カルゴ「……あ…ぅ…」
鈴仙「! 起きた!」
永琳「あら、やっと起きた?おはよう」
カルゴ「おはようござ…あれ、なんで布団?」
鈴仙「純孤さん倒した後、気絶しちゃったのよ。気が抜けたから?」
永琳「電力が枯渇したから、でしょ。気を抜いて気絶するなんてエスカルゴらしくないわよ」
どうやら、最後に極太レーザーを放った後、俺は気絶したらしい。倒したところまではしっかりと記憶しているのだが…。そして、しっかり電力が枯渇している。ナイフすらも作れないようだ。
あまり回復していない所を見ると、そこまで長い時間眠っていた訳では無いらしい。
永琳曰く「およそ20分かしらね」とのことだ。
確かにその時間では、まともに回復は出来ない。
電力がゼロだと体も重いので、にとりの充電器を取り出して手首に突き刺す。布団の中で行ってるので、充電を初めて見るだろうクラウンピース達3人に驚かれることは、多分無いだろう。
さらに、俺がいたその部屋に、クラウンピースがドタドタと駆け込んできた。来ると思っていた。
ピース「先生〜、友人様も目覚めてました〜!」
永琳「そう、それは良かったわ。全身が痺れたと思うけど、あの人なら大丈夫なんでしょうね」
ピース「もう普通に歩いてます!あっ来た来た!こっちですよご主人様、友人様!」
へカーティアの後ろに隠れるようにして、純孤は部屋に入ってきた。なぜ隠れているのだろうか。支えられているという感じではない。
ヘカT「中々やるわねぇ、あなた。純孤が負けたから、私も降参するわよん。ほら、あなたからも何か言いなさいよん、元はと言えばあなたが吹っ掛けた喧嘩でしょう?」
純孤「そ、そうだけど…どの面下げて彼に会えば良いのかわからなくて…。酷い事言ったし…」
酷い事言ったっていう自覚あんのかよ。相応しくないだの、口だけだのとよくも言ってくれたな。怒ってるっつーか、グサッときたわアレ。
ヘカT「フツーで良いのよん!しゃんとなさい、モジモジしてるなんて純孤らしくないわよん!」
純孤「ひゃっ…」
にしし、と笑うへカーティアに、前面に出される純孤。負けたのが悔しいのか、目は泳いでいるし顔も若干赤くなっている。
ヘカT「ほーら!時間の無駄よん!」
背後から純孤を急かすへカーティア。一体、何を言うつもりなのだろうか。検討もつかない。
そして、意を決したように口をキュッと結んで、しっかり俺と目を合わせる純孤。だが、みるみるうちにその顔がさらに赤く染っていく。
純孤「その、えっと…何て言えば良いのか…よく分からないんだけど…。色々、酷い事を言って…ごめんなさい…ね?」
カルゴ「別に良いよ。もう気にしてないし。でも俺が勝ったから、もう文句は言わせない」
純孤「うん、わかっているわ。…弾幕を通じて、あなたのその真っ直ぐな思いが伝わってきたの。遊んでるように見えて芯はしっかりしてるのね。女を多く囲ってるからダメな奴っていう先入観が悪かったわ。あなたのような人も居るのね」
カルゴ「…まぁ、ね」
まぁ俺は、T○○OVEるの○トみたいに下心ゼロ
ってわけでは無いけどね。俺とアイツの違いは、
僅かでも下心が有るか無いかだ。俺は…不可抗力
とはいえ、断る勇気が無いから女が増え続ける。
リ○みたいにメリハリつけられたらなぁ…。
ヘカT「そ・こ・で!純孤からもう1つ、お話があるのよん!エスカルゴ君に!」
カルゴ「へ?」
純孤「へへへへカーティア!?まだよ!まだ早いわよぉぉ!何でもないから気にしないで!ね!」
カルゴ「え…えぇぇ?」
バサバサと振袖を動かしながら焦りに焦る純孤。
気にするなと言われると、余計に気になる。
ヘカT「善は急げ、思い立ったが吉日よ、純孤!今こそそのチャ〜ンス!イェイ♪」
純孤「無理無理無理!無理だからぁ!」
永琳「…ふふっ…なるほど。だったら、私は席を外させてもらうわね。後は若い人達に任せるわ」
永琳に言わせたら幻想郷に居る全員若いだろ…。
