※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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やっぱトーナメントが良かった

選考方法を決定してから数日が経った。

今日は、紅魔館の一室の空間を、500m×300m程の広さにして、選考会を開いている。

それぞれの候補の者達は、自分が選ばれるようにしっかりと特訓を積んできたらしく、基礎力等が数日前とはガラリと変わっている。

巫月は身のこなしが軽くなっているし、樹里愛は大幣で弾幕の相殺という荒業を開発しているし、霊愛、霊麗は敢えてスペルカードを使わずに通常弾幕だけで相手を圧倒するようになっている。

これはあくまでも俺の推測だが、霊夢の血脈は、その膨大な力を持て余しているのかもしれない。それゆえに、力の操作が上手くいかない。霊愛は数年前に克服したが、今度は霊麗がそうなのだ。霊愛は、それを克服したのにも関わらず通常弾幕だけなのは、ただの節約だろう。

穹は…その持て余す瞬間移動的な素早さで、妖舞をあちらこちらに振り回し、体力を容赦無くガリガリと削っていっている。

弦月姫は、神出鬼没な茜に苦戦しているらしい。しかしそれは茜も同じで、時を止めて瞬間移動的な動きをする弦月姫を相手にオロオロしている。だからといって、あちこちにスキマを大量に開き弾幕を放ちまくるのは、見ていて恐ろしいから、やめてもらいたいものだ。

 

因みに、ルールは普通のスペルカードルールだ。

カードの枚数は3枚まで。被弾していいのは0回まで。つまり、被弾したら即負けだ。

お互いがお互いのスペルを3枚とも突破したら、それは言うまでもなく引き分けだ。

 

引き分けたら、残りのメンバーでトーナメント戦をして、順位をつければいい。

最初からトーナメントにすれば良かったのだが…トーナメントの存在は忘れていたということで、みんなには納得してもらった。

子供達だとて、皆と戦うあまりない機会なので、かなり喜んでいた様子だった。

 

鈴仙「巫月ー!頑張れーっ!」

 

早苗「樹里愛ー!負けちゃダメよー!」

 

妖夢「動きを読みなさい妖舞ッ!!」

 

それぞれの親は自分の子供に声をかけて応援だ。

大人はより激しい戦いをするので、子供達の後に戦ってもらうことにした。

部屋が壊れたら…また、にとり達に頼もう。

 

カルゴ「なんだか…みんな、強くなったなぁ」

 

戦いを遠目から見ていて、しみじみと感じた。

まだまだ俺の足元にも及ばないが、それでも結構強くなったと思う。俺が強いのは霊夢や紫さんの協力あってこそだから、言い方は悪いが、これが当たり前なのだ。子供を育てる親としてでもそうだが、俺は強く在らなきゃいけない。

…という使命感もあるが、やはり俺は負けず嫌いなので、本当の理由はもっとシンプルだ。

誰にも負けたくない。

使命感なんてモノは、ただの後付けでしかない。

 

霊夢「…そうね。でもこうして見ると、あんたの子供達って、やっぱり規則性があるわよね」

 

俺の呟きに、少しの間を置いて話し出す霊夢。

観察眼が優れている霊夢のことだ、またなにか、面白いことに気が付いたのかもしれない。

 

カルゴ「また別な法則でも発見したかい?」

 

霊夢「まぁね。混血の子は特に強くない?って、そんな事なんだけど」

 

カルゴ「へぇ。そう…かな?」

 

霊夢「いや、強いっていうか…うーん…突出した能力があるっていう感じかな」

 

カルゴ「…てか、ほとんどの子は混血だぜ」

 

霊夢「ま、まぁそうなんだけど。巫月ちゃんは、あんたの能力も継いでて、鈴仙の能力も少しだけ継いでて…並外れた再生力でしょ?」

 

カルゴ「そーだな」

 

霊夢「霊愛の頑丈さも凄いわ。まともに被弾してアザ1つ出来てなかった」

 

カルゴ「へー…それは知らなかった。そもそも、アザができるほど強い弾幕放たないんだけど?」

 

霊夢「ッ!!」

 

すると、ビクリと肩を震わせる霊夢。

スパルタな霊夢なので、かなり強気で霊愛と霊麗に教え込んでいるのは分かっていたが…。アザが出来るほどとは思っていなかった。

 

カルゴ「霊夢さぁ…少しは手加減しろよ…」

 

霊夢「…私の前までの時代は文字通りの殺し合いだったのよ?そんな甘っちょろいことは、言ってられないと思うんだけど。…異変だって、時には命懸けだしね」

 

カルゴ「まぁ…そうか。…そうだな」

 

博麗の巫女の育成は、中々に難しいらしい。

娘としてではなく巫女として育てているのだ、と再認識させられた俺は、それについてはもう口を閉ざす事にした。

しかし、こうも考えることが出来る。

異変解決に向かった娘が、死んで帰ってくるなどという事を避けるため…。そう考えたら、やはり親心も混じっているのかな、と思う。

遠回しな愛情…これもまた霊夢らしい。

 

霊夢「…んで、話は戻すけど。穹ちゃんなんて、何よあの速さ?普通に考えておかしくない?」

 

カルゴ「同感だ。この前引っ張られて飛んだが、急加速したら俺の腕が千切れたもん。肩からさ、ブチィッって。加速もヤバいよ」

 

霊夢「うわ〜…凄いわね。妖舞くんはまだ、そこまで目覚めてないって感じ?ていうか、スペルは作らないの?」

 

カルゴ「あー…なんつーか…魂魄家の教えでさ。剣をまともに扱えないうちは、技とかは作ってはいけないって感じの教えで…。だから素振りとか居合しかやってないよ、妖舞は」

 

