※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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とうとう始まります。

自分的に納得のいく形にまとめられたかな…。


紅霧異変・本番

………とうとう…朝が来たか……。

 

「ふあぁぁぁ………はぁ…」

 

あくびと同時にため息も出た。

こう、何かがある日は大体自分で起きれるんだよなぁ…。とりあえず2人を起こすか。

 

「フラ〜ン、レミリア〜、起きろ〜」

 

「んっ…もう朝…?」

 

先に起きたのはフランだ。

 

「ああ、もう朝だよ。さ、ご飯食べようぜ」

 

自分で言って気付いた。

咲夜さんお休みなのに誰が作んの?……俺か。

 

「うん…そうね…ふあぁぁ…」

 

フランもあくびをする。

 

「何よもう…まだ夜でしょ、寝かせてよ…」

 

次に起きたのはレミリアだが…寝ぼけている。

 

「何寝ぼけてるんだ、もう朝だぞ。…霧、出すんだろ?ご飯食べたりしてさ、準備しようぜ?」

 

「…はっ!なんでもっと早く起きれなかったの!?」

 

ようやく目が覚めたか。

 

「いや、知らんよ。なにか急いでるのか?」

 

「別に…急いでないけど…」

 

「じゃあどうした?」

 

「…今日は私が起こしてあげようと思ったのよ」

 

「おっ…そ、そうなのか…なんかすまん」

 

「まぁいいわ、今度起こしてあげる」

 

「頼む」

 

「ねーねー、早くご飯食べようよ〜」

 

待ちきれないという風にフランが言う。

 

「そうだな、行くか」

 

 

 

ガチャッ

 

『おはよー!』

 

「おはようございます。相変わらずお早いお目覚めですね。今起こしに行こうと思っていたところです」

 

扉の目の前に咲夜さんがいた。

朝ご飯作ってくれたようだ。

 

「そーなんだー!ね、お腹空いたから早く食べよ!」

 

「そうね」「そうだな」

 

『いただきまーす!』

 

今朝はクロワッサンにヨーグルトに……なんだ?

よくわからない料理は朝に出ることが多い。

美味しいからなんでもいいけどさ。

 

「そういえば咲夜」

 

「はい」

 

「今日は休んでなさいって言わなかった?」

 

レミリアがズバッと切り出す。

 

「ああ…申し訳ありません、ついいつもの癖で…」

 

「全く…。でも、ありがとうね」

 

レミリアが素直に礼を言うなんて…珍しいなぁ…。

 

「あと、夕飯もお願い出来るかしら?」

 

ついでにお願いする。

 

「ええ、もちろんです」

 

「でも、それ以外は休んでてよねっ」

 

「わかりました」

 

咲夜さんがクスッと笑った。

 

 

 

『ごちそうさまでした!』

 

食事を終え、いよいよ、レミリアの指揮の下、異変の準備に取り掛かる。

 

「パチェは言わなくてももう配置についてる。私は、霧を出したらフランと一緒にこの紅魔館の奥か外でエスカルゴの控えとして残ってるわ。良いわね?」

 

「うんっ!」

 

元気よく答えるフラン。

ん?待てよ?てことは…

 

「これさ、主力は俺とパチュリー様ってことか?」

 

「まぁ…そうなるわね。…パチェの場合、なにか無ければ魔理沙くらい余裕だもの」

 

「な、なるほど…」

 

なにか無ければ、って所が引っ掛かるが…多分体調不良のことだろう。

 

「いい、エスカルゴ?あなたの相手はあの博麗の巫女よ。油断は禁物よ」

 

「わかってる」

 

「ならいいんだけど…」

 

「頑張ってね♪」

 

ギュッ…

 

そう言って抱きついてくるフラン。

 

「ああ、頑張る」

 

俺もフランを抱く。

 

「私たちが次に会う時は、外で思いっ切り遊べる状態にしてからがいいわね」

 

どこか不安げなレミリア。

 

「してからがいい、じゃなくて、するんだろ?」

 

励ましてみる。

…他人を励ますからには、俺も頑張らなきゃな。

 

「…そうね」

 

「エスカルゴの言う通り!頑張るわよ、お姉様!」

 

「ええ」

 

「えへへ♪」

 

「じゃ、配置について!……始めるわよ!!」

 

「うん!!」「おう!!」

 

 

 

俺は玄関へ向かう。

 

「あっ…」

 

美鈴が寝ているかもしれない。

見てこよう。

 

玄関を通り過ぎ、外へ出る。

 

「…………」

 

意外なことに、美鈴は起きていた。

門の前で何かの拳法を嗜んでいた。

なんだかんだ言って、やる時はやってくれるんだな。

 

