んぁ…?なんか身体が重いな…。
パチッパチッ…
瞬きしてみる。
あれ?この天井って…。
「…おはよ、エスカルゴ」
ん?
「あっ…」
鈴仙だ。
「鈴仙…?俺、また永遠亭に?」
「うん。レミリアさんやフランさんもいるわよ」
「…2人は大丈夫なのか?」
「ええ。2人は昨日目を覚ましたわ。ずっと眠ってたのはあなただけよ。よっぽど疲れてたのね…」
あの2人もここにいるってことは…。
「異変は…失敗しちまったんだな…」
ちぇ…ま、仕方ないか…。
「…?私はずっと永遠亭にいたから、何があったのかよくわからないけど…。2人呼んでくる?」
「お願い」
「わかった、ちょっと待ってて」
「ああ」
そう言って部屋を出ていく鈴仙。
えーと…なにがあったんだっけ…?
確か…みんなで遊ぶために霧を出して…それを止めさせようとした霊夢を迎え撃って…俺は負けた…。
悔しいなぁ…。まさか、俺が最後に攻撃したあの霊夢までフェイクだったとはな。
ガララッ
「!」
フランにレミリア…。
「やっと起きたのね…。…お疲れ様、エスカルゴ」
「レミリア…。すまん、負けちまった…」
「しょうがないわよ…。だって相手は霊夢だもの」
「……うん……」
「中々起きないから心配したわ〜」
「フラン…。2人はどうだったんだ?」
「すぐにやられちゃったわ。ね、お姉様」
「ええ…。夢想封印1発で私たち姉妹を片付けたわよね…」
「そーだったねー…」
どんだけだよ…強過ぎだろうが…。
「そっか…。パチュリー様は?」
「パチェは、窓から入ってきた魔理沙と戦って、ちゃんと倒したらしいんだけど…」
「…だけど…?」
「倒した直後に貧血で倒れたらしいの。小悪魔が昨日、お見舞いも兼ねてわざわざ来てくれてね、色々教えてくれたわ」
「両方倒れたんか…。大変だったな…」
「…そうね…」
「咲夜さんは?」
「倒れてた私たちとエスカルゴをここに連れてくるのに大忙しだったみたい」
「さ、咲夜さん1人でか!?」
「まさか、そんな訳。小悪魔にも手伝ってもらったみたいだけど」
大して変わんないよーな…。
「休ませるどころか余計忙しくさせちまったな…」
「そうなのよ…。しかもこれから余計に忙しくなるし…全くあの巫女は何を考えているのやら…」
これから忙しくなる?なんでだ?
「なにかあるのか?」
「昨日、あの巫女がここへ来てね。『明日紅魔館で宴会開くわよ』とか言ったのよ…」
「は?なんで?」
「私たちが暴れて、あの巫女が決着つけたでしょ?」
「暴れてって…。まぁそうだが…」
「ま、簡単に言うと異変解決後のお祝いらしいわ」
「それをわざわざ紅魔館でやるのかよ…。というかそれ…ただ紅魔館へ飯集りに来てるだけじゃ…」
「…なんだかんだ理由くっつけて、本音はそれでしょうね。はあぁ…」
露骨に嫌な顔して大きなため息をつくレミリア。
全くあの巫女は…。
「お大事に〜!エスカルゴ、またね!気を付けるんだよ!」
「ああ、わかってる。またな!」
「うん!」
結局、ただの疲労だったので目覚めたその日の夕方に退院した。
2人と違って俺は「力を使い果たした」っていうオマケ付きだったが、たっぷり眠ったおかげで力はもうスッカリ戻ってる…ハズだ。
「きっと、咲夜が忙しくしてる頃よ。急ぎましょ」
「ああ」「うん!」
3人で夕闇の中を飛ぶ。
「ん〜、風が気持ちい〜♪」
「そうだな〜…」
「ほら2人共!そんな事より、早く帰るわよ!」
風を楽しんでるのを邪魔するのはレミリアだ。
「わかってるけど…」
「けどじゃないわ、早くしなさいよね!」
「はぁ〜い…」
「ったく…」
ゴオオオオオ……
「もう着くわよ!」
「わかってる!」「わかってるわよ、お姉様!」
かなり飛ばしたので案外すぐに着いた。
吹っ飛ばしたハズの扉は既に直っていた。
『ただいまー!』
シ────────ン…。
「咲夜ー?」
レミリアが声をかけるが反応は無い。
「あれ?咲夜…?」
「料理作ってるのよ、きっと」
「そうね。じゃ、私たちは待ってましょ」
「そうね。…ほら、エスカルゴも行こ?」
「…咲夜さんの手伝いしてくるよ」
「え?なんで?」
