※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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もこたんと会話してると心が癒されるので、つい長くなってしまった。戦いは次から。


完全憑依・2日目 〜孤独の終わり〜

完全憑依、2日目。

今日の昼過ぎに、妹紅と地底へ殴り込みに行くと約束していた俺は、午前は大人しく過ごして力を温存していた。

力を100%溜めていれば、「力が足りてない」と言い訳が出来なくなるからだ。つまり、言い訳をしないようにと自分を追い込んでいるワケだ。

口に出さずとも、思った時点で言い訳だと思う。

そんな醜いことはしたくないし思いたくないのでこんな策に出ることにしたのだ。

本当なら少しは体を動かしておきたいが、相手が相手なので体力は少しも無駄にできない。

そして、お昼過ぎ。

賽銭箱の影で、座禅を組みながら眠っていると、境内から聞こえてきた妹紅の声で目が覚めた。

 

妹紅「おーい、来たぞー!」

 

…あれ、もうそんな時間なのね…。

 

カルゴ「行くかー…ふわぁ…」

 

賽銭箱裏から出た俺は、背伸びをしながら大きな欠伸をする。それを見た妹紅は、眉をひそめる。

 

妹紅「寝不足か?」

 

カルゴ「つい、寝落ちしただけだよ。体力を温存してたら眠くなったんだよね」

 

妹紅「そんな所で?風邪引くぞ」

 

カルゴ「大丈夫だって。風邪なんて、自爆すれば一瞬だろ?」

 

妹紅「それもそうか。よし、行くぞ」

 

カルゴ「おう」

 

俺たちは並んで飛び、地底へ続く穴へと向かう。

特にこれといった話題も無く黙って飛んでいたのだが、そんな中、妹紅が唐突に話しかけてきた。

 

妹紅「…そういえばさ、神社出る時に霊夢たちに『行ってきます』って言ってなかったけど大丈夫なのか?後で怒られたりとかさ。霊夢、そういうので怒ったりするだろ?」

 

確かに霊夢はそれで怒りそうである。だが、なぜ妹紅がそんな事を心配しているのだろうか。

 

カルゴ「心配ない。霊夢たちなら今頃、幻想郷のどこかで完全憑依で遊んでるだろうさ。娘たちも姉妹間でやり合ってる頃だろう」

 

妹紅「あぁ、さっきまではお前1人だったのか。だったら尚更、なんであんなとこに居たんだよ?体力温存なら屋内でも出来るだろうにさ」

 

カルゴ「…霊夢たちの居ねぇ神社なんざ、居てもつまんねぇよ。だったら、屋外で自然の音とかを聞いていた方が心が落ち着くってものさ」

 

妹紅「へー…お前って、案外寂しがり屋なのな。初めて知ったよ。かれこれ15年半以上の付き合いなのに、お前ってばそんな素振り見せないし」

 

カルゴ「普段なら絶対そばに誰かが居るからな。早朝特訓の時以外は」

 

妹紅「そーだなー…。そういえば最近、早朝特訓やってないじゃないか。大丈夫なのか?」

 

カルゴ「別な事で体力を多く使う事になったし…何より、みんなと多く戦ってるからなぁ。それが特訓になってる感じかな。油断ならないくらい、アイツらは強くなってる」

 

妹紅「確かに。霊愛なんてもう少ししたら普段の霊夢のレベルに届くんじゃないか?それとタメを張れる巫月も相当ヤバいんだがな」

 

カルゴ「そうだな…。でも、悔しいな」

 

妹紅「何が?」

 

カルゴ「巫月の方が早くに特訓を始めてるんだ。なのに霊愛と変わらないなんてな。俺の教え方が悪いのか、生まれ持った素質か…。多分前者だと思うんだよね。もっとちゃんと教えてればな…。妹に負けるのってやっぱり悔しいだろ?できればそんな思いはさせたくないんだけどな…」

 

妹紅「それがわかってるなら、これからちゃんと教えてやれるよ、きっと」

 

カルゴ「そうかな…」

 

妹紅「娘のためなら何でもこなすお前だからな、そこら辺は間違いない」

 

カルゴ「…頑張る」

 

