※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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230話目の前書きにて、
Q.美琴の超電磁砲出ましたね!アクセラレータのあの能力も出しますか!?
A.(出すわけ)ないです。
と書きましたが…結局出ましたね…(汗)



EtoA

カルゴ「なぁ文〜」

 

文「はい?」

 

とある秋の日の、文の仕事場での日常。ある事に悩んでいた俺は、新聞を書き終えてお茶を飲んで寛いでいる文に、脱力する様な声で話しかける。

 

カルゴ「プロポーズ…ってさ。どんなシチュで、なんて言うんだっけ?」

 

文「はい!?」

 

カルゴ「どうすればいいのかわからなくなった。どうしようかな…」

 

ボケッと外を眺めて溜め息をつく。空には、白い雲がいくつか浮かんでいるだけで、とても綺麗な秋晴れである。穹は外で天狗友達と遊んでいる。

 

文「ど、どうしたんですか急に…。もしや新たに誰かを娶るおつもりで?」

 

カルゴ「…そんな所。でも…肝心なプロポーズの方法を忘れちゃってさ」

 

文「誰に言うのかにもよりますよ?」

 

カルゴ「そっか…。そうだよなぁ…」

 

そりゃあ、言う相手が違うとはいえワンパターンではつまらない。よく考えてから言わねば。

 

文「誰に言うつもりなんです?」

 

カルゴ「それは言わない。前みたいに式には呼ぶつもりだけど、今は言えないな」

 

文「むぅ…。仕方ないですね。とりあえず、色々思い返してみてはいかがですか?霊夢さん、私、妖夢さん、咲夜さんに言った時の事を」

 

カルゴ「…そうだな」

 

俺が文にプロポーズして、結婚したのは…今からおよそ3年前の話だ。妖舞、霊麗、茜、樹里愛の下の4兄妹が今よりも幼かった頃─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「さて…次の取材に行きますかねぇ」

 

文「ですねー。あっ、まずは鈴奈庵に私の新聞を置きに行かなければ。すっかり忘れてました」

 

カルゴ「なら先にそっち行くか」

 

文「ですね!」

 

ある日、俺と文は里に来ていた。文は天狗としてではなく、人間…社会派ルポライターとしてだ。

文々。新聞は、鈴奈庵に置いてあるらしいので、そこに定期的に行くとか。鈴奈庵…やけにヤバイ妖怪が集まる様な気がするが気のせいだろうか。

小鈴には、正体をバラしたらしいが。

もちろん俺は「ヤバイ妖怪」の中に入ってない。俺ほど純粋な男子、男性は居ないだろう。

 

文「こんにちはー、小鈴さーん!」

 

小鈴「文さーん!また新聞を置きに来て下さったんですね!エスカルゴさんもいらっしゃーい!」

 

カルゴ「文の付き添いだぜぇ〜い。用が済んだらすぐに帰るよ。それまで立ち読みしてるがな」

 

小鈴「借りてって下さいよ〜。あ、新聞はそこにお願いします!」

 

文「ふむふむ、そこそこの売れ行きですね!では私達はこれで!そろそろ夕飯の準備をせねば!」

 

小鈴「そうですね!」

 

2人のそんな会話は、読書中である俺の耳には、全く入ってこない。…が、そんな俺の耳を、文は容赦なく引っ張り、耳元で叫ぶ。

 

文「帰りますよー!!」

 

カルゴ「ひゃあっ!…あ、もう用は済んだのか。よし、帰るか」

 

文「何読んでたんです?」

 

カルゴ「あわわ、何でもない何でもない!」

 

慌てて本を本棚に戻し、鈴奈庵を出る。空を見上げると、烏が集団でカァカァと鳴きながら飛んでいるのが目に入った。

夕方の空は赤みが濃いオレンジ色に染っている。人の通りはまだあるので、文はまだ人間のふりをするしかない。歩いて里の外まで行くしかない。

 

文「んー…夕飯、里で食べていきませんか?一旦仕事場に戻って、穹も連れて!」

 

カルゴ「おぉ、いいね。親子3人で外食か」

 

文「そうです!」

 

カルゴ「穹も喜ぶだろうな。よし、スキマ使お」

 

スキマで仕事場へ戻った俺たちは、穹にこの旨を伝え、ルポライターの格好に着替えさせ、3人でもう一度里へ向かう。夕飯はそばがいいらしい。

 

店員「いらっしゃいませー!3名様ですね!ご注文がお決まりになりましたら…」

 

カルゴ「漬け蕎麦2つ」

 

文「ザル蕎麦1つで!」

 

穹「私も漬け蕎麦1つ!」

 

店員「かしこまりました!漬けそばが3つ、ザル蕎麦が1つですね!」

 

数分後、それぞれが注文した蕎麦が届き、一緒に手を合わせて食べ始める。この店の漬けそばは、タレが濃口で美味しい。ちょうど俺の好みだ。

 

穹「美味し〜ですね〜!これで里の料理の記事が書けそうではありませんか?」

 

文「ですね、色々と取材すれば書けそうですね。ぜひ広まって頂きたいものです、この美味しさ。ところで、なぜ2つ注文したのです?」

 

カルゴ「…食わなきゃやってられないさ。所謂、ヤケ食いってやつだ」

 

文「何かあったんです?」

 

カルゴ「考え事が捗らなくて少しイラついてた」

 

文「相談でしたら乗りますよ?」

 

カルゴ「それじゃ、後で頼むわ。話したら少しは楽になるかもしんねーし」

 

穹「私も乗りますよ、父上の相談!」

 

カルゴ「穹(子供)にはまだ早いさ」

 

穹「そうですか…残念です…」

 

文(子供にはまだ早い?…ふむふむ…!)

