なんかワガママ放題言いたい気分になったので、ワガママな話書きます。
フラン「ね〜エスカルゴ〜」
カルゴ「んー?なんだー?」
フラン「久しぶりにデートしよー?」
涼しい秋のある日、俺たち吸血鬼4人は図書館で読書をしていた。レミリアは俺の右側、フランは左側で、レイチェルは膝の上だ。なんというか…図書館は広いのに、ここだけ人口密度が濃い。
そんな中、突然抱きついてきて、デートに誘ってくるフラン。可愛すぎてヤバい。
カルゴ「イイね。なら、今から行くか」
フラン「ホント!?やった!」
レミィ「……」
フラン「今日は私と2人だからね!」
喜ぶフランをじぃっと見つめるレミリア。それに対し、フランは誇らしげに胸を張って言い張る。いつものように何かしら言い返すかと思ったが、そんな俺の予想に反し、意外にも今日はすんなり引いてくれた。
レミィ「ええ、わかってるわ。私はレイチェルの面倒を見てるから、2人で楽しんでらっしゃい。
(この前は2人で外の世界に行ったしね♪)」
フラン「やったっ♪」
ピョンと飛び跳ねながら、拳を天井に突き上げるポーズをするフラン。最近は屋外でデートをする機会も減ってきてしまっているので、たまには、こういうのもいいかもしれない。
カルゴ「ごめんなレイチェル、ちょっとお母様に抱っこしてもらってな」
レーテ「おとーしゃまどこいくの?」
カルゴ「ちょっとお出かけしてくる。レイチェルとはこの前一緒に人里にお買い物に行ったから、今度はフランとだよ。お母様と一緒に、紅魔館で大人しくお留守番できるかな?」
レーテ「できる!…たぶん」
カルゴ「じゃあ、ちゃんとお留守番ができたら、ご褒美に俺の血を吸わせてやる」
レーテ「ほんと!?がんばる!!」
俺とレミリアの子なだけあって、レイチェルにも吸血能力等がある。何故なのかはわからないが、レイチェルは俺とレミリア、フランの血を好んで飲んでいる。
カルゴ「それじゃ、良い子にしてるんだぞ」
レーテ「うん!」
レイチェルを抱っこしてレミリアの上に乗せて、俺とフランは図書館を出て、外出の準備をする。今日行くのは、里や玄武の沢、森の中、無縁塚のどれでもない。今日もこっそり、外に行く。
カルゴ「久しぶりに、外の世界とか行かないか?空気は比較的まともな所に」
フラン「外!?行く行く!行きたい!」
外の世界と聞いて、途端に目を輝かせるフラン。何年か前に外へ行った事はあるが、やはり興味は尽きないのだろう。
カルゴ「じゃ、これ着てくれ、翼を隠せるから。見つかると、色々と面倒だろう?」
先日レミリアのために創造した、光学迷彩スーツモドキを手渡す。これならば、フランの特徴的な翼だって、完璧に覆い隠せる。
フラン「そうね、ありがと!えへへっ、お揃いのマントだね♪」
カルゴ「そうだな♪」
名前は「光学迷彩スーツ」だが、俺のは見た目がマントであるので、そこには何もツッこまない。それより、思ったよりずっと可愛らしいフランの反応に、今更ながらドキッとしてしまう。
カルゴ「金もそこそこあるし…テーマパークとか行っちまおうかな。フランは、人混みとか大丈夫だったよな?」
フラン「うん、私は大丈夫よ!」
カルゴ「なら決まりだ」
フラン「やった!」
フランと手を繋いだ俺は、東京○○ミーランドの中へ直接スキマを開いた。勿論、建物などの影に隠れているところに、だ。
フラン「わぁ!なんかすごいね!ね、何あれ!?ヘビみたいにグネグネしてるよ!?」
真上に走るジェットコースターの道を指さして、目を輝かせる。幻想郷には無いものだし、確かに興味がそそられるものだろう。
カルゴ「ジェットコースターっていうんだ。あれ乗ってみるか?速いし高いし、怖いと思うが」
フラン「大丈夫大丈夫!行こっ!」
カルゴ「おう」
しかし、やはり流石はネ○ミーラン○。最後尾に並んだは良いが、2時間半待ちだそうだ。折角、俺が人間だった頃には無かったアトラクションを発見したというのに…。
カルゴ「2時間半待ちだって。まだ短い方かな」
フラン「えーーーー…そんなに待つのやだー…」
カルゴ「じゃあ、他の所に行くか?」
フラン「でもこれに乗りたい〜…」
カルゴ「……仕方ないな。ちょっと耳塞いでて」
