ヒビキ「兄貴〜、交代ぃ〜」
カルゴ「おうよ」
俺とヒビキと将輝の3人は、里にある小傘の工房から帰った後、3時間は装置の訓練をした。
それからは交代で無縁塚の見張りをしている。
俺は、今夜は文の仕事場なので、帰りが遅くなることはもう伝えてある。とはいっても、まだ夕方なので、太陽が沈むまでは油断は禁物だ。
巨人は日光を糧に活動している。
月光で動くジークの脊髄液の巨人は、漫画の6巻ではまだ出てこないので夜だけは確実に安全だ。
里への襲撃は朝方。結界が破られてしまった事もあり、霊夢はかなりショックを受けていた。それを何とか励まし、もう1度結界を張った。なぜ、結界が壊されたのかはわからない。だから沢山の御札を貼り、強化しておいた。
今晩は文の仕事場の日。
遅くなってしまうことは事前に伝えておいた。
やれやれ、今日の最後は俺か…。まぁ、幻想郷の平和の為だしな…さっさと沈めよ太陽よォ……。
そんな事を考えながらしばらくボーッと過ごす。
どれだけ時間が経ったのかはわからない。太陽は沈んでいないので、大した時間は経っていないと思われる。そんな中で、俺の鼻と耳は異常を感じ取る。
焦げるような匂いと、地鳴りのような、腹に響く音だ。地震ではないこの地鳴り…奴らだ。
立体機動装置から抜剣し、木の上に立つ。
バキバキと木を折りながら出てきたのは───。
カルゴ「んなっ…!?」
俺の前に現れたのは、超大型巨人の群れだ。俺に向かってこない事から、やはりコイツは、奇行種だと思われる。熱で木々が発火しているらしい。
揺らめく陽炎と溢れ出る蒸気のおかげで、何体の超大型が居るのかがまるでわからない。
足音の数と影を見る限りでは、少なくとも5体は居るように思える。超大型たちは、無縁塚の先へ向かおうとしている。
無縁塚の先といえば、“再思の道”だ。
しかし、それの向こうは確か───。
カルゴ「やっっべええええ!!」
その場から飛び立って、1番手前にいる超大型のうなじにアンカーを差し込み、勢いよく巻き取りながらうなじの肉を綺麗に削ぎ落とす。座り込むように崩れる超大型の頭に乗り、ほかの超大型の数を捕捉する。
足の数は20本見えた。という事は10体いる。
カルゴ「禁忌『エスカルゴ・カルテット』!!」
分身1「やれやれ、デカすぎんだろコイツら…」
カルゴ「良いから早く殺せ!このままじゃ…」
分身達「魔法の森に燃え移る、だろ」
カルゴ「ならはよ行け!」
俺たちは超大型の死体の上から飛び立つ。
俺は木々を伝って、分身達が向かっていない方の巨人へとアンカーを飛ばし、切る。
焦るあまり切る場所を間違えたが、兵長のように細かい機械の操作をし、すぐに切り裂いた。
やはり、知性か無知性かで随分と対処が変わる。
原作より超大型が雑魚に思えるのは、中に人間が居るか居ないかの違いに他ならない。
奇行種でも、この巨体だと早く動けないらしい。
中途半端な大きさの奇行種だと、素早く動くので不覚を取ってしまいそうだが、この巨体ならその問題は無いと考えていいだろう。
カルゴ「よし、もう1体だ!」
アンカーを飛ばし、巻き取りながら剣を振るう。
もう少しで切れる…そう思ったその時。
???「恋符『マスタースパーク』!!!」
カルゴ「ッッ!?」
超大型巨人の頭を貫くように、虹色の極太光線が飛んできた。俺は慌ててギリギリで回避するが、超大型はその光線をまともに浴びてしまい、頭を綺麗に吹っ飛ばしてしまった。
カルゴ「ヒュ〜……やる事派手だねェ…」
魔理沙か…近くで木が燃えてりゃ、そりゃあ気が付きもするか。
すると、箒に乗った魔理沙が、座り込む超大型のそばに浮かぶ俺の元に飛んできた。
魔理沙「おいエスカルゴ!こりゃあ一体どういう状況だ!?なんだよこのデカブツは!?」
カルゴ「魔理沙、話はあとだ。まずはコイツらを全員駆逐しなきゃダメだ」
魔理沙「おう!もう少し進ませちまったら森まで燃えちまうしな!!」
カルゴ「まずはこいつにトドメを…」
魔理沙が頭を吹き飛ばした巨人に向けてアンカーを発射しようとするが、魔理沙が声を掛ける。
魔理沙「そいつはもう倒したぜ?」
カルゴ「コイツらは、頭を吹っ飛ばしても意味が無い。うなじを切らなきゃダメなんだ」
魔理沙「ま、まじか…。じゃあ今は再生中…?」
カルゴ「そゆこと。だから吹っ飛ばすなら頭じゃなくて首を吹っ飛ばして。貫通させれば切るのと同じだからさ」
魔理沙「よしわかったぜ!そんかわし、ちゃんと説明してくれよな!」
カルゴ「もちろん」
