※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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最後の2人と予言

背後にある紅魔館で、大きな爆発が起こった。

振り向くと、真紅の館の後方から、灰色の噴煙が立ち上っているのが見えた。火気による爆発などではないらしく、何かが焦げた臭いはしない。

よって、スペルによる破壊現象だと結論付けた。

スキマを開いた俺は、現場に急行する。

 

カルゴ「どうした!?」

 

咲夜「あぁ、エスカルゴさん!」

 

美鈴「おぉー、良いところに救世主が!!」

 

煙の根元へ行くと、腕にある切り傷から赤い血を流す咲夜さんと、打撲傷が多数ある美鈴が居た。その先には、見覚えのある大きなシルエットが、2つ空中に浮かんでいた。非常時でも変わらない態度の美鈴には、目を瞑ろう。

 

カルゴ「咲夜さん、何があったんですか?」

 

咲夜「お嬢様方が午後のティータイムを楽しんでいたら、突然空からお嬢様と弦月姫が!お嬢様と妹様が応戦したのですが、壁に叩きつけられて…気絶してしまわれました…!今日は具合が悪いと仰っていたので、そのせいもあるのかも…」

 

そこまで言うと、下唇を噛んで俯いた咲夜さん。

ふと背後を見ると、瓦礫の陰で倒れ込むフランとレミリアが居た。爆発のせいか、砂埃が酷い。

 

カルゴ「チッ…夢の世界の2人か…。弦月姫は、今どこで何を?」

 

咲夜「パチュリー様の警護に向かわせました」

 

カルゴ「オッケーです…なら俺らは、あの2人を倒しましょう」

 

めーさく「はいっ!」

 

俺たち3人が結束を固めた頃、上空の2人はある動きを見せた。大きな翼で羽ばたき煙を晴らす。シルエットではなく直視できるようになったが、やはりレミリアと弦月姫だ。最後の夢の2人は、レミリアと弦月姫らしい。

 

カルゴ「レミリア、弦月姫!なんでこんなことをするんだ!現と夢の違いはあれど自分の館だろ!ていうか迷惑だぞこんなの!」

 

夢レミィ「うふふっ、あなたを呼び出すためよ♪ねぇ、弦月姫ちゃん?」

 

夢弦月姫「ええ、お嬢様♪」

 

カルゴ「俺を呼び出すためだと?何の為に…?」

 

すると、レミリアはグングニルを消し、弦月姫はナイフをしまい、煙が晴れた地面へ降り立った。

 

夢レミィ「鈴仙に言われてない?私達夢の者も、あなたとエッチなことしてみたいの。夢のあなたとは違う、理性のあるエッチがね」

 

カルゴ「はぁ…?」

 

堂々としてとんでもない事を言うレミリア。これには思わず、咲夜さんも美鈴も目を丸くする。

俺自身、どういう事だかよくわからない。

 

夢レミィ「なんていうか…夢のあなたは乱暴で、色々と大変なのよね…。私たちが気絶した所で、休ませてくれないし。ねぇ?」

 

夢弦月姫「はい…」

 

カルゴ「うわぁ…」

 

………ん?なんでそこで弦月姫が頷いた???

 

カルゴ「待て弦月姫…お前……」

 

夢弦月姫「夢のお父様は、お姉様達も巻き込んで家族ぐるみのハーレムを築いてらっしゃいます。私もその中の1人ですよ♪」

 

カルゴ「うわぁ…。ハーレムに入れて、それで…まさかとは思うが…ヤッてねぇよな?」

 

夢弦月姫「子供とスるなんて日常茶飯事ですね。夢の私(わたし)は、現の私より経験も知識も豊富ですよ」

 

カルゴ「はああああああああああああ!??」

 

咲夜「んなっ…!?」

 

美鈴「わーお…」

 

あの野郎、本当に性欲の塊だな…。道徳も倫理もクソもねぇなあのクソ野郎は…!ぶん殴りてぇ!