フラン「わかった!」
カルゴ「悪夢『魔王の子守唄』」
オレンジ色の火を作り出した俺は、それを列の前の方へ、人々の頭上を通るようにして飛ばす。
女性「何あれ、人魂?」
女性「すごっ、どういう仕掛けなんだろ?透明な糸とか見えないよ?」
女性「写真写真!インスタ映え狙えるよこれ!」
インスタグラム、まだ流行ってるの?へー。
なんか草生えるわ。…おっと、外に来たからか、つい草生えるなんて思ってしまった。
さて、洗脳タイムだ。
カルゴ「『スプラッ○ュマウ○テンがやべーほど空いてる!』『え?マジ?すぐ行かなきゃ!!』『急げ、また並ぶハメになるぞ!』」
女性「え、スプラッシュ空いてるの?」
女性「でもマジなの?今通り掛かった人が、少し呟いてただけじゃん」
疑ってはいても、集団が動けば流されるものだ。
前の方に並んでいた人間が「待ちきれねぇ!」と動き出し、我先にと全員がスプラッシュの方へと走って行った。こんな風に風の噂として流してやると、人間は、簡単に流されてくれるらしい。
洗脳の応用、「風の噂」だ。「虫の知らせ」とも言えるだろう。
カルゴ「終わったよ、フラン」
フラン「…わぁ!みんな消えちゃったね!全員、殺したの?」
カルゴ「ンなワケ。みんな、別なアトラクションに並び直したのさ」
フラン「へー!なんでなのかよくわかんないけどすごいね!行こ!」
カルゴ「あぁ♪」
閑散とした巨大ジェットコースターの前を悠然と進み、入場しようとする。だが、どうやら身長の制限があるらしい。
俺の記憶では確か、102cmが制限だったはずだ。
係員「こんにちは!失礼ですが、そちらのお嬢様の身長を計らせてください!」
カルゴ「どう見ても俺の妹は102cmを越えてると思うんだが?」
俺がそこそこ童顔なので、俺が保護者と言っても信じてもらえないだろうと思って、妹と言った。恋人と言ったらヤバイ目で見られそうだからだ。
係員「いえ、このアトラクションは150cmです。さ、身長を計らせてください」
俺にもフランにも「まずくない?」という疑問が頭に浮かんだ。そして、小声で身長を訊ねる。
カルゴ「フランって何cmだっけ?」
フラン「一昨年くらいに計ったら145cmだった…」
カルゴ「マジか…。伸びてることに賭けるか」
フラン「うん…」
身長を計ると150cmぴったりだった。だが何故かそのフランに違和感を覚えずにいられなかった。下半身は普通に動いているのに、上半身と、少しだけズレて動いているように見えたのだ。
係員も同じ事を思ったのか、訝しむ様にフランをじっと見つめる。
カルゴ「妹に何か?」
係員「いえ、何も。どうぞお楽しみ下さい」
何とか突破して、係員から離れた俺は、フランに先程の事について訊ねる。もうあの違和感は完全に消えている。
カルゴ「身長測定どうやって突破したんだ?今は少し縮んでる…よな?」
フラン「あのね、服の中で胴体だけ細分化させて浮かせてたのよ!」
カルゴ「細分化…」
フランの胴体だけが細分化していたと思うと少し吐き気がしてくる。想像したくない。
カルゴ「なるほど、だから動きがズレてたのか。なんか納得したわ…」
フラン「ズレてた?良かったー、バレなくて…」
カルゴ「バレてたらどうしてた?」
フラン「きゅっとしてドカーン?」
カルゴ「あはは…」
多分、もしもバレていたら洗脳していただろう。
それが一番安全且つ平和だからだ。
係員「さぁ、どうぞ〜!(あれ?2人だけ??)」
スプラッシュ洗脳のおかげで、俺たち以降の人々もそちらへ行ったので、今だけはこのジェットコースターを2人占めである。
フラン「ねね、一番前に行っちゃお!?」
カルゴ「おうよ」
コースターが動き出し、ガタンガタンと音を立てながら上へ上へと昇っていく。
フラン「ドキドキするね…♪」
カルゴ「あ、あぁ…。思ったより…高いな…」
高度8キロまで飛んだことがある俺だが、今回は地面がハッキリと見えているので、やはり怖い。地面が見えない方がまだ怖くない。
フラン「えへへ…ちょっとだけ怖いかも…」
カルゴ「手、握るか。少しは怖くなくなるだろ」
フラン「うんっ♪」
