王様ゲームを終えた俺達は、いつも通りの生活に戻る。レミリアは昼寝中の娘の様子を見に行き、咲夜さんと弦月姫は仕事に戻り、美鈴は門番に、パチュリーは読書、フランは図書館で大人の本を読み耽っている。
いつもの俺ならば、レミリアと一緒に娘の様子を見に行くか小悪魔とヤッている頃だが、今の俺は美鈴から言われた謎の言葉を辞書で調べている。
おやつのケーキを食べながらであるが。
この図書館にある辞書は実に素晴らしい。文字や意味だけではなく、発音からも調べられるのだ。
勿論それは五十音順に書かれているので、地道に探していけば、いつかは見つかるはずだ。
「うぉーあいにー」…と美鈴は言っていたはず。ならば「うお」を探せばすぐに見つかるだろう。幸い、どちらの文字もあ行なのだから。
カルゴ「うぉーあいにー…うおーあいにー…か?いや、うおおあいにい…かなぁ…」
パチェ「原型留めてなくない?」
カルゴ「あはは…。それにしてもこの辞書、発音からもその言葉を調べられるとか便利ですね」
パチェ「外のが不便なだけよ」
カルゴ「外のも持ってたりするんですか?」
パチェ「あるわよ。懐かしい気分に浸りたいなら
Y-SENの棚を見る事ね。そこは日本の蔵書をまとめてあるから」
一瞬、何を言っているのかが分からなかったが、棚の端に書かれていた謎の英文字だと理解した。随分と細く分かれているものだな。
カルゴ「懐かしい気分に浸りたい時に…かぁ…。パチュリー様はそれを読んだりするんです?」
パチェ「いえ、特に。魔導書を読んでばかりね。意味を調べるのに、調べやすいのと調べにくいのどっちを使うかなんてわかりきってるでしょ?」
カルゴ「ごもっともですな。…あ、あった」
パチェ「それどういう意味だったの?(私の予想が正しければ、それはきっと…)」
カルゴ「あーいや、『うぉーあ』の所を見つけたって事です」
パチェ「紛らわしい反応ね…」
カルゴ「ははっ、すいませn…おっ、あった!」
パチェ「で?どうだった?」
カルゴ「我爱你…『私はあなたを愛しています』って意味ですが…聞き間違いじゃないですよね?さっきの言葉は…」
パチェ「『ウォーアイニー』って言ってたわよ」
カルゴ「マジか、中国語で告白されちゃった…!よく皆の前で言えたなぁ…俺なら無理だ…」
パチェ「中国語なら誰もわからないって思ったんでしょ。私は、美鈴の態度から察せたけどね」
カルゴ「態度?…赤くなって少し慌ててたけど…あぁ確かに、良く考えれば察せたかもな…」
ゲームに紛れて想いを伝えて、カップル成立するという場面は過去に何度か見てきている。だが、まさか自分がゲーム中に言われる側になるとは…思ったことが無かった。
そもそも、美鈴が俺を少しでも好いてくれていたことなら何年も前から気付いていたが…やはり、友人としての方だと思っていた。そういえば以前
「私は、手紙じゃなくて直接言うタイプなので、勘違いしないで下さいね?」と言っていた。
なるほど、こういう事か。
パチェ「どうするの?」
カルゴ「そりゃ返事しますよ。…中国語でね」
パチェ「じゃあ今度は意味から調べなきゃね?」
カルゴ「ええ」
それから暫く、言おうと思っている返事の言葉を探し続けるが、中々見つからない。やはり、主語から探すと余計に時間がかかるらしい。
カルゴ「見つからね〜……」
パチェ「単語ごとに探せばいいのに」
カルゴ「でも折角だし文で…ねぇ…。美鈴は文で言ってくれたのに俺は単語って何か嫌ですよ」
パチェ「そういう、妙に意地っ張りな所はずっと変わらないわね。ま、頑張りなさい」
カルゴ「英語だったらすぐ返事できるのにな…。中国語は無知なんで、全くわかんないです。せいぜい、你好と謝謝くらいで」
パチェ「同じく」
カルゴ「…難し〜な〜…」
それから約1時間、俺は紙を捲り続け、1ページずつ地道に探していった。その甲斐あって、日が暮れる頃、返事ができそうな短文を発見できた。
そして、美鈴に返事をすべく、辞書を返却して、彼女の居る門へ向かった。
カルゴ「美鈴〜…あぁ、起きてたか」
美鈴「ええ、起きてますよ!(いつあなたが来るかわからないのに、眠っていられませんよ…)」
カルゴ「あれ?
美鈴「あぁ、チルノさんに戦闘訓練してるうちに消えてしまいました。2人とも凄く気合い入ってましたよ!」
カルゴ「チルノ来てたのか」
美鈴「すごいはやさで成長してますよ!やはり、素直な子は伸びがいいんですかね!」
カルゴ「そうなのかもな」
美鈴「『明日か明後日かその次くらいに、何とかセンターに遊びに行くんだ!』と言ってました。でも、センターとつくのはあそこだけですよね?大丈夫なんでしょうか?チルノさんって氷の…」
カルゴ「大丈夫っしょ」
…とはいえ、少しは心配だし…余計なお世話だと思うが、スキマで監視しとくか。入口ならお空を送る時に把握してるし、内部は諏訪子と早苗から聞いて大凡は把握してるしね。
カルゴ「あと…美鈴」
美鈴「はい?」
カルゴ「さっきの…返事をさせて?」
美鈴「! い…意味…わかっちゃいましたか…?」
カルゴ「ああ。…我也是、美鈴」
美鈴「!!」
元々パッチリしている目を、更に丸くする美鈴。
指を絡ませてモジモジ照れる姿が、オレンジ色に輝く夕陽に照らされる。
カルゴ「何つーかその…悪いな、カタコトで…。中国語は無知で…」
美鈴「いえ!お返事を貰えただけでその…嬉しいです…♪」
カルゴ「なら…良かった」
美鈴「…あれ?OKされたって事は…もしかして私も彼女さんの仲間入り…!?」
カルゴ「嫌?」
美鈴「嬉しいです!」
手を後ろで組んで、ルンルンと体を横に揺らす。
カルゴ「…ずっと、友達の方の好意かと思ってたから、そう言われるとやっぱり驚くね…。前にも似たような勘違いしてたけど」
美鈴「私も、少し前まではお友達として好きだなって思っていたんですけどね。…でも、友達って何だろう?恋人って何だろう?…と考えてたら…えへへ、自分の気持ちに気付かされました…♪」
カルゴ「そっか…。どうだ、今度こっそり、里に遊びに行かないか?勿論、里以外でも良いぜ?」
美鈴「おおっ…デートですね…!」
カルゴ「そうなるな。そん時は美鈴の姿の分身を置いとけばバレないだろうし、大丈夫だろう?」
美鈴「はいっ!」
カルゴ「じゃ…改めて、これからも宜しくな♪」
美鈴「よろしくお願いします!!」
ガッチリと握手した俺達は、それからしばらく、門番をしながらたわいもない話に、花を咲かせていた。とうとう18人目…そろそろ止まってほしいところだが……まぁ、なるようになるだろう。
さて、その時に備え、デートプランを練らねば。
もののけ姫を観てふと思った事。
アシタカ「そなたは美しい」
エスカルゴ「可愛くて優しい…兎ちゃん…かな」
なるほど、こいつらは同類か。
出会って間もない女性にこんなこと言えるのか?
どちらも、関わった女性は出会ってから短期間でメロメロ(?)になってるよね。
ひえー…恐ロシアw