次回、魔界へ殴り込みです。物騒だなぁ。
子供たちの選出が終わった。
メンバーは、巫月、霊愛、穹の3人だ。
次は大人たちの選出戦。妖夢、咲夜さん、早苗、魔理沙、鈴仙、文が、魔界への旅行権を賭けて、リーグ戦を行う。
先程よりも2人少ない6人でのリーグ戦なので、そう長引かないかも…と思うが、なにぶん実力者同士のぶつかり合いなので、ルールは同じでも、時間は同じようにかかるだろう。
魔理沙「クックックッ…負ける気がしないぜ!」
咲夜「奇遇ね、魔理沙。私もよ」
文「ちょいとばかし、強気でいきますかね…!」
妖夢「妖舞の仇よ」
鈴仙「皆、狂わせてあげる♪」
早苗「何ですか、皆さんのこの強者感は…」
広々とした部屋に散らばりながら、いろいろ喋り続ける候補者たち。早苗は、後天的とはいえ、神だというのに他のみんなに震えている。
神様…なんだか頼りない。
魔理沙「咲夜!まずはお前だ!」
咲夜「喜んで、お相手させて頂くわ」
妖夢「じゃあ…鈴仙さん!あなたを倒すわ!」
鈴仙「さぁ、どうなる事やら♪」
文「では私は残りm…早苗さんと!」
早苗「ヒドッ!?」
そんな会話を聞きながら、俺と霊夢、レミリア、フラン、8姉弟は優雅にティータイムだ。
ティーを足したり8人分を持ってきたのは、当然ながら弦月姫の仕事だ。相変わらず仕事が早い。
霊夢「ん?弦月姫ちゃん、クッキー切れたわ」
弦月姫「わかりました、今お持ちしますっ!」
カルゴ「それくらい俺に言えって…。なにも戦い疲れてる弦月姫に言うことないだろう…」
霊夢「だから、あなたは甘いの。メイドとしての仕事をお願いしているだけよ?」
カルゴ「う…」
レミィ「霊夢の言う通りよ。あなたは娘を甘やかし過ぎてるわ。弦月姫ならこの程度では音を上げないのはわかってるでしょう?」
カルゴ「ま、まぁな…」
フラン「その甘いところも、エスカルゴの魅力の1つでしょう?うふふっ♪」
霊夢「そうだけど…」
レミィ「時と場合は考えるべきね」
普段から時と場合などは全く考えないレミリアのブーメラン発言には、あえて誰もツッコまない。霊夢もフランも俺も、黙って紅茶を飲む。だが、このまま言い負かされるのはかなり悔しいので、少しばかり反撃させてもらう。
カルゴ「じゃ、今度からはプリンで喧嘩してても俺のプリンは食わせねぇからな」
レミィ「はぁ!?なんでそうなるの!?」
カルゴ「俺がプリンを食わせるのは、レミリアにとって甘やかしに入るんじゃないのか?結局の所俺が喧嘩を止めてるんだから」
レミィ「は、入らないし!喧嘩は発展すれば館の倒壊に繋がるから、災害を防ぐためのお供えよ!そう、供物よ供物!」
カルゴ「どちらかが折れれば済む話だがな。てかレミリア、俺の気持ち考えたことある?咲夜さん手作りのプリンを諦めてやってんだぜ?毎回」
レミィ「うっ……そ、その代わりに、あなたには私の名器を使わせてあげてるじゃないの!しかも毎回たっぷり中に出させてあげてるし!」
霊夢「ブフォッ!?」
今度は、霊夢が紅茶を吹き出した。胸元から前髪までかかり、紅茶の匂いを放つようになった。
弦月姫「霊夢さん、このタオルを!」
霊夢「あ、ありがと…」