「宴会料理を1人で作るなんて大変だからね」
「わかった…けど、あなた料理出来るの?」
「まぁ…少しだけなら」
「私も出来るなら手伝いたいけど…出来ないから諦めるわ。…頑張って」
「頑張れ〜♪」
「ああ、頑張る」
厨房。
グツグツ…
なにか煮込んでる様な音が聞こえる。
「……」
チラッと中を覗いてみる。
ソワソワと動き回ってて、見るからに大変そうだ。
「咲夜さん、ただいまです」
「え、エスカルゴさん?もう大丈夫なんですか?」
「ええ、疲れてただけなので。ゆっくり休んでたのでもう大丈夫です。運んで下さってありがとうございます」
「いえ、なんてことありません。エスカルゴさんこそお疲れ様でした」
「どもです…。今、宴会料理作ってるんですよね?手伝います」
「…すみません、お願いします。忙し過ぎて猫の手も借りたい状況で…」
「何すればいいですか?」
「これに書かれてる料理2品をお願いしたいんです」
そう言ってエプロンから1枚の紙を取り出す。
「野菜炒めに野菜サラダ…ですか。わかりました」
この2品は特に得意な料理だ。良かった…。
「お願いします」
「はい」
野菜炒めは簡単だ。
野菜を切って炒めて、塩コショウとかで味付けて、それでお終いだ。ああ、油にはごま油なんかを使うと、匂いで食欲そそられるな。
野菜サラダは…料理するところあるか?
生野菜を刻んで大きな皿に入れて…その近くにドレッシングを数種と小皿置いとけばあとは勝手に小皿に盛り付けてドレッシングかけて食べてくれるだろう。
「〜♪」
鼻歌歌いながら野菜を切る。
トントントントン…
「随分…手慣れてらっしゃいますね…」
驚いた様子で咲夜さんが言う。
「…まぁ、料理作ったりしてましたから」
「料理のレパートリーは何種くらいなんですか?」
ん〜…何種くらいだろ?
野菜炒めに野菜サラダに…卵焼きに目玉焼きに…。
カレーにスナック菓子…。10種無いな。
「10種も無いです…へへ…」
さて、そろそろ炒めようか。
「そうなんですか。でも、男の人が料理なんてあまり聞きませんので驚きました…」
幻想郷でもそうなのか?
「なるほど…」
うん、ごま油のいい匂いだ。
「なんかいい匂いしますね。何入れたんです?」
「ごま油です。食欲そそられるいい匂いでしょう?」
「そうですね。…野菜炒めにごま油は使ったことありませんでした…」
「多分皆の口にも合うと思います」
これでダメだったら泣けるぜ…。
俺、これ結構好きだし…。
…よし、野菜炒めはこんなとこか。次だー。
野菜サラダか、切るだけでいいな。
ザクッザクッザクッ
「よし…終わりぃ…。咲夜さん、終わりま…」
ありゃ?咲夜さん居ねぇや。
パタパタパタ…
ん?
「はぁ…はぁ…」
ど、どうしたんだ…?息きれてるぞ。
「お、お疲れ様です…。どうしたんですか?」
「終わったんですね、お疲れ様です…。料理運んで行ったら鬼に酒を勧められたので逃げてきました…」
ええ…?
「もう来てるんですか?」
「料理作ってる間にかなりの人数が…」
マジかよ…。
「野菜炒めも野菜サラダも完成しました」
「味見いいですか?」
「どうぞ」
「失礼します」
パクッ
「…!美味しいです!」
「ありがとうございます!」
咲夜さんに美味しいって言ってもらえて素直に嬉しい。
「ごま油か普通のかでこんなに違うんですね…」
「そうですね」
「これから炒め物のときはお願い出来ますか…?」
おお!?マジか!!
「喜んで!」
油変えるだけなんだけど、と心の中で付け加える。
「じゃ、料理持っていきますね」
「はい。宴会、楽しんできて下さいね」
ニコッと笑う咲夜さん。
「…はい!」
にこやかに答え、厨房をあとにした。
「ほーい、料理持ってきたぞ〜」
「あー、エスカルゴやっと来たー!」
フランが駆け寄ってきた。
「待たせちゃったか?」
「うん!さ、早く食べよ!料理無くなっちゃう!」
この前のこともあって、急いで料理を食べる。
少々はしたないとは思うのだが…みんな似たようなもんだしな。酒飲むか喋るか…ガツガツ食べるか、だ。
「はぁ、疲れた〜」
ん?
