カルゴ「んっ………ん〜……」
寝返りを打つ。
バシャァァァァン!
カルゴ「あう!?んがぐぐ!」
もがきながらもなんとか水から出、息を整える。
カルゴ「ハァ…ハァッ…なんだこれ…俺確か…家でゲームやってたろ…。って…あれ…?これっ…て…」
自分の目を疑った。大きな紅い館が見える。
あれってもしかして…?
いや、もしかしなくても…紅…魔館…?
そう思った途端、背中に妙な鋭い痛みを感じ、ぱったりと気を失ってしまった。
目が覚めた。
どれだけ眠ってたのかまるでわからない。
カルゴ「ッ!!目がッ……うあっ……痛ぇ……」
思わず眼鏡を投げてしまった。
眼鏡を取ったら痛みは引いた。
カルゴ「…あ?裸眼でもちゃんと見え……てか、ここ…ベッドじゃん……なんで………」
誰かが扉を叩く。
カルゴ「は、はい……」
??「失礼します。メイド長の十六夜咲夜です。お客様がお目覚めになられる頃かと思い、案内に参りました。入ってもよろしいでしょうか?」
え?咲夜さん?なんで?
状況が全く飲み込めないぞ。
とにかく、色々教えてもらわないと…。
カルゴ「ど、どうぞ…」
震える声でそう言う。
咲夜「失礼致します」
咲夜が入ってくる。スラッと長い脚にミニスカートがよく映える。思ったより背は低い。よく通る良い声をしている。
咲夜「では、早速ではありますが…。目が覚めたらここを案内してやってくれとお嬢様から申し使っております。さぁ、参りましょう」
カルゴ「あ、あのっ、案内の前に教えて下さい…。…俺、なんでここに?外にいたはずじゃ…」
咲夜「…!ああ、先ずはそこから話すのが筋というものですね。では、僭越ながら、私の方からお話させて貰いましょう。
あなたは湖のほとりで、ビショ濡れな状態で横たわっていました。背中から煙を出した、死にかけの状態で、です。お嬢様の散歩中に、そんな状態のあなたを見つけ…お嬢様が介抱するように仰り、あなたをこの紅魔館に連れてきた次第です」
カルゴ「…ありがとう、ございます。なんとなく自分の置かれている状況がわかりました」
咲夜「置かれている状況……ですか?そういえばあなた、幻想郷では見ない顔ですね」
カルゴ「え、えと、それは…」
やっぱ幻想郷に来たんか…。へー…。
咲夜「もし差支えなければ、お話して下さいませんか?お嬢様方にも紹介もしなければいけませんし…」
おいおい、お嬢様って…勿論レミリアのことだよな…?マジか、俺殺されない?
カルゴ「わ、わかりました…話します…」
俺は、ゲームやってて寝落ちして、起きたら水に落ちて今に至る、というこの現状を掻い摘んで話した。
咲夜「なるほど…それは災難でしたね…。ですがそれだけで幻想郷に来れるとは思えませんが」
それには同意しかない。俺自身そう思う。
咲夜「他にもなにかあるのではないですか?見慣れぬ扉に入ったとか、なにか見慣れない何かがあったりしませんでしたか?」
見慣れぬ何か…?
おじさんから買った薬しか心当たり無いぜ?
カルゴ「あ、帰りに、変なおじさんから『吸血鬼になれる薬』を買いました。なんでも高い身体能力を得られるとかで、それを飲んじゃいましたが…」
咲夜「あなたが幻想入りしたのはそれが原因かもしれませんね。(吸血鬼になれる薬?そんなモノがあるとは思えないけど……だとしたらこの人は、元人間なの……?発見時の発煙といい、どう見てもただの吸血鬼なのだけど)」
だろうな。俺もそれしかないと思う。
カルゴ「そうですね…元の世界に帰らないと…」
咲夜「帰ると言ったって、何か方法はあるのですか?」
カルゴ「うう…何も…。………あ!」
咲夜「な、なんですか?」
カルゴ「えと、やく……」
まずい、紫様の名前出そうとしたけど…不用意に幻想郷の住人の名前出すと戦闘になるかも…。
確か友達の小説でそんな場面があった。
まぁ、あくまでも友達の小説で、だから。
実際そうなのかはわからないがな。
咲夜「やく…なんですか?」
カルゴ「すいません、何でもないです!」
危ない危ない…。万が一咲夜さんと戦闘にでもなったら勝てるはずがない。
つーか弾幕なんて普通の人間は出せないし。
咲夜「では、紅魔館の案内、並びにお嬢様方へのご紹介をさせていただきたいのですが…」
あ、忘れてた。どうしよう…。
でも、断る理由はないし、断った寧ろ怪しまれるかも…?
カルゴ「わかりました、お願いします」