紅魔館を突破した私は、今度こそ山へ向かう。
妖怪の山の2ヶ所のうち、1ヶ所は火口で、もう1ヶ所は……守矢神社ではなく、文の仕事場。
何故こんな各地に妖気を残せているのか、私にはわからない。それぞれの場所で妖気を解放すればこうもなるけど…。もしそうなら、私たちはただお父さんの手の上で踊らされてるってことになると思うんだけど…お母さんはそこら辺どう考えているんだろう。
と、これからどうするかについて考えていると、私の前に1つ下の妹、穹が現れた。
穹「お〜っと、この先には行かせませんよ〜!」
霊愛「今からそっちに行こうとしてたんだよね、ナイスタイミングだよ」
穹「…聞いてます?この先には行かせません、と言ったのですが。さぁ、大人しくUターンして、霊夢さんとまた来て下さい。そうしたら、通してあげても良い…かもしれないですよ?」
霊愛「面倒臭いからイヤだね。邪魔するんなら、穹でも倒しちゃうよ」
穹「ふふん、良いでしょう!私の新しい能力で、姉上をも超えてみせますよ!」
霊愛「あ、新しい能力…?何よそれ、穹も弦月姫みたいに新しい力に目覚めたワケ?ズルい…」
穹「あ、いえ、そういうワケではなく…。先日、能力を成長させる事に、見事成功したんですよ。父上との訓練中。…まぁ、百聞は一見に如かずと言いますからね、戦いながら見せてあげますよ」
何だろ、この感じ…穹自体の妖力が高まってる?
妖怪としての格が上がった感じがする…。流石に妖怪の山で暮らしてるだけあって、この日常生活そのものが訓練なのかな。
穹の周りの奴も、ヤバい奴だらけだしね。
穹「私は逃げも隠れもしません!やりましょう、姉上!姉妹対決を!」
霊愛「さっさと終わらせるんだから!ハァッ!」
穹「えぇぇぇいっ!!」
互いに、互いの弾幕を避けながら放ち始める。
攻撃力も速さも、能力未使用時なら私の方が上。でも、穹がちょっとでも能力を使用すれば、その弾幕の速さはガラリと変わる。
穹「そろそろいきますよぉ!そぉれ、加速ぅ!」
霊愛「チッ…また急に…!」
能力を使用した途端、急に早くなるから目が全然追いつかない。穹もそれをよくわかってるから、能力のオン・オフを上手く使い分けてくる。目が慣れた頃に切り替えるから、尚更イヤらしい。
でも、この能力を操れるようになってから何年も経っているから、互いに手の内は知れてる。
だからこそ問題は、穹の言う「新しい能力」だ。成長させただけ、とは言っているけど、一体何をどう成長させたのか…それがまだわからない。
霊愛「いつもと同じことやってないで、そろそろその新しい能力っての使ってみれば?」
と、軽く挑発してみる。もちろん、これに対してあからさまな怒りを出すことは絶対に無い。
この程度の挑発で怒るのは
穹「ふっふっふ…私に言う前に、自分で何かしらのスペルを使ってみればどうですか?私がこれを使えば、即終了かもしれないのですからねぇ」
こういう風に、逆に挑発し返してくるのが穹だ。もちろん私も、これに対して怒ったりはしない。言ってる内容は少し腹立つけど、言い方が違う。もし妖舞がこんな事言ったら、すごくムカつく。実力が無いくせに吠えるとか有り得ない。弱い犬ほどよく吠えるってのは、よく言ったものだよ。アイツの顔がお父さんに似てるのが余計腹立つ。私たちのお父さんは、あんなに弱くないんだし。
霊愛「オッケー、私が先にやるよ!その代わり、負けても知らないんだからね!」
穹「フフン、それはどうでしょう?」
霊愛「霊符『夢想封印』!!」
私から溢れ出す霊力が、虹色の弾幕の形をとり、穹へと真っ直ぐに向かっていく。しかしそこで、穹はニッと笑う。
穹「『絶対の
スペルの発動を声高々に宣言するが、特に弾幕が発射される様子も無いし強化した感じでもない。そして次の瞬間、モロに被弾したのだが───。
霊愛「はぁ!?ちょっ、待って……」
私が発射したはずの夢想封印の弾幕は、穹に当たった分は全て私に向かって跳ね返ってきた。当の本人は余裕の笑みを浮かべている。
霊愛「チッ……。まさか、自分で自分のを避ける羽目になるとはね…!」
穹「ハーッハッハッハ!どうですかこの力は!!すごいでしょう!」
霊愛「何なのそれ、跳ね返ってくんの?穹って、
《加速させる程度の能力》じゃなかったの?」
穹「そう!しかし、その認識自体が間違っていたのです!沢山実験をしてやっと分かりましたが、私の能力は《加速を操る程度の能力》です!!」
霊愛「それ、跳ね返したことに関係あるの?」
穹「大アリですね!ですが、姉上は物理の勉強をしていないので、理解不能だと思います!」
霊愛「なんかムカつく…!」
穹「机を叩けば自分の手も痛むでしょう?これ、作用反作用の法則なんですよ。強く叩けばその分強い力で反動がくる。それが手の痛みです!ま、弾幕を返すのはこれとは少し違うんですけどね」