「あっ…博麗霊夢…」
「あ、あんた…」
霊夢…今来たのか。
「この前はごめんなさいね、ちょっとやりすぎたわ」
「!?」
意外な発言に思わず身構える。
「な、なによ、まだやるつもり?」
「あ、いや…なんでもない」
構えを解く。
「まぁ、済んだことは水に流してあげるわ。あんたも一緒に酒飲みましょ」
「いや、俺、酒は…」
「おいエスカルゴ、久しぶりだなぁ!」
「す、萃香…さん…?」
「私も来たんだぞー!」
「どもっす…」
「さぁ、また一緒に飲もー!酔っ払うと大変なお前も、少しなら良いだろ?」
「全く萃香は…。今私がエスカルゴと話してたのよ?邪魔しないでくれる?」
「硬いこと言うなって〜!どうせ霊夢もエスカルゴと飲みたかったんだろ〜?」
「そ…そうだけど…」
「なら3人で飲もうじゃないか〜!」
「そ…そうね…」
え…何この状況…。逃げよ…。
ソローリ…
「逃・げ・る・な!!」
グイッ
「ギャッ」
ドターンッ
霊夢に襟を引っ張られ倒れる。
「あにすっだおめぇ!」
おっと、つい訛りが…。
『…………』
2人ともポカーンとして俺を見下ろしてる。
「いや、なんでもね」
「あっははは!なんだそれ面白いな!」
萃香が笑う。
「笑うなぁ〜…」
「ふふっ、あんた意外と面白いのね」
「ンな事ねぇし…」
霊夢まで…。
「ま、仲直りも兼ねて…飲みましょ?」
「うー…」
「ほらほらー!早くしろー!」
「わぁったよ、飲むよ!少しだけな!」
「そう来なくちゃ!」
「ほら、これ飲め!」
そう言ってデッカイ盃を俺に差し出す。
「少し」の意味がわからないのか…?
「これ、少しじゃないよな?」
『少しだってばっ!』
霊夢とハモる。
「ええ〜…」
「イッキ、イッキ!」
これでもかと急かす霊夢。
「ああもう!」
グイッ
「おお!」
グッと流し込む。
「うう…」
腹ん中が熱い…この前の酒より強くないか…?
そんで頭が…フワフワする…。
「にゃははは〜、いいぞいいぞーもっと飲め〜」
ん…?これってまさか…萃香が飲んでる鬼殺し…?
そ、それは無いか…。あ〜、フラフラしてきた…。
十数分後
「あはははははははは!おしゃけうんめぇ〜!」
「やっぱエスカルゴと飲んでると楽しいなぁ〜!」
『イエーイ!あっははははっ!!』
「ちょっとぉ〜、私も居るんだから仲間に入れなさいよねぇ〜」
「そうだったな〜。お前もこれ飲め〜!」
「私は鬼殺しよりもこれがいいのよ〜」
「ちぇ〜」
「お姉様〜、エスカルゴがまた酔っ払った〜!」
「…全くあのバカは…。咲夜!」
「はい」
「血の代わりに、血のジュース出してあげなさい」
「それが…さっき渡しまして、全部飲んでくれたんですが全然治まらなくて…」
「え゙っ…なんで!?」
「幸運なことに、永遠亭の方々…医者も来てましたので聞いてみたんです。そしたら『生き血じゃないと無意味よ〜』と…」
「なんでそんな面倒な体質してんのよエスカルゴは…!血のジュースで治まってよ!また誰か襲われるじゃない!」
「どうしましょうか…」
「…いや…放っておきましょう」
「えっ?」
「エスカルゴは、近くにいる奴から襲うだろうから…このまま飲み続けてたら、萃香と霊夢が襲われるわ」
「ああ…お2人を生贄に…」
「まっ、そんなとこね」
「では私たちは…」
