ある秋の日の昼間。俺は、巫月を寺子屋、鈴仙を里の入口まで見送ったあと、永遠亭の縁側にて、日向ぼっこをしていた。てゐは、どこかへ遊びに行っているようなので、何の心配もない。最近は何かと疲れることが多いので久しぶりにゆっくりしたいと思っている。
カルゴ「ふわぁ……そろそろ寝ようかな……」
その場で昼寝に入ろうとする俺だが、そんな俺の平和を乱すように、ある人物が俺の背後に立つ。そして、俺がその存在に気付いていると知ってか知らずか、ガバッと抱きついてきた。
??「構えーエスカルゴー!あはははっ♪」
カルゴ「耳元でうるさいよ輝夜…」
キーンと耳鳴りがする。今回はチョップではなく叫ぶとは…普通に話しかけられないのだろうか。
輝夜「ねぇー、暇なんだけど〜」
カルゴ「知らん。暇なら寝れば良いだけでしょ」
輝夜「今起きたから寝れない〜」
そう言えば今日は初めて姿を見るな。生活リズムグチャグチャだけど、身体は大丈夫なのかな?
まぁ俺が心配することじゃないけど。
カルゴ「俺、これからやる事あるんだけど」
輝夜「どーせ昼寝でしょ?なら構ってよ」
カルゴ「えーと…授業見る」
輝夜「絶対今考えたでしょー、嘘だ嘘だー」
カルゴ「……」
子供かよこの人は!俺より圧倒的に年上なのに!精神年齢10歳かよ!
輝夜「じゃあさ、おつかい頼むから、それを全部こなしてくれたら好きな事していいわよ!日頃の鬱憤を晴らす為に私を殴ってもよし、格ゲー対決するもよし!あ、弾幕ごっこは疲れるから無し!現代版の、五つの難題ね!全クリできるかすごく楽しみだわ♪」
カルゴ「それ俺にメリット無くね?好きな事って輝夜の暇潰しになるような事でしょ?」
輝夜「そうだけど?」
「そうだけど?」って、コイツ…!やっぱ俺には何のメリットもねぇじゃんかよ!こんなんノる奴いるわけないじゃんか。ノッたらアホだよね。
カルゴ「おつかいって何?」
どうも、ノるアホです。
輝夜「1つ目は、妖怪の山に居る豊穣の神から、サツマイモを2~3個貰ってきて」
カルゴ「ねぇ待って?まさか何個もあるの?」
輝夜「まぁまぁ。…で、2つ目は、妖怪の山から落ち葉を集めてきて。永遠亭にある葉はほぼ竹のだからね、紅葉した落ち葉を見たいのよ」
焼き芋するつもりだってはっきりわかんだね。
輝夜「3つ目は、玄武の沢にいる河童から、新作ゲームを受け取って。代金は前払いだからお金の心配は要らないわ。妹紅をボコボコにするのも、そろそろ飽きたからね、この前お願いしたのよ。もう1つのも、とっくの昔にクリアしてるしね」
格ゲーの次は何だろう?
輝夜「4つ目は、里の団子屋で何味でもいいからお団子買ってきて。お金は渡すから。それから…最後は、新作ゲームをプレイしてる所を見てて。注文は以上よ、行ってらっしゃ〜い!」
カルゴ「はあぁ…」
無邪気に笑って手を振る輝夜を見ると、デコピンする気すらも失せてしまった。我ながら、女性の笑顔には弱いなぁと思い知らされた。
ちなみに、俺と輝夜は、ここ2、3年でそこそこ親交を深めている。タメで話す程度には、だが。永琳が居るところでは「姫様」「輝夜様」と呼び「エスカルゴ君」と呼ばれる。
だが、永琳の目のないところとなると、「輝夜」「エスカルゴ」と、フレンドリーに話している。まぁ、俺がショタになった時には、鈴仙と3人でお風呂に入ったんだし…。
裸の付き合いをした後だから、多少はね?
