A.爾子田里乃ちゃん!!!
彼女や嫁たちが、裏で打倒霊夢を計画していると知らない俺は、その霊夢に頼まれ、里に団子等の菓子類を買いに来ていた。霊愛も霊麗も、霊夢と留守番をしているので、今は俺1人だけだ。
カルゴ「チルノチルノチルノチルノ天才!チルノチルノチルノ……おっ、団子屋発見♪」
鈴瑚「おー、おっひさ〜!」
カルゴ「おうよー。ストロベリーダンゴ、今日は全部買ってく〜」
鈴瑚「おー!やったね、大繁盛だーい!」
今日はいつもとは違うルートを通り、鈴仙と同じ玉兎である鈴瑚の団子を買いに来た。何故玉兎が里で団子屋をやっているのかよくわからないが、美味しいので細かい事はどうでもいい。そして、お隣には、清蘭という青髪の玉兎の店もある。
…まぁ、そちらは次回行くことにしよう。というわけで、今日は鈴瑚の団子を買うことに決めた。
鈴仙と共に里に薬を売りに来た時はたまに2人の内のどちらかの団子を買って帰るので、鈴瑚とも清蘭とも顔馴染みにはなっていた。
カルゴ「大丈夫かな、他の人が買いに来たり…」
鈴瑚「大丈夫大丈夫!もし来たとしても、これが売れ残ったら意味無いしね〜。どうせなら、誰か1人の独占でも別に構わないから、完売した方が儲けられるってもんよ」
カルゴ「そりゃ良かった」
鈴瑚「はいお待ち、ストロベリーダンゴ20本!」
カルゴ「20?なんか少なくない?」
鈴瑚「今日の在庫はもう20本しかないよ、今日は結構売れた方なんだ」
これは困ったことになったなぁ…。これを4人で食べたら、5本しか食べられないじゃねぇか…。しゃーないな、追加で20本買って帰るかな。
カルゴ「…それじゃーさ、ベリーベリーダンゴを同じく20本お願い」
鈴瑚「うひょぉーっ!やったぁ、ありがとさん♪
…まだ少し残るけどどうする?買う?買う?」
残り本数を確認した鈴瑚はヒョコッと顔を出して客を誘惑する。儲けたいのはわかる。だがまさかここまであからさまに「買う?」と誘うとは…。
可愛いは正義。よし、買おう。
カルゴ「4の倍数なら買う」
鈴瑚「あちゃー、3本だわ」
カルゴ「うーん……買う」
鈴瑚「ひゃっほー!すっごく儲けちゃったよ♪」
3本なら俺以外の3人に渡せばいい。俺達の体質的に、いくら食べても太らないし、デザートにもおやつにも、団子は最高の甘味なのだ。
鈴瑚「毎度あり〜っ!」
鈴瑚の店を後にした俺は、団子をスキマ空間へと仕舞い込み、少しだけ里の中をぶらぶらする事に決めた。スキマを使えば一瞬で帰れるのだから、多少なら時間を潰しても大丈夫だろう。
…そう思ってブラブラ歩いていた、その時。
??「お兄さ〜ん♪」
カルゴ「わっ!?」
突然背後から誰かに抱きつかれた。その呼び方はお空だが、あの豊満な胸の感触がまずしないし、匂いも違うし、何よりも声が違う。別な誰かだ。
カルゴ「誰だ?」
??「私だよ、わ・た・し!」
カルゴ「あっ、お前は……!!」
腕を解いて背中を離れたので、後ろを振り向いてその相手を確認する。そこに居たのは、天子より相手するのが面倒臭い、あの神だった。
女苑「やっほ♪」
カルゴ「うーわ…」
神は神でも疫病神である依神女苑だ。その双子の姉である依神紫苑とはあの天子を通じて少しだけ関わりがある。その時にこの女苑とも知り合ったのだが…俺は、白蓮と神子の次に女苑が苦手だ。何故って、会う度に金をせがむからである。
因みに、一度目の完全憑依異変の黒幕でもある。
女苑「今日こそ私に貢いでもらうわよ!」
カルゴ「だが断る」
女苑「何ですって…!?」
カルゴ「子供達が食べ盛りなのに、疫病神であるお前にやる金は無いぞ。他を当たってくれ」
女苑「ちょちょちょ、待ってよ待ってよ!ねぇ、待ってってば!」
背を向けて歩き出すと、手を掴んでまで俺を振り向かせる女苑。仕方ないので、話だけは聞こう。
カルゴ「何だよ?」
女苑「ここで会ったが10年目!今日こそあなたに貢いでもらうわよ!」
カルゴ「100じゃないのか」
女苑「細かいことはいーの!さ、貢いで!」
カルゴ「ふざけるないい加減にしろ」
俺が女相手にこんな言葉遣いをしている時点で、俺がどれだけ女苑を嫌っているかわかるだろう。今では、天子相手でもこんな言葉遣いはしない。冗談を言う時のトーンや表情で小悪魔やチルノに言うことはあるが、このようなマジトーンでは、決して女苑以外には言わない。