「ここで見物してましょ」
「はい」
「おお〜、お前いい飲みっぷりじゃないか〜」
「あ〜、まりしゃだぁ〜」
「私が勧めなくても萃香たちが勧めたようだな」
「あははぁ〜、おしゃけおいしいねぇ〜」
「まーな」
「でもさぁ〜…」
「ん?どした?」
「血が…飲みたくなってきたなぁ…」
「ゲッ……」
「…飲ませて?」
「わ、私はお断りだぜ!」
「ええ〜……」
「そ、そうだ!代わりにアリスを置いてくから!」
「アリスぅ〜…?あ〜…シャンハイの…」
「シャンハイ?…ああ、あの人形か」
「アリスどこぉ…?」
「アリスー!エスカルゴが呼んでるぞー!」
「え?なんで?」
「うお!なんだお前、後ろにいたのかよ!」
「たまたまよ」
「という訳で、エスカルゴにお前の血飲ませてやれ!」
「どういう訳よ!!」
「良いから良いから。この前吸われたがってたろ?」
グイッ
「ちょ、押さないでよ!」
「ほらほら!」
「キャッ!」
ドサッ
「あー…アリスきたぁ〜…」
「ど…どうしたの…?」
「血……飲ませてよ…」
「………良いわよ」
「やったぁ〜…あはっ、いたらきまぁす」
ガブッ
「ひぅっ…」
チュゥゥゥゥ……
「あっ…んんっ…♡」
「…ぷはぁ……」
「あれ…もう…お終いなの?」
「アリスお前…やっぱ吸ってほしいんじゃんか」
「そっ、そういう訳じゃ…」
「…あんまり…おいしくない…」
「ガーン……」
「へぇ、血にも美味しいとか美味しくないとかあるのか」
「ある…みたい」
「誰のは美味しかったんだ?」
「しゃくやしゃんとぉ…フランとぉ…レミリア!」
「ここのヤツらかよ!!」
「あ〜…ほんとら〜…。あははははっ」
「おいエスカルゴ〜、血より酒飲め〜!ほれ!」
グイッ
「ングッ」
ゴクッゴクッゴクッ…
「ぷはぁ…!……でもやっぱ血が飲みたいなぁ…」
「え!?酒は!?」
「美味しいけど血の方がいい…」
「わ、私はもう帰るぞ…」
「まりしゃ帰るのぉ〜?じゃ〜ね〜!」
「ホッ……」
「誰の飲もうかにゃ〜…」
「私の血は美味しくないわよ」
「あぁ〜…霊夢ぅ…」
「なによ?」
「霊夢の血…飲ませてよ…」
「だから私の血は美味しくな…」
ガブリ
「ちょっ…!」
ヂュゥゥゥゥ…
「や…やめっ…てっ…んぁっ…」
「…ふぅっ……」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「ほんとだ…あんまり美味しくないや…」
「ちょっ…勝手に飲んどいて酷い言い草ね…」
「ごめんごめぇん!あひゃひゃっ!」
「全く…ほんと酒癖悪いわねあんた…」
「しょーがないよぉー、ひゃっひゃっひゃっ!」
「エスカルゴ、そろそろ落ち着きなさい」
「んぇ〜?」
「黙って見てれば…中々酷い酒癖ね…」
「えーりん…しぇんしぇ〜…?」
「ウドンゲのなら好きなだけ飲んでいいから、落ち着きなさい?」
「お、お師匠様!?」
「あぁー、れいしぇん来てたんだぁ〜!」
「…酔って無かったら話しかけてたんだけど…ここまで酷く酔うものとは思ってなかったわ…あはは…」
「飲んでいいの〜?」
「それで落ち着いてくれるなら…」
……頭がスッキリしてきた…。
キョロキョロ…
みんなの、俺を見る視線が痛い。
まさか…また酔っ払って…?
てかなんで鈴仙が目の前に?宴会に来てたのか?