弦月姫から大きなタオルを受け取った霊夢は体を綺麗に拭き始める。そして、体を拭きながら俺に対して冷たい目を向けてくる。
霊夢「こんな子供にも手を出してたの?察してはいたけど…」
カルゴ「えー…と…5年くらい前だったかな…。レミリアの方から誘ってきたんだぜ…。今もな」
レミィ「……さ、咲夜ー!頑張ってー!」
まずい、と感じたレミリアは手のひらを返して、咲夜さんの応援に回る。誰がどう見てもわかる程わざとらしく見える。
霊夢「やっぱレミリアからか…」
カルゴ「ここ数年、俺から誘ってるのは霊夢と、小悪魔と…フランの3人だけだぜ?」
霊夢「フラン誘ってんじゃん!!」
カルゴ「あべしっ」
霊夢の強烈な平手打ちが頭に直撃して、バシンッという軽い音が響く。
フラン「しょうがないわ、私のお○○○がすごく気持ちいいんだもの♪ ねっ♪」
カルゴ「はは……まぁね…」
霊夢「あ゙?」
カルゴ「そ、それよりさ、もう始まるっぽいぜ!そっち見よ!な!……まだかよ」
何かヤバいと本能で感じた俺は、先程のレミリアのように誤魔化す。霊夢の手を握るのはもちろん忘れてはいない。
霊夢「ちっ…今夜覚えてなさいよ…///」
怒っている時こそ積極的にボディタッチだ。
霊夢と付き合い始めて15年も経てば、そんな謎な心理も理解し、自然と行動に移せるようになる。
ちなみに、「私に触んないで!」というレベルで怒っている時は、大人しくするふりをして、後ろからハグで急襲すればオチる。正しくは、ハグで動きを押さえて、耳元でそっと囁くのだ。
肘でみぞをやられたとしても、ひたすら我慢だ。
霊夢「向こうも無駄話してたみたいね。今始まるところってどーなのよ…」
全くその通りだ。こっちもこっちで、色々と話をしていたと思うのだが…。そして、やっと戦いが始まり、皆は一斉に弾幕を発射し始める。そこで早速、俺はある変化に気がついた。
カルゴ「魔理沙、弾幕の密度濃くなってないか?避けるの大変そうだな…」
霊夢「そうね…」
どんな特訓をしたのかはわからないが、魔理沙の弾幕は密度が濃くなっている。もしや彼女は本気なのだろうか。
魔理沙「ぶっ飛ばしていくぜぇっ!魔符『スターダストレヴァリエ』!!」
咲夜「幻象『ルナクロック』」
スペルカードを発動して、星型の弾幕をばら撒く魔理沙に対し、冷静に対応する咲夜さん。
時を止め弾幕の間を抜けナイフを配置し、解除をする。魔理沙はこのまま被弾かと思われたが…。
魔理沙「避けられないと思ったらコイツだッ!」
そう言いながら、服のポケットから白い大きな紙を取り出し、無造作に床に敷く。そこには魔法陣が書かれているのだが、俺は以前、その魔法陣を見た事がある。
魔理沙「発動ッ!!」
魔法陣から眩いばかりの光が溢れてきて、俺たち観客はもちろん、戦いの場にいる他の5人も同様に強く目を瞑り、魔理沙を見失う。
咲夜「消えた…!どこ!?」
魔理沙「はっはー!全員、ここからぶっ飛ばす!覚悟しやがれっ!恋符………」
そんな声が
皆が気付いて天井を見ると、そこにはミニ八卦炉を真下に向けて構えている魔理沙が居た。
魔理沙「『マスタァァァスパァァァク』!!!」
