※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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残りの7人は何処にいる

───7人目───

 

妖舞、樹里愛、文、穹、霊愛、霊麗の6人を無事夢の世界へと送り返した俺は、寺子屋へ向かう。そこにはどうやら、夢の世界の俺が居るらしい。面倒なのでさっさと片付ける事にしよう。

 

 

 

 

 

その頃、夢の世界の“俺”は、寺子屋の天井にぶら下がって、娘を背後からじっと見守っていた。

 

夢カルゴ(はうぁぁぁ〜〜〜……可愛いぜ巫月…流石俺の娘だよぉ〜…。てゆーか慧音ぇ…もっと何かしらの反応見せてくれても良いじゃないか…動じなさには感心するけどさ…)

 

“俺”が居ることに対して、ではない。寺子屋に、巫月が2人(・・)居ることに対して、である。

 

慧音「え…えーと…じゃあこの問題は…巫月」

 

巫月達「y=11X³+4X²-5X-14!」

 

慧音「うん…正解だ…」

 

夢カルゴ(…思ったよりテンパってるかな?)

 

今朝、巫月は寺子屋前で夢の世界の自分と対面。その際に、「一緒に寺子屋に行こう」という話でまとまり、現在に至る。“俺”はその様子をそばで見ていた。肝っ玉座ってるなと感心したものだ。

…などと回想していると、膨大な妖気がこちらに向かってきていることに気が付いた。

 

夢カルゴ(この妖気…現の“俺”が来たな?クソ、もう少しで授業が終わるってのに!仕方ねぇな、頃合いを見てまたここに来るか。……何にせよ、蝙蝠の姿で良かった。これなら、妖気が漏れ出る範囲が吸血鬼の身体より狭いから、敏感な奴にも探知されにくいんだ…)

 

慧音(ん…?エスカルゴの妖気が遠のく……と、思ったら近付いてきた?やはり、最後まで授業を見ていくつもりなのか?親バカなヤツめ…)

 

 

 

 

 

カルゴ「んなっ………マジかよ…!?」

 

寺子屋の近くまで来た俺は、上空から寺子屋内を覗いた。すると驚くべき光景が目に入った。

なんと、寺子屋には巫月が2人居たのだ。だが、夢の世界の自分の妖気は感じられない。とっくにこの場から離れてしまったらしい。

…それはともかく、巫月をどうにかしなければ。

授業を妨害したくないので、スキマを使って巫月をそばに寄せるやり方はいけない。どちらが夢の巫月なのかまだ不明だから、という理由もある。

何にせよ、待つ他あるまい。

 

数分後

 

一同「さよーならー!」

 

慧音「さよなら。気を付けて帰るんだぞ」

 

寺子屋が終わり、生徒は帰路につく。これからはお遊びの時間である。巫月にとっては、診療所の手伝いや特訓の時間だ。

 

巫月「鈴仙に会わせたいから一緒に帰ろ!」

 

夢巫月「ごめんね…“お迎え”が来ちゃったから、そろそろ帰らなきゃいけないの…」

 

巫月「え〜…」

 

どうやら、とっくに俺の存在には気付いていて、尚且つ“迎え”に来たのだとわかっているらしい。流石は俺の娘、頭の回転が早い。

そんな娘たちの会話を聞いた俺は、慧音が黒板を消している後ろで変身を解いて、吸血鬼の身体で2人の前に現れる。

 

カルゴ「“迎え”に来たぜ、夢の世界の巫月よ」

 

夢巫月「…知ってる」

 

素直に、しかし少しだけ悲しげに微笑んだ。漸く現の世界に来ても、迎えが来たのでは意味無い。だが帰らなくてはいけない。この表情は、そんな思いからくるものだろう。

 

巫月「ねぇエスカルゴ〜、鈴仙に夢の世界の私を会わせたいからもう少しだけ一緒に居ちゃダメ?どうしても今すぐ帰らなきゃダメなの?」

 

カルゴ「そうだな…巫月には悪いがそうなるよ。夢の世界の巫月は、わかってくれてるよな?」

 

夢「…うん。でも、現の世界でやりたいことが、1つだけあるの……」

 

カルゴ「ん?…すぐに出来そうなら構わないぞ。なんでも言ってくれ」

 