大きく頷き、今度こそアンカーを発射する。頭の下半分…鼻あたりまではもう再生している。
少し話すあいだにここまで再生するとは、やはり巨人とは恐ろしい生物だ。いや、心臓を壊しても大丈夫なのだから、もはや生物ではないだろう。
ん?ブーメラン発言だと?…俺は吸血鬼。一旦は死ぬんだ、巨人とは違う。
カルゴ「ぐっっ…あっちっ……!」
中途半端に再生しているので、再生の時の蒸気が激しく出てきている。それでも、俺は巻き取りを続け、動き出す前にトドメを刺した。
カルゴ「殺った……!」
繰り返し切り刻んだおかげで、軟鋼で出来た刃は既に脆くなってきていた。残り8体ほどだ。中々減っていないと思ったら、分身が居ないからだ。電気は暑さに弱いので、妖気でコーティングしていなかったから電力が逃げてしまったのだろう。
それでも、少しは巨人の数は減っていた。
カルゴ「この刃は、お前にくれてやるよ!」
剣を振りかぶり、振り下ろすと同時に上の引き金を押し込む。血がついて切れ味の鈍った刃は縦に回転しながら超大型へ向かっていき、刺さった。
新しい刃を装填したあとは、残り全ての巨人を、魔理沙と共に駆逐してしまった。
魔理沙「うー…魔力が枯渇してやがるぜ…。ってやべぇ、早く火を消さないと…」
カルゴ「それなら…えっと…」
玄武の沢の滝と無縁塚をスキマで繋ぎ、そのまま消火してしまう。水属性の魔法は、俺も魔理沙も使えないので仕方ない。
魔理沙「おー、豪快だねぇ!」
カルゴ「豪快、ねぇ…」
首を貫いて血の雨を降らせたヤツが言うか?
まぁ巨人の血なんてすぐ蒸発するけどさ。
魔理沙「で、このデカいヤツはなんなんだ?」
カルゴ「えーと、コイツらは────…」
魔理沙に漫画を渡し、要所要所だけを簡単に説明し、とりあえずは納得させた。
もちろん俺の腰に装備している装置についても。
魔理沙「でもお前飛べるだろ?」
カルゴ「飛べるけど、指先1つで飛んだ方が体力の消費が抑えられるだろ?ほら、魔理沙だって、魔力使って飛ぶじゃん?だけど歩いて移動すれば魔力の消費は抑えられるだろ?そーゆー事さ」
魔理沙「なるほどなー。確かに移動は疲れるし、退治にも体力は使うからな。少しでも体力は温存しておきたくもなるな、うんうん」
カルゴ「そゆ事。…手伝ってくれてありがとな。俺1人じゃ森まで燃えてたかもしれない」
魔理沙「なぁーに、森には私やアリスの家があるから守っただけさ。キノコもあるし」
カルゴ「自然保護については?」
魔理沙「胞子が無くなってくれればいいなぁ…。やっぱ森焼くか」
カルゴ「おい!?」
魔理沙「冗談だっての」
カルゴ「デスヨネー…」
魔法の森には、俺が建てた小屋もあるんだ。燃やされちゃ、魔理沙たちだけでなく俺も困るのだ。
水道引くのは本当に大変だった。…依頼費がな。
魔理沙「しっかしまぁ…恐怖心から生まれるとかほんと厄介だよなぁ…」
カルゴ「ホントだよ…。これじゃ記憶に残ってる限りいつ産まれてもおかしくないんじゃ…」
魔理沙「こ、怖い事言うなよ…。その通りだとは思うけどさ…」
カルゴ「はは…。とりあえず、もう夜だから俺は帰るよ。魔理沙も気を付けて行動しろよな」
魔理沙「もちろんさ」
そこで魔理沙とは別れ、真っ暗な山の中を装置で飛び回る。たまにぶつかりそうになるが、大して問題は無い。
カルゴ「ただいま」
文「おかえりなさいです!こんな遅くまでご苦労さまでした!」
仕事場に帰宅すると、キッチンに居たらしい文がエプロンを着けたままで出迎えてくれた。
その手には小皿とおたまを持っている。
味噌汁の味見でもしていたのだろう。
カルゴ「もーやだよ、アイツらの相手…。ホントやんなっちゃうぉ…」
だらしなく泣き言を垂れながらエプロンあややにガシッと抱きつく。包み込まれるようなこの感じは、とても気持ちがいい。
文「大丈夫ですか?おっぱい揉みます?」
カルゴ「いや、ほっぺ触らせて…」
文「相変わらずですねぇ…。男の人はこう言うと喜んで胸を揉むと外の記事で見たのですが…」
モチモチプニプニとしているほっぺを、ひたすらつつき、つまみ、指で揉みしだく。
カルゴ「俺にとっちゃ、ほっぺ>胸だからな…。あー柔らけぇ…これがホントの癒しだよ…」
文「ふふっ、癒せているようでよかったです♪」
カルゴ「…ところで、穹は…」
文「穹ならもう帰ってくると思いますよ。人里に取材に行ってたんです」
カルゴ「なるほど」
その晩
文「なるほどー、あれはだいだらぼっちではなく巨人という肉塊ですかー…。…で、これが被害に遭った里の写真…ふむ…血だらけですねぇ…」