一安心して中に戻ろうとした───その時。

 

 

 

ブワァァァ……

 

「うおおお……!」

 

館を中心にして、紅い霧が空を覆っていく。

 

紅霧異変の始まりだ。

 

驚きのあまり、声が出てしまった。

目の前でもの凄い広がりを見せるそれは、まるで流れる水のようにスルスルとスムーズに広がっていった。

 

じきに、霊夢が来るだろう。

早く戻って位置につかねば。

 

そう思って、急いで中に戻った。

近くを飛んでいった人影にも気付かずに…。

 

 

 

 

 

その頃───博麗神社。

 

「はぁ〜…掃除も終わったし…退屈ねぇ…」

 

霊夢は退屈のあまり、室内でゴロゴロしていた。

 

「…ん?なんか外紅くない?なにかしら?」

 

ガララッ

 

霊夢は障子を開け、外の異変に気付いた。

 

「!?なにこれ!?」

 

「おぉ〜い霊夢ぅ〜」

 

そう言って飛んできたのは、普通の魔法使いこと霧雨魔理沙だ。

 

「魔理沙!?この紅い空はなに!?」

 

「なーんか、紅魔館を中心に紅い霧が出てきたんだ。こう、ブワーって」

 

「はぁ?なによそれ」

 

「お前より退屈してるレミリアのことだ、遊びかなにかのつもりだろうぜ」

 

「一言余計よ!てゆーか、なんであんたは紅魔館から出てるって知ってんのよ」

 

「近くをたまたま散歩してたんだ。そしたらブワーって紅い霧が出てきたかもんだから、お前のこと呼びに行こうと思ってな」

 

「そう、ありがと。じゃ、行くわよ!」

 

「そう来なくっちゃだぜ!」

 

そう言って2人は紅魔館目指して飛び立った。

 

 

 

 

 

「来ねぇな……」

 

俺は館の中をソワソワ歩き回っていた。

 

落ち着かねぇ…来るなら早く来い…。

 

 

 

 

 

その頃────霊夢たち。

 

「おい霊夢!」

 

「なに?」

 

「ついでに、ちょっと欲しいモンがあるから、先に行っててくれ!」

 

「欲しいもの?…はーん…あんたまさか、パチュリーの本でも盗むつもりね?」

 

「盗むんじゃない、死ぬまで借りるんだ」

 

「はいはい。…早くしなさいよね」

 

「わかってる!じゃ、また後でな!」

 

そう言って図書館の方へ直行して行った。

 

「…さてと。私は…真っ向から行こうかな…」

 

霊夢は門の前に降り立つ。

 

「…あら、珍しく起きてるわね」

 

「………………」ガクガクブルブル

 

「手荒な真似はしたくないわ。…通しなさい」

 

「だだだダメです!通すわけには行きません!」

 

「……そう。なら仕方ないわね」

 

「ひぃっ」

 

ドォォォォォォン……

 

 

 

 

 

「ん…?」

 

今外で爆音が聞こえたような…。

美鈴がやられた?

だとしたら、ようやっと巫女様のお出まし…かな?

 

ガチャッ…キィィィ……

 

来た!

 

「…紅魔館へようこそ。…博麗霊夢」

 

「…?あんた、見ない顔ね。誰?」

 

お前新聞読まねぇのか…。

 

「俺はエスカルゴ・スカーレット。フランドールとレミリアの恋人にして同居人だ」

 

「あぁ…随分前に新聞で見た気がするわ」

 

「…………」

 

忘れてただけかい…。

 

「レミリアはどこ?」

 

「…レミリアに会わせる訳にはいかんな」

 

「あっそう。なんでもいいけど、あの霧、迷惑だから止めてほしいのよね。白いものが緑に見えるし」

 

いかにもめんどくさそうに言う。

白いものが緑に見える…?

もしかして、補色残像のことかな。

 

「すまない。しばらく遊んだら元に戻すから」

 

「はァ?遊ぶ?そんなことの為にこんな大掛かりなことしたって言いたい訳?」

 

「そうだ。俺たち吸血鬼は太陽の光が苦手だからな。夜ではなく、昼間の外で思いっ切り遊んでみたいんだ」

 

「あらそう。…どれくらい遊ぶつもり?」

 

あれ?もしかして…OKなの?