…理性が欠如してるから、か。酷いものだな。

 

カルゴ「…兎に角お前達には、今から夢の世界へ帰ってもらう。俺がヤるのは現の彼女、嫁だけと決めているんだよ。娘とはヤらん!……多分」

 

咲夜「へ?」

 

カルゴ「ゲフンゲフン。冗談です。さぁ、迎えを呼ぶから、大人しく帰ってくれ」

 

一旦は構えを解き、戦う気が無いことをアピールする。平和に済むのならそれが一番である。が、レミリアは再び槍を、弦月姫はナイフを構えて、こう大声で叫ぶ。

 

夢レミィ「イヤよ!あなたとエッチするまでは、絶対に帰らないわ!」

 

夢弦月姫「そうです!現のお父様なら、優しくて気持ちのいいセックスをしてくれるはずです!」

 

2人の叫ぶ内容に、ウブな美鈴と咲夜さんは2人とも顔を赤くしてタジタジになってしまう。こうなってしまったらもうまともに動けないだろう。

 

カルゴ「モロに言うな、弦月姫も!聞いてる俺の方が恥ずかしくなってくるわ!」

 

夢レミィ「…なら良いわ。戦いましょう。戦って私達が勝ったら、弦月姫ちゃん共々相手してね。そっちが勝ったら大人しく帰ってあげるわ」

 

カルゴ「ちっ…結局こうなるのかよ!よっしゃ、かかってこいやレミリア、弦月姫!!お前らは夢だから、遠慮無くぶちのめしてやる!!」

 

夢レミィ「ふふっ、そうよ、そうこなくっちゃ♪

紅武器『グングニルテイン』!!」

 

槍を持っていない方の手に、ゴゥゴゥと燃え滾るレーヴァテインを出し、真紅に輝くグングニルと合わせるレミリア。このスペルは見覚えがある。

 

カルゴ「おい、なんでそのスペル使えんだ!?」

 

夢レミィ「今の私にはフランが憑依しているの。夢の世界では未だに完全憑依は継続中。八雲紫(あの女)はこれ以上こちら側に干渉しないでしょうし、まだまだこれで楽しめそうよ♪」

 

カルゴ「くっ…弦月姫には誰が憑いてるんだ?」

 

夢弦月姫「私はしてません。私1人だけですよ。植物さんの力を借りれば、十分に戦えますから」

 

すると、地面に手のひらをかざした弦月姫。そのモーションは、植物を成長させ、弾幕を発射する時のものに間違いない。

そして思った通り、メコッと地面を突破して草や花などが勢いよく伸びてきた。それらはあっという間に俺たちの背丈を越えて、目測5mほどから見下ろされる形になってしまった。

 

咲夜「囲まれたっ…」

 

美鈴「はわわわ…成長早すぎですよぉ…!」

 

夢弦月姫「種符『エクストラマシンガン』!!」

 

ドドドドドッと空気を震わせるような大きな音を立てながら、拳大の種子を飛ばしてくる。成程、種の大きさまでも操れるようになったらしい。

あの幽香さんでも、ここまでは出来ないだろう。

 

カルゴ「フヌッ!ハァッ!」

 

俺は拳で、飛来する種を破壊し……

 

咲夜「中々早いじゃないの…!」

 

咲夜さんは時を止めて回避し……

 

美鈴「防備『クラッドアーマー』!!」

 

美鈴は数年前に開発した、気で作った透明な鎧で己の身を守るスペルを発動させる。

植物の種子は大変硬く、殴る度に拳の皮が捲れ、鮮やかな色をした血液が流れ始める。絶え間無く殴っているので傷が塞がる間もない。

 

カルゴ「霊符『四重結界』!!!」

 

