※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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さっさと終わらせて計画の続きを

現在俺は、霊夢、霊愛、霊麗と共に、鈴奈庵へと向かっている。

 

カルゴ「…で、占い中に何かが出てきて、本人は気絶して…出てきた何かは逃亡中ってか。魔理沙から逃れるなんて、そりゃ長引くとも思うよな」

 

霊夢の話を聞くところ、大体の流れはこうだ。

魔理沙が鈴奈庵を訪れ、最近里で流行りの小鈴の占いをしてもらっていた。すると小鈴の背後から黒い影のようなものが現れ逃亡。魔理沙が追うも姿を見失い、転送魔法で霊夢に助けを要請。

現在魔理沙は、再度転送魔法で鈴奈庵へと戻り、気絶した小鈴の介護をしているとか。

しかもこれまで、霊愛や霊夢が何度も注意をしてきてのこの展開だ。

目覚めたら、霊夢からキツい説教があるだろう。

 

霊夢「てか、あんたと小鈴ちゃんって何か繋がりあったっけ?あの時会ったきりじゃない?」

 

カルゴ「買い物ついでに少し立ち読みするのさ。最初の方はビビられまくりだったけどな」

 

霊夢「そりゃーそうでしょ、妖怪だもの。って、買い物ついでに立ち読み?…ふーん……真っ直ぐ帰ってきて無かったんだ?」

 

カルゴ「数分だよ、数分。俺、速読だから、雑誌とかならすぐ読み終わるからさ」

 

そう言い訳すると、霊夢は「あっそ。速読とかはどうでもいいから早く帰ってきてよバカ」とだけ返してくれた。

全く、ベタベタな嫁で嬉しい。最高だ。

 

カルゴ「霊夢が吸血鬼になった時もさ、そりゃあ説明がスゲェ大変だったよな〜。ケケケッ」

 

霊夢「あー…あのあとしばらくは、小鈴ちゃんに避けられてたものねぇ…。メンタルに効いたわ」

 

 

結婚して数週間が経つ頃、小鈴が神社に訪れた。

その時に、普段は翼を巫女服の中に隠して、目は充血だ、などと言って小鈴を誤魔化していたのが一気にバレた。

その後は何とか霊夢と魔理沙で説明して、何とか納得してもらった。霊夢の紹介で俺とも会った。

その時は「私が認めた」と霊夢が言っても、疑心暗鬼な様子だったが、買い物のついでに鈴奈庵に寄るたびに、少しずつだが、俺にも慣れてくれたようだった。

今ではもう、バレる前と何ら変わらない、良好な関係に戻っている。

 

 

カルゴ「霊夢、どんだけ信用されてんだよ…」

 

霊夢「まぁねぇ…人徳があるかr」

 

カルゴ「ねぇな」

 

霊愛「無いね」

 

霊麗「無いよね」

 

ピッタリ揃った意見に、俺は思わず苦笑する。

娘達までそう言うとは俺も予想していなかった。

 

霊夢「ちょっと…あんた達ィ…?」

 

霊愛「…じゃ、私は西の方行くね。黒いヤツね、見つけ次第殺すから」

 

霊麗「わ、私は東の方を…」

 

霊夢が怒気を漏れ出させると、それを察した霊愛と霊麗はそそくさと散らばり、空には俺と霊夢の2人だけが残った。

 

霊夢「ったく、あの子たちは…。母親を尊敬とかしないわけ?」

 

カルゴ「してるから、ちゃんと修行してくれるんだろ。あれくらい笑ってスルーしようぜ、霊夢」

 

霊夢「ふ…ふんっ…///」

 

カルゴ「話を戻すぞ。占いに使った本の方はまだ鈴奈庵にあるんだよな?」

 

霊夢「そうよ。魔理沙が見張ってるわ」

 

カルゴ「なら安心、だな。じゃあ、俺は北に行くから、霊夢は南を頼むぜ」

 

霊夢「了解。…余計な温情なんか要らないわよ、見つけ次第殺しなさいよ」

 

カルゴ「わかってんよ」

 

道中、もっと詳しい経緯を聞いた。

里の人間が妖怪になるのは一番の大罪らしい。

「魔理沙や霊夢はどうなんだよ?咲夜さんも」と尋ねた所、「私は博麗神社、魔理沙は魔法の森、あのメイドは紅魔館に住んでいる。幻想郷の人間(・・・・・・)