そんな話をしている内に、ついに地底へ続く穴へ到着した。顕界は涼しい秋の気候だと言うのに、この穴からは熱気が漏れ出てきている。

 

カルゴ「少し暑くて気持ちいいな」

 

妹紅「そうだな。最近は肌寒くなってきたしな、これは丁度良さそうだ」

 

カルゴ「ああ」

 

意を決して、穴に飛び込む。キスメやヤマメや、パルスィが現れやすいエリアであるが…今回は、多分戦うことは無いだろう。前回のお空の時に、彼女らが俺と戦う理由は消えたのだから。

しばらく飛び続けると、向こうから、パルスィがこちらに向かって飛んで来るのが目に入った。

 

カルゴ「おっす。どした?」

 

パル「別に。仕事に戻るだけ」

 

相変わらず真顔で淡々と答えるパルスィ。いつも通りのつっけんどんさだが気にしないでおこう。

 

カルゴ「仕事なんてやってたのか」

 

パル「…地上と地下を結ぶ穴の番人なんだけど」

 

カルゴ「あぁ、穴の番人だったんだっけ」

 

パル「ええ。あなたこそどうしたのよ?また別な女と組んでるようだけど」

 

カルゴ「勇儀に勝負を挑みに行くんだ。今どこに居るかわかる?」

 

パル「家に居るわ」

 

カルゴ「サンキュー」

 

軽く会話を交わし、パルスィは入口の方は向かい俺達は奥に向かう。街へ到着する頃には、俺の額には汗が流れ出てきていた。そして、地底に到着すると同時に完全憑依を行う。また俺がマスターで妹紅がスレイブである。

 

妹紅「へー、ここが地底なのか。思ったよりかは暑くないかなぁ」

 

カルゴ「妹紅は地底初めてなのか。今は秋だからまだ涼しいけど、夏は死ぬほど暑いんだよな…。お空が暴走した時も」

 

妹紅「じゃあ、もし夏に暴走したら?」

 

カルゴ「灼熱地獄」

 

妹紅「うわ…。でもここ、避寒地に良さそうだ」

 

カルゴ「それは言えてる」

 

勇儀の家を目指しながら街の中を歩いていると、向こうから俺たちが探していた勇儀本人がやって来た。手ぶらで、散歩しているらしかった。

 

カルゴ「やぁ、勇儀」

 

勇儀「おーエスカルゴじゃないか!どうした?」

 

カルゴ「ちょっと面白い力を手に入れたからさ、勇儀と戦って腕試ししたくて。腕試しっていうか本番かな。よほど強くないとやり甲斐無いしさ」

 

勇儀「ほう、お前から私と戦いたいと言うとは。で、その新しい力ってのは?」

 

カルゴ「それは…」

 

妹紅「完全憑依だ」

 

言葉で説明するより、見せた方がずっと早いのでその場で妹紅と入れ替わってみる。当然、これを知らない勇儀は目をぱちくりさせる。

 

勇儀「え…えぇ?入れ替わった?瞬間移動か?」

 

カルゴ「肉体や精神、全てをどーたらこーたらで異心同体になる現象、完全憑依。こうして互いを切り替えて戦って、相手を圧倒する感じ」

 

勇儀「つまり2人と私で戦おうってわけかい?」

 

カルゴ「そゆこと。実質的には2対1なんだけど大丈夫かな?勇儀がダメって言うなら、また他の誰かに頼むしかないんだけどさ」

 

勇儀「いや、良いよ!かかって来な!これもまた面白そうだッ!!」

 

と、その場でファイティングポーズになる勇儀。

残念ながらここは街中であり、ここでぶつかれば大災害になること間違いない。

 

カルゴ「場所移そう。人気の無い所な」

 

勇儀「おっと、そうだったな。あまりに面白そうだったから、つい気が急(せ)いてしまったよ」

 

ガハハと豪放磊落に笑い、「広い空き地がある」と俺たちをそこへ案内してくれることになった。

地底では姐さんと有名な勇儀と、足繁く地霊殿へ通う変わり者の俺が並んで歩いているので、周囲からの視線が痛い。

これでは人里と何ら変わらない。やはり、文化的面では地底も地上も変わらないらしい。

 

妹紅「お前、戦いが大好きなんだな。私もだが」

 