霊愛「つまり何よ」
穹「弾幕を放てば跳ね返されて、殴ればあなたの腕が折れます。私にはもう、手出し不可能です。
……さぁ、どうします?」
霊愛「……ってそれ、スペルカードルールに違反してんじゃん!お母さんの『夢想天生』みたいに制限時間付けなきゃダメじゃんそれ!!」
ハッと気付いたことを大声でぶちまけるが、穹の余裕の笑みは全く崩れない。逆に反論してきた。
穹「この私が、そんな下らないヘマをやらかすとでも?当然、制限時間は設けていますよ。3分」
霊愛「さっ……長っ!?」
穹「…ではそろそろ、私も反撃しますね。私とて時間が惜しいので。風符『圧縮砲』!!」
穹が手を私に向ける。次の瞬間、空気砲を撃った時のような風圧が私を襲う。でも、その威力は、空気砲よりもずっとずっと強い。
そんな、ブワッとした風圧を感じたと思ったら、その次の瞬間、空気の塊のような圧を感じ、遥か後方に吹き飛ばされる。
穹「それそれ、もっと撃ちますよー!」
霊愛「空気を撃つとかどんだけよ…!」
相殺しようにも、撃ってくるのは空気。つまり、こちらからの一方的な攻撃になる。ということはまた跳ね返されておしまいになる。でもこの技の弱点はもうわかった。穹が手を向けた方にしか、圧縮砲は放てない。
所詮は見掛け倒し。動けばなんとでもなる。
穹「おや…もう見抜かれてしまいましたか。流石次期博麗の巫女、鋭い勘ですね、姉上」
霊愛「一直線にしか来ないからね、思ったよりもわかりやすいし避けやすい!制限時間までなら、余裕で耐えられる!」
穹「なら次のスペルです。制限時間までは、残り1分半…ギリ、何とか間に合う感じですかね…。風雷『凝縮放電』!」
霊愛「っ!か、風が…」
突然、物凄い強風が吹き荒れ始めた。暴風の中で穹を見ると、空に手を掲げているのがわかった。その先を見ると、電気の塊のような、巨大な弾が形成されていた。お父さんの電気玉に似ている。
穹「空気…風…大気…。この手で、大気に流れる風の流れを掴み取り、一点に凝縮する………!!これによって、父上よりも強い電気…プラズマを生み出す事が出来る!!」
霊愛「お父さんより強い!?」
小規模でも死人出るレベルじゃないの、それ…。半妖の私ですら、何だか耐えられる気がしない。
喰らったらタダでは済まなそうなので、夢想封印をその電気の塊へ放っていく。すると、予想通りその弾は少しずつ形を崩し始めた。
穹「おやおや…弾を崩しに来ましたね…!なんて勘が良いんでしょうか、姉上は…。形成と破壊、どちらが早いでしょうね!」
霊愛「絶対完成させない!ハァァァッ!!」
穹「…ッ!?くっ……」
沢山、弾を当てていくと、バチバチと音を立てて輝いていたプラズマが爆発。何とか阻止できた。
穹「仕方ないですねぇ……。降参です」
霊愛「え?」
穹「もう制限時間が来ましたし、私の持つ全てのスペルを突破されましたし…まだこの能力を扱い慣れていませんし…それに、父上のように一瞬で思いついたりしませんから。(試運転としては上々ですかね?夢想封印も跳ね返せることが確定して安心です。あとで父上に報告せねば…)」
霊愛「そ、わかった。じゃ、通らせてもらうね」
穹「はい、ご自由に」
でも私は、ある違和感を覚えていた。再び妖気の探知をすると、2ヶ所あったはずの妖気の出口が1ヶ所しかなくなっていた。感じなくなったのは穹を倒してから。
もしかすると、良いように振り回されてるだけかもしれない。…今向かっている仕事場には、もう行かなくていい。妖気が消えたんなら用はない。
今から、最後の火口に行かなきゃいけない。
これが偽物なら、捜索はイチから見直すようだ。
能力発見の経緯
特訓中エスカルゴと穹は弾幕を撃ち合っていた。
穹は自分の弾を加速させ、何気なく、「えい!」という風に手を進行方向に向けた。すると自分の弾と共に、エスカルゴの弾がクルリと反対向きに進み初め、加速の向きを操れる事に気付く。
そのうち、実験を繰り返していくと、作用反作用などの力の向きも操れる事が判明した。
エスカルゴが再吸血鬼化するよりも結構前から、穹に物理を教える描写していたでしょう?
その頃からこうするのは予定してましたな。
穹に物理というのは、伏線だったわけです。
(伏線ってやつ…だよね?)
アクセラレータのあの能力は彼の演算能力などがあってこそ。そして穹(文)もまた、常人の何倍ものスピードで考えることができる。
加速を操る(操るには沢山意味が込められてる)ので、向き(ベクトル変換)も可能です。
ただし彼と違うのは、まだ力が未発達な事です。
まだ操れる範囲も狭い。とあるの世界で言うならレベル3か4程度でしょうね。
まだまだ、5には成り得ない。