 

 

 

それから数時間後。

穹を寝かしつけた俺と文は、仕事場の近所にあるとある見晴らしの良い高台にやってきた。何だか咲夜さんとの深夜デートの様で、ドキドキする。

 

文「それで、相談とは?」

 

カルゴ「マジな話…していいか…?」

 

文「ええ、どうぞ。他言しませんから、信用して打ち明けて下さい」

 

カルゴ「うん。……あのさ、俺…近々、ある人にプロポーズしようと思ってるんだ。だけど…何て言えばいいのかわからなくて…」

 

キラキラと月明かりを反射する、守矢神社近くの池を見つめる。あまり言いたくなかったのだが…たまにはこういうのもいいだろう。綺麗な景色を見ていると、何故だかそんな風に思えてくる。

自然に身を任せるのも、良いかもしれない。

 

文「あややや…そっちの話でしたか…。てっきりエッチなお話なのかと…」

 

カルゴ「それは…悩む事でもない。思うがまま、素直にヤれば良いと思うし。もちろん合意で」

 

文「…では、そのようにすればいいのでは?」

 

カルゴ「え?」

 

文「プロポーズだって…いつも通り素直に言えば良いと思いますよ?素直さこそがあなたの一番の長所なのですから」

 

カルゴ「…そっ…か。長所を生かすのか…」

 

文「そうです!」

 

カルゴ「……」

 

なるほど、さすが年長者…言う事が違うなぁ。

緊張するんだよな、プロポーズって…。まだ1回しか言った事が無いから慣れてないんだよな…。

 

文(こうして私に打ち明けるということは、次は私ではありませんね…はぁ。妖夢さんか鈴仙さん辺りでしょうかね…。結婚が約束されているとはいえ…私は何番目の妻になれるのでしょうか…)

 

カルゴ「文」

 

文「はい?」

 

カルゴ「結婚して…俺の妻になってくれないか」

 

文「はひっ!?」

 

突然のプロポーズに、素っ頓狂な声を漏らす文。

あまりに突然なので、心の準備なんてものは全く出来ていなかったに違いない。

 

カルゴ「文に…2人目の妻になってほしいんだ」

 

文「あやややややややや……私に相談するというのは私と2人になるためのフェイクですか!?まさか私が次にプロポーズされるなんて……。しかもこんな、心の準備が全く出来ていないこの状況で!?あやや、完全に騙されてしまいました…裏をかかれましたよぉぉ…!」

 

カルゴ「…あの…返事は…?」

 

手で顔を覆い隠し、ボソボソと呟いている文に、返事を少し急かしてみる。このまま放っておくと朝まで延々と呟いていそうだからだ。

 

文「はいっ!喜んでお受け致します!!!」

 

カルゴ「よ…良かったぁ…」

 

文「これからもよろしくお願い致しますね、エスカルゴさん!…いえ、旦那様♪」

 

カルゴ「照れる…いつも通り名前でお願い…」

 

文「えへへ…私も、言ってから恥ずかしくなってしまいました…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「─────ふむ」

 

文「何かヒントは得られました?」

 

カルゴ「やっぱり俺、素直さが取り柄なのかな。

…また、文に救われたよ。ありがとうな」

 

文「いえいえ!そういえば、私へのプロポーズは急でしたねぇ…ふふふっ♪」

 

口元に手を当てて、昔を懐かしむように微笑む。

プロポーズされた際のことを、思い返しているのだろう。俺にとっては黒歴史に近いのだが…。

 

カルゴ「思い返してみりゃ、まともにプロポーズしたこと無いんじゃねーかな…。4人ともかなり急だったような気がするよ」

 

文「おやまぁ…」

 

カルゴ「霊夢…文…妖夢…咲夜さん…。誰の時も突然で…行き当たりばったりだった…。だって、ムードとかよく分からないんだもんよ…」

 

文「心の準備が出来ていない方が、驚きと喜びが大きいと思います。ある意味効果的かもですよ」

 

カルゴ「そんなもんかねぇ…。ま、言われた側の文が言うなら、そうなのかもな」

 

文「そうです!もっと自分に自信を持って!」

 

カルゴ「ありがとう。……また今度、親子3人で外食行くか」

 

文「…!はいっ!」

 

俺は、来たるべき時に備えて…イメトレしよう。ムード作りは無理でも、どんな言葉で言うかは、イメトレで補える。それしか無いだろう。

俺らしく素直に…ドストレートに、な。

今までのプロポーズだって、行き当たりばったりとは言っても思い付きで言ったわけじゃない。

俺の場合は、タイミングがアレなだけだ。

次こそは、完璧なプロポーズをキメよう。

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