でも里の人間じゃない(・・・・・・・・・・)わ。この例には当てはまらないのよ」…と返された。

理屈は通っている。

霊夢は、何も間違っていない。

間違っているのは、この罪を犯した男…易者だ。

だが、俺は知っている。

易者が不憫な形で殺されたのを。

まぁ、当然の報いなのだが個人的に少し可哀想に思えてしまうのだ。

どうにかして易者を助けたい…のだが、きっと、妖怪退治において非力な俺には、彼を助けるなどという事は出来ないのだろう。

そして、目的地(・・・)が見えてきた。

 

カルゴ「よう小鈴」

 

鈴奈庵に到着した俺は、いつもの様に暖簾を潜り屋内に入る。しかしそこには、机に突っ伏して、布団を掛けられて寝ている小鈴が。

側には付き添いの魔理沙が居た。

 

魔理沙「あいにくだが小鈴はまだ気絶してるぜ」

 

カルゴ「そうか。魔理沙、占いに使ってたっつー易書、ちょっと見せてくれ」

 

魔理沙「おう。…どうだ、普通の本だろ?」

 

カルゴ「だな。妖気も何も感じられないよコレ。ちょっと借りてくよ」

 

魔理沙から本を受け取ったまま背を向け、出口へ足を運ぶ。当然だが、魔理沙も黙ってはいない。

 

魔理沙「別に構わんが霊夢が来るまでに返せよ?多分それ、捨てると思うぜ?」

 

カルゴ「ああ、知ってる(・・・・)。霊夢ならそうするな」

 

本を小脇に抱えた俺は、人気の無い場所へ移動。

人差し指と親指でOKサインの形にして、極小のスキマを作り、霊夢を見る。

このように小さくした理由は、霊夢は周囲の目にとても敏感なので、少しでも気配を消すためだ。

そして霊夢の目の前には易者が居た。

予想通り、易者と話をしているところだった。

 

 

 

 

 

霊夢「人間を捨てるために自ら怨霊になる手段を選んだと。人間ってどうしてこうも回りくどい事するのかしらね」

 

易者「嫉妬の心をコントロールすれば、怨霊にはならん。…知ってたかい?占い師は、感情を操る職業なんだよ」

 

そう言って霊夢に背を向けて歩き出す易者だが。

 

霊夢「何処に行くつもり!?」

 

御札を右手に構え、左手にお祓い棒を構えた霊夢は、声を荒らげて易者を呼び止める。

すると、易者は指を「チッチッ」と動かしながらこう言い放つ。

 

易者「あんたは無用な殺生はしないだろう?俺は里を離れて暮らす。里の人間に外を与えるつもりは無い。別にあの小娘も傷つけてなんかいない。彼奴は俺を見て、驚きのあまり気絶しただけだ」

 

そして、霊夢に、爪の伸びた指を突きつけ…。

 

易者「だから妖怪巫女(あんた)とも対立する理由は、どこにも無いワケだ」

 

その話を黙って聞いていた霊夢だが、そっと目を瞑り、右手に構えていた御札を、易者の胸に貼り付ける。

 

易者「なっ…!?俺の話を聞いていたのか!?」

 

貼られた御札は帯のように伸びて易者を雁字搦めに締め付け、動きを封じる。

 

霊夢「残念ね。私は無用な殺生もする。…まぁ、妖怪巫女という点は、反論しないわ。…でも…」

 

言葉を切り、お祓い棒を高々と構える。

来た。超有名なあのシーンだ。

 

霊夢「私以外の妖怪は問答無用で退治する、人間の味方の妖怪巫女よ」

 

そう言い放ちながらお祓い棒を振り下ろし、易者を頭から真っ二つに切り裂く。

言葉が多少違うのは、本人が妖怪になっていたりする誤差だろう。何れにしても、俺が読んでいた通りに、易者は滅されてしまうらしい。

 

易者「ば、馬鹿な……お前はいつも、一緒にいるあの吸血鬼らを退治していないじゃないか……!それなのに……!!」

 

消えかけている易者は、途切れ途切れに抗議。

しかし霊夢は、冷静にこう返す。

 

霊夢「勉強不足だったわね。…幻想郷では、里の人間が妖怪になることが一番の大罪なのよ。私の仕事は、それを監視すること」

 

そう言い終えるのと同時に、易者は消滅した。

霊夢は、易者が居た場所を見つめながら、呟く。

 