帰るのが寂しいからか、どうにも覇気がない。

しかし素直に応じてくれるのなら、どんな願いも聞いてやろうと本当に思う。さっき霊愛たちには「お前らは夢の世界の俺の娘であり、現の世界の俺の娘では無い」のような事を言ったが、やはり俺の娘だ。もし現の娘が居なければ夢の娘だって存在しえないのだから。

 

夢巫月「あの…怒らない?」

 

カルゴ「怒られるようなことをしたいのか?」

 

夢巫月「ん…」

 

小さい声で返事をしながらも小さく頷いた巫月。怒られるようなこととは、一体何かのだろうか。

 

カルゴ「…とりあえず言って?話はそれからだ」

 

夢巫月「うん……。あのね、私……エスカルゴと鈴仙がいつもやってるチューをしたいの…」

 

カルゴ「俺と鈴仙がやってるやつを?…俺と?」

 

夢巫月「うん…エスカルゴと…」

 

カルゴ「!?」

 

いやいや〜…父娘でディープキスはまずいよ…。

ファザコンは嬉しいが、ここまで来るとガチ恋になるかもしれないぞ?デレデレで嬉しいけどさ。でもなぁ……他の誰かに巫月の初めてのディープキスを渡したくないっていうかなんて言うか…。つーか待て、倫理的にマズイ…道徳的にマズイ!これ以上は進んじゃダメだ……でもでもでも…!

 

カルゴ「…ここじゃダメだ。寺子屋出るぞ」ボソッ

 

夢巫月「うんっ!」ボソッ

 

巫月「良かったね!慧音先生さよならー!」

 

慧音「気を付けてな。……よし、私も帰るかな」

 

現の俺と巫月と夢の巫月が離れた頃…少し離れたところに身を隠していた“俺”が、動きだした。

 

 

 

 

 

夢カルゴ「やぁ、慧音」

 

慧音「うん?帰ったんじゃなかったのか?」

 

夢カルゴ「あー…うん。そーなんだけどさ、少し用事があったんだよね」

 

慧音が帰ろうとした矢先に、吸血鬼の姿で自然に寺子屋に入ってきた“俺”。しかし、先程の会話を聞いていた慧音は、それを多少不審に思う。

 

慧音「巫月の忘れ物か?」

 

夢カルゴ「うんにゃ、巫月関連じゃなくってさ。慧音に用事があるんだよ」

 

慧音「私に?一体何の用だ?」

 

黒板を背に、入口の“俺”と向き合っている慧音。

“俺”はその状況を見逃さなかった。喋りながらも慧音に接近し、その結果、何の用だと訊ねられる頃には、2人の距離は1mを切っていた。

 

夢カルゴ「何の用?そんなの決まってんだろ?」

 

慧音「?」

 

バァンッ!と大きな音を響かせて壁ドンをする。当然ながら、壁ドン未経験の慧音はテンパる。

 

慧音「ちょっ……」

 

夢カルゴ「君が欲しいのさ」

 

慧音「…ッ!?おいっ、いきなり何だ!?冗談にしてはタチが悪いぞ!」

 

顎クイをすると、流石におかしいと思ったらしい慧音は手を払い除けるが、逃げようとはしない。

 

夢カルゴ「殺生だな…俺がこんな冗談を言うか?本気で…そう思ってるのか?」

 

慧音「う…ぁ…………お、思わない…かな…?」

 

夢カルゴ「…先日、妹紅から少し話を聞いてさ。慧音が里の寺子屋で人間相手に教鞭を執ってた事とか。今の、妖怪に寛容な里があるのは、慧音の努力あってこそなんじゃねぇのかなって思って…なんか、礼が言いたくなって。…ありがとうな」

 

慧音「そんな…私の行いなど微々たるものだ…。というか、私が欲しいって…?」

 

夢カルゴ「あぁ…“俺”さ、潜在意識の中じゃあ、博識な慧音と色んな話をしたいって思ってんだ。でも、“俺”もそんな素直じゃねぇから、こんな形でしか言えなかったんだ。…驚いたよな、悪い」

 

軽く謝罪して、壁ドンをやめる“俺”。黒板には、薄いヒビが蜘蛛の巣状に広がっている。

 

慧音「あ、あぁ…私の方こそ、焦るあまり……。

……なぁ、エスカルゴ…」

 

夢カルゴ「うん?」

 

慧音「…今だからこそ言えるが…お前は危うい。危うい存在だ。いつか実の娘に手を出しかねん」

 

夢カルゴ「………(汗)」

 

慧音「だから…私がこの身を差し出す代わりに…どうか巫月から手を引いてくれまいか?」

 

そう言って、チラリと胸元を開ける慧音。

豊満な胸がしっかりと上から覗ける。

 

夢カルゴ「な…なんで慧音がそこまでするんだ?