───難題1、神のサツマイモの調達───
カルゴ「穣子様ー!穣子様やーい!」
穣子「はいはい、何の用でしょう〜?」
山の中で声の限りに叫んでいると、ひょっこりと木の影から穣子様が現れた。
カルゴ「相変わらず、甘そうでいい匂いだね」
穣子「神様だものその程度は気を付けなくちゃ。で、また使いっ走りなの?大変だね〜」
カルゴ「そんな所。今回は2~3個でお願い」
穣子「はいは〜い、ちょっとお待ちを〜」
毎年恒例の霊夢の使いっ走りのおかげで、穣子様とも普通に話せる仲になった。毎回思うのだが、山の中を裸足で歩くとは…大変痛そうである。
そして、数分後。
穣子「お待たせ。1つおまけして4個あげる」
カルゴ「お、ありがとう。有難く頂くとするね」
穣子「よっぽどサツマイモが好きなんだねぇ…。いつもサツマイモじゃない」
カルゴ「はは、確かに…」
───難題2、落ち葉集め───
これは分身にやらせることにして、俺はにとりの工房へ向かった。玄武の沢に1人で行くのは……少し気が引ける。河童達が群がってくるからだ。
───難題3、新作ゲームの確保───
カルゴ「にとり〜、居るかーい」
作業の音もしない、にとりの工房の扉を叩くと、すぐに扉が開いた。扉の前には、相変わらず少し露出が多い紺色の下着を着ているにとりがいた。
俺じゃない変態なら、確実に襲われてると思う。
にとり「やぁエスカルゴ、どうしたの?また何か依頼?あ、ローターとバイブの追加注文?」
カルゴ「そうじゃなくって…。玄武の沢に居る、ゲーム作ってる河童に用があるんだけど、どの子なのかがわからないからさ、にとりについて来て欲しいなと思って。あと、できれば護衛もお願いしたいんだ…。囲まれるのは苦手なんだよ…」
にとり「あはは…人気だもんねぇ、英雄サンは。ゲームっていうと、永遠亭のお姫様が制作を依頼してきたって話題になってたよ。もしかしてそれ取りに来たの?」
カルゴ「そうそう。また使いっ走りさ」
にとり「やれやれ…。なんで霊夢といいお姫様といい、エスカルゴをパシリにするのかねぇ?」
カルゴ「俺が断れない性格なのわかってんだろ。面倒臭いけど…笑顔が見れるんなら良いかなー、なんて思ったりしてんだよね、結局は」
にとり「(チョロすぎるでしょ…。)その河童なら知り合いだよ、一緒に行こ!」
カルゴ「ああ」
妖怪の山の麓の方には洞窟がある。さらに、その洞窟の中では大結界に穴が開けられていて、外の世界と繋がっている…のはそこそこ有名な話だ。
レミリアたちの従兄妹、クレイドールが2度目に攻めてきた時はこの穴を通ったとされている。
おかげで、沢山の河童や天狗が傷ついたのだが。
河童たちはその穴から外へスパイを送っている。
プログラミングなどの技術は外から盗んでいる。
好奇心の塊であるにとりはどうなのかというと、メカニックが好きなので、プログラミングの方はやらないつもりらしい。
プログラミングが出来るのは、数多く居る河童の中でも極々少数だとにとりから聞いている。
にとり「ねー、お姫様が頼んだゲームってとうに完成してるよね?」
玄武の沢で水遊びをしたり胡瓜を食べたりしてる河童たちに向かって、にとりは声を張り上げる。するとすぐに、その中の1人が反応した。
因みに、今俺は光学迷彩スーツを着てスイッチをオンにしているので、誰にも俺の姿は見えない。
やはり、あんまりにとりに負担をかけたくないと思い直したので、道中、スーツを着たのだ。
河童「うん、完成してるよ。今持ってくるね」
どうやら、この子がプログラミング担当らしい。
にとりより少し大人っぽい雰囲気を纏っている。
河童「はいこれ。…誰に渡すの?誰か来てる?」
にとり「私の工房で発明品を見て待ってるんだ。ありがとね、渡してくるよ」
河童「うん。あ、その人に、『今回は良い出来』って言っておいて」
にとり「りょーかい!」
工房に戻った俺は、彼女からゲームを受け取る。
白い袋に入っているので、タイトルは見えない。
にとり「ねぇ、パッケージ見てもいい?なんだか気になるんだよね、お姫様がするゲーム!」
カルゴ「俺もそう思ってたとこ。袋を覗くくらい別に構わんよな、覗こう」
にとり「うんうん!」
袋からゲームを取り出して、題名を見る。それを見た俺は酷く顔を引き攣らせて、にとりは逆に、目を輝かせた。
にとり「おおおー!何これ何これ、エスカルゴが主人公なの!?へー、あのお姫様、こんなゲーム注文してたんだね!」
カルゴ「『エスカルゴのハーレム創成記2』…?あとであの姫を問い詰めなきゃなぁ?」
にとり「ねーねー、裏見てよ裏!すごいよこれ!エロっエロじゃん!!」
カルゴ「エロ連呼すんなy……うわっ!?」
エロゲーじゃねぇか!!!