震える声でそう返しながら、ガッチリと強く手を繋ぐ。温かな温もりが伝わってくる。
フラン「あは…てっぺんにきちゃった…」
カルゴ「落ち着け落ち着け…あとは猛スピードで下って縦に4回転して横に4回転くらいするってだけだぜ…。所詮人間の遊具所詮人間の遊具所詮人間の遊具所詮人間の遊具所詮人間の遊具……」
フラン「怖いからやめて!…きゃああああっ!」
カルゴ「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ!?」
下り始めて、俺の手が砕けるかと思うほどに強く手を握りしめるフラン。俺も絶叫しながらフランの手を強く握り返す。回転に続く回転で、頭の中がどうにかなってしまいそうだ。
フラン「きゃー♪ 結構楽しー♪」
カルゴ「ぬ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッ!!ぎゃあ゙あ゙
あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」
アトラクションを終えた俺は、ヘロヘロになってコースターから降りる。
係員「お疲れ様でしたー!」
カルゴ「終わっ……た…」
フラン「はー、楽しかった!ね、もう1回これで遊ぼ!これ、すっごく面白い!」
カルゴ「勘弁してぇ……」
フラン「怖かった?」
カルゴ「怖い…慧音の頭突きや狂気のフランよりずっとずっと怖い…」
フラン「じゃあ………お・ね・が・い♡」
手を合わせて、最高に可愛らしくオネダリをするフラン。こうされると、俺が絶対に断れない、と確信しての行動だ。
わかっている。もちろんわかっている。…だが、こう可愛らしくお願いされては、拒否不能だ。
カルゴ「……あと1回だけだぞ」
フラン「やった! ありがと、大好き♡ ちゅっ♡」
それに加え、キスまでされてはもう無理だ。
結局、その後5回は乗った。
ただ、キスしてキスされて、周囲からものすごく
注目を浴びていたことだけは覚えている。洗脳も
していないので、きっとTwitterでは、バカップル
若しくは熱愛カップルとして、華々しくトレンド
入りを果たしているだろう。まぁ、このマントの
ようなスーツのおかげで、顔は見られても、翼は
見られていないと思うので、大丈夫だと思うが。
…最も、目が紅く、結構な身長差があり、テーマパークで黒いマントを羽織ってるカップルなど、目立たない方がおかしいのだが。
カルゴ「フラン。ちょっとだけ旅行しないか?」
遅くなったおやつを食べながらフランに訊ねる。実は、外に来たのには、もう1つ理由があった。それを実行に移したいのだ。
フラン「旅行?どこに行くの?」
カルゴ「アメリカ…ラスベガスに」
フラン「外国!?行きたい行きたいっ!…でも、どうしてアメリカなの?」
カルゴ「即日宝くじみたいなのでガッポリ稼いだ夢を見たんだよ。何等が当選したのかわからない上に、番号も忘れちゃったんだが…。14桁なのは覚えてるんだけどな」
カジノだって色々ある。ポーカーやルーレットのゲームでやる事がほとんどだが、ほんのたまに、ぼったくり価格で宝くじを買い、その場で当選者を選出するパターンもある…らしい。
外国に行くのは、旅行ではこれが初めてなのだ。
チケット1枚で何円ぼったくられたのかも、実は忘れてしまった。予知夢だと、薄ぼんやりとしか記憶出来ないのがツラい。
フラン「14桁まであるの?そんなの当たる訳ないじゃない…。しかも夢って、それじゃダメじゃ…そっか、エスカルゴが見る夢って…!」
カルゴ「現実になるってことだ。どうして外国に行ったのかも、わからなかったんだけどな。で、どうする?行くか?」
フラン「もちろん!」
カルゴ「よし。確か、千葉〜ラスベガスの時差は16時間くらいあったはず。今16時だから向こうは0時だ。なるほど、夜中にやる賭博か。そりゃあ金額はバカデケェよな。流石カジノの街だぜ」
物陰でスキマを開いた俺たちは、明るくうるさい街に到着した。緯度経度などの座標は、地図帳を読んで頭に強く叩き込んであるので、ここがラスベガスで間違いないはずだ。
フラン「うわー…なんかすごいね!」
