バランス良く書けないのはなんなんだろう。
お昼。本当なら博麗神社か永遠亭での食事のはずだが、今日は地霊殿にて流しそうめんである。
みんな、時間通りに門前へ集合して、裏庭へ行きズルズルと麺をすする。麺は普通だが、濃い目のつゆが食欲をそそる。食欲の秋だからだろうか。
このまま食欲に負けたらブクブクと太りそうだ。
欲に弱い俺だが、食欲には強いのでそこは勘違いしてもらいたくはない。意味深な方での食欲にはてんで弱いのだが。
そして、俺の右隣には、先程から付き合い始めたお空が。左隣にはさとりがいる。こいしはさとりの左隣に居るのだが、時折、フッと居なくなる。更にお空の右隣には親友のお燐がいる。
竹を挟んでの向こう側には、パルスィ、ヤマメ、キスメ、勇儀さんがいる。
9人の流しそうめんだが、勇儀さんがいるお陰で場の空気が明るい。良い意味で、場の空気を読まない勇儀さんだからこそできる芸当だろう。
そんな中で俺は、ある衝撃の事実を知らされた。
勇儀「ええっ?つい今さっきからだぁ?もう既にお空とは付き合ってるもんだと思ってたよ!」
パル「なんて鈍感さ…妬ましい…」
ヤマメ「いや、そこ妬んでどーすんのよ…。でもホントに気付いてなかったの?」
カルゴ「うん。好きって言っても友達の方かと」
お空とも付き合い始めた旨を話すと、皆は、別な意味で驚いていた。
なんと、ここにいる全員がお空の気持ちに気付いていたらしいのだ。理由は「あからさまだから」らしい。確かにあからさまではあったが…。
キスメ「わかってる上でそっけない態度とってるのかと思ってた」
ヤマメ「だよね。それが見ててイラつくから襲うってのに、結構強くていつも倒せないとかさぁ。ほんとムカつくわーって思ってた」
パル「私は単なる嫉妬だけど。子沢山で子供から懐かれて更にモテるとか何なのよ妬ましい」
箸を握って、ギリッと音がしそうなほど歯を強く食いしばるパルスィ。相変わらずの嫉妬心だ。
ヤマメ「どうやら、私たちの勘違いだったみたいだね。ま、謝ったりしないけど」
キスメ「そだね、勘違いされるような態度してるそっちが悪いんだもん」
いや、別に謝罪を要求したりはしないけど。俺はそんなに、心が狭くないからな。
お燐「皆の前だと恥ずかしいから離れてくれって意味かと思ってたよ。お空はあんまりそういうの気にしないからさ。だから手伝ってたんだけど…もう離すの手伝わなくていいね!」
カルゴ「あー、確かにそういう見方もできるな。うん、もう大丈夫…多分」
お空「私だって気にする所は気にするよー?」
お燐「腕組みながら食べてちゃ説得力無いよ…。なにもそこまでベタベタしなくても…」
お空「うにゅぅ…」
腕を組みながら食べているので、食べにくい。
お空がそれを気にしていないので俺も気にしない事にした。一緒に居れることが嬉しいのだろう。やはり純粋無垢で、子供っぽい。
勇儀「なぁエスカルゴ〜」
お空との関係を、これからどういう方向に持っていくか考えていると、そうめんをすすりながら、勇儀さんが声を掛けてきた。まさか「腹ごなしに戦おう」だなんて言うのではあるまいか。瞬時にそこまで頭が回ったが、返事をせねば怪しまれるので、とりあえずは相手の出方を見る事にした。
カルゴ「なんですか?」
勇儀「丁度いいから、この機会に便乗して言っちまうけどさ…」
カルゴ「!?」
勇儀「もう10年以上も血湧き肉躍る戦いをしてきてるんだからさ、いい加減に敬語やめないかい?もっとフランクにさ。なっ?」
そう言って、普段のようなニヤリとした笑みではなく、ニコッと爽やかな笑みを浮かべた。意外な発言に、俺は目を丸くする。
カルゴ「い…良いんですかね、俺のような末端の吸血鬼が勇儀さんにタメ口なんて…。というか、呼び方とかどうすれば…」
勇儀「末端の吸血鬼が、四天王の一角であるこの私を倒せるか?呼び方なんて、さとり達みたいに勇儀で構わないよ!」
んー…何か裏がありそ…いや、勇儀さんみたいな鬼は裏とかそういうのを嫌うんだったな。なら、これは純粋な好意からくる発言ってことかな?