霊夢「あら……。それじゃあ今回は、妖舞くんはお留守番になるかしらね?」

 

カルゴ「多分そうなるかなぁ…。今の所の実力は8姉弟の中で1番下かその上くらいだ。リーグ戦では、妖舞が勝ち残るのは難しいだろう」

 

霊夢「…とか言ってさ、あとでこっそり連れてくつもりなんでしょ?」

 

カルゴ「そう言ったろ。こっそりも何もないさ」

 

霊夢「それもそうね」

 

一旦話が落ち着いた俺達は、咲夜さんが用意した紅茶を飲み、クッキーを頬張る。

 

カルゴ「霊愛は人間と吸血鬼、霊麗は吸血鬼…。種族は違うが、姉妹仲良しでいいな」

 

霊夢「ほんと、そうよねぇ……。あーあ、どうせ仙人になったんなら、その時にもう1人、子供を産んでれば良かったわね」

 

カルゴ「ブファッ!?」

 

咲夜「旦那様!?」

 

紅茶を吹き出した俺は、咲夜さんの助けを借りて何とか辺りを綺麗にする。

 

カルゴ「ふぅ…ビックリさせんなよ、霊夢…」

 

霊夢「驚きすぎ。ふと、仙人と吸血鬼の子って、どうなるのかなって思ったのよ」

 

カルゴ「な、なるほど…。でも出産は疲れるし、痛いんだから、身体は大事にな」

 

霊夢「良いのよ。前も言ったけど、あんたとなら何人でも構わないのよ?お金ならあんたが何とかしてくれるしね。気持ちよくなれて家族が増えるなんて…一石二鳥よね」

 

咲夜「……」

 

カルゴ「…ははっ…」

 

そんな話をしているうちに、長くなったリーグ戦にも、少しずつ終わりが見えてきた。

まず1番先に戦いを終えたのは、長女の巫月だ。

 

巫月「終わったよ〜」

 

カルゴ「おかえり巫月。案外早かったな」

 

巫月「えへへ〜。霊愛と穹と弦月姫以外はスペル1発で終わったからね〜」

 

カルゴ「あっ…(察し)」

 

霊夢「そうなの?霊麗はどうだった?」

 

巫月「んーと…私のスペルと同時に結界張ってたんだけど、強度が足りなかったの」

 

霊夢「そう…。ありがとね、巫月ちゃん。今後の課題が見えたわ」

 

巫月「どういたしましてっ!」

 

カルゴ「霊愛はどうだった?」

 

巫月「それが…引き分けちゃった」

 

そう言って翼を垂らし、耳を萎ませる巫月。

しかし、次期博麗の巫女と引き分けるとは、巫月も強くなったものだ。

 

カルゴ「そうか…。よくやったぞ巫月。今度は、武器の組み合わせ方を教えてやる」

 

巫月「ホント!?やったぁ!」

 

霊夢「あら、武器の作り方教えてたの?」

 

カルゴ「巫月も《雷を操る程度の能力》を持っているからな。ある程度力を高めれば具現化出来るし、戦いの幅が広がると思ってな」

 

霊夢「それもそうね」

 

 

そして、戦いを終えた全員が集合した。怪我人は無し。親も含めた全員で、埋めた表を覗き込む。

 

 

┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓

┃\┃巫┃霊┃穹┃弦┃妖┃霊┃茜┃樹┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃巫┃\┃△┃○┃○┃○┃○┃○┃○┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃霊┃△┃\┃○┃○┃○┃○┃○┃○┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃穹┃×┃×┃\┃○┃○┃○┃○┃○┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃弦┃×┃×┃×┃\┃○┃○┃○┃○┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃妖┃×┃×┃×┃×┃\┃×┃×┃○┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃霊┃×┃×┃×┃×┃○┃\┃○┃○┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃茜┃×┃×┃×┃×┃○┃×┃\┃○┃

┣━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫

┃樹┃×┃×┃×┃×┃×┃×┃×┃\┃

┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛

 

 

妖夢「1勝6敗…たったの1勝…?」

 

妖舞「ひぃっ!」

 

早苗「全敗……?」

 

樹里愛「うぅぅ…怒らないでぇ……」

 

霊夢「3勝…。予想通りっちゃ、予想通りね」

 

霊麗「そうなの?」

 

カルゴ「あれ、茜は2勝5敗?」

 

茜「無駄に力使いすぎちゃったの…」

 

咲夜「4勝3敗…まずまずかしらね?」

 

弦月姫「もう少しで穹お姉様にも勝てそうだったんですが…背後にまわられて……うぅ…」

 

文「5勝2敗…です、か。まぁ、良いでしょう」

 

穹「上位3名には入れましたよっ!」

 

鈴仙「霊愛ちゃんと同率!?凄いじゃない巫月!これでもう、選ばれるのは確定ね!」

 

巫月「そのために頑張ったんだもん!」

 

霊夢「やっぱり巫月ちゃん、油断ならないわね」

 

霊愛「うん…。さすがお姉ちゃんだよ…」

 

親は子供の戦果を見て子供とアレコレ話をして、反省したり己を戒めたりする。

そしてようやく、魔理沙が腰をあげる。

 

魔理沙「よぉーし!次は私たちの番だぜ!!」

 

咲夜「せいぜい館を壊さない様に。私もだけど」

 

文「慣れない室内での戦いですが…まっ、何とかなるでしょう!」

 

早苗「じゅ、樹里愛の敵討ち、です!」

 

妖夢「幽々子様へのお土産話を…!」

 

鈴仙「巫月が頑張ったんだし、私も頑張るわ!」

 

大人たちが、目を輝かせて動き出す。

まだ見ぬ世界…魔界への旅行権を賭けて。




混血の方が強い説ですか…。
あるかもですねぇ。わかりませんが。
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