カルゴ「だな。さて、まずは両替所だ。こういう街には必ずそれがある。カジノ街じゃなくとも、両替所はどの街にもあるが。急がないとチケット販売が終わっちまう、急ごう」
フラン「うんっ!」
街の位置はわかっても、1つ1つの建物の位置は行ったことがないのでわからない。だから俺達は街を走り、とうとう両替所を発見した。
旅行者のためなのか、24時間営業らしい。
10数分後
フラン「なんか、すごい言い合いしてたね…」
カルゴ「俺の事なんだからそんなに心配しなくて良いのにな。…なんか悪いことした気分だ」
フラン「あの人も優しいね」
カルゴ「そうだな」
実は先程、両替所の受付嬢とちょっとした口論になってしまった。大金を両替する俺に対し疑問を抱いたのか、何のカジノをやるつもりかを尋ねて来たのだ。俺はそれに、チケット販売されている宝くじをやるつもりだと答えたのだ。するとその受付嬢は慌て、そこは行くなと言い始めたのだ。理由は、治安が悪く、チケットの代金も法外で、それをやるのは、馬鹿か金持ちらしいからだ。
俺のような旅行者は、そこの宝くじで旅行資金を全額失う可能性が高いとも言っていた。
さらには、そろそろ警察が摘発に来るとも教えてくれた。その宝くじの違法性が認められたので、俺のような旅行者に注意勧告をしてほしいと地元警察に頼まれたばかりなのだそう。
だが、それでも俺は行く。
フラン「ね、あの建物じゃない?」
カルゴ「おっ…あれか」
大きな建物に「↓7-digit↓」「↓14-digit↓」と
映し出されている。その映し出されている真下に
受付があるらしい。壁に移しているこの機械は、
プロジェクションマッピング…とかいったような
気がする。因みに、digitとは桁の事だ。俺が夢で
見たのは14桁なので、そちらへ並ぶ。
ネ○ミーラ○ド並みの長蛇の列だ。
受付嬢「
あぁ、並んでからでも7桁と14桁で選べるのか。そりゃ、並んでるうちにリスクを考えて迷う人も居るだろうし。思ったよりホワイトじゃないか?
カルゴ「Ah〜...
受付嬢「Okay.
フラン「えっ?」
カルゴ「嘘だろ?」
受付嬢「…?」
カルゴ「......
受付嬢「
カルゴ「Oh......」
…前言撤回、かなりドス黒かった。ふざけんな、こんなの違法だろう。あ、ここは違法だから近々摘発されるんだったっけ。へへっ、ザマァ見ろ。
受付嬢「
受付嬢は、7桁の方の宝くじを示す。こちらは、チケット代は半額だが当選した際の額も半額だ。なるほど、上手くできてやがる。
14桁の特等は10億で、1等は7億、2等は5億、3等は1億、4等は5000万、5等は1000万だ。
7桁の方は、これらの半分である。
これらの賞金…まさか、これまでにぼったくったチケット代なのだろうか。
カルゴ「
受付嬢「
カルゴ「
チケット1枚に法外な金を払い、そのチケットを受け取る。スクラッチするタイプらしい。マークテストのように沢山の数字が並んでおり、それをコインか何かで削るとみえる。
背を向けて受付から離れようとする俺たちだが、受付嬢がそんな俺たちを呼び止めた。
受付嬢「
カルゴ「Oh......Thank you.」
そう、発表後に削ればイカサマ可能だから、この宝くじは受付で削り、受付嬢に預けるらしい。
当選した際は呼び出されるので署名をするとか。もし嘘つかれたらどうするのだろう。法外なだけあり、どうやら個人情報までぼったくるらしい。
ただ、受付嬢が客の書いた番号を見てその番号を当選番号から外すとかしていると思うのだが。
そして、行列が中々動かない理由がわかった。
皆して、いざスクラッチしようと思うと、迷いが生じるらしい。隣の受付を見てもそうだ。
俺なんかはここで削るなんて初めて知ったから、仕方ない部分もあるだろう。だがどこの受付でも皆がコインを握って硬直しているのだ。
ミス1つで10万や5万を無駄にすると考えれば、大抵の人はそうなるだろう。
カルゴ「やべ…どうしようかな…」
フラン「夢ではどんな数字の並びだったの?」
カルゴ「覚えてないんだ…。状況しか頭の中には残らないんだよ、俺の予知夢って…」
フラン「う〜…」
受付嬢「
カルゴ「
運を天に任せて………!!