 

「…1週間だ」

 

「1週間ですって!?」

 

「ああ」

 

「何わがままな事言ってんの?半日なら見逃してあげても良かったのに…」

 

ま、仕方ないな。交渉決裂…だな。

 

「じゃあ…開戦といこう。俺らが勝ったら1週間だけ認めてもらうぞ」

 

「ええ、望むところよ!そんな厄介なこと、絶対にさせない!」

 

俺も霊夢も身構える。

張り詰めた空気が流れる。

そんな空気を破ったのはもちろん俺。

 

「行くぜ!雷武器『雷砲』!サンダァァ!!」

 

最初から文字通りぶっ飛ばしていく。

 

ドシュゥゥゥ…

 

「!?」

 

霊夢の目の前に着弾。

 

「チッ、外したか!」

 

カッ…ドォォォ…

 

「クッ!」

 

爆風に乗じて後ろに飛び退く霊夢。

 

「やってくれたわね!次はこっちの番よッ!」

 

バッババッバババッ

 

たくさんのお札を投げてくる霊夢。

触れたらなんかヤバそうだ。

 

「うおっ…!」

 

たくさんすぎるが避けきれないほどではない。

 

だが、避けるのに必死になってると、霊夢が突っ込んできた。

 

「ハァァァァァ!!」

 

「やべっ!雷壁『雷纏反撃壁』!!」

 

咄嗟に壁を作り、自己の防御を図る。

 

だが…

 

バリィィィン…

 

霊夢の攻撃力がバカにならねぇほど高かった。

感電する間すらなく壁を粉砕する。

 

「クソが…!雷速『クイック』!」

 

シュンッ…

 

「!」

 

瞬時に反応し、横に避ける。

真っ直ぐに突っ込んできたんなら横に避ければいい。微調整もいらないからだ。

 

ドゴォォン…

 

目標を見失った霊夢はそのまま壁に突っ込む。

もうもうと煙が立ち込めている。よく見えない。

 

「いったた…」

 

煙の中から人影が見えた。

ぶつかった衝撃のせいか、フラついてる様に見える。

 

「っしゃ、今だ!『雷速断刀』!!」

 

クイックとも相まって、かなりスピードが増してる。

そのまま霊夢に突っ込み、真一文字に斬る。

もちろん硬度は落としてある。

倒すとはいっても、殺すのが目的ではないからな。

 

ズバッ!

 

バラッ…

 

は?

 

「これは…お札!?」

 

その霊夢はフェイクだった。

お札が弾幕となって俺目掛けて飛んできた。

 

「この至近距離じゃ…!雷鎧『サンダーアーマー』!!」

 

バリバリバリバリ……ジュワッ ジュワワッ

 

熱いものを水の中に入れた時に出る、水が蒸発したような音を立ててお札が消える。

 

 

 

「…フゥ…」

 

弾幕が止み、煙も晴れた。

 

「へぇ、中々やるじゃない」

 

どこからか霊夢の声が聞こえる。

 

「どこだっ!?」

 

「ここよ、ここ。上よ」

 

「!?」

 

言われるがままに上を見ると、霊夢は空中に浮いてた。

文字通りの「高みの見物」だ。

 

「チィッ!」

 

「もう終わりにしましょ。面倒な事は早く終わらせる主義なの」

 

「それなら俺が終わらせてやるよ!!雷符『Midnight☆Thunder』!!」

 

ブワッ……

 

闇が広がる。

霊夢にとっては初めて見るスペルだから、これから闇の雷が襲うことも対策もわからない事だろう。つまり俺の勝ちだ。

 

「ちょっ…見えなくなるなんて聞いてないわ!」

 

案の定、霊夢は混乱している。

もちろんその様子は、使用者である俺には丸見えだ。

 

「夢符『二重結界』!」

 

「…は?」

 

バリバリバリバリィィッ

 

直感的に…というか本能的に察知したのか、雷が襲う前に結界を張る。

 

 

 

「うっそぉん…」

 

そう言うしかなかった。

雷は全て打ち終わり、闇は晴れた。

 

「あら?もう打つ手無しかしら?」

 

もうおしまいか、と言わんばかりの調子でそう言う霊夢。もうホントに打つ手が…。

 

「クッソぉ…」

 

「…終わらせるわ。…ハァァァァァ!!」

 

また思いっ切り突っ込んでくる霊夢。

なんだよ、俺にはスペル使ってくれないのかよ…。

 

とにかく考えろ…このクソみたいな状況で俺に何が出来るか…。まだ試してないことが…………あるじゃん!

 

「ははっ……雷符『Midnight☆Thunder』」

 

「何度やっても同じよ!!!!」

 

違う。俺の目的は攻撃することじゃない。

目くらましだ。

 

ブレーキをかけ、突っ込んでくるのを止める霊夢。

結界を張る前に…!!

