理ちゃん、私に負けるのが怖いのね♪」
俺と組みたいが為に魔理沙を挑発する霊夢。
それがわかっている俺は、どうしても頬の緩みが抑えられない。可愛い。可愛すぎる。
もう、ここ最近の霊夢は今まで以上に可愛い。
魔理沙「何をぅ!?よぉし、そこまでいうなら、お前ら親子対私で良いぜ!表に出ろ!計算違いを思い知らせてやるぜ!」
霊愛「やだなぁ〜…」
霊夢「霊愛はそっちでいいわ。人数は平等にね。さぁエスカルゴ、やるわよ!」
カルゴ「おうよ!」
結局は霊夢の思い通りに事が進み、終始俺と霊夢が2人を圧倒し続けた。ふてくされた魔理沙は、冷蔵庫からアイスをゴッソリ盗んでいき、逃げるように…いや、逃げ帰った。俺はそれを直接目にしながらも、霊夢には言わないでおいた。
そして時間が流れ、吸血鬼となった霊夢と過ごす初めての夜が始まった。
300話目ももうすぐですね。
何かリクエストとかありますか?
1話完結で、何かリクエストあればどうぞ。
本編と繋がらなさそうでも、出来る限り無理やり繋げますのでw(ゴリ押し得意な俺ですからw)
クロスオーバー、グロ、ヒロイン増える…などはナシでお願いします。
(クオリティは低そうですが)エロはOKでw
次回、多分エロで。多分。