霊夢「私以外の妖怪、か…。何とも自己中ね…。小鈴ちゃんも妖怪にならない様、ウザがられてもしつこく注意していかなきゃね…」

 

そして、コツンと小石を蹴飛ばす。

どこか寂しげな様子だ。

 

霊夢「たまには…見つけられなかったフリをして見逃してあげてもいいと思うけど……紫が許してくれなさそうよねぇ……はあぁ…」

 

問答無用と言いながらも、霊夢にも少しは慈悲の心があるらしい。人間から妖怪になったという、数少ない例なので、霊夢としてもなにか思う所があったのだろう。

 

霊夢「…さて。霊愛と霊麗探して、鈴奈庵戻ろ。案外早く片付いて良かったわ」

 

最後にそう呟き、太陽が沈んで夕闇に包まれ始めていた里の空へと飛び立った。

それを見送り、俺は極小スキマを閉じて、今度は大きなスキマを開く。

 

カルゴ「…それじゃあ、宜しく頼むよ」

 

???「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「ただい…あれ、もう帰ってきてたのか」

 

鈴奈庵へ戻ると、目覚めた小鈴と魔理沙、霊夢、霊愛、霊麗の全員が鈴奈庵の中に集まっていて、机を囲んでいた。

どうやら、結構遅れたらしい。

 

霊夢「遅い。その本返しなさい、処分するから」

 

カルゴ「俺にも出来るのかな、占術(これ)」

 

霊夢「さーてね。あ、燃やすのはあんたの能力で良いわよね。燃やして」

 

カルゴ「へいへい」

 

能力で火を起こし、皆の見ている目の前で燃やし尽くす。威力を上げた炎は、灰すらも残さずに、易書を完全に消滅させた。

これにて、この騒動は一件落着だ。

 

カルゴ「…じゃあ、紅魔館行ってるよ。あの話、進めとくからな」

 

魔理沙「おう!」

 

霊夢「はいはい」

 

鈴奈庵から出た俺は、里のハズレの方へ(・・・・・・・・)向かう。

そして、再度大きなスキマを開く。

 

カルゴ「おいで、易者」

 

すると、スキマから易者がノソノソと出てくる。

姿かたちはそのままの易者だ。

 

易者「はぁ…。全く、予想が外れたよ…」

 

カルゴ「これからは里の外で暮らすんだ、妖怪に襲われることも当然、覚悟してるんだろうな?」

 

ボリボリ頭を搔く易者に覚悟のほどを尋ねる。

すると、グッと親指を立て、ニッと笑う。

 

易者「ああ。便利な器も貰ったが、無茶はしない程度に生きていくことにする。ありがとう」

 

カルゴ「別に…。霊夢とのやり取りを遠くで見ていて、お前の言ってることもわかるな、と思っただけだ。大罪に手を貸してるんだ、裏切らないでくれよ?」

 

さっきの霊夢の呟きからして、何度も頼み込めば許してくれそうな気がするが…多分ダメだろう。

 

易者「もちろん心得ている。お前の姿を借りる(・・・・・・・・)のだから、変な事はしないように気を付けるよ」

 

カルゴ「能力は特に無いが、元気でやってけよ。なんかあったら言え、友人価格で助けてやる」

 

易者「金取るのか…(汗)」

 

カルゴ「…ていうのは冗談だ。じゃーな」

 

易者「ああ…!本当にありがとう…!」

 

カルゴ「イイってことよ」

 

スキマを開き、紅魔館へと向かおうとするが。

 

易者「待て。まだ名前を聞いていなかった。命の恩人の名は、死ぬまで覚えておきたい」

 

そう言われ、足を止めた。霊のなのに“命の恩人”

と言うとは思っていなかった。

幽霊ジョークとは、まさにこの事だろう。

 

カルゴ「俺の名は、エスカルゴ・スカーレット。よーく覚えておくんだな」

 

易者「エスカルゴ…。ありがとう…!」

 

再び、ほぼ90°に腰を折り、頭を下げる。

人間の俺の姿でこんな格好をされると、なんともむず痒いものがある。

 

カルゴ「元気でな」

 

易者「ああ…!」

 

背を向け、今度こそ紅魔館へと帰って行った。

俺を見届けたあと、易者はこっそりと里を出て、どこへともなく放浪を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「ただいま」

 

メイド「おかえりなさいませ!」

 

今度こそ俺は紅魔館へ帰った。

まず向かった先は、いつもの大図書館だ。

 