───難題4、団子調達───
店員「いらっしゃいませー。ご注文は何になさいますか?お団子、各種揃えておりますよ」
カルゴ「全種類4本ずつ」
店員「かしこまりました、少々お待ち下さい」
永遠亭前で分身と合流し、落ち葉をスキマ空間にぶち込んでおく。あとであの姫にかけてやろう。
そして、中には入らずそのまま縁側へ向かう。
そこでは、あのやんちゃ姫が、あどけない寝顔で眠りこけていた。かなり待ちくたびれたらしい。
カルゴ「輝夜ー、帰ったぞ」
輝夜「んっ…ふわぁぁ…。もぅ、遅いわよ…」
あくびをした輝夜は、目を擦りながらノソノソと起き上がり、外に立ってる俺の方へ這い寄る。
カルゴ「5つもの難題を頼んどいて何だそれは。
ったく、ワガママなんだから…」
輝夜「さ、見てもらうわよ!私の神プレイを!」
カルゴ「いや、待ってくれ。その前に説明頼む。なんで俺が主人公で、しかもエロゲなんだ?」
輝夜「他にイケてる男居なくない?」
カルゴ「ん?」
輝夜「勘違いしないでね?好きとかじゃなくて、他にモデルに出来るような男を知らなかったってだけだから」
カルゴ「うん知ってる。パッケージがヤバいな。どんなゲームなの?」
輝夜「まぁ、とりあえず部屋に来なさい。ソフトだけじゃプレイ出来ないわ」
カルゴ「芋と葉っぱは?」
輝夜「あー…夕飯にしましょ、夕飯。私と永琳とイナバたちで4本だからあなたのは無しね」
カルゴ「うん知ってた」
とりあえずゲームソフトと団子だけを持った俺と輝夜は彼女の自室へ向かう。小さいテレビの様な物と、ファミコンのような機械と、盆栽がある。
輝夜「ねー、ソフトちょーだーい」
カルゴ「はいよ」
輝夜「ありがとー。おぉー、キタキター!さて、前作のデータをロードしてっと…」
カルゴ「…?」
前作………あ、そうだ!!そういえばさっき見たタイトル、「2」だった!前作があるのか…!
カルゴ「前作はどういうゲームなんだ?」
輝夜「んー?あぁ前作はね、自機のエスカルゴを操って、幻想郷中の女を篭絡するゲームよ」
カルゴ「ちょっと待て」
輝夜「と言っても、Dキスまでなんだけどね〜。ちょっと刺激が足りなかったわ」
カルゴ「待てっての」
輝夜「それで、今作はそれの続きなの!データを引き継ぐから、もう初見殺しは無いわ!」
カルゴ「嫌な予感しかしねぇ」
輝夜「まぁ見てなさいって♪」
ルンルン気分でデータを移し、ゲームを起動。
タイトル画面は、俺を真ん中にして、幻想郷中のあの女子この女子が裸でいる、Theエロゲという感じだ。
カルゴ「うわぁ…輝夜ってエロいの好きなのか」
輝夜「んー…好きっていうか、この乾いた日常に潤いを与えてくれるじゃない?」
カルゴ「あ、うん。で、どこまでプレイを見れば俺は自由になるんだ?」
輝夜「3面クリアするとこまで」
カルゴ「何面まであるんだ?」
輝夜「15面くらい」
うわ多っ!それならまだ少ない方か。仕方ない、付き合ってやるとしますか。団子はもらうけど。
カルゴ「しゃーないな、3面までだぞ」
輝夜「わかってる。…始まったわ」
カルゴ「いただきまーす。どんなゲームなのか、軽く説明求む。俺が主人公とか気になるし」
輝夜「このゲームはね、基本3択か4択の中で、一番良い選択をするのよ。…見て」
カルゴ「ん?…あ、ルーミア」
『エスカルゴなのかー。何か用ー?』
輝夜「ルーミアの事は前作でオトしてるからね、選択肢はコレ一択よ」
てか待て、ボイス付き!?
