霊夢から魔界への行き方を教えて貰った次の日。
タイミング良く今日も紅魔館の日なので、今日は昼過ぎに博麗神社を発ち、紅魔館へと向かった。
魔界への行き方はもう、しっかり記憶している。
カルゴ「まぁた寝てやがる」
例によって、美鈴はスヤスヤとお昼寝だ。何年も前の話だが、美鈴と一緒に門番をしたことがあるので、つい眠ってしまうのも納得している。だがこれでは業務上よろしくない。だから俺は、心を鬼にして、毎回美鈴を起こすのだ。
カルゴ「め〜いりん♪」
美鈴「ひゃいっ!?」
耳元でそっと囁くと、美鈴はビクリと反応して、そのまま目を覚ます。ナイフよりもずっと、良い起こし方だと思う。
これからはずっとこうして起こそうかとも考えるが、耳元で囁くというのは何とも気恥ずかしい。
カルゴ「起きたね。今日は花畑の手入れの日じゃ無かったか?もうやった?」
美鈴「あっそうだった!すっかり忘れてました!ありがとうございます!」
カルゴ「いえいえ。それじゃあ、パチュリー様に怒られないように、しっかりね」
美鈴「はいっ!エスカルゴさんも、ごゆっくり!お嬢様方もお待ちですよ!」
カルゴ「はいよ」
大体いつも通りの会話をし、俺は中へ入り、美鈴はパチュリーの花畑へと急ぐ。
カルゴ「ただいまー」
2人「おかえりなさいませ、旦那様(お父様)♪」
扉を開けると、目の前には2人のメイドが居た。
愛する娘と…今では嫁の1人の、咲夜さんだ。
夫婦の時間が取れるのは、紅魔館②の夜だけなのだが…咲夜さんはそれで良いと言ってくれているので、それに甘えてしまっている。
カルゴ「あれ、どうしてここに?」
咲夜「美鈴が花畑の方へ駆けていくのを見かけたので、旦那様が指摘したのかと思いまして」
カルゴ「さすが咲夜さんです」
確かにこの2人の足ならば、紅魔館内部のどこに居ても、美鈴を見かけてから俺が中に入るまでの時間的猶予はある。俺はまったり歩いたからだ。
更に、俺に時止めが通用しないのがわかっているので、時を止めないで移動してくるから凄い。
息を切らさずに素早く移動していたのだ。
走りながら息を整えているのだとしたら、そんなことは俺にも出来ない。何とも凄いものだ。
流石、自由奔放なお嬢様に仕えているだけある。
咲夜「お嬢様と妹様は、今日も大図書館へおられますよ」
カルゴ「了解です。じゃ、また後でな、弦月姫」
弦月姫「はいっ!」
ニコニコと微笑む弦月姫の頭を、ワシャワシャと撫で回し、大図書館へと足を進める。
相変わらず、地下は1階よりも数℃低く、ヒヤッとしていて気持ちがいい。冬は暖かくなるが。
カルゴ「失礼しまーす…」
フラン「あっ!エスカルゴ来たっ!」バシュッ
カルゴ「ぉぐふっっ……」
俺を見つけたフランは、本を置き勢い良く突進。足を踏ん張り、なんとか転倒は免れた。
カルゴ「お、おう…来たぜ…」
パチェ「ちょっと、図書館で騒がないでくれる?あんまりうるさいなら出禁にするわよ」
フラン「あははっ、ごめんなさい☆」
パチェ「……。ところでエスカルゴ。霊夢にも、あの話しておいてくれたかしら?」
カルゴ「ええ、その話をする為に早く来ました。魔界に行く方法、わかりましたよ」
パチェ「え」
レミィ「えええええ〜!?」
パチュリーは静かに驚くが、あれこれ本を読んで方法を探していたレミリアは大声で叫ぶ。
そばに積み上げられてる書物の数が、レミリアの一生懸命さを物語っていた。
パチェ「うるさい」
レミィ「それでどうやって行くの!?教えて!」
カルゴ「博麗神社の裏山、わかるだろ?あそこに洞窟があるらしくて、その洞窟が魔界に通じてるらしいんだ」
レミィ「案外普通なのね…」
パチェ「ソースは?」
カルゴ「博麗神社の納屋に残されてた、先々代の巫女が記した書物です。しかも、博麗の巫女しか読めない文字で記されてたので、本物かと」
パチェ「博麗の巫女しか読めない文字?ふーん…魔導書みたいなものかしらね?」
カルゴ「多分そうですね。全く、この幻想郷には何種類の文字があることやら…」
パチェ「妖怪だけの文字や古代の文字、超古代の文字とかを合わせれば…まぁ、それなりの数にはなるでしょうね」
カルゴ「そんなにあるんですか…うへぇ…」
もしかして、〇億年生きてる永琳なら全部の文字知ってんじゃねぇか?天才だし。それとも、月に居たから月の文字しかわからないかな?
いや、月の文字とかあるのか?
