完全憑依、4日目。俺はこの日遊びに行くのを、妖怪の山にある守矢神社に決めた。ここだったら早苗と文の両方とすぐに会えそうだからである。
そして、読み通り…とはいかなかったが、神社に行くと、文と穹も神社を訪れていた。
文「あやややや、これはこれはエスカルゴさん!今日は山で完全憑依ですか?」
カルゴ「うん。文も来ると思ってたよ」
文「ふっふっふ、こんなニュースを逃す手はないですよね!というワケで、今日はこの守矢神社に取材に来てみたのですよ!」
カルゴ「やっぱ取材目当てね…。あぁ、そうだ。早苗、諏訪子様は?」
早苗「諏訪子様でしたら…」
その時、勢いよく襖が開いて、丁度噂をしていたロリ神様がカエルの様に飛び出してきた。
諏訪子「やっと来た〜!!」
勿論、両手を広げてである。
避けてしまうと顔面から地面に激突しそうな体勢なので、仕方なくそのまま受け止める事にした。
カルゴ「ゔぐっ……」
あまりの勢いにフラつくが、ギリギリ耐える。
全く、神だからと言って傍若無人すぎる。早苗や文、穹も見ているというのに。まぁ、マミさんの前でキスしてしまった俺はそんな事言えないか。
諏訪子「ちょっとちょっとぉ!何ですぐこっちに来てくれなかったのぉ?」
カルゴ「えーと…手近な所から行こうと思って。話をしたのは博麗神社だから、先に博麗神社で、次に近いのが地底、竹林かなぁと思って」
諏訪子「でも紅魔館の方が近いじゃん」
カルゴ「竹林から見たら紅魔館の方が若干遠い…ように見えたからね。…本命はラストにね」
諏訪子「待て今なんて何て言った?」
ギロッと睨みつけ、失言について追求してくる。
文は「お、修羅場ですねぇ!」と言わんばかりにカメラをこちらに向けるし、早苗は早苗でかなりニヤけている上に、室内からこちらをチラ見中の神奈子様も、苦笑いしているばかりだ。
カルゴ「アハハー…何デモナイデス〜」
諏訪子「……まーいーや、遊んでくれるんなら。さ、私に憑依して!早苗と戦おっ!」
抱きついていた手を離し、華麗な着地を披露してくれる。しかし、当の早苗は目を丸くする。
早苗「えぇ!?まだ練習してないですよ!」
諏訪子「昨日からずっと憑依してるんだからもう慣れてるでしょ?戦闘訓練はまだだけど。どーせその場のノリと勢いでどーにかなるんだし」
カルゴ「樹里愛と完全憑依してるのか」
樹里愛「せーかーい!!さすがパパだねっ!私がスレイブだよっ!」
突然、ちびっ子ポニテ早苗が現れた。どうやら、この母娘2人で完全憑依しているのは間違いないらしい。昨日からとは、恐ろしい…どれだけ長い時間憑依をしているのだろうか。これは、確実に夢の世界の住人が抜け出しているだろう。
諏訪子「…ね!早く戦おっ!」
カルゴ「はいはい。それじゃ俺がスレイブね」
こうして、神奈子様が縁側で見物しながら、俺&諏訪子様vs早苗&樹里愛の戦いが始まった。
…が、やはり完全憑依には相性があるのか、いざ戦闘となるとあまり力を発揮できない様子だ。
俺たちではなく、早苗たちが、だ。
早苗「うーん、なんだか疲れやすいですねぇ…。何でしょう、これは…」
諏訪子「切り替えすぎ、もしくは樹里愛ちゃんがバテてるのかもしれないね〜…っと!!」
早苗の投げる御札を鉄の輪で相殺して、ケロ帽を投げて攻撃したりと、中々トリッキーな戦い方を見せる諏訪子様。
そして、早くもトドメの時が来た。
諏訪子「エスカルゴ、ちょっとだけ力貸してね!
