ゴチャゴチャと忙しかったパーティから数日後。
俺は、博麗神社の縁側にて、まったり横になって平和な時間を享受していた。しかし、常々休息を欲している俺なのにも関わらず、突発的にある事を閃いた。
何故か、誰でもいいから戦いたいと思う。
俺は戦闘狂だったのだろうか。否、違うはずだ。
カルゴ「霊夢ー。なんか戦いたい。戦お?」
霊夢「面倒臭いからイヤ」
カルゴ「そろそろ本気の霊夢と戦いたいなぁ…」
すると、ピクリと反応して身体を起こす。
霊夢「本気を出させまいとするあんたらしくないけど…なにか心境の変化でもあったわけ?」
カルゴ「うーん…心境の変化っつーか…勇儀とも幽香とも本気の勝負をしたのに、霊夢とだけは、未だにした事ないなって思ってさ。そこそこ長く一緒にいるのに。まぁそれは俺のせいなんだが、そろそろ霊夢とも本気の勝負をしたいなーと…」
霊夢「ふーん…」
カルゴ「『ふーん』って…」
霊愛「お父さんも強いけどさ、お母さんには到底適わないと思うよ?だって博麗の巫女だし」
そんな霊愛の言葉に、霊麗も頷いて同調する。
因みに2人は「博麗の巫女最強説」を推してる。
現に、2人の母親である霊夢は数々の異変を解決しているので、あながち間違いでもないと思う。
カルゴ「俺だってそこそこは強いぞ?」
霊愛「知ってるよ、そんなことは。でもそこそこでしょ。お母さんの方が圧倒的だよ」
カルゴ「霊夢の方が強いのは知ってるさ。でも、だからこそ戦いたいんだよ」
霊愛「わっかんないなぁ…力を節約したがってるお父さんらしくないね?」
カルゴ「それは日常生活において、だな。本気の勝負は節約なんてしないよ」
霊愛「…てゆーかさ…今までずっと思ってたことなんだけどさ…」
カルゴ「ん?」
霊愛「私よりちょっと強いからって、調子乗ってない?割と偉ぶったり強がったりしてるけど本当はそんな強くないんじゃない?自分の子供だから弱点を把握してるってだけでさ」
カルゴ「弱点を突いて何が────」
何が悪い、と言おうとしたその時。居間に乾いた音が響き渡り、気付けば霊愛は畳に倒れていて、そばには怒りを露わにする霊夢がいた。
霊愛「ったたた…」
霊愛は頬を押さえながら起き上がり、妹はそんな姉を支えている。霊夢に平手打ちされたらしい。速くて見えなかった。
霊夢「あんた、いい加減にしなさいよ?コイツの本気を見た事もないクセに、よくもまぁそんなに言えるわね?」
霊愛「はぁ…?お父さんの本気なんてこれまでの宴会で見てるよ…。館や庭が跡形もなく吹っ飛ぶくらいの…」
霊夢「そんなのが本気?鼻で笑えるわね」
霊愛「館を吹っ飛ばすのが…?」
霊夢「あんたらが生まれるよりも前の話だけど…妖怪の山の裏にあるクレーター、あれはコイツの仕業なのよ?それでも本気ではないけど」
霊愛「なんか前にその話聞いたような…」
霊麗「解放区の時に茜から聞いたね」
霊愛「多分それ…。でも、私達が生まれてからはそんな力出したことないじゃない。昔よりも弱くなってんじゃないの?」
霊夢「……どうやら、自分の目で見た事しか信じないらしいわね。私は、そんな視野の狭い子供に育てたつもりは無いんだけどね。…わかったわ、外行きましょう。丁度良い機会よ、自分の子供に力を見せ付けてやりましょう」
カルゴ「…なんか思ってたんと違うなぁ…。ま、戦ってくれるんなら嬉しいけどね」
壁に立て掛けてある二振りの剣を掴み、背負い、ノソノソと立ち上がる。なぜこんな展開になったのだろう。会話を思い返してもよく分からない。
霊夢「今回は私も本気で行くわ。その代わりに、あんたも本気で来なさいね」
カルゴ「本気になった霊夢を相手にして手を抜くほど、俺は強くはないさ」
霊夢「父親の威厳、見せ付けてやりなさい」ボソッ
カルゴ「おう」
神社から飛び立った俺達は、神社から遠く離れた幻想郷の隅へ…広々とした平地へとやってきた。ここは里からも遠く離れており、まともな人間は絶対にここまで来ないし、来れない。野良妖怪もここまではやって来れないし、生息していない。どれ程進んでも出られない仕掛けが施されている幻想郷だからこその現象だ。
霊夢「ここだったら結界無しでも周りを気にせず戦える。あんたも存分に力を発揮出来るでしょ」
カルゴ「ああ。防護の結界は要らないよな?戦場じゃなくて子供達の方」
霊夢「勿論。必要とあらば自分で張るでしょう、あの子達なら」
50mほど離れてこちらを見ている子供達をチラ見して、ニヤリとほくそ笑む。嫌な予感がするのは気のせいだろうか。気のせいであってほしい。
霊夢「ルールなら……相手を殺さないってだけで良いわよね?」
カルゴ「良いよ、それで。霊夢も俺も枚数制限は無しでやろう」
霊夢「あんまり多くは使わないつもりだけどね。主に使うやつとか、大体決まってるし」
カルゴ「俺もだ」
霊夢「…なんか…レミリアじゃないけど…。私、ちょっとワクワクしてきたわ♪」
お祓い棒を手のひらに叩きつけ、ニコッと微笑む霊夢。動作は怖いが笑顔が可愛いのでどうしてもこちらもニヤついてしまう。
カルゴ「よしっ…始めっか!」
霊夢「ええ!せいぜい死なないことね!」
カルゴ「そっちもなっ!」
霊夢は強化したお祓い棒、俺は漆黒の剣を構え、とうとう俺達は、本気の弾幕ごっこを開始した。