「鈴仙…」
「なに?」
「どしたの?」
「え?」
「え?」
「あらまぁ…酔いが覚めたの?」
「あ…永琳先生。…そうみたいですね」
「残念ねぇ…ウドンゲの悶える姿、見てみたかったんだけど…」
「お、お師匠様!?何言ってるんですか!?」
「うふふっ、冗談よ」
「冗談になってないですよ〜…」
「エスカルゴ、もう大丈夫なの?」
「え?ああ、そうだね。アリスと霊夢の血飲んだらしいからそれのおかげかな」
「私の血、飲んでみたい?」
「…そうだな、飲んでみたいな」
「じゃあ…さ。今度デートする時…どう?」
「!!」
「外じゃなくて…永遠亭の中で過ごさない?」
「お、お家デート…?」
「そうなるかな…。ヤダ?」
「いやいや、そんな事ないよ!!寧ろ有難い!!」
「そう?なら良かった♪」
お家デートかァ…ふへへ…。
「あなたがエスカルゴ・スカーレットですね?」
「?」
「お取り込み中失礼します。酔いが覚めている今のうちに少しお話したいことがあります」
あれー…この人まさかー…。
「その前に、自己紹介がまだでしたね。私は四季映姫。地獄の閻魔です」
「!!」
「お話というのは他でもないです。まぁ説教です」
うわード直球に説教言うたこの人ー…。
「まずあなたは、何故二又をしているんですか?」
「えっ?」
「失礼…。何故三又をしてるんですか?」
「えと…誰も」
「言い訳無用!」
「………………」
まだ言い終えてない…。
「大体あなたは…」
数時間後
「少し話し過ぎましたね。では私は仕事に戻ります。今注意したこと、ゆめゆめ忘れることの無いように。さもないと、地獄に落とすようになってしまいます。良いですね?」
「…はい…」
「よろしい。では、行きますよ、小町」
「zzz…」
「小町!!寝てないで!行きますよ!」
「は、はいっ!」
「全くあなたは…………」
やっと…………終わった…………。
話長すぎて、「今注意したこと」がわかんねぇ…。
「酒癖悪すぎだ」は覚えてるのだが…。
「よっ……おっとっと……あたっ」
何時間も正座させられてたから、フラついて尻もちついてしまった。隣にいた鈴仙も巻き添え食って座らされていた。今は床に倒れて寝ている。…すまん。
過去には茶道を嗜んでたこともあり、正座への耐性は人一倍あるのだが…。
「…おはようございます。やっと終わったんですね」
咲夜さんだ。
「おはようございます…。え?なんでおはようなんです?」
「もう朝ですよ」
「ええ!?」
ホントだ。もう外は明るい。てことは一晩中…!?
「え、宴会は…?」
「霊夢が解散を宣言したのでお開きに」
「わお…」
「でも、どうしてもエスカルゴさんとお話したいという方が数名残ってまして。その方々も今は疲れて寝てしまってますが…。昨夜はここに泊まっていただきました」
「俺が説教されてるあいだも残って飲んでたと?」
「はい」
「すっげ…よく出来るな…」
「ですね…ふふっ」
「あっ、フランたちは!?」
「説教が始まった時点で逃げる様にベッドへ」
ありゃまぁ…。仕方ないね。
「咲夜さんは寝たんですか?」
「ええ。かなり長引くと思ったので少しだけ」
「ですよねー…」
「お疲れ様でした。ふふっ」
「笑わないで下さいよ〜、かなりキツかったんですから〜…」
「うふふっ、失礼しました」
「ったく…」
キョロキョロ…
あれ?永琳が居ない…。
まさか、鈴仙のこと置いてったのか…?
「ああ、永遠亭の皆さんはとっくに帰られましたよ」
「…あとで鈴仙のこと送ってきます」
「わかりました」
ガチャッ
「ん?」
「おはようございます。昨晩はありがとうございました。ふあぁぁ…」
「あら、さとりさん。おはようございます。お早いお目覚めですね」
「そろそろ説教も終わってる頃だと思いまして」
目が霞んでよく見えねぇけど…さとりさん?
心読む…あの?
「エスカルゴさん、初めまして。古明地さとりです」
未だ立てないで居る俺の目の前に来て丁寧に自己紹介してくれる。
「初めまして。エスカルゴ・スカーレットです」
何の用だろう…?
