※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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鈴仙争奪戦

ったくよ、この前妖夢争奪戦したばっかりだっていうのに…なんだってこう争奪戦ばかりなんだ?

平和なハーレム建設を建設する上で、本当に邪魔でしかないよね。まぁ、彼女同士での喧嘩は霊咲以外見掛けないけどさ。

…つーかこの2人…色々とやべぇぞマジで…。

 

へカーティアは黄色い弾幕を、純孤は青白く光る弾幕を発射してくるのだが…まずへカーティアの弾幕がえげつないほど速く、純孤はとてつもなく高密度である。この密度だったら、1対1でさえ避けるのにはかなり苦労するだろう。

恐ろしく速い弾幕…俺でなきゃ被弾するね。

ましてや2対1では明らかに分が悪い。俺の放つ弾幕も、2人の高密度な弾幕に邪魔され、標的に全く届いていない。こんな事は初めてである。

フランが4人でようやくこの密度…だろうか?

いいや、フランが4人の方がずっとマシだ。この密度は、フラン8人分ほどあると思う。

 

ヘカT「あらぁ?さっきから押し黙っちゃって、どうしたのかしらぁ?」

 

純孤「やはり、所詮男は口ばかり…」

 

カルゴ「っ…誰が口ばかりだってぇ…!?」

 

純孤「苦悶の表情を浮かべて避ける姿を見せて、お前はそれでも口ばかりではないと?」

 

ヘカT「懸命に発射してるようだけど、あなたの弾幕、こっちにはま〜ったく来てないわよん?」

 

カルゴ「へへっ…そりゃそうさ。妖怪のくせに、妖力弾の発射はてんで苦手なんでね。俺の本分はこっちさ!」

 

妖力弾の発射を止めて、電力弾に切り替える。

すると、途端に密度を増し、少しではあるが2人の弾幕を押し始めた。だが、まだ届きはしない。

通常弾幕ではこれが限界らしく、2人の高密度な弾幕の相殺が精一杯だ。

 

純孤「その様に数多の女を手に入れようとして…自分のやっていることがわかっているの?二兎を追う者は一兎をも得ずという言葉を知らない?」

 

カルゴ「いいや違うね、その言葉は正しくない!二兎を追う者だけが二兎を得るんだよ!俺は俺の望むもの(幸せ)を全て手に入れ、俺たち全員にとっての理想の世界(平和なハーレム)を創り上げてみせる!」

 

もっとも、俺が追ってるのは16兎なんだけどな。

2兎どころじゃねぇや。

 

純孤「世迷言を…。へカーティア、少しだけ私にやらせて。『震え凍える星』!!」

 

カルゴ「ッ!!」

 

へカーティアは頷いて引き下がり、純孤が出る。

符名の無いその弾幕(スペル)は、2人の弾幕が合わさった時のような高密度さで、しかも間隔が狭く、速く迫ってくる。1人分のスキマがある程度だ。

難易度的に表すなら…そう、Lunaticよりもさらに上の難易度を思わせる様なとんでもない弾幕だ。

とてもじゃないがスペルカードルールをキチンと理解しているようには思えない。

ギリ避ける隙間があるので、辛うじてルール内?という、所謂グレーゾーンに感じられる。

弾幕の配列としては割と単調な並びなので、目が慣れれば楽に避けられるようになる。だが俺は、目が速さに慣れるまで待つつもりは毛頭無い。

 

カルゴ「殲滅『Breath of Thunderstorm』!!」

 

バリバリと雷を纏った右腕を振るって、目の前の弾幕を掻き消し、それと同時に大きく羽ばたく。エネルギー波の真後ろを進んでいるので、被弾の心配は無い。

 

ヘカT「純孤っ!」

 

純孤「こんなエネルギー波、避けるまでもない」

 

ヘカT「じゃなくてその後ろよん!」

 

純孤「え」

 

カルゴ「魔剣『妖魔雷霊剣』!」

 

