※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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かなり煽ります。


やっぱ神様ってすごいんやなって

重力の小さい月面上で、俺と依姫は繰り返し剣を交えていた。片方は二振りの漆黒の魔剣を、もう片方は一振りの神々しい神の剣を用いて。

普段より身体が軽いので、普段から強い重力下で動いている俺が有利…と思っていたが、実際にはそうではなかった。逆にこのフワフワした状態に慣れることが出来ず…依姫に圧倒されていた。

 

カルゴ「うぉっ…くっ……はァっ!!」

 

依姫「ふん、この程度で…!」

 

長刀である依姫の方が遥かにリーチが広く、長さは普通である俺はやはり不利だった。片方で剣戟を受け止め、片方で攻めるという戦法だって依姫には大して通用していない。

剣の腕もあの頃より遥かに成長してるはずだが、ここまで尽く通じないと、寧ろ笑えてくる。

 

カルゴ「だーっ!くそっ!」

 

依姫「!」

 

大きく飛び退き、依姫と10数mほど距離をとる。

もう剣だけでの勝負は終わりだ。もしかしたらと少しでも思った自分が恨めしい。娘が近くでこの戦いを見ているというのに…まさかただ押されるだけで終わるとは。

 

カルゴ「ここから先は、スペルカードを使わせてもらうぜ!依姫!」

 

依姫「好きにするといい。その悉くを打ち破る」

 

カルゴ「よし…雷神『荒れ狂う霹靂神』!!」

 

依姫「これしきの数…どうという事はないッ!」

 

カルゴ「……」

 

刀を通じて電気が流れているはず…だが、依姫はそれをものともせず雷の弾幕をズバズバと斬る。先日の妖忌のようで、思わず顔を顰めてしまう。

 

依姫「ふふ、どうして弾幕を斬れるんだ、とでも言いたげな顔ね?」

 

カルゴ「さぁな」

 

あれが破られたら…次は、あのスペルでも使ってみようかな。物は試しって言うし。

 

カルゴ「混合武器『雷刀&雷銃』!!」

 

依姫「ッ…!あのメイドみたいな技を使うのね。それならば─────」

 

ナイフで囲むと、それを目だけで追いながら過去に戦った咲夜さんの事を思い出す依姫。その時の事なら、咲夜さんから聞いている。ナイフを神の力で砂にし、再形成した後、自分に向かって全て返してきた…と。

だから敢えて咲夜さんのスペルを模しているこのスペルを使った。

 

依姫「『金山彦命(かなやまひこのみこと)』よ、私の周りのうるさい蝿を砂に返せ!」

 

が、俺のナイフは砂に返らず、そのまま依姫へと向かい続ける。

 

依姫「なっ…!くっ!」

 

神の力が効かなかったことで依姫は少し焦るが、すんでのところでナイフを弾き、消し去る。そのナイフの速さはそこそこ速いのだが…それを全て見切るとは、やはり凄腕である。

 

依姫「何故、金山彦命の力が…!?」

 

カルゴ「その神様は金属の神様だろ?けど…残念ながら俺のナイフは、金属製じゃあないんでね」

 

依姫「なん…だと…!?」

 

そう、俺の創るナイフは電力製。金属ではない。だから被弾してくれると思ったのだが…どうやらそこら辺の気持ち、体の切り替えは早いらしい。普通なら、焦って対処しきれず被弾するはずだ。

 

カルゴ「見事、策に引っかかったね。似てるからって、安易に判断しちゃあダメだぜ?やっぱり、自分に自信がある奴は詰めが甘いと思────」

 

依姫「詰めが甘いのはどちらかな?」

 

カルゴ「────ッ!!」

 

依姫が剣を地面に刺すと、何本もの刃が俺を囲むように突き出してきた。湾曲しているので、飛ぶことすら叶わない。落ちようにも、足元にも短い刃が突き出している。

この事なら4人全員から聞いた。祇園様の力だ。

 

依姫「……詰めが甘いのは、どちらかしら?」

 