なんか、認められたって感じがして嬉しいな。
カルゴ「…わかった。それじゃこれからはタメで話すね」
勇儀「うんうん!やっぱこの方が友達って感じがしていいな!」
カルゴ「そだね。『この機会に』とか言うから、まさかと思っちゃったよ…」
勇儀「ん?あー、この機会ってのはこの流しそうめんの事な。お空の告白の方かと思ったのか?」
カルゴ「そうそう…あはは…」
勇儀「ふむ。恋愛とかそういった事は、これまで考えた試しがないな。恋愛より戦いの方がずっと面白いと思うしさ。両方経験してるエスカルゴはどっちを面白いと感じたんだ?」
カルゴ「えー…めっちゃくちゃ迷う質問だな…。恋愛は…対象とのやり取りが楽しいし面白いし、身も心も癒される感じだね。戦いは、闘争本能を剥き出しにして戦うのが凄く楽しい。娘や恋人と戦うのは、闘争本能というよりも、一緒に過ごす時間を楽しむって感じだね。同じ“楽しい”でも、また少し違うんだよ。だから比べられないかな」
勇儀「んー…難しくてよくわからないな。要は、どちらも楽しいってことか?」
カルゴ「うん。それは間違いないよ」
勇儀「ほーん…」
まだ納得しきれていない様子だが、なんとかこれ以上の追求を避ける事は出来た。自分なりに色々整理しているのか、眉をひそめ、上を見上げつつそうめんをすすっていく。
さとり「流石、子供さん8人と彼女とお嫁さんが14人も居る人は言うことが違いますね」
お空「そうなの?じゃあ私15人目?」
さとり「14人目です」
お空「そっか」
ヤマメ「なんでそんなに彼女とか作ってんのよ」
カルゴ「なんつーか…断るとその子を悲しませるじゃん?だからつい…ね。幸い俺は器用だから、色んな子との両立はできるけど」
ヤマメ「それによって、前から付き合ってた子を悲しませたら意味無くない?」
カルゴ「…痛い所を…」
さとり「それがですね、ヤマメ。エスカルゴさんの彼女さん、お嫁さんたちは、『一緒に過ごせる時間があればそれでいい』という考え方なので、他にも彼女を作るのをOKしてるんです。つまり公認なわけですよ」
ヤマメ「うーん…イマイチわかんないなぁ…」
さとり「考え方は人それぞれですからね、理解が出来ないのは致し方ありません。
ヤマメ「やけに庇うね?」
さとり「…この人を悪く言うのはあまり聞きたくないので。ただ、それだけの事ですよ」
ヤマメ「ふーん。てっきりさとりもこの人が好きなのかと思ったよ」
さとり「まさか。私は、こんな煩悩まみれの人は好みじゃないです。もっとマシな人がいいです。何をされるかわかったもんじゃありませんから」
ヤマメ「さとりこそボロクソ言ってるじゃん…」
さとり「あれ、そうですかね?」
俺すら思わずこんな顔(´•ω•`)になってしまう。
ちょっと…いや、かなり心に深く刺さった。
こいし「とか言ってさー、お姉ちゃんって、お兄ちゃんとイチャイチャする小説書いてたよね♪」
さとり「っっ!!?」
一同「ブファッ!?」
こいしの爆弾発言により、全員がそうめんを吹き出してしまう。お兄ちゃんこと俺は、どういう事だとさとりを見やる。
こいし「『ずっと前から好きだったの…誰にでも本心を明かせる、心の綺麗な貴方の事が…』とかそんな感じのセリフあったねー♪」
さとり「ここここここいしぃぃぃぃ!?!待って待ってタンマタンマ!!あなたなんでそれを!?誰も居ない時に自室に鍵を掛けて書いたはず…」
こいし「普通に後ろから覗いてただけだよ?」
さとり「覗くなぁぁぁぁッ!!」
こいし「『あなたの子なら何人でも産めるわ…』なんて言ってるシーンもあったね〜♪」
一同「ッ!?」
さとり「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!言うな言うな言うな言うな言うなーーー!!!」
完全にテンパったさとりは、次々と暴露してしまうこいしの口を塞ごうと飛びかかるが、こいしはそれをヒョイヒョイと避けてしまう。
さとり「ぜぇ……ぜぇ……こ…こいしぃ〜…」
こいし「お空に便乗して言えばいいのに、なんでそうまでして包み隠すの?」
さとり「だ…だってぇ……うぅぅ…」
こいし「…あれ、言い過ぎちゃった?」
さとり「順序ってものがあるでしょバカぁ〜……うぇぇぇん…」
地面にペタンとアヒル座りをして、ついには泣き出してしまった。恥ずかしい秘密を、本人の前で暴露されてしまったので仕方ないことではある。
カルゴ「おい、こいし…!流石に言って良い事と悪い事があるぞ…!」ボソッ
こいし「…まさか泣いちゃうとは思わなくて…。ごめんね、お姉ちゃん…」
さとり「うぅっ…いいのよ…。言うタイミングを逃してしまった私が悪いし…でも流石に酷いわよこいしぃ…ぐすっ…」
こいし「ご、ごめんってば〜…」
ヤマメ「…あんた、男として何かしてやれば?」
カルゴ「えっ……う、うん…」
尚もグスグスと泣き続け、こいしすら慌てるこの状況で俺ができることと言えば何があるだろう?
カルゴ「え…と……泣くなよ、さとり……な?」
膝をついて、さっきは躊躇ったナデナデをする。フランやレミリア、巫月たちも、何かあった時はこうして気持ちを落ち着かせてきたのだ。
さとり「ありがと…ございます………ぐすっ…。
…あの…エスカルゴさん……」
カルゴ「何だ?」
さとり「なんだか…変な形になってしまいましたけど……」
こいし「えへへ…」
さとり「私も…あなたの事が好き…です……///」
カルゴ「…そっか…ありがとうな」
さとり「つっ…つ……うぅぅっ…///」
顔を真っ赤にしてモジモジするさとり。その手はギュッと服の裾を掴んでいる。
さとり「ちゅきあってくださいっ!!」
一同(噛んだ…)
さとり「ああああ…噛んでしまった……何やってるのよ私…」
カルゴ「じゃ…さとりも俺の彼女な」
さとり「…はいっ♪」
勇儀(いやいやいやいや…この短時間で彼女2人増えたとかどういう事だよオイ…)
カルゴ「それじゃ、気を取り直して食べようぜ」
さとり「ですね!」
こいしの暴露により、とんでもない秘密がバレてしまったさとりは、己の心を包み隠す事を辞め、自分に正直になった。
次の温水プールでも、なにか一波乱ありそうだ。
さとりは妄想女子!