依姫達とも普通に会話できたから、月でも日本語使ってるんだよね。でも、地上人には発音不能な言葉もあったよね。八意××…面白そうだよな。
あれ、永琳って元々は地上の出身だったっけか。それなら、超古代の文字とかもわかりそうだな。尤も、その頃に文字という文明があったのかすらわからないけどね。
…あれ、元々何について考えてたんだっけか。
パチェ「人間もそれなりの数使ってるじゃない」
カルゴ「あっ、そっかぁ…。なるほど」
あぁ、文字の数について考えてたんだっけ。今度会ったら、永琳や輝夜に聞いてみっか。
パチェ「とりあえず、向こうに行くにあたって、ある程度メンバーは絞るべきよね」
カルゴ「そうですね」
レミィ「そんなのよくない?襲いかかってきたらみんなでノせば良いだけじゃない」
フラン「さんせーい!」
人数を絞ることに賛成が2人、反対が2人。
みんなで行きたいと思ってのことなのだろうが、魔界に行くのに、それは危険すぎる行為だ。
そこで、姉妹への説得を試みようとするが……。
パチェ「地底なんかよりずっと危険で、広くて、強い妖怪もウジャウジャ居て……。本当に大丈夫だと、本気で思ってる?」
言いたいことをパチュリーが言ってくれたので、小さく頷き、2人の反応を待つ。
レミィ「多分…大丈夫でしょ?」
フラン「だ、だよねー…」
パチェ「仮に10人で魔界に行ったとしましょう。すると、魔理沙レベルの妖怪が10体、囲むように現れました。…どう対応するの?」
レミィ「1人1体ずつ…?」
パチェ「みんなで対応するんじゃなかったの?」
レミィ「うーん…でもそうするしか…」
宙を睨み考え込むレミリア。対するパチュリーは紅茶を飲みながら、再度物思いに耽る。
すると、フランが無邪気に口を開いた。
フラン「ねぇねぇ、その例え自体おかしくない?囲まれるって言うのは地底でもう経験してるからわかるけどさ、なんで魔理沙レベルの妖怪がって前提なの?そんなの居なくない?」
パチェ「私はおかしいとは思わないわ。地底よりヤバい妖怪だったら、魔理沙くらいの強さの奴は普通に居ると思うけどね。身近な地底にだって、魔理沙を軽々と超える鬼が居るじゃない」
フラン「あぁ〜……。エスカルゴですら、かなりやられてたもんね…」
カルゴ「うっせ…」
今でも勇儀さんには楽勝出来ない。
一応、今のところは負けた事は無いのだが、全身骨折や複雑骨折、死亡などはアタリマエだ。
楽勝どころか負けかけている。
対する勇儀さんは一度も骨折すらした事が無い。
俺達が戦う時はスペルカードルール無視、これが暗黙の了解のようになっている。
妖怪同士の鬱憤晴らしの為にもこのルールは必要なのだが、やはり鬼は本気を出したがるのだ。
しかしそれは、俺とて一緒。
相手が本気なら、俺も本気を出したい。
何をしようが、勇儀さんは死にはしないんだ。
レミィ「じゃ、あえて大人数で行くとか!」
パチェ「あのねぇ……」
カルゴ「はっきり言うぞ。大勢連れていったら、戦うには足でまといだ。フランやレミリアの弾幕だって広範囲だろ?味方が危険に晒されるぞ」
レミィ「う〜……」
フラン「じゃー…私とエスカルゴとお姉様の3人だけで行けば良いんじゃない?」
レミィ「えっ」
カルゴ「それはつまらないなぁ…。あと、霊夢も連れて行くよ」
レミィ「あら、それは良いわね♪…でも、流石に4人は少ないわよ…」
カルゴ「子供らの中にも、何人かはそこそこ実力ある子が居るからなぁ…。何人かは連れて行ってやりたいとは思ってる。選出する時間が欲しい」
レミィ「じゃあさ、魔理沙にも一応声掛けてさ、行くかどうか聞いて…。あとはあなたの彼女達と子供たちの中から、何人か選ぶって感じで良いんじゃないかしら?」
カルゴ「うん。…感謝する」
魔理沙の転送魔法と同じく、一度魔界に行けば、俺も魔界にスキマを繋げられる。
だから、今回は1人や2人だけ連れて行って…。
大丈夫だと分かれば残りの子供も連れて行っても良いんじゃないかな、と思う。
甘い?うん。けど、良い経験になるだろう。
カルゴ「じゃ、他のみんなにも話通してくるよ。次の紅魔館の日は約1週間後…それまで待てないだろ?」
レミィ「そうね、さっさとお願いね」
フラン「私はまた本読んでるー」
パチェ「私はやる事無くなったから、転送魔法の改良でもしてようかしらね。もし出来たら、また実験に付き合って」
カルゴ「おいっす。咲夜さんと弦月姫への話は、レミリアお願いな」
レミィ「わかったわ」
カルゴ「それじゃあまずは……」
昼間は文たちは……ほら、居ない。
スキマで文と穹の所在を確認したあと、また別な土地へとスキマを繋ぎ、俺はそれへ飛び込んだ。
行きたいと言う者が多かった場合は、どのようにメンバーを選出するべきかを思案しながら。
ノすって言葉…公用語だよね?
まさか、方言だったりしないよね…?
方言だった場合は、後々訂正しますん( ´・ω・`)