…いっくよー…雷神符『ミシャサンダー』!!」
早苗「うわわわっ…交差する弾幕に電力弾…!!ちょっ、キツすぎますよぉ!…たぁっ!」
避けられる弾幕は避け、素早くて避けにくい弾幕は、霊力で強化した大幣で叩いて掻き消す。この技術は娘から学んだと言っていた。
そして、何か考えがあるのか、マスターの早苗はスレイブの樹里愛に切り替える。
樹里愛「パパのより強い雷降らせちゃうからね!激雷『真・ゲリラ雷雨』!!」
樹里愛は能力を発動させた。彼女の能力は《天候を操る程度の能力》だ。雷雲を発生させて、雷を落とすなんてことは朝飯前なのだ。それも、風や雷の強さ、雨量などは自然で起こりうる範囲なら自由自在である。戦闘にこの能力を生かすとは。守矢神社の上空にはドス黒い雲が現れて、今にも雨が降り出しそうな天気になってしまった。
諏訪子「ゲゲッ!雷だって、お願い!」
カルゴ「あいよっ!さぁ来いっ!!」
樹里愛「…落ちろぉっ!!」
頭に雷が落ちるが、神の雷をも喰らってきた俺はこれを余裕で耐える。自然の雷は人にも妖怪にも害を与えるので、俺は自然より強い雷を操れるが普段は手加減をしているのだ。
やはり、依姫が使った火雷神や、建御雷の方が、圧倒的に強い雷を使役する。
樹里愛「うそっ、気絶しない…!?」
カルゴ「…樹里愛は殆ど戦闘訓練してないから、俺の耐えうる電力を知らないんだよな。…よーく覚えとけよ樹里愛…。俺は不導体をも突破する。催眠『惑星麻酔』」
ポケットに手を入れたまま、足から強力な電気を流し、樹里愛の足を痺れさせ、尻餅をつかせる。
カルゴ「さぁ、動けなくなったから俺の勝ちだ。どうだ樹里愛、パパは強いだろう?」
樹里愛「まさか…動きを封じるなんて…」
カルゴ「気絶や被弾だけが勝負じゃないのさ」
樹里愛「…少しずつ訓練しよ…ママと上海達と」
カルゴ「それがいい」
神の子を教えるのは、神だけでいい。俺は下手に関わらない方が樹里愛の成長のためだろう。
諏訪子「えっへへ〜、勝っちゃったね♪」
カルゴ「うん。次は…文か穹、俺か早苗か諏訪子と組んで勝負しようぜ」
文「あとで取材に応じて下さるならば!」
穹「参加します!」
諏訪子「じゃー私は休憩するね〜。早苗のこと、厳しく指導してやってね〜」
カルゴ「もちろん」
早苗「諏訪子様!? エスカルゴさん!?」
結局は、力関係から考えて、俺と穹、早苗と文が組むことになり、神社の上空にて衝突した。
カルゴ「ははっ、なんだか身体が軽いぞっ!穹が憑依してるからかァ!?」
早苗「奇遇ですねぇっ!私も、身体が軽いです…よっ!はぁぁっ!」
横並びに御札を投げる早苗。本当なら正面突破をしたいが、御札の間は狭く、それが叶わない。
くぐり、迂回し、早苗との距離を詰める。
カルゴ「雷鎧『サンダー……」
早苗「まずいっ!」
文「あやややっ、このタイミングで!?」
カルゴ「ッ!!」
トゲトゲが生える攻撃バージョンを発動させようと思ったのだが、危機を察知した早苗は素早さが桁外れの文に切り替わり、難を逃れる。
そばに居ないので俺は鎧を解除して穹に変わる。
穹「ふっふっふっ…私の速さに適うものは、この幻想郷に居ませんよっ!」
シュバババッと猛スピードで空を翔ける穹。文も娘の姿を見失ってしまい、キョロキョロと辺りを見回している。
穹「父上、今ですっ!」
カルゴ「ああ!雷極『夢想封印・迅雷』!!」
文「まさかの下ですか…!んぎゃあああああ!」
下からの奇襲に対応しかねた文は被弾し、危うく気絶寸前にまでなってしまう。フラフラと境内に降りた文は、完全憑依を解除し、神とは反対側の縁側に腰を下ろす。
文「まったく、容赦が無さすぎですよ〜…。結構痛かったですよ?」
カルゴ「ははっ、悪い悪い。それにしても、憑依してきた方の特性も多少は受け継げるらしいな。これは初めて知った。力だけかと思ってたよ」
文「ふーむ…まだまだ知らないことも多そうで、調べがいがありますね♪ 組み合わせを変えてもう少し戦ってみましょうっ!」
カルゴ「そうだな!」
結局この日も、大して自身の身体を休ませる事は出来ず、5人でローテーションをしながら、沢山戦いまくった。
明日は、1番のヤマである紅魔館だ。
今日よりもずっとずっと忙しくなりそうである。
次回をお楽しみに〜!
守矢組意外と書きにくいぞ…何故だ…!