願いを込めて、大好きな人の名前をスクラッチに刻み込んだ。フランはこの宝くじをやらないのでその場から離れ、発表まで約1時間、近くにある喫茶店でまったりと待つ事にした。
カルゴ「…時間だ。行くか」
フラン「そうね!」
受付してから約1時間後の、午前3時。
当選発表の予定時刻なので会計をして店を出る。
店の中で同じく発表待ちの人から聞いたのだが、7桁の7等、14桁の7等、7桁の6等という風に交互に発表するらしい。
イカサマについても、聞いてみたことがある。
過去には1等の当選者がいた
「らしい」「らしい」とつけるのは、俺が尋ねたその人自身が見たのではなく、伝聞だからだ。
信憑性は、ほとんど0だと思っていいだろう。
フラン「まだかなまだかな〜♪」
カルゴ「14桁の2等を発表したからもう少しだ。Billionは特等って書いてあったから、多分夢では特等を当てたんだな。可能性は低いがな」
当たらないとわかっているのに、なんで宝くじを買ったのかと聞かれれば、俺はこう答える。
「夢では当選していたから当選するはずだ」と。
しかし、未来なんて変わりやすいものだ。「もし変わっていたら?」と問われれば、こう答える。
「そんな事実は無理矢理に捻じ曲げてやる」と。
目には目を、イカサマにはイカサマを、だ。
今夜このラスベガスの街に君臨し、大富豪となるのは…この俺、エスカルゴ・スカーレットだ。
男性1「
カルフラ「?」
唐突に俺たちの前に立ちはだかったガタイのいい男2人が、フランを見てニヤケている。
男性2「
早口で何言ってるのかよく分からんが…フランを見て……食べたいって言ったか?
want to eatって聞こえたんだが?
なるほど、俺をどうにかしてフランを拉致って…あんな事やこんな事をしたいってワケか。
つまり死にたいと。
カルゴ「
男性達「Oh......s,sorry...hahaha...」
硬い笑みを浮かべ、そそくさと俺たちから離れる男2人。それを見たフランは、背伸びをして俺の耳元で囁く。
フラン「ありがと!でもあの人たち、絶対に他の女の人にもやるよね」
カルゴ「違いない。まぁ、人間の事は俺たちには関係無い。人間の事は人間に任せるさ」
フラン「あれ……?エスカルゴなら止めさせると思ったのに…。あの男、どう見ても女の敵だし」
女の敵とか、それ俺にも当てはまってないか…?
カルゴ「なら止めさせるか。でも、殺すほかに、どうやって止めさせるんだ?」
フラン「?殺すのが手っ取り早くない?」
ケロッととんでもない事を言い放つフラン。こういう所はとても怖いが、同時にフランの魅力でもある。この残忍性がとても愛らしい。
カルゴ「…だな。操電『ボルトオペレート』」
弾幕に使うよりも電力を上げた、2発の超誘導性ホーミング弾を放ち、離れていく男達の頭頂部に当て、瞬殺する。この電力は自然の雷の数倍だ。接地の原理を使っても地に逃がしきれないので、必ず死なせることが可能である。
しかも、焦げを越えて炭となり、最終的には粉となって風に流されて散る。人混みがすごいので、誰が放ったのかわからないはずである。もし仮にバレても、光学迷彩やスキマがある。
カルゴ「さて、とうとう14桁の特等だ」
フラン「うんうん!番号は覚えてるわよね!」
カルゴ「もちろんさ」
そして、番号がアナウンスされる。皆は、固唾を呑んで耳を傾ける。
アナウンス「Eight, nine, zero, one, zero, one,
six, one, three, four, one, three, nine, eight!」
カルゴ「当たった!?」
フラン「ホント!?」
カルゴ「やべぇマジで当たったぞ!!」
続いて、アナウンスは当選者を壇上に呼ぶ。
名前を呼ばれたら、人混みを掻き分けて進もう。
アナウンス「
カルゴ「!?」
フラン「アンド…って、2人いるってこと?」
カルゴ「嘘だろおい…14桁の番号を狂い無く一致させるとかどんな確率だよ…」
計算したくねぇが、天文学的数字になるかも…?