弾幕を沢山掻き消してきたので、エネルギー波は弱まっていた。だから純孤は、それを楽々弾く。弾いて無防備になった隙に、俺が突撃したのだ。その手には、漆黒の妖魔雷霊剣が握られている。

 

カルゴ「『風の傷』ッ!!」

 

標的の目の前で拡散する衝撃波を放った。純孤は後方に吹き飛ばされて、弾幕の発射を中断する。へカーティアはすかさず純孤の救助に向かう。

 

ヘカT「純孤、大丈夫!?」

 

純孤「ああ、服が少し破れてしまったわ…。手を抜いていたとはいえ、これは…。まだまだ、私も甘かったわね。思ったよりも手練らしい…!」

 

カルゴ「うっ…!」

 

純孤から感じられる力が、格段に跳ね上がった。

紫色の尻尾のようなオーラが7本見える。これが純孤の本気…なのだろうか。だとしたらちょっとまずいかもしれない。もう少し力を出さねば。

 

カルゴ「紅眼『吸血鬼の本質』!そんでもって、禁光『完全無差別光線』!!」

 

小さなスキマを乱発させて、その中に細い光線を撃ち込んでいく。スキマの出口は、様々な場所に開かれる。スキマを多数開くこと(・・・・・・)に集中しているので、座標の指定(・・・・・)が未だに困難だ。俺の頭はそこまで器用にできていない。

だから暴走していなくとも完全に無差別なのだ。

 

純孤「っ…どこから来るのやら…」

 

ヘカT「へぶっ…ちょっとぉ、戦線を離脱してるのに頭狙わないでよぉ!」

 

 

 

ピース「大丈夫ですかご主人様ー!ふぎゃあっ!危ないだろエスカルゴー!コラー!」

 

鈴仙「ホントにランダムなのねー…怖い…って、もし永遠亭に落ちたら…」

 

永琳「結界張っておいたから安心して」

 

鈴仙「流石ですお師匠様…!」

 

永琳「エスカルゴって、力及ばないと判断したらヤバい力に手を出すからね。多分今回もそうよ。今でこそ互角だけどね。何事も予防は大事よ」

 

鈴仙「…あっ、予防といえば。そろそろ外の世界ではインフルエンザが流行る時期ですね。それが終わったら次は幻想郷に…今年はゴメンです…」

 

永琳「来月あたり、無料で受けられる予防接種の期間でも設けましょうかね。材料費や宣伝は全部エスカルゴにやってもらうけど」

 

鈴仙「あははー…」

 

 

 

カルゴ「ッ…!やっぱり広範囲に被害が出るな、このスペルは…。まだ控えるべきかな…」

 

もう少しでピースに当たる所だったぜ…。でも、これって俺の頭の構造の問題だから、今すぐにはどうこう出来ないのが現状なんだよなー…。

数こなして慣れるしかないのかな。かなり疲れるから、あんまりやりたくないんだよね…。

 

地上からこちらを見ていたクラウンピース達にも被害が及びそうになり、スペルを中断した。だがそれを見た純孤は、好機とばかりに次のスペルを発動させた。

 

純孤「戦闘中に余所見とは、随分と余裕なのね?『純粋なる狂気』!!」

 

カルゴ「うわわわっ…!」

 

へにょへにょと曲がる細いレーザーを発射して、本人は余裕そうな黒い笑みを浮かべている。純孤の笑みは、どことなく黒いような気がする。

そしてその細いレーザーは、ある程度進むと引き返してくるらしい。続けて発射されるレーザーとクロスする瞬間があって、どうにも避けづらい。

そもそも俺は、こういう曲がる系の弾幕がすごく嫌いで、苦手で、イラつくのだ。

 

カルゴ「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!イラつく!!吹き飛べ、雷爆符『ペタサンダー』!!!」

 

純孤「ぐっ……!」

 

ヘカT「わよーんっ!?」

 

怒りに任せて、5割の電力を放出してしまった。

冷静になって、かなり勿体無いことをしでかしたとは思ったが、本人にもダメージを与え、尚且つスペルも中断させられたので、良しとした。

 

純孤「今の圧は…凄かった…。思ったよりずっと力を隠しているようね。隠すのがお上手なのね」

 

カルゴ「圧倒的勝利より、相手より少し上の力で勝つ方が面白い。爽快感は劣るけども…」

 

純孤「へぇ…随分と、面白いことを考えるのね。

…けど、次のこのスペルにあなたは耐えられる?

