紅魔館に来た俺は、無属性魔法の魔導書を読んで勉強をしている。そばには、妊娠中のレミリアが居る。フランと小悪魔は、現在昼寝中だ。
レミィ「随分と熱心に勉強してるわねぇ。今までそんなに興味示さなかったのに」
カルゴ「雷しか出来ないと思い込んでたからな。この前パチュリー様にアドバイス頂いて、無属性魔法なら出来ると知って、出来ることは増やしておきたいなと思ったんだ」
レミィ「相変わらずね。今は何の魔法を使おうとしてるの?」
カルゴ「治癒魔法」
レミィ「治癒?あなた一瞬で再生するじゃない」
カルゴ「覚えるのは俺だが、魔法をかける対象は俺じゃない。俺以外の誰かだ」
レミィ「ふぅん…鈴仙とか?」
カルゴ「レミリアも対象外じゃないぞ」
レミィ「私にも並外れた再生力はあるわよ?」
カルゴ「腹を串刺しにされて死にかけた奴が言うセリフとは思えないな」
隣のレミリアの頭をポフポフと優しく撫で、頬をつつきながら、数年前の出来事についての皮肉を言ってみる。
串刺しにされたら死にかけるのが普通なのは俺もよく分かっているが。
レミィ「腹を串刺しにされたなら死にかけるのが普通よ。あなたがおかしいの」
カルゴ「俺は、誰よりも怪我して再生してを繰り返しているからな。再生力も上がってるんだろ。
レミィ「頼りにしてるわ。…でも、何でそんなに怪我したんだっけ?」
カルゴ「フランと遊べば怪我もするさ」
レミィ「あっ…(察し)」
カルゴ「今の俺を作ってる基礎は、全部フランのおかげだ。体力とかの面では。技はレミリアな」
繰り返しになるが、今の俺があるのは間違いなくスカーレット姉妹の働きが大きい。フランと遊ぶ為に力を高め…レミリアに吸血鬼の特性を教えてもらい、潜入などが可能になった。
性の面では間違いなく小悪魔のおかげだ。料理は咲夜さんで、そして今回はパチュリーのおかげで魔法の特訓を行っている。美鈴からは格闘技だ。
やはり、紅魔館の影響はとんでもなく大きい。
レミィ「暇潰しにちょうど良かったってだけよ。咲夜も弦月姫ちゃんもだけど、覚えがいいから、すぐ暇になっちゃったんだけどね」
カルゴ「ん?弦月姫にも何か教えたのか?」
レミィ「反響定位と蝙蝠化と細分化をね」
カルゴ「あー…吸血鬼の特性の方は全く指導してなかった。サンキュ」
案外教えるの上手なんだよな、レミリアって…。
超音波の出し方や変身の仕方とか、全身の細分化に部分的な細分化とか、すぐ覚えられたし。
頭だけ蝙蝠に変えてたのはトラウマなんだがな。
レミィ「あなたってば弾幕の方ばっかり教えてるからね。いや、それは咲夜もか…」
カルゴ「そうだね。…さ、治癒魔法は覚えたぞ。試したいんだが…誰か怪我してる人いないかな」
レミィ「居ないでしょ」
わざとらしく図書館の中を見回すが、当然その場には誰も居ない。パチュリーは図書館の端だ。
そもそもここはパチュリーの机とは離れてるが。
カルゴ「だよなー。少しの傷ならすぐ治るし…。まっ、いつか試すことにしよう。次は創造魔法の練習だぞ〜♪」
レミィ「(熱中するとそっちばっかやるんだから…全くもう…。)練習って、何を創るつもりなの?」
カルゴ「子供用品」
レミィ「早くない?まだ約3ヶ月よ?」
カルゴ「
レミィ「7ヶ月……か。思ったより長いものね。早く我が子を抱き締めたいわ」
自分のお腹を優しく撫で、愛おしむような優しい表情を浮かべる。既に母親らしさが出てきているように感じるのは気のせいだろうか。
3ヶ月なので、お腹はまだ大きくなっていない。
