魔理沙「お〜っす、小鈴〜」
小鈴「あっ、魔理沙さん!こんにちは!」
ある日の昼下がり、買い物が目的で人里を訪れた私は、手荷物が増える前に立ち読みでもしようと鈴奈庵に立ち寄った。
そこでは、メガネをかけた小鈴が何かの本に目を通しているところであった。
今日は、派手な見た目の薄めの本…外の世界の、雑誌と呼ばれる種類の本を読んでいた。
魔理沙「おっ、何読んでるんだ?」
小鈴「最近入手した、外来本です!タイトルは、『女性がときめくシチュ6選!』です!」
じゃーん!と下手な効果音まで付けながら、小鈴は私にその本の表紙を見せてくる。
下手な絵で描かれた女が頬を染めている表紙だ。
魔理沙「たった6選を本にするのか?外のヤツは随分と暇なんだなぁ」
小鈴「確かに…。でも、貸本屋のうちとしては、どんな本でも良いんですけどね〜」
魔理沙「そうだなぁ…。ちょっとその本借りても構わないか?」
小鈴「お金払ってくれるのなら!」
魔理沙「…エスカルゴにツケとくぜ」
小鈴「えー、ツケですかぁ?…まぁいっか、あの人なら払ってくれそうだし」
一瞬は顔を曇らせた小鈴であったが、頼まれたら断れないアイツの性格をわかってるのか、大丈夫だと納得してしまった。
つくづく、アイツの扱いが酷いと思う。
魔理沙「ククッ、そーだな!そんじゃ、ちょっと床も借りるぜ〜」
小鈴「わわっ、落書きはやめて……魔法陣!?」
チョークでゴリゴリと魔法陣を書き入れていき、すぐに書き終えた私はそれに飛び乗る。
魔理沙「発動っ!」
小鈴「きゃっ、眩し…!」
私は転送魔法により博麗神社へ行き、使用済みの魔法陣は転送完了と同時に消え去ってしまう。
小鈴「あー!魔法陣消えてる!?床板切り取って残しておこうと思ったのに〜!!」
霊夢「はー…もう9月に入ったってのに…全っ然涼しくならないじゃない…」
霊愛「…冥界でも行こうかな…」
霊麗「でも雰囲気があんまり…」
霊愛「そーだけどー…」
久しぶりに訪れた暑さに悶える母娘3人。その頃俺は、はるか上空にて、滑空しながらで洗濯物を干していたので、その片付けを行っていた。
カルゴ「洗濯終わったぞ」
霊夢「おつかれ〜」
あとはただダラーッと過ごすだけである。暑いとヤる気は結構失せるし、やる気も失せる。
影になっている部分と同化したくなるほどだ。
とその時、境内が眩い光を放ち始め、光が収まると同時に白黒の少女が縁側に駆けてきた。
魔理沙「霊夢は居るか?居るよな?」
居るか?と尋ねながらも屋内にズカズカと入ってくる魔理沙はいつも通りである。入るんなら最初から聞くなよ、と苦笑いが漏れる。
霊夢「居るわよ〜」
魔理沙「鈴奈庵で、面白そうな本ゲットしたぜ!ほれ、見てみ!」
霊夢の腹の上に、ポサッと無造作に投げる。
鈴奈庵とは、貸本屋である。借りている側の態度としてはどうなんだろうか。
霊夢「『女性がときめくシチュ6選』……?」
眉をひそめつつもペラペラと雑誌を読んでいく。霊愛と霊麗も、霊夢の後ろから覗き込んでいる。
霊夢は顔色ひとつ変えずに読んでいっているが、霊愛や霊麗の表情はコロコロ変わっている。
「え!?」と言いそうな顔をしたり、「うわ…」とでも言いたげな顔をする。『女性がときめく』なのに、女性に引かれる本とはどうなのだろう。
そして、雑誌を一巡した霊夢は魔理沙に向かって本を投げ返し、ため息をつく。