『殺意の百合』!」

 

カルゴ「…また曲がる系かよクソ…!」

 

太めの紅いレーザーが1本、それに続き、へにょへにょと曲がる同色のレーザーが数本と、細かい弾幕がバラバラと飛んでくる。レーザーの形だけ見れば、確かにユリの花に似ている。

百合のレーザーが出るまでのプロセスとしては、大きめの弾を放ち、そこから百合レーザーを発射しているらしい。

すると純孤は、その種となる大きな弾を5つほど一気に発射して、そこから大量のレーザーを乱発してきた。曲がるレーザーや細かい弾幕のせいで思うように動けない。このような狭苦しい思いをしたのは、永琳のスペル以来かもしれない。

もしくは母さんの弾幕以来だ。

 

純孤「5つじゃ足りない…か。それなら…!」

 

カルゴ「うおおっ!?」

 

“種”を7つほど一気に放ち、そこからレーザーの花が咲いた。弾幕の密度はフランの「スターボウブレイク」を遥かに超えている。

 

カルゴ「ッ…ウギギッ……イッテェ…!うわっ、青アザになってら…」

 

レーザーが止んだ隙を突いて、まともに被弾した両腕を見る。治りつつあるが、酷い怪我をした。一応スペルカードルールだというのに、殺傷力をここまで上げてもいいのだろうか…?

 

純孤「寧ろ何故それで済んでるのかしら…(汗)」

 

カルゴ「一応傷ついた瞬間に再生してるからな。不老不死&吸血鬼の再生力を舐めちゃダメだ」

 

純孤「不老不死…お前も蓬莱の薬を…!」

 

カルゴ「いんや、俺は吸血鬼ならではの術を己に施したってだけなんだけども」

 

純孤「嫦娥もまた不老不死…益々許せん…!」

 

カルゴ「その嫦娥ってのを引き合いに出されても俺からは何ともなぁ…」

 

純孤「やはり、うどんちゃんには相応しくない。私がこの手で滅してくれる…!」

 

カルゴ「……」

 

なるほど。純孤は鈴仙のことが気に入ってるが、それとつるんでる俺のことが気に入らないから、相応しくないだとかどーのこーの言うわけね…。

 

カルゴ「誰がなんと言おうと、俺は倒せないよ。何たって不老不死だからな」

 

純孤「ならば、再生能力が機能しなくなるまで、甚振ってくれよう!お前のその思いが本物ならば突破出来るだろうが、わずかでも迷いがあれば、そのような事は絶対に不可能だ!証明したくば、突破して見せよ!純符『純粋な弾幕地獄』!」

 

お、今度は符名ありなのね。さっきまではずっと無しだったよね?鈴仙や霊夢を含め、他の人って符名無しなのが大抵ラストワードだけど、純孤はまさか…ある方がラストワードだったりして…?

