解放区騒動から数日。子供も大人もいつも通りの日常に戻って、それぞれ平和な生活をしていた。
今日俺は、紅魔館でまったりとした時間を過ごしていた。そよ風の吹くテラスでのティータイム。
喫茶店のオープンテラスよりも、ずっと優雅だ。
スカーレット姉妹は読書と昼寝を、咲夜さん達は夕飯の仕込みをしている。美鈴はいつも通りの…そう、お昼寝だ。
だから今だけは1人きりだ。
久しぶりの1人…別段、寂しいとも思わない。
いつもの事だ、どうせすぐに誰か────。
??「あのー…」
早速誰かが来た。
テラスへの入口を開いたところから察するに館の中から来たらしい。しかもこの声は本来外に居るべき人物の声だ。
カルゴ「どうした、美鈴」
カチャンとコップを置き、振り返るとそこには、薄ピンクの可愛らしい封筒を持った美鈴が居た。
美鈴「これをエスカルゴさんに…」
カルゴ「俺?もしかしてラブレター?…美鈴?」
ニマッと笑い、冗談っぽく訊ねてみる。
もし当たっていたら、美鈴は一体どういう反応を見せてくれるのだろうか。
美鈴「いえ、私からじゃないですよ?たった今、黒猫さんがその手紙を持ってきて私に…」
裏を見てみると、エスカルゴさんへ、とちゃんと書いてある。綺麗な文字だ。誰からだろうか。
カルゴ「そっか。ありがと、美鈴」
美鈴「あとですね、私は手紙じゃなくて直接言うタイプなので勘違いしないで下さいね?では♪」
それだけを言うと、どこか軽やかな足取りで中へ戻って、玄関から外に出た美鈴。テラスから外へ出た方が早いのに、変な所で丁寧だ。
手紙ねぇ…今どき手紙なんて珍しいぜ?読んだら丁寧に保管しよ。にとり製の小型金庫の中にでも入れておくかな。
カルゴ「えっ?…わお、マジかいな」
手紙を開封した俺は、まずそんな声を漏らした。
手紙の差出人は、あの古明地姉妹だった。
しかも2枚の便箋だ。
エスカルゴさんへ
あれほど暑さの厳しかった夏もそろそろ終わりを迎えますが、いかがお過ごしでしょうか?
…とまぁ、堅苦しい挨拶はここまでにして。
明後日のお昼に、地霊殿にて流しそうめんをやりたいと思っているのですが、もし良ろしければ、一緒にいかがですか?
11時に地霊殿門前に集合です。
いつもよりも更に騒がしくなりそうなので、彼女さんやお嫁さんはご遠慮願いたいですが、娘さんなら大歓迎です。
お空も寂しがっていますので、また会ってやって下さい。きっと、凄く喜ぶと思います。
それでは、また。
古明地さとり
P.S.水着を忘れずにご持参下さい。
お兄ちゃんへ!
最近地霊殿来ないけどまだ生きてる?あれ、もう死ねないんだっけ?まーどっちでもいいや!
えっと、用件はお姉ちゃんの方にも書いてあるんだけど、明後日の昼に地霊殿で流しそうめんやるからさ、お兄ちゃんにも来て欲しいなってコト!お兄ちゃんなら来てくれるよね?
もし来てくれたらぁ、私のえっちな格好、見せてあげても良いよ〜!お兄ちゃんは、えっちなのがすっごく大好きなんだもんね!
もちろん見せないけど!
あとね、水着は忘れずに持ってきてねー!
古明地こいし!
カルゴ「………」
まず、いくつか突っ込んで良いかな?
夏はとっくに終わって、もう秋だぞ。いや、地底ではまだ夏終わりという事なのかもしれないが。
そして流しそうめんの誘いなのに水着とは何だ?
あとこいしの発言が怖い。テンションも高いし。
因みに、ここ数年でこいしとお空からの呼び方も少しだけ変わった。こいしからは、お兄さんからお兄ちゃんへとランクアップして、お空からは、侵入者のお兄さんからお兄さんとなった。
…そして、結構懐かれた。
お空は自分の見た目がわかってないのかという程グイグイ来るのだ。天真爛漫な性格故だろうか。
まぁ、いつもお燐が引き離してくれるのだが。
あんな可愛い上に、あんなダイナマイトボディで抱きつかれてみろ。さとりも顔を赤くするほどのピンクな妄想をしてしまう。そしてそんな俺達の様子を見る霊夢達の視線がものすごく痛いのだ。会えば話し、戦い、また話すだけだった関係も、時がそれなりに流れれば、多少は変質する。
今回もそんなドタバタが待っているのだろう。
非常に楽しそうだ。
明後日…永遠亭の日だったか。
ならば多少遅くなる旨を伝え、俺1人で地霊殿へ遊びに行った方が良いだろう。
水着は確か紅魔館のクローゼットにしまってあるはずだ。プールに入った時に、咲夜さんに作ってもらった水着だ。もう何年も前になるのだが。
カルゴ「ふむ…水着か。パッツンなのとズボン…ではどっちが良いかな…」
いや、ズボンだろう。霊夢と霊愛とプール入った時に、うっかり興奮して大変な事になったのだ。
パッツン事件の再発は、何としても防がねば。
カルゴ「とりあえず準備しよかね〜…」
明後日は、皆と楽しい楽しい流しそうめんだ。