レミィ「あー、来たー…遅くない?もう夜よ?」

 

フラン「眠いぃ…」

 

カルゴ「ごめんごめん…。小悪魔は居るか?」

 

フラン「小悪魔なら確か…」

 

パチェ「部屋に居るわ」

 

カルゴ「あざす」

 

フラン「あ〜、また小悪魔とエッチするのね〜?私も混ざりたい〜」

 

机に突っ伏していたフランは、モゾモゾと身体を動かして、立ち上がろうとするが、俺はそれを、手で制止する。

 

カルゴ「違うよ、喋るだけだ。また今度な」

 

フラン「え〜…でもぉ〜…」

 

そんなフランをなだめ、腰が抜けているであろう小悪魔の元へ向かう。許可を取り部屋に入ると、まだベッドで寝転がっていた。

 

小悪魔「あ、エスカルゴさん〜…。すみません、まだ腰がガクガクで、エッチ出来ないです〜…。動けませんが、私のおま○○で良ければお好きにお使い下さい〜…」

 

カルゴ「いや、そうじゃなくて。さっきのお礼を言いに来たんだよ」

 

全く、フランといい小悪魔といい…なぜ、そうもエロい方に考えてしまうのだろうか。

 

小悪魔「お礼なんてそんな…。お礼ならば先程、濃厚なのを頂きましたから…」

 

カルゴ「ちゃんとした礼を言ってなかったろう?だからその…ありがとな」

 

小悪魔「いえいえ…うふふ…♪」

 

 

 

実は、先程鈴奈庵にて燃やした易書は、小悪魔が創造魔法で創造した偽造書である。それは勿論、不憫な殺され方をした易者を助ける為だ。

 

数十分前─────人里のハズレ

 

カルゴ「…それじゃあ、宜しく頼むよ」

 

小悪魔「はいっ!」

 

スキマで図書館から呼んだ小悪魔に易書を渡し、複製を頼んだ。創造自体は、一瞬で可能だ。

しかしこの復活作業に苦戦したのはこのあとだ。

 

小悪魔「エスカルゴさん、魔力の気配を消すのはもう少し時間が掛かりそうです…」

 

カルゴ「頑張ってくれ。できるだけ早くな」

 

小悪魔「頑張ります…!」

 

そう、易者の易書からは、魔力の類の力は、一切感じられなかったのだ。だが、小悪魔の創造する本からは、微弱だが小悪魔の魔力を感じられる。時間をかけて、何とか魔力の気配をゼロにした。

 

小悪魔「できましたー!」

 

カルゴ「よし。じゃあ次、小悪魔には本物の易書で占ってもらう」

 

小悪魔「えっ…ですがこれ、どこの誰の占術だか分からないのに勝手に使用して良いんですか?」

 

カルゴ「良いんだ。責任は俺が取るよ」

 

小悪魔「分かりましたっ!」

 

易者の復活には「誰が書いたか分からない事」が前提条件だったはず。だから、俺には復活させる事が出来ないのだ。

そしてもう1つ。自分が編み出した術だとして(・・・・・・・・・・・・・)、誰かに見せびらかさなければならないのだ。

 

カルゴ「悪夢『魔王の子守唄』」

 

電力と妖力を混ぜ、禍々しい光を小悪魔に見せ、洗脳を開始する。

 

小悪魔「…………」

 

カルゴ「Repeat after me, OK?」

 

小悪魔「…オーケー…」

 

カルゴ「《この易書は私が書き、この占術は私が秘密裏に開発した術》」

 

小悪魔「《この易書は私が書き、この占術は私が秘密裏に開発した術》」

 

カルゴ「Excellent!…相手は…そうだな…」

 

スキマを開いて、夜遊び中だったらしいチルノ、大妖精、リグル、ミスティア、ルーミアの5人をその場に呼び出した。

 

⑨「うわっ!?な、なんだこれ、ワープした!」

 

リグル「えっ、えっ…どういう事!?」

 

大妖精「あっ、エスカルゴさん。こんばんは」

 

みすちー「…?」

 

るみゃ「……」クスッ

 

カルゴ「遊んでる途中で呼び出してすまないな。凄くよく当たる占いを見つけたからさ、ぜひともみんなに試してもらいたいと思ってな」

 

⑨「そうなの!?やるやる!」

 

大妖精「私も少しだけ…」

 

みすちー「商売について占ってもらいましょ♪」

 