咲夜「っ……」
妖夢「待っ───」
鈴仙「ちょっ、私まで────…」
早苗「何なんですかこの“ついでの雑魚”みたいなやられ方はぁ〜〜〜!!」
ドゴオオォォォォォォ……
とんでもない爆音と共に館全体が大きく揺れて、もうもうと土煙が上がる。屋内なのに。
俺と霊夢で結界を張ったので、観客席の方に煙が来ることはなかったが、床にはそれはもう大きなクレーターが出来上がっていた。後ほど主のレミリアからキツい説教があることだろう。
魔理沙「けほっ…少し加減間違えたか?でもま、これで全員ぶっ飛ばしたぜ!さーて、紅茶紅…」
文「私はここに居ますがね♪」
魔理沙「ッ!?」
魔理沙が高度を落として観客の元へ戻ろうとすると、そこには無傷の文が居た。文のことなので、降ってくる極太レーザーすらも避けてしまったのだろう。
文「岐符『サルタクロス』!!」
魔理沙「うわわわっ!?…ぎゃっ!」
至近距離からスペルカードを発動され、魔理沙はあっけなく被弾してしまう。
文「はい、魔理沙さん倒しました〜♪」
魔理沙「くっそ〜〜!全勝したかったんだが…。ま、確定だから良いか。私も食べるぜー!」
戦いを終えた(?)魔理沙はこちらにスキップで向かってくるが、他の者はそれに首を傾げる。
鈴仙「え…まって。これって私も魔理沙と戦って負けた事になったりするの?」
早苗「私も…」
妖夢「……」
そう、魔理沙と戦っていたのは咲夜さんだ。だが魔理沙は、天井側へと移動したことをいい事に、文を除く4人をまとめて吹っ飛ばしたのだ。
鈴仙と早苗と妖夢は、ただの巻き添えだ。
魔理沙「あー?そんなもん、みんな負けだ負け!油断してなきゃ避けられたはずだぜ?現に、文はちゃんと避けてたしな。てなワケで、私は文以外全員に勝ったぜ!」
鈴仙「なっ…それはないでしょ!私は今、妖夢と戦ってたのよ!?そっちの戦いなんてこっちには関係無かったじゃない!」
妖夢「そうよ、横暴よ!」
早苗「で、ですね…」
魔理沙「えー…。おいエスカルゴ。これは、どうすればいいんだ?」
横暴な魔理沙は観客席の俺に助言を求める。
しかし、俺の答えはハナから決まっている。
カルゴ「1対1で戦って、と言ったはずだが」
魔理沙「チッ…。魔法陣書きまくっててすっかり聴き逃してたぜ…」
文「あややっ、そうなのですか!?普通に魔理沙さんにスペル使って倒しましたが!?」
鈴仙「そもそもリーグ戦ってなんだっけ」
妖夢「さぁ…」
ええええええええええ……まさかの「リーグ戦を理解していなかった」ってパターンなのか!?
早苗「リーグ戦とは即ち、総当たり戦の事です!全員が全員と戦う戦い方です!」
魔理沙「知らん!!」
文「あー…そういえば子供達は、1対1で戦ってましたね。まさかそれで?」
鈴仙「見てて焦れったいわよね、あれ」
妖夢「そうね」
咲夜「なぜまとめて倒さないのかとずっと不思議に思ってたんですけど…そういうワケだったのですね。私の場合は、魔理沙から申し込まれたから受けたというだけですが」
観客一同(馬鹿だコイツら…)
1対1で戦うのを「見ていて焦れったい」と言い放つとは…なんて野蛮なんだコイツら…!?