 

「よし!紅眼『吸血鬼の本質』!」

 

バヂバヂバヂバヂバヂィ…

 

鎧から発せられる音が変わった。てことは成功だ。

 

「何するつもり!?」

 

「か〜ら〜の〜…『キュッとしてバチバチ』!!」

 

「なっ…!」

 

ギュゥゥゥ…ッ

 

電力を上げたまま、背後から霊夢を抱き締める。

 

「うぐぐぐぐ……っ」

 

なんとか耐えてる霊夢。

 

「なんで耐えられるんだよ!うおおおおおっっ!」

 

全力を尽くす勢いで力をあげる。

体力が凄い勢いで無くなってくのがわかる。

 

バリバリバリバリ…

 

スペルの雷がきた。俺諸共それで攻撃する。

 

「くっ……!」

 

「ダメだ…も…」

 

体力が…。

 

「フンッ!」

 

「ぐあっ」

 

霊夢に手を振り払われ、俺は床に倒れ込む。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…。何…今の…」

 

霊夢の驚いた声が聞こえるが…

 

「力……あげ…た…だけ…」

 

途切れ途切れにしか話せない。

それほど体力が失われてるのか…。

 

「…その様子じゃ…もう終わりね」

 

「……………」

 

…頭は動くのに身体が動かないのがムカつく…。

 

「これで終わりよっ!フンッッッ!!」

 

「グフゥゥッ……」

 

思い切り俺の腹を蹴り、外へ吹っ飛ばす。

 

バァァァァン!

 

飛ばされた俺の身体は扉をも吹っ飛ばす。

その時、時計台の前にフランとレミリアが並んで浮かんでるのが見えた。

 

すまねぇ……フラン…レミリア…。

 

ボシャァァァン!!

 

「ンガガ…モガ…」

 

湖まで来たか…あの女、加減ってもん知らねぇのかよ……?とんでもねぇ馬鹿力だったな…。

 

溺れる…。

 

「ングググ…ッ」

 

 

 

バシャァッ…

 

なんとか紅魔館側の岸へ這い上がり寝転がる。

 

「ゼェ…ゼェ…ゼェ……ゲホッゴホッゴホッ」

 

水を沢山飲んでしまったから思い切りむせる。

 

「うう……」

 

ふと、時計台の前を見ると、まだ姉妹は並んでる。

どうやら、そこで霊夢を迎え撃つ気らしい。

 

「レミリア!やっと見つけたわ!!」

 

霊夢の声だ。声のした方を見ると、門の前から時計台を見上げ声を張り上げてる。

 

「クソォォ…!」

 

俺…こんな簡単に負けて…。

これからどんな面下げてアイツらに会えと…。

 

まだ何か出来ることは…何か…何か…!

反撃出来る手は無いのかよ…!!

 

「そう…だ…ゲホッ…。まだ、あれが…!」

 

ヨロヨロと立ち上がり静かに霊夢に近付く。

 

「レミリア!今行くから、そこから動くんじゃ…」

 

「動…くな……ゲホッ…」

 

ビクッ!

 

「……何よあんた、まだ気絶してなかったのね」

 

「…まぁ…な…。俺は…人一倍…打たれ強いんでね…ゲホッ…」

 

「…しつこい男は嫌われるわよ?」

 

「構う…もんか。お前を倒し…あいつらと過ごせれば、それでいい…」

 

「なんでそこまでして…」

 

クソ…立ってるのすらキツくなってきやがった…。

 

「おしゃべりの時間は…ゲホッ…もう終わりだ…。差し違えてでも…お前を…!雷神…『Thunder☆Fall』」

 

「!?」

 

「これで…終わらせてやるよ…!」

 

「こンのくたばり損ないが…!やってくれるじゃないの!ハッ!」

 

また結界を張る。

 

ゴロゴロゴロゴロ……

 

雷鳴が轟くが…意識が遠のく…。

ダメだ、今意識失ったらスペルが終わっちまう…。

 

ガブッ

 

咄嗟に自分の腕に噛み付く。

 

「いっっってぇぇぇぇぇ!!!」

 

「あんた馬鹿じゃないの!?」

 

「へへ…」

 

痛みでちょっとだけ目が覚めた。

どーせ傷なんかスグ治る。

 

ドドドドドドドドドドドドドドド……

 

やっとかよ…。

以前よりも、発動がずっとずっと遅く感じられた。

 

「クッ!」

 

バキャッ

 

結界が砕け散った。

 

「……ッ!」

 

バラッ…

 

「…は?」

 

ヒュンッヒュヒュンッ!

 

またお札が飛んできた。

だがそれは雷によって相殺される。

 

ボゥンッ!ボボボゥンッ!

 

「…え?」

 

嘘…だろ…?またフェイク…?

 

「あんたがあれくらいでくたばるタマだとは思ってなかったけど…ま、予想通りでよかったわ」

 

 

 

霊夢の声を遠くに聞きながら、俺は意識を失った。




やっぱり霊夢は強かった(T_T)
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