(うわっ…思ってたよりずっとデケェ…!)」

 

慧音「巫月はお前の娘だが、私の生徒でもある。自分の生徒が間違った道へ進むのは見たくない。いくら相思相愛とはいえ、父娘の関係で越えてはいけないラインがある。父親であるエスカルゴは今、その境界に立っているんだよ」

 

夢カルゴ「…で、自分を差し出し、そのラインを越えさせないようにする…ってか」

 

慧音「そうだ。別にそれだけではないが、それが主な理由だ。…………あっ」

 

言わなくてもいい事を言ってしまったと気付いたのか、口を押さえて顔を赤らめる慧音。

 

夢カルゴ「他の理由は?」

 

慧音「……言わなきゃダメか?」

 

夢カルゴ「そうだね」

 

慧音「〜〜〜〜〜〜……!!」

 

顔を真っ赤にし、床をじっと見つめる。肩がプルプルと震えている。何を言うつもりなのだろう。すると、キッと顔を上げ、大きく息を吸う。

 

慧音「お前のことが好きだったんだよ!!親バカだが意外と教育熱心で変に真面目な所が特にな!

…ずっと前からなんかじゃなくて、割と最近の事なんだよ…お前に対してこんな事を考える自分に気付いたのは…」

 

夢カルゴ「なぬっ………って、過去形?」

 

慧音「現在完了形だ馬鹿!」

 

夢カルゴ「…そっか…慧音も俺なんかの事を…。でもいいのか?自他共に認める女たらしだぞ?」

 

慧音「フン…そんな事はどうでもいい。巫月とはこれ以上進まないことだな。そうすれば、こんな身体で良ければ自由に使わせてやるから…な?」

 

夢カルゴ「『こんな身体』なんて言うな…。十分魅力的だよ、慧音…」

 

慧音「んっ……////(何だ、この感じ…段々と身体がアツくなってくる様な…。キス…なるほどな、確かにこれはハマりそうだな、巫月よ……)」

 

夢カルゴ(放課後の学校で教師と……クククッ、現の俺には勿体ねぇシチュだぜ…!この様子なら最後までできそうだ…。それにしても…慧音か…嫌われてると思ってただけに、嬉しいものだな。こんな気持ちは、レミリア以来だぜ…)

 

 

 

 

 

───8人目───

 

カルゴ「…?」

 

巫月「あれ?寺子屋の方からエスカルゴの妖気?もしかして夢の世界の…?」

 

竹林の中で、夢の世界の巫月と軽いディープキスを済ませた俺は、また紫さんを呼んで彼女を元の世界へ連れていってもらった。

キスだけで済んで本当に良かった。

 

カルゴ「巫月は永遠亭に行ってな。危ないから」

 

巫月「わかった。…ねぇ、今度は私ともアレしてくれる?さっきの…特別なチュー…」

 

カルゴ「…考えておく」

 

巫月を軽く遇って、俺は寺子屋に向かう。かなり遅く、遠回りになってしまったが、早く行かねばなるまい。現の俺すら暴走しがちだというのに、夢の俺なんてヤバすぎる。そこで俺は、スキマを開いた。もう、飛んでいる時間はない。

 

 

 

カルゴ「……ッ!?」

 

寺子屋に着いた俺は、驚くべき光景を目にした。

黒板の前で、慧音と“俺”がキスをしていたのだ。

 

夢カルゴ「なっ…!?」

 

慧音「ふにゃ……はれぇ?2人…?」

 

慧音の方はすっかり蕩けてしまっていて、言葉もアヤフヤで、目が虚ろになっている。この状況を見るに、“俺”が無理に襲った訳では無さそうだ。

それに、俺が現れた時に慧音が喋ったので、催眠というわけでも無い。…合意らしい。

 