そりゃあ、時間はかかるけどさ!あれ…まさか、幻想郷にはリーグ戦の文化が無い?だとしたら、俺が悪いんだけど…。
いやちょっと待ってくれ、子供達は─────。
巫月「エスカルゴの説明でわかったと思うけど」
弦月姫「ですね」
そう、子供達はすぐ理解してくれたのだ。
勿論、霊夢やパチュリー、レミリア、フランも。
霊愛「逆にさ、なんであの説明でわかんないの?馬鹿なの?死ぬの?」
穹「母上ぇ〜?」
レミィ「咲夜…あなたの天然もここまで来ると…少し驚くわよ…」
フラン「あはは…私でもわかったのに…」
付き合いが短い下の4人は口を閉ざしているが、内心では同じ事を思っているだろう。
カルゴ「大乱闘の方が皆に合ってたのかな…?」
魔理沙「それだぜ!!全員で一気にぶつかる方が私たちらしい!」
鈴仙「その方が楽そうだしね」
妖夢「では、手当り次第に…?」
咲夜「一息に終わらせましょうか」
早苗「一気に!?はわわわわ……」
早苗以外のみんなは意外と乗り気だ。
そして観客席にいる俺たちは、この勝負の結末を何となく察してしまった。
レミィ「…私にも博麗の勘が備わったのかしら?この勘が揺らぐ気がしないわ…」
カルゴ「なぁ、霊夢…?これさぁ…」
霊夢「ええ…もう誰が残るのかわかったわ…」
フラン「私も…」
魔理沙「はっはー!私の勝ちだぜ!!」
咲夜「力、ほとんど使っちゃったわ…」
文「やはり屋内の戦闘は私には合いませんね…」
妖夢「くぅぅぅ……!」
早苗「あはは〜……」
凄まじい大乱闘の結果、旅行権を獲得したのは、咲夜さん、魔理沙、文の3人に決まった。
鈴仙と早苗と妖夢は、今回は留守番だ。
館が一部崩れる程の激戦だったのにも関わらず、3人は一度も被弾せずに皆を負かした。
文はひたすら避け、咲夜さんは時を止め、魔理沙は力押しで。鈴仙や早苗、妖夢には、そこまでの火力も防御力も無かった、という事だ。
魔理沙「おいエスカルゴ!メンバー決まったぜ!私たち3人だ!」
観客席へ手を振る3人。
魔理沙は「やったぜ!」咲夜さんは「当然です」文は「写真撮るのが楽しみです!」と言いたげな顔をしている。
カルゴ「そ、そうか…」
隣のヤバそうな雰囲気を察した俺は、霊夢とフランを両手に、その場から離れようと動く。
魔理沙「どうした、トイレか?」
カルゴ「そ、そんなとこ。皆には、レミリアから話があるんだとさ…」
魔理沙「ほう!きっと、称賛の言葉だな!」
ドヤる魔理沙には何も言わずに、俺たちは会場を後にする。雰囲気を察した子供達も、俺に続く。
レミィ「お〜ま〜え〜ら〜〜〜…!」
6人「?」
レミィ「加減ってモンをしろおおおおおおおおおおお!!!!」
カルゴ「たはは…やっぱこうなったね」
自室へと向かいながら苦笑い。
後ろをついてくる子供達は、子供達同士で色々と話しているようだ。乱闘も楽しそうだ、とかいう言葉が聞こえた時は肝を冷やした。
子供の頃からこういった崩れた戦いをすると、まとめてぶっ飛ばす快感を覚えてしまい、まともな戦いをしなくなると思うのだ。
霊夢「マスパ乱射するからよね…ほかの部屋にも被害出てるんじゃない?」
フラン「確実に出てるわね…。魔理沙ったら…。ね、これからどうする?」
カルゴ「まだ昼間だけど…もう神社行こうかな」
この言葉に内心でガッツポーズをとる霊夢。
表情に変化は無いが、手を繋いでいたのに小さく腕を絡めてきたことからなんとなく察せる。
フラン「えー?折角だもん、ヤっちゃおー?夜にならなきゃいいんでしょ?」
霊夢「却下。コイツはこれから、私とヤるのよ。あんたの出る幕は無いわ」
フラン「じゃーさー…3人でヤるぅ?うふふ♡」
霊夢「3人…ヤった事ないからわからないわ」
フラン「私達は小悪魔と3人でヤった事あるから教えてあげるよー♪ ねーエスカルゴー♪」
カルゴ「変な気起こすな。どっちともヤらん」
霊フラ「………」
この後、紅魔館の一室に部屋に監禁された俺は、2人の吸血鬼にたっぷり搾り取られた。