女苑「あなただけよ、全くオチないのは。今までだったらどんな男も私の美貌で釣れたのに…」
カルゴ「確かにお前は可愛いとは思うがな、それだけじゃ俺はオトせねぇさ。俺の嫁や娘、彼女…愛人たちの方がずっと可愛いからな」
女苑「…ここまで私をコケにした奴は初めてよ…エスカルゴ・スカーレット…!」
カルゴ「コケにしたもシダにしたもあるかよ」
女苑「1回!1回だけ私と茶屋デートしなさい!それでオトしてあげる!そして貢がせるわ!」
カルゴ「いやだからお前と居たくないんやって。頼むから関わらないでくれ…」
女苑「こちとらねぇ、日々男達を落とす為のテク磨いてんのよ!それなのに全く通じない時の私の気持ち、あなたにわかる!?」
カルゴ「わかりまセンセーショナル」
女苑「だーっ!ムカつくわねその態度!!」
カルゴ「知りま神龍」
女苑「こうなったら……!」
カルゴ「お?弾幕ごっこか?さすがに里の中ではやめような?」
女苑「うぅっ…うっうっ…」
カルゴ「!?」
女苑「うわぁぁぁぁん、この人が私とのデートの誘いをドタキャンしようとするぅぅ!!」
カルゴ「おい!?」
里人「ん?何だ何だ?」
カルゴ「……ッ!」
こンのクソ女ぁぁぁ…!!人里で何余計なことをくっちゃべっとんじゃコノヤロウ…!しかもそれ嘘だし!!めっちゃ見られとるじゃんかクソ!!
カルゴ「あーもうしょうがねぇなぁ!近くの茶屋1軒だけ行ってやるよ!」
女苑「そうこなくっちゃ!やっぱり、女の涙ってホントに最強よね〜♪」
嘘泣きだったらしく、女苑はケロッとしている。
全く、これだから女苑は…。
カルゴ「…ぶっ飛ばすぞ?」
女苑「はいはい、行きましょ〜♪」
腕を組んできた女苑を引き剥がすのを諦め、俺はその近くにある茶屋に入店する。コイツは、何を以て「貢ぐ」とするのかわからないが、とにかく金目のものを与えてはいけない。
女苑「ねーねー、お金ちょーだい?」
金目のものじゃなくモロに…!コイツ、デキる!
カルゴ「イヤだね。ビタ一文やりゃせんよ」
女苑「どうしてもぉ?」
カルゴ「どうしても」
女苑「もしこの身体を自由に使わせてあげるって言っても?」
カルゴ「悪いが○フレなら2人居るんでな。別にお前の身体を借りずとも、その気になりゃすぐに性欲発散できるさ」
女苑「チッ…何なのよアンタは…」
カルゴ「泣く子も黙るエスカルゴ様だが?」
女苑「めっちゃムカつく…!」
カルゴ「安心しろ、俺もお前にムカついている。折角の骨休めの時間を潰しやがってこの野郎…」
女苑「よぉーし、店を出たら勝負よ!私が勝てばあなたの財産の半分を貢いでもらうわ!」
カルゴ「あンだとこの女…孕まされてぇか?」
女苑「ひぃっ!」
おっと、つい最強の脅し文句が出てしまった…。
対女では、本当に最強の脅しだよね。もちろん、本当に行動に出たりはしないけども。
カルゴ「…悪いが、お前みたいに性根まで腐った疫病神はお呼びじゃないぜ。お前の姉さんの方が可愛げあるな」
女苑「はぁ!?姉さんとどこまでいったの!?」
カルゴ「ん?少しだけ飯作ってやったり、奢っただけだ。あんなに美味そうに食ってくれる奴は、なかなか居ないな」
女苑「っ…!」
カルゴ「…さて。折角茶屋に来たんなら何か注文しないと失礼にあたるな。お前、何か食べる?」
女苑「別に…」
カルゴ「お前から誘ったくせに。…すいません、羊羹2つお願いしまーす」
店員「はーい!」
しばらくして羊羹が2人分届き、その甘い羊羹を頬張り始める。女苑は、仏頂面で窓から人通りを眺めている。
女苑「ったく、話が違うじゃないの…」
カルゴ「何の話?」
女苑「あんたに会いに来る前あの天人に会って、
『押して押して押しまくればすぐに落ちる』って自信満々に言われたのよねー…」
カルゴ「あ、今日は言われたからきたのか」
よし、とりあえず次天子に会ったら子宮の中まで完全に開発しまくってやろう。許さん。前後両方ガバガバにしてやろうか…!もうピル飲ませんの止めて、ドプドプ流して孕ませてやろうか……!覚えてやがれ天子…どちらにせよ、気絶するまでイジリ倒してやる…!
