(タメと敬語が混ざってる謎の言語)
何気ないある日の朝方…ソレは起こった。
なんの前触れもなく…突然に。
カチャカチャッ……カチッ……カキンッ……
カルゴ「……?」
ある日の朝方、奇妙な金属音を聞いた俺は、太陽も登りきらない真っ暗な内に目を覚ました。
AM4時…そりゃあ暗いわけだ。
霊夢「…歯ぎしりうっさい……バカルゴ……」
隣で眠る霊夢は、俺の方へ手を伸ばしながら文句を垂れる。起きたのかと思ったが、すぐに寝息を立てて寝始めた。
カルゴ「俺の歯は金属製かよ」
小声でツッコミを入れて、ほっぺをプニる。力が入っていないからか、かなり柔らかい。そうこうしている間にも、金属音は鳴り止まない。段々とイラ立ちが募ってきた俺は、腹を出して眠る霊夢に布団を掛け直して、音のする方へ向かう。
俺たちの居る寝室から…では無い。
カルゴ「こっちか…?」
娘たちの寝室を覗くが、そこでもない。
キッチンでもないし、トイレでもない、賽銭箱の中でもない。なぜ箱の中を見たのか?理由は至極単純、寝ぼけて頭がぼんやりしているからだ。
カルゴ「っせーな……ふわぁ…」
繰り返し出てくるあくび。何度あくびをしたのか覚えていないが、あくびの数が10を超える頃に…やっと、音の原因を特定した。
カルゴ「…何で勝手に動いてんだよ?」
音の原因は、俺の持つ魔剣、妖魔雷霊剣だった。玄関に置いてある剣は、鞘に入ったままカチャカチャと音を立てながらで揺れていた。地震でもない、俺が能力で動かしている訳でもない。
俗に言う、ポルターガイストだろうか。
カルゴ「とりあえず眠らせてくれ…ふあぁ…」
剣を壁で囲うように防音の結界を張った後、再び霊夢の隣に潜り込み、朝を迎えた。だが、本当におかしな事が起こり始めたのは、その朝だった。
ペチッ……パシッ……
カルゴ「…ん〜…?」
頬に妙な衝撃を感じた俺は、目を覚ました。瞼が重くて目を開けていないので、正確には眠りから覚めた、が正しいだろうか。違和感を覚えつつ、その変な衝撃をスルーしていた。だが次の瞬間。
べチンッ!!
頬に強い痛み、熱さが走った。それで一気に目が覚めた俺は、布団からはね起きた。
カルゴ「いったァ!!何すんだよ霊夢!?」
その痛みは、お祓い棒で頬を殴られた時のようなあの感触だったので、霊夢が俺の頬を殴ったのだと結論づけたのだ。
カルゴ「あれ…?」
霊夢「何よ…うっさいわねー…」
その霊夢は、たった今俺の声で目覚めたのだ。
ならば娘は…居ない。だったら殴った犯人は…?
と思った、その時。俺の布団に、ピョコッとあのお祓い棒が飛び乗り、フンスと胸を反らしていた(様に見えるだけ)。
カルゴ「うわああああああああ!!?お祓い棒が動いてるうううううう!?!?」
俺が驚き、文字通り飛び上がったのは言うまでもない。なぜ、霊夢の持ち物であるただのお祓い棒が勝手に動き、俺を殴ったのだろう。
霊夢「うわ…なんか動いてる…え、何これ異変?だったらさっさと終わらせないと……」
持ち主ですらも困惑する事態だ。何故だかわからないが、勝手に動いているらしい。
霊夢「もしかしてだけど、あんたの事起こしたんじゃない?私のお祓い棒」
すると、棒の半分から上が前方に倒れ、繰り返しうんうんと頷き始めた。流石にこれには、霊夢も顔を引き攣らせる始末である。
カルゴ「え〜…自我あんの?」
霊夢「さぁ…。そうなんじゃない?とりあえず、ご飯にしましょうか。解決はそれからよ」
カルゴ「だな…やれやれ」
娘たちを起こし、ご飯も食べ、2人のお祓い棒を確認したが、特に変化は見られなかった。更に、先程の俺の剣についてだが、やはり相変わらず、縦に横にと揺れ動いていた。それを霊夢に見せた結果、霊夢は「異変ね」と結論付けた。
道具…それも各人の武器が付喪神化しているかもしれないとの事だ。
娘たちに、留守番と他の道具の付喪神化を見張るように言い残し、神社を出る。
まず最初に向かったのは魔理沙の家だ。
魔理沙「おぉ、お前たちもか。実は私もなんだ。何故か今朝から、私のミニ八卦炉が………」
言葉を切り、ポケットから取り出したミニ八卦炉を机に置いて、俺と霊夢に見せる。酷く禍々しい力が感じられる上、カタカタ動いている。
魔理沙「やっぱ異変だよな?」
霊夢「そうね、きっと」
魔理沙「…ここは道具が多くて不安だ。神社で、作戦会議でもしないか?」
霊夢「そーね」
魔理沙の家は小物や何かしらの道具が多いので、ミニ八卦炉の様にならないか、と持ち主が怖がるのも仕方ないだろう。
霊愛「うわ…すごい禍々しいねソレ…」
ミニ八卦炉を見た霊愛も、同じ感想だ。
動くお祓い棒には可愛いと言っていた霊愛だが、感じられる力が違えば対応も変わるだろう。
カルゴ「俺でもわかるほどに禍々しいぞ」
魔理沙「だろ?なんか怖いなぁ…。エスカルゴの剣こそ、禍々しさがパワーアップしてないか?」
カルゴ「そうかな…?例によって俺は、この剣の禍々しさは感じられないんだけど…」
魔理沙「鞘越しでもわかるほどに強い邪気だぞ」
霊夢「そうね」
カルゴ「ほーん…」
揺れる剣をサラサラと撫でていると、突然に襖が開いた。そこには、紅魔館の美人メイドが居た。
霊夢「あら、今度は咲夜? 何かあった?」
咲夜「…その様子だと、こちらでも何かあったのかしら?こっちは、私のナイフからおかしな力が感じられるようになって…霧の湖では、わかさぎ姫が凶暴化してたわ。普段は大人しいんだけど」
霊夢「普段大人しい妖怪が凶暴化…マズいわね」
咲夜「もちろんわかさぎ姫は退治してきたわよ」
魔理沙「いや、そうじゃなくてだな…。これは、色々と厄介な案件だぞ」
咲夜「どこら辺が?」
魔理沙「人里だよ。あそこにゃあ、正体を隠して大人しく住んでる妖怪もいる。そんな奴が凶暴化してたら…もう、大変だぜ」
咲夜「あぁ、なるほど」
霊夢「…何にせよ、さっさと終わらせなきゃ…。なんか、上手く言えないけど…ヤバい気がする」
カルゴ「語彙力死滅してるな」
霊夢「うっさい!」
霊夢の声に呼応するように、お祓い棒が俺の頭をバシッと叩く。強化されていないはずだがすごく痛い。自我があるのは厄介だ。
咲夜「へー、棒が勝手に動いてるんだ…」
霊夢「そーなのよね。今朝はこれでエスカルゴが起こされたみたい」
咲夜「あらら…」
そして俺たち4人は、まずは人里に隠れ住む妖怪の状態を見るために、里へ向かうことにした。