「『何の用だろう』…ですか?いえ、大した用では無いんです。初めましてのご挨拶だけです」
「な、なるほど…」
ご丁寧に…凄いなぁ。
「いえ、この程度の挨拶は普通だと思いますよ?」
「そ、そう…ですか?それだけのために一晩…」
「まぁ、ただの自己満足ですのでお気になさらず」
「は、はあ…」
「では、挨拶もできた事ですし、私はこの辺で」
「あ、はい…」
なんだ…もう帰るんか…。
「少し雑談したいとも思ったんですが、『待ちくたびれた』という方がそこにいるのでまたの機会に…」
「わ、わかりました。ではまた」
「ええ」
そう言ってさとりは帰って行った。
あ、俺と話したがってるのが誰だか聞きそびれた。
ガチャッ
「待ちくたびれたよぉ〜…」
「えっ?」
「おはよー」
「あっ…おはようルーミア…」
ルーミアだったのか…。
「あら、ルーミアさんも。お早いお目覚めですね」
「なんか目が覚めたー」
「そうでしたか」
「ねーねーエスカルゴー」
「ん?なんだ?」
「遊ぼー」
「あ、遊ぶ?」
「うん!外で!」
意外な申し出だった。
何故かルーミアには懐かれてるらしい。
遊んでやりたいのは山々だが…徹夜のお説教で俺の身体はボロボロだ。休みたい…。
「良いけど…少し休ませてくれないか…?」
「あー、お説教の後なんだっけ?」
「そうなんだよ…」
「じゃあ、部屋でまた寝てるよ。あとで起こして」
「わかった。すまない」
「大丈夫だよー。また後でね」
「ああ」
バタン…
「…何故ルーミアがエスカルゴさんに…?」
「わ、わからないですけど…。まぁ、遊んでほしいって言うなら遊んであげますよ、えへへっ」
「そうですね、それがいいですね」
「ええ。あ、ルーミアの部屋って何処ですか?」
「お嬢様のお部屋の隣です」
レミリアの部屋の隣の部屋?
なるほど、あそこか…。
「わかりました。…それじゃ、少し休んできます」
「はい」
「…フランたちが寝てるのって…」
「いつも通りエスカルゴさんの部屋ですね」
「ですよね…。今さら入る訳にも行かないな…。どこか空いてる部屋ありますか?」
「エスカルゴさんの部屋の隣が丁度空いてますよ」
「ありがとうございます。ではそこで休みます」
「わかりました」
あ…鈴仙…。
「よい…しょっと」
鈴仙をお姫様抱っこする。
「どうするんですか?」
「このままにする訳にもいかないですし…同じベッドで寝ます。ほかの部屋に運ぶほどの余力も無いですし」
「そうですか。わかりました」
「おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
朝なのにおやすみとはおかしな感じがするな。
ルーミアには悪いが…少しは寝ないとダメだ。
「ん?」
俺の部屋の前にルーミアがいる。
「どうしたー?」
「あっ、エスカルゴだー!もう休んだの?」
「いやいやいやいや。これから休むとこ。それより、なんでルーミアはそんなとこに?」
「んー、エスカルゴの匂いするからなんとなく来てみた」
「お前は犬か!」
思わずツッコンでしまった。
「多分」
「マジか」
「冗談」
「だよな…あはは…」
「うん」
「…じゃ…俺たちここで寝るから。後で起こしに行くよ」
「たち?その兎と一緒に寝るの?」
「ん?ああ、そうだよ」
「私も一緒に寝る!」
「えっ」
「そうすればすぐ起こせるでしょ?」
「そう…だけど…」
「私が起きたら起こしてあげる!」
「おお……?」
「だから一緒に寝よっ!」
あー…ここでこんな話してても体力が無くなるだけだな…。
「わかった」
「やった!」
ガチャッ
そう言うなり俺の部屋を開ける。
「お、おいルーミア、そこじゃない!今寝るのは隣!隣の部屋だ!」
「わかったー」
バタンッ
ふぅ…。フランたちの睡眠の邪魔をする所だった。
「ここ?」
「うん、そこ」
「はーい」
ガチャッ
「いっちばーん!」
声を上げながら部屋に飛び込むルーミア。
子供っぽいなぁ…。
「ははは…」
「早く寝よ!」
俺が部屋に入ったときには既にベッドに入っていた。
「早いな」
「早く寝たいんだもん♪」
「そうなの?」
「早く寝て、早く起きれば早く遊べるでしょ?」
そういう思考か。
「そ、そうだな。よいしょっと」
鈴仙をベッドに下ろす。
「ねっ、この兎食べていいの?」
…ナニイッテンノ?
「ダメに決まってるだろう」
「ふーん…ま、いいや!」
「ホッ…」
「おやすみー!」
「ほい、おやすみ」
既に眠っているルーミア。早くね?
「んじゃ俺も…寝よっと…」
鈴仙と自分に毛布をかけて、俺も寝る。
意外な組み合わせだなぁ…。
鈴仙は兎も角…ルーミアとも同じベッドで寝ることになるとは…人生とはわからないものだ…。
まぁ、早く遊びたいからなんだろうが…。
そんなことを考えながら眠りについた。
異変後といえば宴会!多分!
説教嫌い…。
ちなみに、ずっと正座してても、足が痛くなるだけで痺れはしません。
自身が雷を使役する者…つまり、電気にも強く、痺れにも強いんですね。羨ましい…(Φ皿Φ)