カルゴ「とりあえず、行くか」
フラン「うんっ!」
数分後。高い壇上には、ギャング風の銀髪の男と俺とフラン、アナウンスをしていた司会者、取り巻きの受付嬢たちがいた。
眼下には外れた者達…観客がいる。
アナウンス「
カルゴ「嘘だろ!?」
フラン「え?え?早口でよくわからない…ジャンケンでなにするの?」
カルゴ「ジャンケンで決める…だってさ」
フラン「10億を!?」
カルゴ「あははは…参ったぜこりゃ…」
アナウンス「
司会者が、ジョニーにマイクを向ける。
Johnny「
大声で言い放って、観客たちに拳を突きつける。ハイテンションな観客たちは、それを見て大きな歓声を上げる。そしてジョニーは取り巻きである受付嬢の方をチラリと見た。気になり、俺もその受付嬢を見た。何やら焦った顔でガッツポーズをしている。もしやこのジョニーはサクラだろうか。
受付嬢が「負けないで!負けたらこの金がパーになる!」とか言っているように見えてしまう。
そんな事を考えていると、マイクが向けられた。
アナウンス「
カルゴ「
アナウンス「Oh!
カルゴ「Yes. It's a show time!!」
マイクを強奪し、そう叫ぶ。何も知らない観客はジョニーの時よりも大きな声で歓声を上げるが、取り巻きとジョニーは焦りの表情を浮かべる。
司会者は、何も知らないのか、それともポーカーフェイスなのか、笑顔を絶やさない。
カルゴ「
観客「Okay!!」
カルゴ「悪夢『魔王の子守唄』!!」
催眠効果のあるオレンジ色の炎を出して、それを空中に投げ放った。観客、取り巻き、ジョニー、司会者はそれを見た。見てしまった。観客たちが上げていた歓声はパタリと止み、まるで嘘の様な静寂が発表会場を包む。
カルゴ「『
マイクで、洗脳の言葉を全員の耳へと届かせる。
これで俺の勝ちは確定した。
カルゴ「
司会者にマイクを返して、続きを進行させる。
アナウンス「Okay. Are you ready?」
頷く俺とジョニー。
アナウンス「Okay!......Rock, paper, scissors,
one two three!」
ジョニーはパー、俺はチョキを出した。ここで、指を鳴らして、全員の洗脳を解いた。揺るがない現実を、全員に見せ付けるためだ。
アナウンス「Mr. Hasky is paper...Mr. Scarlet is, scissors!!