カルゴ「紅魔館は洋風だからなぁ、神社や白玉楼みたいな和風なモノや服は合わないな。弦月姫のお下がりが良いかなって思ったけど、咲夜さんが『お嬢様のお子様ですので、弦月姫のお下がりを着せる訳にはいきません。新たに作ります』って許してくれなくて…。新たに作らなきゃ」
レミィ「なら咲夜に任せればいいじゃないの」
カルゴ「頼ってばかりなのはな…。せっかく俺も創れるようになったんだし、そろそろ俺がやる。イチから服作るのは大変なんだぞ?」
レミィ「ふーん…。あなたって裁縫出来たっけ」
カルゴ「…ボタン付け、ほつれ直しくらいはな。生まれてくる子供のは創造魔法で作るつもりだ。だから練習する。俺の部屋でやるが、来るか?」
レミィ「ええ、もちろん」
何を作るのかは…オモチャ、ベビーベットら辺で構わないだろう。服はもう少し練度を上げてからチャレンジする事にしよう。
赤ん坊に与えるオモチャとは何がいいのだろう。
今までの子供たちは、(母親から)ロクなモノを与えられてこなかったので、今度こそはマトモなモノを与えたいと思っている。
今のところマトモなオモチャを与えられたのは、巫月だけだと思う。それ以外はお察しの通りだ。
自室に戻った後は、レミリアをベッドに座らせ、俺は部屋の中央に立つ。
カルゴ「よし、まずは………」
何を作るか定めて、呪文の詠唱を始める。今回は練習がてら、上海と蓬莱を数体ずつ創ってみる。
しかし、魔力が暴走してしまい……。
レミィ「きゃああああああっ!どんだけ創ってるのよ、怖すぎるわ!!」
カルゴ「あわわわわ…」
レミリアが悲鳴を上げるほどに、大量に創造してしまった。100体以上は創ってしまった。
いや、
床は人形で溢れ、足の踏み場もない。1つ1つは可愛らしいのにこんなに多いと一種のホラーだ。
レミィ「ちょっと、早く止めてよ!部屋が人形で埋まるわよ!?」
カルゴ「やべぇ止まらねぇ!制御出来ない!」
レミィ「はああ!?」
結局人形は、俺の魔力が尽きるまで溢れ続けた。
魔力が暴走すると、魔力切れを起こすまで創造物が無限に溢れてくるのだと学習した。作りすぎた人形は…廃棄するのも勿体無いので、今度人里で売り捌くことにしよう。アリスも、流石にこんな大量の人形は要らないと言うことだろう。
カルゴ「あーあ…クソ、魔力切れちゃったぜ…」
レミィ「きゃっ!」
スキマ空間に人形を仕舞い終えた俺は、レミリアを片腕で抱いたままベッドにうつ伏せで倒れる。柔らかくて、ふんわりとしたいい匂いだ。
レミィ「急に倒さないでよ、驚くじゃないの…」
カルゴ「ごめーん…はぁ、上手くいかないなぁ。なんでだと思う?」
レミィ「今のは偶然でしょ。平常時だったら絶対上手くいくわ」
カルゴ「そーかなぁ…。まぁそうだよな、俺って比較的物覚え早い方だし。変身もすぐ覚えたし」
レミィ「何ドヤってんの よ…」
カルゴ「へへっ…。何にせよ、創る物のお手本が必要だな。…手本じゃねぇ、見本か」
弦月姫の肌着は、どこに仕舞ったのだろうか。
探したいが、咲夜さんが綺麗に整理整頓しているのにそれをイジるのはどこか申し訳なく感じる。
本人に聞きたいが、仕事の邪魔になるだろう。
カルゴ「……本物が欲しいな」
レミィ「前みたいに作っちゃえば?」
カルゴ「いや、もっと手軽な方法があったんだ。少し出かけてくるからちょっと待ってて」
レミィ「どこに行くの?」
カルゴ「───外の世界へ」
ニタリと笑った俺は、自室から直接、外の世界へスキマを繋げた。
レミリアが「お嬢様」なら、生まれてくる子供は「ぼっちゃま」か「おぜうさま」ですね。
うー☆