紫さんですら1万歳イッてないらしいし。輝夜は何歳くらいなのか、全然聞いたこともないけど。
そして永琳は部屋を出て、部屋には、未だ布団に下半身を突っ込む俺と、俺の左側に正座している鈴仙と、右側には純孤達3人が残った。
ヘカT「あなたも彼みたいに素直になるのよん!大丈夫、私が応援してるわよん!」
純孤「だってぇ〜……出会ってまだちょっとなのに…」
ヘカT「お気に入りのうどんちゃんもそうだったって、さっき賢者が言ってたでしょ!」
鈴仙「え、私が…何ですって?」
ヘカT「うどんちゃんと出会って付き合い始めた経緯、あなた達が帰って来る前に聞いたのよん。まさかうどんちゃんが一目惚れだなんてねぇ」
鈴仙「えへへ……って、まさか…!?」
ヘカT「そう!その真っ直ぐな思いに打たれて、キュンキュンしちゃったんだってぇ〜!キャー♡
だからこぉんなに照れまくってるのよ〜♪」
うどカル「えええええええっっ!?」
というかへカーティアって外の女子っぽいな…。
恋バナとかめっちゃ好きそう。特に純孤のが。
ヘカT「さっきなんてねぇ、『どうしようへカーティア…。私、恋しちゃったかも…』なぁんて、私に抱きついて来たのよん?ピースが来る前ね」
純孤「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!へカァァァァ⤴ティアァァァァァ⤴⤴⤴⤴⤴!!!!!」
ヘカT「むぐっ!?」
声が裏返ってる!?
ヘカT「ぷはっ…どうして彼が気になってるの?本人も、理由がわからなくて困惑してるわよん?話してあげたら?」
純孤の口塞ぎから逃れて、会話を先に進めようと促す。すると、途端に純孤は照れ始める。
純孤「…だって…あの人と違って、ずっと誠実で寄り添っててくれそうで…子供っぽく見えるけどそういう所はしっかりとしてて…なんかもうよく分からないけど…好き……かも…しれなくて……///」
ヘカT「目覚めてからずっとこの調子なのよん。布団の上で転がり出した時は、頭おかしくなったのかと疑ったものだけど…」
鈴仙「転がる!?」
ピース「マジですかい友人様…。あなたまで…」
ピースまで、ヒクヒクと顔を引き攣らせている。俺もだ。というか純孤が転がる様子があまり想像できない。
ヘカT「てな訳で、エスカルゴ君はどうする!?純孤があなたに惚れたそうよん!」
純孤「もうっ、へカーティアってば……///」
カルゴ「あー…えー………。さっき初めて会ったばっかりなのに…いや、そうじゃなくて…。俺に一体、何を望んでいるんです?」
ヘカT「分かりきってることでしょう?純孤も、あなたのそのハーレムに入れてあげてってこと」
カルゴ「……どう思う?鈴仙。同じ一目惚れした者として…なんていうか…さ」
鈴仙「ふえ、私?…そうねぇ…。一目惚れって、ずっと一緒にいて段々と好きになってくっていう流れでは無いけど…好きになるのって急だし…。でもその気持ちに偽りは無いと思うの。だから…私は、純孤さんも………エスカルゴのハーレムに入れて良いんじゃないかなって思うよ?…あれ、何を言いたいんだろう私…よくわかんないや…。えっとね、一目惚れでも何でも、好きの気持ちは止められないし、抑えられもしないから…そう、入れても良いと思うわ。まず、私がそうだしね。ごめん、まだ考えが上手く纏まってなくて…」
カルゴ「ううん、ありがとうな。鈴仙の気持ちを聞けたからそれで十分だよ」
鈴仙「えへへっ…♪」
クシャクシャに萎れていたウサ耳も、鈴仙に笑顔が戻るのと同時に、ピンと張りが戻った。鈴仙の場合は、「耳は口ほどにものを言う」らしい。
純孤はすっごく綺麗だし…そんな人が俺なんかに惚れるなんて信じ難いけど…やっぱ思いは伝わるって感じなのかな。真っ直ぐな性格だと、自然と人が寄ってくるらしい。うーん…どうしよ…。
もしもここで断ったらどうなるか分からないし…黙って流されるのが吉か?