そして、洗脳された小悪魔がちょうど5人を占い終えたその時。

 

易者「ふふふふふ…」

 

小悪魔の背後から、計画通り、易者が復活した。

 

⑨「ぎょえー!?なんだコイツ!?」

 

カルゴ「みんな逃げろ!!」

 

大きなスキマで、チルノたちを元いた場所に送り返し、小悪魔の洗脳を解除する。

 

小悪魔「ふぇ…?きゃっ、何ですかこの人!?」

 

カルゴ「大丈夫だ小悪魔、コイツは無害だ」

 

小悪魔「えぇ〜……」

 

小悪魔を背中側に誘導して、易者と正面から向き合う。案外背が高い。俺とあまり変わらない。

 

カルゴ「…2度目の復活はどんな気分だ?易者」

 

易者「お前…前に里で見かけた事があるぞ。あの巫女の連れだろう?俺を復活させて、一体、何を考えている?まさかまた巫女の元へ…」

 

カルゴ「何も考えてねぇよ。お前の殺され方が、少し不憫に思えてよ。俺の独断で復活させてやる事にしたんだ」

 

すると、目玉の無い眼孔が、これでもかと大きく見開かれた。かなりの衝撃を受けたらしい。

 

易者「そう、か……。感謝する。それじゃ…」

 

カルゴ「待てよ」

 

復活のルーツを知って、早々に立ち去ろうとする易者を呼び止める。すると、首を傾げながら振り返る。

 

易者「なんだ?」

 

カルゴ「実はな、お前が霊夢に滅されたところ、俺の嫁が偶然写真に収めててよ。その嫁は、新聞記者をやっててな。明日の朝にはお前のその姿はこの幻想郷中に広まる事になる」

 

易者「参った…それでは復活した意味が無いな。また探し出されて滅されるだけか」

 

勿論、文が写真に撮っていたというのは、全くの嘘である。だが、こんな目立つ風貌では、幻想郷中を飛び回る魔理沙や、俺とデート中の霊夢に、見つかってしまう可能性があるのだ。

その事を危惧しての嘘だ。

 

カルゴ「そういう事だ。そこで、俺から1つ提案する。それにノれ」

 

易者「まず案を聞かせてくれ」

 

もっともな意見に小さく頷き、話し始める。

 

カルゴ「俺が、お前の取り憑く器を用意してやるから、お前はそれに取り憑いて生きろ。もちろんだが、この案にノるかはお前に任せるさ。お前、一応霊だろ?憑依くらい、造作も無いよな?」

 

易者「なるほど…見た目の姿を変えるわけだな。だが、あの巫女なら気配で察せるだろう」

 

カルゴ「気配なんて、巫女に近付かなければいいだけの話だろう?近付く予定でもあるのか?」

 

易者「無い。……頼む。器をくれ。この通りだ」

 

初めて会ったばかりの俺に、深々と頭を下げる。やはりコイツは、決して悪いヤツでは無い。

方法が悪かっただけで、中身は全然普通なのだ。

 

カルゴ「わかったよ」

 

そして俺は、全力で練った分身を作成。

見た目は、人間の俺だ。しかし、目の色は変えてある。黒だと不知火麗葉か、もしくは人間の俺と間違えられる可能性があるので、茶色にした。

完成を知らせると、易者はそれに憑依した。

 

易者「凄い…。力が強くないか、この器…」

 

カルゴ「それと、仕上げだ」

 

妖力を分身に流し込み、自然放電を無くすように表面をコーティングした。これで、壊れるまで、半永久的に形を保てるようになった。

 

カルゴ「あと、ふとした拍子に抜け出ないよう、お前と器の結び付きを強くしておきたいが……。別に大丈夫か?」

 

易者「いや、頼む。憑依なんて初めてだからな、何があるのかわからない」

 

カルゴ「OK」

 

次いで、霊力に遷移して、易者と器の結び付きを強め、少しの事では抜け出さぬようにした。

器が壊れるまで、易者が出ることは無い。

 

易者「凄い…抜け出せなくなったぞ…」

 

カルゴ「よし、少しの間この中に入っててくれ。とりあえず、この騒動を終わらせてくるよ」

 

易者のそばにスキマを広げると、それを怪しんだ目でまじまじと見つめたあと、俺に問う。

 

易者「なんだ、これ。何も見えん」

 

カルゴ「別空間(スキマ)。お前にもこの騒動の結末を見届けてもらいたいと思ってな。…正しくは、結末を聞き届けて、かな」

 