霊夢「はぁ、下らない。こんなんでときめくの?外の女は随分とチョロいのね」
魔理沙「たはは…霊夢ならそう言うと思ったぜ。お前らはどういう感想だ?」
霊麗「ちょっと引くのもあったね」
霊愛「あの変なやつはさ、誰得なの?存在理由がまるでわからないんだけど」
変なやつとは、一体何なのだろうか。後で霊愛に聞いてみることにしよう。
魔理沙「散々だな。…よーし霊夢、これに書いてあること、試してみようぜ!」
霊夢「あー?」
魔理沙「私が霊夢にこれやってみるからさ、どう感じるのかなーとか、試してみたいんだ!」
霊夢「めんどくさい…さっさと終わらせるわよ」
興味があるのか、めんどくさいと言いつつも意外と乗り気な霊夢である。足取りが軽い。そして、俺と霊愛、霊麗が見守る中で、霊夢は壁に背中をつけて、魔理沙はその前に立つ。
魔理沙「えっ…と……まずは壁ドンだな!『壁に手をつき、対象に顔を急接近させて、対象の心を掴む行為』…って書いてある。試してみよう」
霊夢「顔にやらないでよ?」
魔理沙「わかってる…ぜっ!」
ニヤリと笑った魔理沙は、霊夢に壁ドンをする。霊夢は真顔のままだが、反対に魔理沙は、徐々に顔を赤らめてくる。恥ずかしくなったのだろう。
魔理沙「…やる側がドキドキしないか?」
霊夢「そーなの?ちょっと交換して、私が魔理沙に壁ドンとやらをやってみるから」
魔理沙「お、おう…」
ドンという強い音と共に、魔理沙の顔スレスレに手をつく霊夢だが、その顔は相変わらずの真顔。特に何も感じないらしい。
魔理沙「うん…ちょっと怖い。顔やられるんじゃないかって不安が…」
霊夢「結論、外の女はチョロい。これでしょ」
霊愛「ただ単にさ、やり方が悪いんじゃないの?お父さんならこんなの余裕だよね?やってみ?」
カルゴ「えー…俺、こーゆーの慣れてないよ…」
魔理沙「そーだぜ、霊夢にこれらの事やってみてくれよ!霊夢がどんな顔すんのか見てみたい!」
霊夢「見せ物じゃないんだけど……ま、物は試しって事で。良いわ、キなさいよ」
俺にはこれらの事が出来ないと思っているのか、どこか余裕の表情を浮かべている霊夢である。
しかし、これまで何人もの女性を抱いてきた俺であるから、この程度は造作もない。
カルゴ「それじゃ、遠慮無く。…いいか魔理沙。腕を真っ直ぐにしちゃダメだぜ。こうするんだ」
手のひらを壁につけたまま、肘も壁につける様に霊夢との距離を縮める。その瞬間、ずっと無表情だった霊夢の顔に、変化が表れる。
霊夢「あっ…ぅ……///」
ちょっぴり頬を染めながら目を逸らし、恥じらうような可愛らしい笑顔を見せてくれる。
カルゴ「…で、このあとはアレだろ?」
魔理沙「ああ、次はあg…」
カルゴ「顎クイ」
霊夢「ッ!?」
魔理沙も娘たちも見ている前で、霊夢に壁ドンをしたまま、反対の手で顎クイをする。恐らく雑誌にはここまでの事しか書かれていないと思う。
霊夢「…これは結構されるわね」
魔理沙「マジか」
カルゴ「マジだ」
魔理沙「じゃー次は…そうだなぁ……」
何をさせようかとページを捲る魔理沙。
だが俺は、続きをしないと気が済まない。我慢をする気が無い俺は、そのままの流れで唇を重ね、柔らかい唇の感触を、貪るように味わう。
魔理沙「うおっ…め、目の前で…」
霊愛「よくできるね…羞恥心、欠如してんの?」
霊麗「うわー…!」
堂々とやるキスは堪らなく気持ちがいい。