カルゴ「ふぅ…」
アナウンス「
観客「Foooooooooo!!」
Johnny「Noooooooooooo!!!」
取り巻き「C, congratulations......」
取り巻きは硬い笑みで手を叩き、ジョニーはその場でへたりこみ、司会者は若干声を震わせる。
司会者もグルだったらしい。
贈呈式は数時間後、客が帰ってから行うらしい。
暴動などを防ぐためだとか。俺たちはその建物の中に入り、粛々と式を行うそうだ。
そして、数時間後に贈呈式が始まった。しかし、受け取る前に確認しなくてはいけない事がある。
カルゴ「
受付嬢「Sure. I just arranged the items gathered from the participants so far.」
「これまでの参加者から集めたものを、キリよく並べただけですから」…とんでもない奴らだ。
カルゴ「…どう思う?」
フラン「本物って事でいいんじゃない?」
カルゴ「オッケー」
大量のアタッシュケースに入ったその金を、俺とフランの2人で受け取り…宝くじ会場のその場を離れる。それと同時に、スキマ空間にアタッシュケースを放り込み、手ぶらにする。
外はもう明るく、朝になっていた。
近くにある時計を見ると、午前6時だとわかる。ラスベガスに来て、6時間も経っているらしい。外の世界に来てからは実に12時間だ。幻想郷時間では、たったの3時間なのだが。
カルゴ「さて。あとはこれを両替するだけだな。10億か…こんな大金、どこで両替する?」
フラン「さぁ…。少しずつやって行きましょう、ゆっくり観光しながら♪」
カルゴ「それもそうだな」
と、手を繋いで街へ歩きだそうとしたその時。目の前にスキマが開き、紫さんが顔を出した。
紫「随分楽しんでるわねぇ」
カルゴ「うわっ!?」
フラン「…邪魔するなら消しちゃうよ?」
紫「物騒ねぇ。でも大丈夫よ、邪魔するつもりは無いから。ただ、エスカルゴの悩みを、今ここで解決してあげようってだけよ」
カルゴ「俺の悩み?………これの両替とか?」
紫「そう。10億なんて大金を、何年かけて両替をするつもりなのよ?そこらの両替所なんて、100万とかしか置いてないんだから。他の街もそう」
カルゴ「じゃ、大使館とか?」
紫「そんな大金を?色々手続きするわよ?パスポートもないのにどうするつもり?」
カルゴ「うぐ…」
創造しようにも、本物を見た事が無いし、質など不明瞭な部分が大きいので、そういう公的機関は頼れないのが現状である。
紫「そ・こ・で♪ 私が、ちょちょいのちょいっと両替してあげましょう♪」
カルゴ「10億ですよ?」
紫「まだまだあなたには幻想郷で役割があるの。いつまでも外の世界でダラダラされては困るから迎えに来たのよ。早くしなさいな」
カルゴ「役割…?」
…まぁ、そこを考えるのはまた今度にしよう。
考えた所で、答えは出てきてくれないのだから。
カルゴ「わかりました、スキマ繋げます」
紫「ええ、どうぞ。……わぁ、本物ね、これ…。えっと、今の為替相場は………昨日から奇跡的な釣り合いで、計算しやすくて助かるわ。あなたが昨日思ってた通り、100円=1ドルよ」
カルゴ「おー。……あれ?待てよ?この特賞って確か、1Billion…だったよな?」
フラン「うん」
カルゴ「嘘…マジで…?」
紫「あら、気付いた?ふふっ、10億円以外は私がくすねちゃおうと思ったのに、残念♪」
カルゴ「1billion……日本円だと1000億だぞ!?いや、どこで10億だと勘違いしていた!?」
フラン「えええっ!?」
カルゴ「国家予算レベル!?待て待て待て待て、そんなのをジャンケンで決めようってのかよ!?いや、絶対バカだろ!てか、どうやってこんなに集めた!?チケット代だけでこんな金額が集まるものなの!?おかしいだろ!」
紫「ええ、おかしいわね。でも、『違法』なら、いくらでもやりようがあるのよ。しかもここは、自由の国アメリカ。日本とはスケールが違うの。同じ『違法』でも違いは出るものなのよ」
カルゴ「ひえぇぇ…」
そんな会話をしていると、ウーウーとレミリアの唸り声パトカーのサイレンが聞こえてきた。
カルゴ「警察?」
紫「そうね。きっと、このカジノの連中が警察にチクったのよ。自分らも捕まるけれど、あなたの名前を教えて指名手配させるつもりよ。天国から地獄に突き落とすとか、酷い奴らね」
カルゴ「ケッ、死なば諸共ってか?」
フラン「こんな建物、壊しちゃえ!えいっ!」
手に《目》を集めたフランはそれを握り潰した。
豪勢で巨大な建物が、ただの瓦礫の山になった。
紫「よし、両替が済んだわよ。あなたのスキマにケースごと入れておくから後で確認して頂戴ね。さぁ、幻想郷に帰るわよ!警察が集まる前に!」
カルゴ「はいっス!」
フラン「うん!」
こうして、しっかり幻想郷に帰還した俺たちは、いつも通りの平和な日常に戻った。
この大金は…厳重に結界をかけた金庫に貯金し、必要に応じて引き出す事にしよう。どうせ、使う機会なんか滅多にないのだが。
次回こそエロだと思います。