カルゴ「さぁな。依姫じゃないか?」

 

依姫「まんまと囲まれておいてよく言えるわね」

 

カルゴ「この程度の囲みを脱出できないとでも?随分と舐められたもんだな」

 

依姫「あなたこそ、祇園様の刃に全方位囲まれているというのに、この状況で脱出できるとでも?神の力を舐めてるの?…別に、動いても構わないわよ。祇園様の怒りに触れるけど」

 

カルゴ「なら、八百万の神の怒りとやらに触れてみようかね。どれほど斬れるのか見物だぜ」

 

手を伸ばし、手近な刃を一本、指でピンと弾く。

それはパキンと高い音を立てて折れ、依姫の頬を掠めて飛んでいった。

 

カルゴ「おや、こんなに脆いのか」

 

依姫「っ…囲むだけだと思うな!」

 

そう言って依姫は、地面に刺した剣を、レバーのように前に倒す。

 

カルゴ「ゔっ……!?」

 

剣を抜き、振り回す程の隙間が無かったために、右手と左手で刃を一本ずつ掴んで、頭を狙う刃は首を曲げて鎖骨に当てた。背後の刃は鞘に当たり組み合ったまま動かない。

 

依姫「へぇ…手で止めたか」

 

カルゴ「チッ、手の太い血管が切れちまったぜ…随分と痛いことしてくれるじゃねぇか」

 

依姫「手で掴むのが悪いの。剣をしまわなければ防げたものを…。出し入れするからそうなる」

 

カルゴ「ま…正論だな。けどな…っ!」

 

手で掴んでいた刃を折り、腕を真横に振り回してパキパキパキと刃をへし折っていく。人間だった頃の咲夜さん達には出来なかったが、レミリアはその気になればこのぐらいの事は出来たはずだ。

 

カルゴ「よっと」

 

逃げ道を確保した俺は難なく囲みから脱出する。刃なら折ればいい。ただそれだけの話なのだ。

 

依姫「…わざと怒りに触れ、力で押すとはね…。流石に今のは呆れてものも言えないわ」

 

カルゴ「八百万の怒りより、唯一神の怒りの方が恐ろしいからなぁ…。別に何とも。俺にだって、神の力は使えるし」

 

依姫「世迷い言を…。神の力を使えるのは、私やあの巫女のように霊力を持つものだけ。しかも、それなりに力量も無ければならない」

 

カルゴ「霊力もあるし量もある。…霊夢よりかは少ないけど、ね」

 

依姫「面白い!ならば見せてみよ!」

 

カルゴ「なら炎で勝負だ。来い、武甕槌命!!」

 

建御雷《おい器!またまた面白い戦いをしておるではないか…!戦い好きの我には最高の環境ぞ!奴は…愛宕を出すな》

 

カルゴ《ああ。前回もそうだった》

 

依姫「この気配…!お前だったのか、武甕槌命をいつもいつも喚び出していたのは!!おかげで、

『またあの巫女だ』といちいち説明するのが面倒だったんだぞ!!」

 

そんな、まるで自分の所有物を奪われた時の子供のようなことを言う依姫に、少しイラッときた。

少し言い返してやりたい。

 

カルゴ「八百万の神はお前のものじゃない。勿論月のものでもない。勘違いすんじゃねぇ。地上の誰がどの神を、いつ喚ぼうと…それは、喚ぶ者と喚ばれる者の勝手だ」

 

依姫「勘違いされるんだ、謀反を企んでると!」

 

カルゴ「神を降ろすなんてことをできるのはお前くらいだから、か。嫁から聞いたさ。でもなぁ、そこがお前ら月人の奢りだっつってんだよ。何故俺らが神を喚ぶ事で月が怒る?こっちは合意だ。ヌケヌケと理不尽なこと抜かしてんな。…そっちこそ、神を所有物扱いした事に対する神の怒りに触れないとでも思ったか?」

 

