にとり「ふぅ〜…。何とか刃の差し込みのとこは作れたよ!さっきの刃に形合わせたつもりだよ!刺してみるからちょっと貸して!」
小傘「はいよっ!ピッタリ合うかな!?」
掃討作戦が終わった頃、にとりの工房では、河童数人と小傘が協力して、立体機動装置の製作に、乗り出していた。まず完成したのは小傘の刃だ。しなるし斬れ味も抜群だ。あとは装置と繋がっている剣の柄の、刃を装着する部分の形が合えば、立体機動装置は完成だ。
にとり「入ったよ!グラ付きはしないし、ボタン1つで刃も外れる!立体機動装置、完成だー!!やったー!!!」
小傘「待って待って!アンカーとかは!?」
にとり「大丈夫だよ!発射は猟銃と同じ原理で、巻き取りは私たちの道具、“スケール”の巻き取りと同じ仕組みにしたよ!巻きとる力も飛ばす力も銃やスケールとは大違いだよ!アンカー発射する位置を定めるには、剣の柄についてるセンサーをそこに向ければいいだけって寸法さ!」
小傘「おー!それじゃ早くエスカルゴに完成した事伝えなきゃ!私言ってこようか!?」
にとり「大丈夫!我々が開発した無線機がある!エスカルゴに渡した無線機の番号は016だから…ダイヤル合わせてっと…」
カチカチとダイヤルを合わせるにとり。無線機…トランシーバーを口元にあてがい、声を上げる。
にとり「あーあー、こちらにとりー。エスカルゴ繋がってるかなー?ちゃんと繋がってるよねー?立体機動装置完成したからすぐ取りに来てねー。うんそう、ちゃんと3つあるよ。うん……うん。うん、後払いOK!はーい、じゃーまた後でー」
早口でそんな会話をしたにとりは無線機を無造作にポケットに突っ込んで、装置を彼に渡す準備を始めた。私は刃の量産をする為に、にとりにその旨を伝えて、伝言を残して工房をあとにした。
カルゴ「立体機動装置が完成したって!?」
にとり「うん!まず、デザインは本家のとあんま変わらないんだけど…とりあえず装備して!」
カルゴ「お、おう!」
にとりの手も借りて、腰に立体機動装置を装備。思っていたよりもずっと軽くできている。
まずは剣の柄についての説明だ。
にとり「刃ついてるでしょ?これを取るのが上の引き金ね。これを押しながら刃を引っ張るとね、ほら、軽く外せるよ。つける時はそのままカチッと押し込むだけでいいよ。下の引き金はアンカーの発射だよ」
カルゴ「柄の形、銃みたいなんだな」
にとり「そう、そこがポイントさ!銃を撃つときみたいに下の引き金を押すの!すると、腰の装置から、柄のセンサーで狙ったところにアンカーが飛んでくから!多少は身体の角度変えてね!」
何と、柄のセンサーと腰の装置は無線で連動しているらしい。本家には無い設定だ。流石にとり、そういうメカはやはり得意らしい。
カルゴ「巻き取りは?」
にとり「下の引き金を2回、カチカチって素早く押すと巻きとってくれるから!ただし、刺さってから押してね!凄い勢いで巻きとるから、衝撃で装置が壊れるかもしれないよ!」
カルゴ「おう、気を付ける」
にとり「よーし、そこらの木で演習だー!」
カルゴ「お、おー!」
工房を出た俺は心を落ち着け、自分から見て正面の木へセンサーを向ける。下の引き金を引いて、アンカーを飛ばし、木に差し込む。
カチカチッと2度押し込むと、物凄い勢いで体が引っ張られ、空を翔ける。
木に激突しそうになったが、そこはちゃんと足で受け、木に張り付くカタチになる。細かい操作もちゃんと出来そうであるが、まだ練習が必要だ。しかしこれで、体力を消耗せずに巨人を狩る事が可能となった。
先程の掃討作戦でわかったが、いちいち巨人へと近付くだけでも体力は使う。こんな風に楽に移動が出来れば、羽ばたかなくていいと思う。
にとり「やった、成功だね!」
カルゴ「おうよ!」
にとり「じゃ、ほかの2人にも渡してきて!後、小傘から伝言!『刃は工房に取りに来て』って!今、差し込み口の形の調整してるから、向こうで受け取って!」
カルゴ「わかった!」
それならヒビキたちに装置渡してから行った方が良いかな?あまり多くても持ちきれないしね。
刃の数は、本家は左右共に4本ずつで8本の収納だったけど、こちらは倍の16本の収納か。
カルゴ「天魔様の部下、多分すぐ来ると思うよ。そんじゃまた後でな!」
にとり「うん!」
立体機動装置を使って天魔の屋敷へ向かう。
飛んだ方が早い、スキマの方が早い。だけど力を消費せずにかなりの速度を出せる。
飛びながらアンカーを狙った所へ発射するのは、やってみたら意外と難しい。それでも、柄の形が銃のような形状なので幾分か楽になっている。
カルゴ「ふぅ〜…」
門兵「お、おお…な、何ですかその装置は…また河童の道具ですか?」
カルゴ「そんなトコ。天魔様に会えるかな?」
門兵「は、はい!すぐにお通しします!」
いつも通りに天魔の前へ通され、資金などの話をした後、ヒビキと将輝を呼んでもらって、装置を渡し、使い方を簡単に説明し、訓練に入る。
ヒビキは、進撃の巨人について多少は知っていたため、だいだらぼっちの正体と、立体機動装置に目を輝かせていた。しかしそれと同時に、巨人に対する殺意は明確なものとなっていた。
無縁塚からの進撃だったため、その辺を警戒するのが得策だと思われる。だが、その前に、工房へ刃を取りに行くのが先だろう。
ヒビキ「思ったより簡単だな、立体機動装置」
将輝「そっすね。これでうなじをバサッと切る…いけますよ」
カルゴ「よし。そんなら、立体機動装置で小傘の工房まで競走だ。屋根の上は走ってもいい。他は飛ぶんじゃなくて立体機動装置を駆使するんだ。よーい、ドン!!」
屋敷の前から近くの木へアンカーを発射、それへ刺して巻き取り、木に近付いたらもう一方のアンカーを発射、最初に刺したアンカーを抜いて再び巻き取り…を繰り返す。
幻想郷は自然豊かだ。
木なんか、どこにでもある。霧の湖周辺は原っぱだが、それ以外は大体、アンカーの届く範囲内に木がある。
里人「くっそー、あの妖怪…里を荒らしやがっ…ん?なんだ、この音…」
里人「ん…?」
カチッバシュッ…ドスッ…カチカチッ…ギャギャギャギャギャッ……カチッバシュッ……
里人「な、何だありゃ!?腰に変なモノをつけて空飛んでやがる…!」
カルゴ「と、ど、けぇぇええええっっ!!!」
巻き取りの際は、ギャギャギャギャッと少し鈍い音がする。巻き取る力を強くしてある為か、音は結構大きいが、慣れればなんて事は無い。
そして、民家や木々、それらを伝い、まずは俺が最初に工房へ到着した。
カルゴ「っしゃあああ、俺が1番だぜ!!」
ヒビキ「くっそー!もー少しだったのに!」
将輝「いや、2人共慣れるの早くないっスか…。最後の方じゃ、100mは離されてましたよ…」
そして俺たちは、小傘から刃を16×3本ずつ受け取り、装着した後、訓練のために再び妖怪の山へ戻って行った。当然、帰りも立体機動装置だ。
無縁塚の警備は、訓練の後にすることにした。