女苑「まーね。今日こそ…って思ってたんだけどやっぱあんたは難攻不落ね」
カルゴ「まぁな」
女苑「その分、オトし甲斐があるんだけど」
カルゴ「オトせるもんならオトしてみな。どんな色仕掛けでもオチはしないよ」
女苑「誘惑以外の色仕掛けとかは無理だわー…。私、こう見えても男性経験0だし」
カルゴ「意外だな。色仕掛けでオトした男は?」
女苑「ヤる前にトンズラでしょ」
カルゴ「うわその男可哀想…」
女苑「それでこそ私…疫病神よ」
カルゴ「うーわ…」
女苑「…羊羹、食べてもいい?」
カルゴ「いいよ、食べな」
女苑「ありがと」
彼が鈴瑚の団子屋でお喋りをしていた頃。霊夢がいる博麗神社では、霊夢が1人でのんべんだらり寝転がって過ごしていた。しかし、そこに……。
姉妹「ただいまー」
霊夢「あら?永遠亭に行ったんじゃないの?」
霊愛「お姉ちゃん留守だった。いつ帰ってくるか分からないって永琳が言ってたからさ、待つのも面倒臭いし、帰ってきちゃった。鈴仙も居ない。里にでも行ったのかな?」
霊夢「そうなんだ」
霊麗「あとお母さん、これ」
霊夢「手紙?…あ、私宛だ」
霊愛「境内に落ちてたよ」
霊夢「そうなの?掃除した時気付かなかったわ」
霊愛「誰から?なんて書いてあるの?」
霊夢「私の手紙だから見ちゃダメよ。…………」
手紙を読んだ霊夢は顔色を酷く変えた。そして、乱れた服を直し、お祓い棒を引っ掴み、外出の…妖怪退治の準備を整える。
霊愛「どしたの?どこに行くの?」
霊夢「…魔理沙が私に挑戦状を叩き付けてきた。きっと新しい魔法の実験台にでもするつもりね。少し出掛けてくるから留守番してなさい」
霊愛「…?」
霊麗「私も魔理沙の新しい魔法見たい!」
霊夢「ダメよ!!」
姉妹「!?」
突然声を荒らげた霊夢に肩を震わせて驚く2人。
こんな母親は初めて見ただろう。
霊夢「あ…。とにかく、すぐに帰ってくるから、絶対に神社から出るんじゃないわよ!もしアイツ帰ってきたら、『魔理沙のところに行った。絶対ついて来ないで』とだけ言っておいて!それじゃ行ってくるわね!」
早口でそう言ったと思うと、翼を広げて縁側から空高く飛び立った。向かった先は…確かに方角は魔法の森だ。だが屋内から見える限りでは、少しズレているようにも見える。
しかし姉妹は、気のせいか、と結論付けた。
霊麗「…どう思う?」
霊愛「絶対嘘でしょ、魔理沙は手紙出さないし」
霊麗「行ってみる?」
霊愛「ダメ。なんだか真剣勝負って感じしたし、そういうの邪魔された時のお母さんは怖いから」
霊麗「そっか。…お父さん、そろそろかな?」
霊愛「あー…まーた空気悪くなる…」
霊麗「3年前のお姉ちゃんのせいでね」
霊愛「……霊麗がトイレ行ったらデレてみるよ」
霊麗「あははっ、何それ」
霊愛「自分で言ったのに自分でもわかんないや。恥ずかしいから昼寝でもしてよ…」
霊麗「私も昼寝しよー。お父さん、帰ってきたら起こしてくれるかな?」
霊愛「しーらない」
霊麗「…おやすみー」
霊愛「おやすみ」
「コケにしたもシダにしたもあるかよ」ってこの小説内でも屈指の迷言では?www