俺が手をかざすと、それに同調してパチュリーが床に叩き付けられた。この謎現象の原因は恐らく母さんが関わっている。即ち、先日の能力付与。
『超能力』『重力操作』のどちらなのかは、まだ不明だが。…まずは母さんに聞いてみることだ。
カルゴ《母さーん?手を翳したら、パチュリーが床に叩き付けられたんだけど?》
神綺《……》
カルゴ《母さーん?》
神綺《はぁ…》
カルゴ《!?》
ちょっと待てよ、なんでそこで溜め息つくの!?
神綺《だって…ねぇ…。折角新しい能力をあげたのに、こんな地味な形で発動しちゃうなんて…。最初の発動には条件もつければ良かったかしら》
カルゴ《どゆこと?》
神綺《『俺はここで負ける訳には行かねぇ!絶対に勝つんだ!』みたいな感じで、戦闘中…しかも劣勢の時に覚醒して欲しかったわ〜……。とてもアニメチックな上に、とってもカッコイイ発動の仕方じゃないかしら?》
カルゴ《あ〜…言いたい事はわかった》
子供に花を持たせたがる母さんらしい考えだな。母さんの場合は、花どころか花束…いいや、花屋そのものを持たせたがってるような気さえする。確かに、そうやって覚醒した方がカッコイイかもしれない。ヒーローっぽい。最も、俺はヒーローという器ではないのだが。
神綺《偶然に発動しちゃうとは…迂闊だったわ。でも、もう何の能力かわかったでしょう?》
カルゴ《超能力か重力操作のどちらか…かな》
神綺《そうよ。でも、超能力って言っても、1つしか与えてないわ。代わりに別な能力を1つだけ与えたけど…やっぱり後天的だから、欠点は少しできちゃったわ…ごめんなさいね》
カルゴ《いや、それはそれで面白いからいいよ。どうにかして克服できるかもしれないし》
神綺《やっぱりカルちゃんは前向きね。お母さん安心したわ》
カルゴ《へへっ。…いや待て。超能力が1つで、別な能力を1つ?てことは、俺が昨日与えられた能力は2つっていうことか…?》
神綺《んー……それは、その人の解釈にもよるんじゃないかしらね。でも今思えば、あげた能力、なんだかどちらも似てるのよね〜…お母さん失敗しちゃったかも…》
カルゴ《え、マジで何の能力なの?》
神綺《昨日あげたのはね、『念動力と重力を操る程度の能力』よ。似てるでしょ?》
カルゴ《あー…確かに似てるね》
神綺《欠点も聞く?》
カルゴ《……うん、教えて欲しい》
少し悩んだが、結局、聞いておくことに決めた。本当なら自分で模索したいところだが、やはり、時間は短縮したい。対策を早く練るため、という意味合いも勿論ある。
神綺《念動力の方は、カルちゃんの精神力を削る仕様になってるわ。平たく言えば、使い過ぎると精神が疲れるってことね。重力操作の方は、微量だけど魔力をエネルギー源としてるわ。そして、そのどちらも、能力をかける対象の質量が大きいほど、精神力・魔力の消費も大きくなるの》
カルゴ《Oh la la…魔力が少ないのに魔力が力の
源になってるのか……。まぁ、重力操作の魔法を習得するよりもずっと楽なわけだからね、贅沢は言わないよ。ありがとう、母さん》
願望が叶ったとあって、心からのお礼を伝える。
『絶対的な力』を操れる。これはかなり大きい。
神綺《あら、結構大きな欠点なのに、お礼なんて言われちゃった。カルちゃんが優しくてお母さん嬉しいわ♪》
カルゴ《なーに、この程度。…念動力は上下左右斜め全ての方向に操れて、重力は上下のみ、か。これさえ分かってりゃ、意外と何とかなりそう》
神綺《どちらも『〇〇する』とかイメージすれば発動するしねぇ…。やっぱりかなり似てるわ…》
カルゴ《なるほどね。さっき発動したのは、手をかざしながら『こうやって重力とか操れたらな』とかなんとか考えてたからか》
神綺《そう。流石カルちゃん、読みが早いわね》
カルゴ《まぁね。ところで、これって手のひらをかざさなきゃダメ?指じゃダメなの?》
ヤ〇〇ャの繰気〇みたいに、指で操ってみたい。
斉〇〇雄はノーハンドでも
神綺《手のひらって制約はつけていないはずよ。指でもイけると思うわ》
カルゴ《ふむ…。やってみる》
能力についての探りを入れ終えた俺は、小悪魔のスカートに人差し指を向ける。そしてそのまま、指をクイッと上げてみる。
小悪魔「ひゃわわわっ!?す、スカートがっ!」
カルゴ「ふむ、濃いめの紫か。似合ってるな」