すげぇ、合成とは思えないほどリアルな声だな!
カルゴ「えーと……話す、犯す、殺す、放置…?なんだこの選択肢は」
輝夜「ここは“犯す”一択よ」
カルゴ「はぁ!?いやいや、“話す”だろ!?」
輝夜「えー?……ほら見て、“話す”とこうよ」
『襲ってくるかと思って期待してたのにー。案外意気地無しなの?幻滅だわー』
輝夜「ほら、バッドエンド」
カルゴ「えええええ!?」
こうして、タイトル画面からやり直し…。再び、ルーミアとの会話画面に戻る。
輝夜「今度は“犯す”わよ」
カルゴ「…もう好きにしてくれ」
『えっ…今すぐ?野外だよ?…ふふっ…積極的なエスカルゴ大好き♡』
そして、エロシーンに突入。ふむ、このゲームの
“俺”は、夢の世界の“俺”にそっくりである。
画面には、モザイク無し&ヌルヌル動くリアルな映像が流れていた。予想以上にエロい。
『イくぅ!もっ、もうイッちゃうよおぉぉぉ!』
『イけルーミア!
カルゴ「おい!?俺の声!?」
輝夜「へー、エスカルゴの声も作ってるのねぇ。今作はヤリがいありそう♪」
カルゴ「なんか恥ずかしくなってきた…」
輝夜「ヌキたくなったらトイレでね?」
カルゴ「ヌかねーよ!」
流石、エロゲーをやっているだけあり、その辺の用語や知識はかなり豊富らしい。
『はぁ〜、気持ち良かった♡ またヤろうね♡』
輝夜「はい、ルーミアはクリアよ」
カルゴ「あと2面か」
輝夜「? まだ1面の1よ?」
カルゴ「え…」
輝夜「あと10数人犯さなきゃね♡」
カルゴ「ええええええええ……」
輝夜「ほら、次のイベよ!チルノだわ」
カルゴ「え〜…」
『ん?あたいに何か用?』
輝夜「今回は…話す、犯す、調教、殺す……ね」
カルゴ「調教!?」
輝夜「チルノってバカキャラ扱いされてるから、無知のチルノに色々教えるのよ、きっと。多分、これは正解が2つね。どっちがいい?」
カルゴ「え…んじゃー調教で」
輝夜「ふーん…そういう趣味なんだぁ♪」
口元に手を当ててニヤニヤと笑う輝夜。俺に対し俺は何も言わない。反論するだけ体力の無駄だ。
『…?気持ち良いの?教えて教えて!』
輝夜「こんな純粋な子をどう調教するのかしら」
カルゴ「前作でオトしたのか?」
輝夜「ええ」
『コレを舐めるの?』
『そうだよ』
『ふーん………んっ…おっき…』
輝夜「…ヤケにリアルよねー…本物見せたの?」
カルゴ「ンなわけないだろ。それを言うんなら、女性器も声もリアルじゃないか」
輝夜「それもそうね〜」
カルゴ「団子食べる?」
輝夜「あーん」
カルゴ「自分で食えよ…」
輝夜「んっ…。とか言いつつ、食べさせてくれるのがやさしーわよねー」
カルゴ「目ん玉ぶっ刺したろか」
輝夜「あら怖い」
…どうやら俺は、まだまだ自由になれなそうだ。