ていうかその前に、純孤に惚れられて喜んでいる俺がいる事に驚くよ…。懲りてねぇよバカが…。
そりゃ、誰かに好かれて嫌な気持ちにはならないけどさ、喜ぶのはちょっと違うと思うんだよな。
まぁ、純孤の第一印象が「綺麗なお姉さん」だし喜ぶのも人間として…いや、元人間としては多分普通の事なんだろうけど。
ピース(もしかしてあたい……今、すごい現場に居合わせてたりする?エスカルゴの女が今まさに増えるか増えないかっていう場面なんだよね!?
……意外と悩んでるなぁ、エスカルゴのヤツ…。てっきり『YES!』って即決なのかと思ってた)
鈴仙(波長が乱れてる…。ボーッとしてるように見えて内心は焦ってるのね。やっぱりエスカルゴって、ポーカーフェイスが得意なのね…)
こういう時はな、パラレル化させて考えると割と考えが捗るものなんだよね。つまりOKとするかNOとするかの違いだな。
OKとしたら…みんな丸く収まるかな。それに、純孤の心の隙間を、俺で埋められるかもだしね。一石二鳥ってやつだな。
NOとしたら…純孤とへカーティアからは恨みを買うことになるだろうな。
鈴仙(波長が落ち着いてきた…。考えが纏まったのかしらね。感情は読めなくとも、波長の変化で大体何を考えてるかわかるわよ、エスカルゴ…。ましてや、あなたとは16年も一緒に過ごしてきたんだからね…♪)
意を決した俺は、未だに照れている純孤の目を、真っ直ぐに見つめ、口を開く。
カルゴ「俺で良ければ……良いよ。勿論、俺達のデートの邪魔をしない事が条件なんだけど…」
純孤「ほ、ほんと…?良い、の…?」
カルゴ「嫌?」
純孤「嫌じゃない…。むしろ、嬉しくて……♪」
そう言って、指で目頭に浮かんだ涙を拭った。
まさか、泣くとは微塵も思っていなかったので、一瞬ドキッとしてしまった。
ヘカT「良かったわねん、純孤♪」
純孤「ええ…ありがとね、へカーティア…♪」
ヘカT「ほんとにもう、私が居なきゃダメダメよねぇ、純孤って。そこが可愛いんだけど♪」
純孤「もうっ…へカーティアったら…」
クスッと優しく笑った純孤は、おもむろに立つ。
それを見たピースと鈴仙と俺は首を傾げ、へカーティアは声をかける。
ヘカT「どうしたの?」
純孤「“報告”よ」
ヘカT「あっ…(察し)」
報告とはなんだろう。その疑問はすぐに晴れた。
純孤は、縁側に出るなりその両腕を広げ、青空を仰ぎ、空(月)に向かって話しかけ始めた。
純孤「不倶戴天の敵、嫦娥よ…見ているか…?」
ヘカT「まーた始まったわよん…」
純孤「私は……………私は、貴様とは違い幸せな人生を送り…恨みと愛、2つの力で貴様を殺す!待っていろ、嫦娥!アッハッハッハッハッ!!」
昼の竹林に、純孤の元気いっぱいな笑い声が響き渡った。