小悪魔「エスカルゴさんんんっ!?///」
カルゴ「ん?」
スカートを押さえて、顔を赤らめる小悪魔だが、対する俺は、悪びれもせずに返事をする。実際、スカートめくりに関しては、常習犯なのだから。
(文に対しては。)
小悪魔「急にスカートを捲らないで下さいよぉ!心臓に悪いですっ!」
カルゴ「悪い悪い」
小悪魔「全くもう…///」
ぷっくりと頬を膨らませた小悪魔は、照れ笑いを浮かべながらモジモジしている。エロスイッチを入れてしまっただろうか。ならこの後はちゃんと相手をするべきだろう。
カルゴ《なるほど、スカートめくりが楽だね》
神綺《あはは…。スカートは軽いからね、精神もそんなに剃り減らさないはずよ》
カルゴ《ふむ…。これ、かなり汎用性高いな》
神綺《そうでしょう?》
カルゴ《武器を降らせる際に、重力を操ってその速度を上げたり、武器を念動力で操る。今パッと思い付いただけでもこれだけの事が出来るとは。練習次第で何とでもなりそうだ》
神綺《そうね、練習は大事ね。だけど、精神力はあまり無駄遣いしちゃダメ。わかってるわね?》
カルゴ《ああ、もちろん》
神綺《頑張ってね。お母さん応援してるわ》
カルゴ《ありがとう》
これで、新たな能力の謎は解けた。ただ、かなり強い力なだけあって、狂気や闇よりずっと反動が大きい。そこだけが、唯一不安な点だ。
重力操作の練習をしたい俺は、パチュリーの机へ向かう。1つ教えてもらいたい魔法があるのだ。
カルゴ「パチュリー様。あの魔力吸収結界を俺に教えて下さい。そうすればパチュリー様の負担が減ると思うのですが」
パチェ「あ。…はぁ、私とした事が…。そうね、それが一番手っ取り早いわね。結界を張るのにも魔力は消費するから、結界を張ったら魔力を回復させなさい。そうすれば無限に練習できるから。でも、結界から出たら、吸収した魔力は霧散して自分に返ってこないから気を付けて」
カルゴ「結界が吸収した魔力を再度取り込むには結界内に居なければいけない…。了解しました」
パチェ「じゃあまた口で言うからよく聞いてて」
カルゴ「…はい」
数分後
パチェ「説明は以上よ。あとの事は、あなたなら1人でやれるわね?」
カルゴ「ええ」
念動力はリスクが大きいので、重力操作する練習だけをやろうと思う。…しかし、魔力吸収結界はこれからも多用するはずなので、スペルへと昇華させた方が、詠唱の手間が省けるというものだ。そしてそれから数分後、魔力吸収結界をスペル化してしまった。やはり、楽はするものだ。
約2時間後
カルゴ「よし、少しは慣れた。小悪魔、ちょっと実験に付き合ってくれないか?」
小悪魔「喜んで!」
カルゴ「…大魔術『魔力吸収結界』」
小悪魔を近くに呼び寄せ、再度結界を張り直す。
これでもう魔力を消費する心配は無い。プラマイゼロになるとは、本当に素晴らしい魔法だ。
カルゴ「まず、小悪魔にかける重力を普通の半分にする。普通が9.8…いや、面倒だから10として…とにかく、重力を半分にするから」
小悪魔「わかりました!」
カルゴ「……ジャンプしてみて」
小悪魔「はい!…ひゃあっ!?高っ!」
ジャンプすると、普段の倍ほど高く飛び上がった小悪魔。重力を軽くしたからだ。うまくすれば、限られた空間内とはいえ、無重力も作れることは机と椅子で検証済みだ。両方に同時に力をかけたからか、消費はとても激しかったが。
カルゴ「よし。次は強くするよ。5倍くらい」
小悪魔「わ、わかりました!」
カルゴ「……セイッ!」
小悪魔「ふぎゃっ」
先程のパチュリーよりも強くビターンと勢いよく床に叩き付けられてしまった小悪魔。身体強化をして立ち上がったが、足はガクガク震えている。
カルゴ「やっぱ5倍でもキツイのか」
小悪魔「ジャンプどころか…屈伸したらそのまま倒れちゃいますよこれ…!」
カルゴ「ふむ」
小悪魔「って、おっぱい!おっぱいが垂れちゃいますよ!解除して下さいぃぃ!」
カルゴ「あっごめん」
小悪魔「ふにゃあ…疲れました〜……」
能力を解除すると、小悪魔も身体強化を解除。
と同時に、ヘナヘナと床に座り込んだ。やはり、対象はかなり疲労するらしい。さて、これをどう弾幕ごっこに取り入れよう。可能性は広がるが、使い方を誤れば大変な事になる。
…しばらくは、この能力で遊ぶことにしよう。
そうしているあいだに、きっと、面白い使い方が思い付くはずだ。