依姫「…ッ…!お前なんぞに神の力を扱いきれるはずが無い!愛宕様の炎を喰らえッ!」

 

腕に極熱な炎を纏い、無謀にも殴りかかって来る依姫。殴り返したいと思ったが、炎の対決を俺が申し込んだのだから、それは良くない。

 

カルゴ《てなワケで、よろしく頼む!》

 

建御雷《おう!…それにしても、さっきのド正論にはシビレたぞ!確かに我々神は、月のものでは無いからな!お前やあの巫女が神を喚んで、何故月に怒られなければならん!》

 

カルゴ《へへっ、やっぱ正論だろ、今回は!》

 

建御雷《うむ!神の怒りを思い知らせろ、器!》

 

カルゴ《器って言うな!》

 

ドッと流れ込んで来る建御雷の力。それを全て、右手と左手に分け、いただきますをするように、手のひらを合わせ…スペルの詠唱をする。

 

カルゴ「融解『地上の人工太陽』!!!」

 

巨大な火球を生み出し、力を流し続けて大きさと熱を上げていく。

 

依姫「この程度っ…愛宕様は負けない…!」

 

カルゴ「なら壊してみせろ…よっ!!」

 

直径が3mほどを超えたあたりで依姫へ投げる。

依姫の腕が纏う火力は更に上がり、ついに火球と拳が衝突する。

 

依姫「熱い…!もっと…火力を上げねば…っ!」

 

カルゴ「操れる神の数が多いよりも、1つの力を追求する方が、より強い力を発揮できるのさ」

 

依姫「図に……乗るなァァァァッッ!!!」

 

カルゴ「…チッ…やっぱ熟練度がちげぇってか」

 

しばらく拮抗したあと、愛宕様の火が俺の火球を取り込んだ。それを見た俺は思わず苦笑いした。

だが、かなり惜しいところまでは来ていた。

 

依姫「はぁっ…はぁっ………クッ…!」

 

押されたのが自分でもわかっているのだろうか、歯をギリッと食いしばり、鋭い目で俺を睨む。

 

カルゴ《…うん、段々使えてきてるな。やっぱり諏訪子が紹介してくれただけあって、ぴったりな神様だよ、建御雷は。ありがとね、諏訪子》

 

諏訪子《もっと褒めてもいいんだぞ〜♪》

 

建御雷《威厳はどこに…》

 

カルゴ《それは言うなタケちゃん、俺が1番それ気にしてるから…》

 

建御雷《神をも篭絡するお前が心配することか。それよりその女…依姫に注意しろ》

 

カルゴ《わぁってるさ》

 

神との対話から依姫へと意識を戻す。そこには、憎々しげな目を向け、祇園様の剣を構える依姫の姿があった。なるほど、最後は自分の得意分野で決着をつけたいと思っているらしい。

 

カルゴ「だったら終わらせてやんよ…!喰らえ、俺のラストワード…!『雷霤撃波(らいりゅうげきは)』!!!」

 

妖魔雷霊剣を抜いて、そこから極太の破壊光線を放つ。周囲にもその電気は伝わり、バチバチッと大きな音を繰り返し立てていた。

 

依姫「甘ァァァいッッ!!」

 

しかし依姫は、剣をレーザーに向け、真正面から攻撃を浴びる。何とか行けるか、とは思ったが、やはりレーザーは両断されてしまった。

 

カルゴ「クソが…。ラストワードが効かないと、すげぇ傷付くな…」

 

依姫「構えているところに真正面からとは貴様、どれほど私を舐めれば気が済む!」

 

おーおー、随分とまぁ怒っちゃって…。

 

カルゴ「舐めるのは飴と惚れた女だけで十分だ。自惚れる女は誰も舐めないさ」

 

依姫「きっ、貴様……よくもヌケヌケと…!もう斬り殺してやる!!ハァァァッ!!」

 

カルゴ「重符『グラビティ6』!!」

 

依姫「ぁふっ……!?」

 