持てる霊力の4分の1ほどを消費して、植物達と俺達の間を囲むように、直方体の、頑丈な結界を張る。おかげで俺達は、束の間ではあるが休息がとる事が出来た。しかしそれを見たレミリアは、より攻撃力が高い妹、フランに切り替わった。

 

夢フラン「よーっし!全力でやっちゃうよぉー!禁忌『フォービドゥンフルーツ』!!」

 

カルゴ「────ッ!?」

 

あまりの猛攻に、結界はバキバキと崩れかける。

クモの巣状に広がる…の域を遥かに超えている。

 

美鈴「エスカルゴさん!」

 

カルゴ「大丈夫だこの程度…!持ち堪えられる!時間まで耐えたら攻撃だ、準備整えててくれ!」

 

めーさく「はいっ!!」

 

夢フラン「あはっ、そんな結界、私が次の攻撃で壊してあげる!禁忌『レーヴァテイン』!!」

 

巨大な炎の剣を出し、大きく振りかぶって高度を下げるフラン。このまま斬られたら、間違いなく結界は砕け、今俺が立っているこの芝生は大炎上してしまうことだろう。なんとしても耐えねば。ヒビは大きいが何とか耐えようと霊力を燃やす。

 

夢フラン「えぇぇぇぇいっ!!!」

 

ヒビだらけの結界はバチバチと大きな音を立ててフランの攻撃を受け止める。弦月姫の種飛ばしも未だ継続しているが、しっかり狙いは定めているらしく、フランが被弾している様子は全くない。

 

カルゴ「ぐっ…ぬ……は…ぁ……!!」

 

夢フラン「むむむむむむ…!弦月姫ちゃん、次のスペルで結界(これ)壊そ!!」

 

夢弦月姫「はい!種符『大種の発芽締め』!!」

 

カル咲「ッ!?」

 

ドカンと大きな種を発射したかと思うと、それが結界前で発芽し、ギュルギュルと結界に巻き付き始めた。しかも、弦月姫の力加減によって、その力加減が変わるらしく、彼女が力めばその分だけ締まりも強くなるのがわかった。

 

カルゴ「うぐぐぐっ……!?」

 

咲夜「頑張って下さい!」

 

美鈴「もう少しで時間も終わりますよ!多分!」

 

カルゴ「やっ…べぇ……!!」

 

フランのレーヴァテインでの斬り付け、弦月姫のマシンガン的な攻撃を交ぜての締め付け。これによって、俺の結界と霊力は、限界を迎えていた。霊力が尽きれば結界も壊れ、俺と咲夜さんと美鈴諸共、このツルに締め付けられてしまう。

 

夢弦月姫「もう少しです、妹様!!」

 

夢フラン「オッケー弦月姫ちゃん!それじゃ私がトドメ刺すからね!」

 

夢弦月姫「はい、お願いします!!」

 

トドメ…一体彼女は何をするつもりなのだろう。

霊力を流し込みながらそんな疑問を抱く俺だが、そんな疑問はすぐに晴れてしまった。

 

夢フラン「禁忌『フォーオブアカインド』!!」

 

3人「────ッ!?」

 

マズイ。これは非常にマズイ。何がマズイって、この状況がマズイのだ。弦月姫の強い締め付け、連続種攻撃だけでキツいのにも関わらず分身だ。確実に本気で来ている。

 

夢フラン達「禁弾『スターボウブレイク』!!」

 

よりにもよって、滅茶苦茶密度が濃く、真っ直ぐ進むタイプのスペルを4枚同時発動するフラン。俺たちを囲んでいた結界に広がっていたヒビは、前方だけに飽き足らず、側面、上部、後方にまで広がりを見せており──────。

 

カルゴ「─────ごめん、2人共…」

 

霊力は完全に底を尽き、結界は砕け、俺と美鈴と咲夜さんは、弦月姫のツルに締め付けられ……。

 

咲夜「参り…ましたね……まさか弦月姫が………こんなに…強く……なってるなんて…………」

 

美鈴(ぐっ…足も腕も動かせない……!というかエスカルゴさん近い!近いですよおおおお!!)