夢カルゴ「チィッ…飛んで来ねぇのかよ!!」

 

慧音「あいつも…お前も…エスカルゴ…?」

 

夢カルゴ「俺は、夢の世界のエスカルゴ。本物は今来た方さ」

 

慧音「夢…今私は眠っているのか?…そうだな、そうじゃなきゃエスカルゴに想いが通じるはずが無いしな…」

 

夢カルゴ「違う、そうじゃない…。詳しいことは後で本物に聞いてくれ。…クソッ、良いところで邪魔してくれやがって!!覚えてろよ!!」

 

捨て台詞を残した“俺”は、スキマを開いて、木が生えているどこかへ向かった。赤い布がチラリと見えたので、博麗神社に違いない。

今すぐ後を追いたいが…慧音を放っておけない。

 

カルゴ「大丈夫…か?」

 

慧音「私は大丈夫…。あの、エスカルゴ…お前が本物…なのか?」

 

カルゴ「そうだよ。さっきのは夢の世界の俺だ。言わば…裏世界の俺みたいな感じかな?」

 

慧音「そうなのか…」

 

寺子屋内に、重苦しい空気が流れる。早く、この空気をなんとかしなければ。やはり緊張が苦手な俺は、それを解そうと口を開くことにした。

 

カルゴ「あの…キスしてたみたいだが…えっと…もし襲ったんなら謝るよ…。どんな事をしてでも償うから…」

 

慧音「いや、良い…全ては合意だからな…。私はお前の事を想ってるから…拒みはしなかった…」

 

カルゴ「け、慧音…」

 

マジか、慧音も…?いやいや、むしろ嫌われてる方だと思うんだが…何をどう考えてそうなった?

…まぁその話はまた後だな。とりあえずは今だ。

 

カルゴ「ごめん慧音、この話はまた後にしよう。アイツを捕まえなきゃ、大変な事になるんだ」

 

慧音「わかった…待ってるぞ…。あとで私の家に来てくれないか?」

 

カルゴ「…OKだ。それじゃまた後で」

 

慧音「ああ…」

 

 

 

 

 

───9人目───

 

巫月「ただい……わっ、鈴仙が2人!?」

 

鈴仙「あっ、巫月おかえり!こいつ、前みたいに私に成りすまして暴れるつもりなの、エスカルゴ来るまで気絶させて!」

 

夢鈴仙「大丈夫よ、もう暴れたりしないから…。現のエスカルゴともエッチしたいなぁ〜、なんて思ってるだけなんだからさ」

 

私が家に帰ると、永遠亭には鈴仙が2人居て…。何だか、喧嘩をしているみたいだった。殴り合いとかじゃなくて、単なる口喧嘩だけど。

 

鈴仙「それが問題あるって言ってんのよ!!」

 

夢鈴仙「うるさいなぁ、彼女である私が彼であるエスカルゴとヤろうと、何の問題も無いでしょ?あなたこそいつもエスカルゴとヤってるじゃん」

 

鈴仙「あなたは夢の世界の私、あなたが狙ってるのは現のエスカルゴ!絶対に会わせないから!」

 

夢鈴仙「あーはいはい、だったらさっさとあなた倒してエスカルゴのところ向かいますねーっと。

『幻朧月……」

 

巫月「狂砲『愛嬌有砲(ラブリーキャノン)』!!」

 

夢鈴仙「ふぎゃああぁぁぁあっ!!」

 

電気を混ぜたレーザーを発射して、夢の鈴仙を、永遠亭の壁に叩きつける。ゴスッと嫌な重い音が響いて、気付いたら夢の鈴仙は床で倒れていた。

 

鈴仙「ありがと巫月…」

 

巫月「…夢の鈴仙は随分とオープンすぎるね…。

夢の世界の住人は、エスカルゴが引き渡さないとダメらしいから、来るまで縛っとくね」

 

鈴仙「そ、そうね…」

 

エスカルゴは、ちゃんと捕まえられたのかな。

これ以上、被害が拡大しなきゃ良いんだけど…。




今回の成果…夢の世界の巫月

どうやら慧音は、真面目と不真面目のギャップにヤられたようですね。ギャップ萌えなのかー…。
真面目な者ほどチョロく、オチやすい。

9人目までは出た。残りの4人は誰でしょうな?
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