勇儀「ああ。三度の宴会より戦闘だ。ところで、お前さんは一体誰だい?」

 

妹紅「そういや初めましてだったっけ。私は藤原妹紅。不老不死の蓬莱人さ」

 

勇儀「私は星熊勇儀。見ての通り、鬼さ。所で、お前も不老不死なのか。エスカルゴと同じだな」

 

妹紅「エスカルゴが真似したんだよ。不老不死は孤独だからやめとけって何度も言ったのになぁ、こいつってば人の話をまるで聞かないんだ。本当困った奴だよ」

 

勇儀「見てきたかのように言うねぇ」

 

妹紅「見てきたっていうか体験しているからな。

自分が何歳かなんてのは覚えちゃいないが、軽く

1300年は生きてるよ。大雑把なカウントだが一応

600年代から生きてる。エスカルゴが言うには、

今は2000年代らしいからな」

 

勇儀「孤独…ねぇ」

 

妹紅「孤独だろう?自分は絶対に死なず、周りの者は何れ誰も彼も居なくなるんだからな」

 

真っ直ぐ前を見据えたまま冷たい声で言い放つ。妹紅の事だから輝夜と永琳の事を忘れているわけでは無いだろう。何れは月へ帰るという可能性も考えているのだろうか。

妹紅は「不老不死は孤独」と言うが、それに対し勇儀は少しばかり反論する。

 

勇儀「お前さんには同じく不老不死のエスカルゴが居るじゃないか。孤独なんて事は無いよ。何があってもこいつならそばに居てくれるぞ?」

 

妹紅「…別に、そういう関係でもないのにそばに居られてもなぁ。鬱陶しい…とは思わないけど、お節介とは思うかもしれないな」

 

勇儀「あれ、違うのかい?私はてっきり、お前もエスカルゴの女の1人なのかと思っていたよ」

 

妹紅「なんだってこんな女たらしを…。私は他の女と違って、男には興味無いよ。エスカルゴは、あくまでも友人さ」

 

勇儀「はははっ、確かにたらしだな!でもまぁ、そんな風に言ってやるな。一応、エスカルゴにはエスカルゴなりの考えがあるのさ」

 

妹紅「もちろんそれも知ってるさ。だから真っ向から否定したりはしない。言ってる事はちゃんと理解しているつもりだしな。これからもこのまま仲良く居れりゃあ、それでいいのさ」

 

勇儀「これまでは孤独だったかもしれんが、今のお前にはエスカルゴという友人がいるんだ。もう孤独では無いな」

 

妹紅「ふっ……そうだな♪」

 

話が一段落したところで、その空き地に着いた。

確かに広く好き勝手暴れられそうである。塀等の余計なものは遥か遠くにある。学校の校庭ほどの広さはあるような気がする。

 

カルゴ「話は終わったようだな。全く、俺のことボロクソ言いやがって…。泣くぞ?」

 

勇儀「いやいや、良い意味でだよ!はははっ!」

 

妹紅「そうそう。あれは良い意味で、だぞ!」

 

カルゴ「ならいーんだがよ」

 

軽くため息をついた俺は、ファイティングポーズを取り、10数メートル先にいる勇儀を見据える。

ゲームじゃないが、まさに「強者の余裕」という風格がある。こっちはゲームとは違って、本当に強いからやばい。今回は一体何回死ぬのだろう。

 

勇儀「完全憑依で2対1。だったら、私は能力を使ってもいいかい?」

 

勇儀の能力…………って、なんだっけか?

 

普段から殴り合いか大玉の発射と、たまーにだけスペルを使う程度なので、彼女の能力はすっかり忘れていた。というか、今までは能力を未使用であそこまで強かったのか。どこまでも恐ろしい。

 

妹紅「もちろんだ!どんな能力なんだ?」

 

勇儀「私の、《怪力乱神を持つ程度の能力》…!今回ばかりは本気も本気でやらせてもらう!!」

 

妹紅「面白そうだな…!望むところだ!!」

 

カルゴ「☆MA☆JI☆KA☆YO☆」

 

次回、死亡不可避の大乱闘。




筆者、もこたんは不比等の娘説を推してる也。
そして不比等=稗田阿礼説も。
つまり阿求は不比等の転生した姿…!w
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