 

カルゴ「っ………」

 

あまりに強い締め付けに、俺と咲夜さんは意識を刈り取られ…フラン、レミリア、弦月姫の3人に敗北してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「…ごめん弦月姫…」

 

弦月姫「大丈夫ですよお父様…。私ではなく夢の

世界の私なんですから……ね?(こんなにガッカリ

してしまうのであれば、私とお父様が“せっくす”

をするのは無理そうですね…)」

 

結局、負けてしまった俺は、夢の世界の弦月姫とフラン、レミリアと少しの間だけ身体を重ねて、3人を何とか満足させた。しかし、やはり自分の子供とヤるのは、罪悪感がものすごい。

現の弦月姫ではなかった事がせめてもの救いだ。

その間、咲夜さんはレミリアとフランの介抱を、美鈴は門番に戻っていた。

 

夢弦月姫「やはり現のお父様は優しかったです♪本当に、こちらに来て良かったです♪」

 

夢フラン「は〜、気持ち良かったぁ♡」

 

夢レミィ「そうねー…やっぱり現のエスカルゴの味を知ってしまうと、向こうには帰れないわ…」

 

カルゴ「おい、約束したじゃないか!」

 

夢レミィ「わかってるわよ、もう。あと、最後に1つだけ…現のエスカルゴに話があるのだけど。ちょっといいかしら?」

 

カルゴ「…用なら手短に頼む」

 

夢レミィ「ええ、わかってるわ。耳貸しなさい」

 

カルゴ「…?」

 

腰を落として、レミリアに目線を合わせて、耳を彼女に向ける。すると、温かい息がかかるような極めて近い距離で、ボソボソッと話し始めた。

 

夢レミィ「…今日は、現の私から話があるから…真面目に聞いて頂戴。それと…本人の言うことを尊重して。エスカルゴなら言わなくてもそうしてくれると思うけど、あくまで念の為ね。…もしも何も話を切り出さなかった場合には、『何か話があるんだろ?』みたいな感じで、あなたの方から話を切り出してくれると嬉しいわ。それだけで、事件はハッピーエンドに向かうから」

 

カルゴ「?随分と細かい指示なんだな。…それは予言なのか?」

 

夢レミィ「ええ。確実に起こる事よ。もしこれを行わなかった場合には、これでもかってくらいに残酷な運命があなたを待っているわ。それこそ、全てを破壊して自殺したくなるほどのね…。明日以降にそれを言ってもそうなるわ、必ず今日中に終わらせなさいね」

 

カルゴ「…わかったよ。今日中に現のレミリアと話をするよ。内容はその時まで秘密なんだろ?」

 

夢レミィ「それだけは、現の私に任せるべきことだからね。だけど…1%くらい、失敗する未来がチラリと見えたから忠告しただけ。たとえ現でも私は私…失敗する姿は見たくないのよ。…いい?全てはあなたにかかっているの。私の運命もね。だから……長くなってしまったけど…絶対に成功させて頂戴ね…」

 

カルゴ「…わかった。俺に任せろ」

 

夢レミィ「ふふっ…現のあなたに出会えて本当に良かったわ。さぁ、迎えを呼んで頂戴!きっと、夢のあなたは首を長くして私達を待ってるわ!」

 

カルゴ「あんまり酷い時には、ぶっ飛ばせよな?遠慮なんてしなくていいんだからよ。本音で会話してのカレカノだろう?」

 

夢レミィ「ええ、その通りね♪」

 

……その後、またもや紫さんを呼んで、フランとレミリア、弦月姫を夢の世界へと送り返し、俺の今日やるべき事は全て終わった……と思えたが、慧音の家へ行くという、大事な用事を思い出した俺は、翼を大きく広げ、橙色に染まる幻想郷へと飛び立った。

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