崩れ落ちそうになり、祇園様の剣を地面に刺して身体を支える依姫。また別なところでは、豊姫が膝をついていたり、巫月がジャンプをしている。

 

カルゴ「はははははははっ!!おいおい、地球の重力にすら耐えられないのか!?」

 

依姫「重力、だと…!?」

 

カルゴ「母星の重みが一番しっくりくるなぁ…」

 

俺を中心にして、半径100mの範囲の重力を、6倍…つまり地球と同じにしている。スペル名は美鈴のスペルから取った。この名前だと、色々とわかりやすいのだ。

 

依姫(チッ…早く慣れろ私の体!何をいつまでも足を止めている…!!)

 

カルゴ「突然変わると、体験したことある重力も大変だろう?…さて、慣れる前に倒しますかね」

 

依姫「この程度、何という事は…!」

 

カルゴ「おっと…。流石、体験した事あるからか慣れるのが早いね。けどな……!さぁ、来いよ…建御雷の無限の力…!」

 

建御雷《ふははっ!良いぞ、持っていけ!!》

 

暗黒斬月剣の方も抜き、両の魔剣の力を最大限に引き出して、オーラを纏わせ…更には、建御雷の力をも纏わせて構える。

 

カルゴ「魔双剣『究極月面衝撃波(アルティメットルナティックインパクト)』!!」

 

二振りの剣を地面に叩き付け、そこを起点にして太陽フレアのような爆発を起こし、地面を深々と抉り…いや、消し飛ばし、依姫は爆風で吹き飛び気絶した。

 

カルゴ「よし…真正面からぶつかって勝ったぞ!はははっ…あっはははははっ!!」

 

諏訪子《でも、勿論これは…》

 

カルゴ《神様の助けがあったから…だろっ♪》

 

諏訪子《…ちゃんとわかってるね、偉いぞ♪》

 

カルゴ《ありがとうな、タケちゃん!諏訪子も》

 

諏訪子《今回は喋っただけだけどね〜。あとさ、戦いが長引いたら教えてあげようかなと思ってた事があるんだけど………また後でも良いよね!》

 

カルゴ《…?よく分からないが、諏訪子の好きな時に話して。なんか気になるし》

 

諏訪子《わかった!》

 

建御雷《…では、戦いも終わったことだし、我は帰るぞ。何かあったらまた喚ぶがいい》

 

カルゴ《おっす!》

 

重力の能力を解除して、チラリと豊姫を見ると、パチンと扇子を閉じて、にっこりと微笑んでいる豊姫と目が合った。

 

豊姫「お見事な戦いを見せてもらったわ。さぁ、次は私ね。どう戦うつもりかしら?」

 

カルゴ「そうだなぁ…。せっかくだから───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴仙『ええっ!?依姫様から避難命令が!?』

 

レイセン『え、ええ…また妖精共が来たので…。なので、玉兎は誰も巫月ちゃんを見てません…』

 

鈴仙『そんな…!だって、エスカルゴと依姫様が戦うっていうのに、近くに居たら…!』

 

レイセン『そこは私には何とも…。しかし、何故巫月ちゃんは月に来たんでしょうか…。しかも、危険だとわかっている上で…』

 

鈴仙『仕方ないのよ、父親にベッタリだから…。無事だと良いんだけど…。ねぇ、もしも都の中で見つけたら、すぐに連絡くれる!?』

 

レイセン『勿論、構いませんよ。…あれ?でも、巫月ちゃんと鈴仙さんは遠隔会話できるはず…』

 

鈴仙『それが…ずっと受信無視(スルー)されてて…』

 

レイセン『それはキツイですね…。でも都の中に入れるわけが無い、と依姫様も言ってましたし…やはり私の出る幕は無いかと思いますが…』

 

鈴仙『万が一、よ!念には念を入れなきゃ!』

 

レイセン『わかりました、避難しながら捜索等も進めていきたいと思います!』

 

鈴仙『お願いね!』

 

レイセン『はい!』




受信スルー…既読スルーw
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