カルゴ「…漫画のヤツが幻想入りするなんて、と思ったけど、幻想入りじゃなく、恐怖心が具現化したのがアイツらなんだよね…。しかも、今朝里に侵入したおかげで恐怖心が強まってる。悪循環だよ、全く…」
文「酷い話ですね。怖がれば生まれ、それによりさらなる恐怖が生まれれば更に巨人が発生する…何とかならないですかね、この負のスパイラル。皆さんの記憶を消せればいいんですけどねー…。いや、消したら消したで問題発生するか…」
カルゴ「そんな事出来んのは神だけだって…」
文「ですよねー…」
神綺《神と聞いて!》
カルゴ《呼んでない》
神綺《まぁ、つれないのね。お母さん寂しいわ》
カルゴ《今は母さんに構ってる場合じゃないよ》
神綺《せっかく、この騒動を解決できるのに?》
カルゴ《…は?》
神綺《だって、簡単な話でしょう?新しい記憶を創造してあげればいいじゃないの》
カルゴ《あーそっか、母さんは概念的なのもOKだったな。相変わらずチートだねぇ。でも、古い記憶はどうなる?壊れた里を見たら怪しがるよ》
神綺《記憶に上書きをするんだから、古い記憶は自動消去されるわ。巨人じゃなく、普通の妖怪が里に進撃してきたって上書きすれば良いでしょ》
カルゴ「…ちょっと魔界に行ってくる」
文「はい!?」
カルゴ「10分もしない」
文の頬から手を離して、パンデモニウムへ繋がるスキマを開き、その中へ飛び込む。幻想郷より、少しだけ空気が悪い魔界だが、東京ほど汚くないので咳き込みはしなかった。
それを考えると都市とは本当に汚い。俺のような田舎者には、到底合わない環境だ。
夢子「お待ちしておりました」
カルゴ「えっ」
夢子「えっ」
2人「………」
お待ちしてたってどういうことだ?
たった今、母さんと話て即ここに来たんだぞ。
カルゴ「あ、そうか、母さんから聞いたって事?はは…準備早いな…」
夢子「いえ、この程度は。神綺様がお待ちです」
カルゴ「うん」
ていう事は、俺がこっちに来ると決意した瞬間、母さんは夢子に迎えに行くよう指示して…夢子は走ってきたって事か。うひゃー…メイドって大変だな。仕える主がヤバければヤバいほど、従者も苦労が耐えないと見える。
神綺「こんばんは、カルちゃん。先日のライブは楽しませてもらったわ♪」
カルゴ「…そんな事より、早く終わらせようぜ」
神綺「それもそうね。夢子ちゃん、ちょっとだけ出掛けてくるわね。お留守番、お願いするわ」
夢子「はい」
再度スキマを開いて、人里の入口に到着。全く、スキマとは便利なものだ。
神綺「人間全員の記憶を、『巨人に関する部分を書き換えた状態で複製し上書きする』…っていうやり方でいいかしら」
カルゴ「それが良いね。巨人からの書き換え方は『伝説の巨大妖怪の、だいだらぼっちがご乱心』って感じで。実在するなら新たに生まれはしないはずだからね。そうだ、上白沢慧音と藤原妹紅の2人も追加でお願い」
今朝の掃討戦の時、妹紅は「こりゃー、しばらく里で片付け手伝わなきゃかなぁ…」と言っていたので、彼女も里に残っていると確信している。
神綺「そうね。…始めるわ」
目を瞑り、集中し始めた神綺。
しかし、何かあったのかすぐに目を開ける。
神綺「………なんか2人だけ、とんでもない量の記憶があるんだけど…」
カルゴ「阿求と妹紅かな。複製出来なそうなら、俺が後日口外しないように説得するけど」
神綺「ううん、大丈夫よ。複製や上書きなんて、魔界神たるこの私には容易い事」
神綺「…終わったわ。これで大丈夫」
カルゴ「ありがとう母さん。あとは俺の仕事だ」
神綺「泥棒は良くないわ…と言いたいけど、あの漫画がある限りこの悲劇は繰り返されるわね」
カルゴ「そゆこと。…スキマ使えば、証拠なんて残らないけどね…やっぱり良い気はしねぇな…。盗んだ漫画は魔界で使ってくれないかな?捨てるのはかなり勿体無いと思うんだ」
神綺「わかったわ、魔界で広めておくわね。この前の応接室に運んでおいて」
カルゴ「了解」
その後、あの邪仙のような、完全な
天魔たち、霊夢たち、河童たち、小傘には分身を飛ばして事態の収束について伝えた。
もう二度と、幻想郷に巨人は現れないだろう。
進撃の巨人(理性無し)を出そうとしましたが、これ以上ダラダラと巨人編続けても、つまらなくなる一方だと思うのでイイ所で切り上げます。
装置は便利なのでこれからも出るでしょう。
なお、次回は久々のエロ回だと思います。
未定ですが、念の為に告知しておきます。
(サラッと何言ってんだこいつ)