易者「…わかった。大人しく従おう」

 

易者は大人しくスキマに入った。

このスキマは、俺のズボンのポケットの四次元の空間と繋がっているので、外の会話をポケットの中の易者に聞かせ、騒動の結末を知らせておこうと思ったのだ。

 

小悪魔「…あの…」

 

カルゴ「あぁ…ごめんな、ビックリしただろ?」

 

小悪魔「いえ、それより…」

 

カルゴ「?」

 

小悪魔「私、今日はかなり頑張りましたよね♪」

 

自分で言うなど珍しいが、確かに今日は、かなり頑張ってもらったので、素直に頷く。

いずれ、お礼をしなければなるまい。

 

小悪魔「なので……御褒美、下さい♪」

 

カルゴ「じゃ、紅魔館に帰ったらたっぷり…」

 

小悪魔「今すぐここで欲しいんです♪」

 

ピッタリと俺に抱きつき、誘うように囁く。

腰に回される手の優しい手付きと、熱いその吐息に、少しずつだが興奮してくる。

 

カルゴ「今すぐここで…って、野外なんだが」

 

小悪魔「野外プレイ…してみたいです♡」

 

カルゴ「今じゃなきゃダメか…?割と急いでるんだけどな…」

 

小悪魔「お願いします…♡」

 

目を輝かせる小悪魔の前に、少したじろぐ。

しかし小悪魔は、引く気はサラサラない様子で、言葉を続ける。

 

小悪魔「1回でイイので…ここで私と…♡」

 

スカートを持ち上げる。彼女の白いパンツから、透明な液体が漏れているのが確認出来た。

パンツから漏れるほどとは、恐ろしい性欲だ。

 

カルゴ「…1回だけだからな」

 

小悪魔「はい♡」

 

易者に聞かれぬよう、ポケットの入口を別な土地に繋ぎ、そのまま、里のハズレにある大きな木の下で行為を始めた。鈴奈庵に行くのが遅れた理由としては、主にこっちが原因だろう。

 

行為を終え、小悪魔を図書館へ先に帰しておき、俺は鈴奈庵へと向かった。

本物は俺のスキマにて永久封印され、鈴奈庵にて偽造書を燃やし、あとは前述の通りの流れだ。

 

 

 

 

 

カルゴ「今回は小悪魔に助けられたな…」

 

両脇でスカーレット姉妹が眠ってる中で、ボソッと1人で呟く。しかし、やはり罪悪感がある。

幻想郷の禁忌に触れているのだから。

 

カルゴ「チッ……ビビりだな、俺は……」

 

覚悟を決めた俺は、深夜の博麗神社へとスキマを繋ぎ、まだ起きていた霊夢に、真実を打ち明けることにした。

予想していた通り、霊夢の目はとても冷たいものだった。睨まれただけでも心臓が凍り付きそうなほどの、とても言葉では言い表せないレベルの、冷徹な目だ。

それに本気でビビった俺は何度も土下座をする。

 

霊夢「…ふーん…私に黙ってそんな事してたの。へぇ〜……」

 

バレたらバレたでこれより酷い結末が待っていただろう。そう思っていたから、この告白の結果、どうなっても結末を受け入れるつもりだった。

しかし、次に霊夢から出た言葉は、俺の予想とは大きく違う言葉だった。

 

霊夢「…そういう馬鹿正直なところ、大好きよ」

 

カルゴ「え……」

 

意外な言葉に、土下座を止めて顔を上げる。

そこには、普段より温かい笑みを浮かべた霊夢がいた。先程の冷たい目は、もう無い。

 

霊夢「私も人間から妖怪になったからかしらね、アイツの言いたいことも、少しはわかるのよね。だけど、幻想郷にはそういうルールがあるから、ああするしか無かったのよ…。アイツは、人間に害を与えようとしてない。だけどそれは、私や、あんたもそうなのよね。だから余計に…ね」

 

カルゴ「うん…」

 

すると、俺と霊夢の横に、スキマが開いた。

それを見た俺と霊夢はビクリと身体を震わせる。

 

紫「呆れたわ、霊夢…。そんな理由で、大罪を犯した者を許して、見逃すなんて」

 

霊夢「……」

 

禁忌だとわかっている霊夢はもちろんの事、俺も俯き、黙り込む。

禁忌を犯せばどうなるのか知ったものでは無い。

 