 

…とは思ったが、どうやらそうでは無いらしい。そこそこ高密度で速い弾幕が発射されているが、そんなに難しくはない。

だが、相殺して気絶させて終わりにしようかな、といういつもの結論に至った瞬間、弾幕に変化が表れ始めた。

 

カルゴ「…おっ?」

 

赤い弾幕が一旦消えて、次に発射され始めたときには紫の弾幕が混ざり始め、密度がおよそ2倍になった。第2波ということらしい。

 

カルゴ「なるほどね、本番はこれからってか!」

 

そういえばこのスペルの発動直前…甚振るだとか突破だとか、このスペルに結構自信があるような発言が散見された。…いや、「あるような」ではなく、自信が「ある」のだろう。

そしてまた、次の瞬間。第2波であったはずの、赤と紫の弾幕が一旦全て消え、第3波が発射され始まった。次は赤と紫と青の弾幕だ。しかも少し速度が上がっているような気さえする。

密度は第1波に比べおよそ3倍。油断ならない。

本当なら翼を出して空中の移動速度を上げたい。しかし、慣性の法則によって細かい移動が困難になるかもしれないので、弾幕が高密度な今それを行ったら自殺行為だ。

 

カルゴ「雷鎧『サンダーアーマー』最大出力!」

 

被弾してもいいように、と保険のために鎧を装備した俺。しかしいつの間にか、弾幕は第3波から第4波に替わっていた。次は、直線的な動きの、鈴仙の弾幕に似た弾幕を発射してきた。

高密度、斜めから、そして動きを封じるような、直線的な弾幕。これも、俺の苦手なパターンだ。

そうやって攻めあぐねているうちに被弾に被弾を重ね、鎧は脆くも崩れ去ってしまった。やはり、殺傷力が高い弾幕だと鎧の効果も薄いらしい。

 

カルゴ「ぐっ……ぐぁあっ…!ってて…」

 

足や手、腹、頭…文字通りに全身に被弾をして、徐々に痛みすらも感じなくなってきた。当然だが再生はしている。しかしあまりの高密度さに俺の再生力すらも追いついていないらしい。

皮がめくれ、赤い肉が見え始めた。

 

純孤「どうした、そのまま被弾をし続けるのか?だが私のスペルの時間はまだまだ終わらないぞ!どうやら、私の思いの方が強かったと見えるな!当然の事だが!」

 

カルゴ「ぐぉぁっ…くぅっ…うぅ…!」

 

やばい、こんな高密度な弾幕は初めてで、対処が遅れちまった…!このままじゃ気絶しちまうぞ…舌を噛み切っても全然かよ…。

この弾幕を突破できる、トンデモ威力のスペルを発動させなきゃ、俺は負けちまう…!

もし負けたら何を言われるかわからない。鈴仙と別れろだなんて言われたら…別れねぇけど色々と面倒な事になりかねない。やっぱ勝たなきゃな。

俺の辞書に「霊夢以外に負ける」の言葉は無い。

 

カルゴ「もう、キメてやるぜ…純孤ぉ…!!」

 

純孤「ふん、既にボロボロで剣すら手放しそうになっているお前に何が出来ると?」

 

カルゴ「っせ…俺が勝つっつったら勝つんだ…!ゲホッ、俺はお前には負けねぇ!!」

 

腹に被弾し続けたせいで臓器を傷つけたらしく、血の混じった唾液をペッと吐き出す。口の中が、鉄の味でいっぱいだ。後でうがいせねば。

 

カルゴ「全てを貫き…穿て!スペルカード発動!

『雷霤撃波(らいりゅうげきは)』!!!」

 

剣を純孤に向け、残りの電力と剣に込めた電力を全てレーザーの形にして解き放つ。

 

純孤「っっ…ここまでの力…どう、して…!?」

 

カルゴ「これが俺の思いだ、純孤ォォォォォ!!ハァァァァァッッ!!!」

 

純孤「うぅっ……うわぁぁぁぁっっ……!!」

 

純孤の弾幕を掻き消し、本人も貫き、電力を放出仕切った俺は気絶し、竹林へと落下する。対する純孤は、同じく落ちようとしたところを、へカーティアに受け止められた。

 

鈴仙「危なーいっ!……ふぅ…」

 

ピース「Wow!ギリギリの超ファインプレー!」

 

俺の身体は鈴仙によりギリギリでキャッチされ、決着がついたのかうやむやしたまま、俺と純孤は永遠亭の布団で寝かせられた。

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