霊夢も同じ考えなのか、キスした時には少しだけ抵抗されてしまったが、2、3秒が経つ頃には、目を閉じて俺に身体を預けてくれている。
霊夢「もう…こんなトコで…///」
カルゴ「壁ドン→顎クイ→キスとか、常識だぞ?我慢なんて出来るわけないからな、マジで」
霊夢「少しは我慢して…魔理沙も居るのに…///」
カルゴ「無理」
霊夢は可愛い、はっきりわかんだね。
壁ドンして顎クイまでしてるのにキスしないとかありえないと思うのだが。我慢など無理だろう。
魔理沙「いやぁ、相変わらず熱いねぇ!じゃあ、次はこれな!」
雑誌を広げて、それに載っている画像を指さす。
今度は股ドンらしい。
カルゴ「えっ…と……こう、かな」
霊夢「わっ…暑い…」
霊夢の股の間に俺の足が入っているので、壁ドンがさらにエスカレートしている。密着度が高い。これは、明るい場所では周囲の目が気になる。
魔理沙「お…おぉう…凄い密着するんだなぁ…。まぁ、画像の通りなんだが……これ、見てる方が恥ずかしいパターンか?」
霊夢「やられる側も恥ずかしいわよこれ…!!」
やられる側の霊夢は、既に真っ赤である。一方、俺はどうなのかというと…。初めて行う股ドンに興奮し、涎を垂らさんばかりにニヤケている。
霊夢「ねぇ…暑いからちょっと離れて…?」
カルゴ「無理、もっかいキスして」
霊夢「したらすぐ退いてね…暑いんだから…♡」
股ドンしたままでもう1度唇を重ね、今度は頬もサラサラと撫でる。汗で少しだけ湿っているが、本人の恥じらう顔が可愛いので、そんな事は全く気にならない。
魔理沙(ふむ…霊夢は陥落っと…)
それ以降も、床ドン、あすなろ抱き、蝉ドン等を検証していった。酷評だったのはどうやら蝉ドンらしかった。確かにこれは存在理由がわからない上に、よく分からない手法である。
魔理沙「なぁなぁ、私にもやってみてくれ!」
カルゴ「なんでよ…」
魔理沙「だってなんか面白そうだしさ!」
カルゴ「…2個、3個だけだぞ」
魔理沙「おう!」
先程と同じく、霊夢や姉妹が見守る中、魔理沙は壁に背中をつける。魔理沙とはただの友人関係と言うこともあるので、アレだけにしようと思う。
カルゴ「…ほら。これならどーだ?」
軽く壁ドンした俺は魔理沙の耳元でそっと囁き、彼女の反応を伺う。
魔理沙「…見るのとやられるのとでは…えっと…全然違うんだな…ははは…///」
霊夢「おー、ちゃんと赤くなってる」
魔理沙「なってないぜ!?近いから暑いんだよ!さっき霊夢も言ってたろ!?」
照れ隠しのつもりなのか、俺の肩を突き飛ばして少しばかり距離を取る。突き飛ばされた俺だが、彼女なりの気遣いなのか、痛みは無かった。
霊夢「暑いから…ね…。これ、やり方の問題なのかは知らないけど…確かに少しは感じるわね」
魔理沙「ああ、少しは、な!」
カルゴ「そんな強調しなくても…」
魔理沙「でもまぁ…ありがとな!なんか、すごく面白かった!」
カルゴ「お、おう…?///」
にししっ、と笑う魔理沙の笑顔を見て、たまにはこういう遊びをするのもいいかもしれないな、と思った俺であった…。
穹「ふむ……壁ドン、顎クイ、股ドン、床ドン、あすなろ抱き、蝉ドン…ですか。これは面白そうですよぉ!」
たまたまそれを目撃していた穹は、一連の流れを写真に納め、記事にしてもらおうと仕事場へ身を翻し、目にも止まらぬ速さで帰宅した。