カルゴ「禁忌という事を知りながら…その禁忌を犯してしまい、申し訳ございません。処罰は、俺1人で受けます。霊夢と易者はどうか…見逃して下さい…お願いします…」

 

そうお願いし、畳に額を擦り付ける。

すると、頭にパシッと軽い衝撃が走る。

どうやら扇子で叩かれたらしい。

 

紫「顔を上げなさい」

 

カルゴ「……」

 

黙って顔を上げる。紫さんの表情は、相変わらず真面目そのものの顔付きだった。

だがしかし、次の紫さんの言葉は、先程の霊夢の言葉よりも俺を驚かせた。

 

紫「仕方ないわ。3人とも、許してあげます」

 

カルゴ「なっ…本当ですか?」

 

こんな簡単に、紫さんが禁忌を犯した事を許してくれるとは思えない。なにか裏があるはずだ。

 

霊夢「何か怪しいわ。何を考えているの?」

 

紫「…まず、易者が復活した事を知っているのは私と霊夢とエスカルゴ、そして易者本人だけよ。広まらなければ良いだけだからね」

 

霊夢「……本当にそれだけ?まだ何か企んでいるわよね?」

 

どこまでも警戒を継続する霊夢は、言葉厳しく、紫さんへの追求を続ける。

 

紫「里の人間が妖怪になることは、別に禁忌では無いわよ。それが、彼を許す本当の理由よ」

 

霊夢「えっ?でも、大罪って…」

 

紫「大罪と禁忌は違うわよ?…ふふっ…いつから同じ意味だと錯覚していたのかしら?」

 

霊夢「〜〜〜〜〜〜!!」

 

嘲笑うような紫さんの笑みに、霊夢は羞恥と憤怒から顔を赤く染め上げる。

 

紫「確かに彼は大罪を犯したわ。そこに間違いは無い。だけどね、霊夢。罪は償えるものよ(・・・・・・・・)」

 

レイカル「────ッ!!」

 

紫「明日から彼には、毎日一体ずつ、下級妖怪の刺客を送るわ。10日…つまり、10体倒し切ったら彼の罪を許す事にします。…どうかしら?」

 

カルゴ「器、大丈夫かな…」

 

紫「あなたが全力で練った器なら、壊れる心配は無いと考えていいわ。もちろん、あなた達が彼を助けてはダメよ、わかった?」

 

霊夢「わかってるわ」

 

カルゴ「もちろんです」

 

紫「2人への罪は…そうね…。今度行く魔界で、妖怪達を、彼と同じく10体ずつ倒してきなさい。それで許してあげるわ」

 

霊夢「余裕ね」

 

カルゴ「わかりました。……寛大なお心遣いに、感謝致します…」

 

畳に手を付き、再度深々と土下座する。もちろん霊夢は、そんな事はしない。

 

紫「じゃあ、今度の旅行、頑張ってね」

 

カルゴ「はい…!」

 

スキマが消えたことを察知し、頭をあげる。

すると、霊夢がゆっくりと口を開いた。

 

霊夢「“罪は償えるもの”…か。何だか、久しぶりに教訓を得たわね…」

 

カルゴ「ははは…。それじゃ、そろそろ紅魔館に戻るな。また明日な」

 

霊夢「待って。チューしてないでしょ、いちいち忘れないでよ馬鹿」

 

カルゴ「ごめんごめん。……っ…」

 

霊夢「…はい、おやすみ。私はもう寝るわね」

 

カルゴ「あぁ、おやすみ」

 

 

 

隠し事が無くなって、心がスッキリとした俺は、予知夢を見ることもなく、気持ちよく眠ることが出来た────。




まさかの易者ハッピーエンド。
原作の中でも霊夢は「大罪」と言っているので、「罪は償える」という解釈を交えました。

丸腰の易者はどう妖怪を倒すのか。
そこはお察し、肉弾戦です。
「力が強くないか、この器…」の言葉通りです。
全力で電力を練り上げ、妖力でコーティングしたあげく、霊力まで使ったのです。
普通のレベルの白狼天狗とも、殴り合いだけでもまともに戦えるほどの強さです。

分身の人格はどこに行ったのか、と?
……君のような感のいいガキは嫌いだよ。
エスカルゴと諏訪子、早苗達のように、頭の中で会話出来る、という仕組みになっております。
エスカルゴの中で得た生きるための知恵や、戦うための知恵を易者に授けてくれる事でしょう。
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